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APUの電力効率,2020年には2014年比で25倍に。AMDが電力効率改善のロードマップを公表
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印刷2014/06/23 12:23

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APUの電力効率,2020年には2014年比で25倍に。AMDが電力効率改善のロードマップを公表

 6月20日,AMDは,2020年までにAPUの電力効率を2014年比25倍に高めるというロードマップを公表した。具体的には,CPUとGPUを協調的に動作させるヘテロジニアス(異種混合)コンピューティングの強化により,処理性能を向上させて高クロック(=高消費電力)で動作する時間をさらに短縮する手法と,処理の状況とAPU内部の温度センサー情報を基に,今までよりもきめ細かな動作クロック制御を行う手法などによって,この目標を実現するとしている。

AMDの電力効率改善ロードマップ。APUによる処理性能の向上と,電力管理機能の強化により,2020年には,2014年比で消費電力を25分の1まで下げられるという
画像集#003のサムネイル/APUの電力効率,2020年には2014年比で25倍に。AMDが電力効率改善のロードマップを公表

電力管理機能の強化プランを示したスライド。ダイ上の主要コンポーネントに設置した温度センサーの情報を基に,動作クロックと電圧を動的に変え,消費電力を最適化するとのことだ
画像集#002のサムネイル/APUの電力効率,2020年には2014年比で25倍に。AMDが電力効率改善のロードマップを公表

お詫びと訂正
初出時,「2008年比」と記載しておりましたが,正しくは「2014年比」でした。お詫びして訂正いたします。


AMD 日本語公式Webサイト


#### 以下,リリースより ####

AMD、APUの電力効率を2020年までに25倍改善する計画を発表
―デザインの最適化、インテリジェントな電力管理、ヘテロジニアス・システム・アーキテクチャーの進歩により、従来の電力効率パターンを最低70%改善―

AMD(米国本社:米カリフォルニア州サニーベール、社長兼CEO:ロリー・リード)は、アクセラレーテッド・プロセッシング・ユニット(APU)の電力効率を2020年までに25倍改善するという目標を発表しました。中国の大連で開催されている「China International Software and Information Service Fair(CISIS)」の基調講演において、AMDのCTOであるマーク・ペーパーマスター(Mark Papermaster)は、効率改善をもたらすイノベーションなどを盛り込んだ計画の詳細を発表しました。「25X20」との目標は、AMDが自社製品の標準消費電力の効率を10倍以上改善した過去6年間(2008年〜2014年)と比較して大幅な向上を目指すものです。

世界中で30億台のPCにより消費される年間の電力量は全体の1%以上に相当し、さらに3,000万台のPCサーバーが消費する電力量は年間140億〜180億米ドル規模にのぼり、すべての電力の1.5%に相当します。インターネットやモバイル・デバイス利用の拡大と一般的なクラウド・ベースの動画やオーディオ・コンテンツへの関心の高まりにより、将来的にこれらすべての数値が増加すると考えられます。

ペーパーマスターは、次のように述べています。「電力効率に絶えず関心を向け、差別化された低電力な製品を開発することが、当社のビジネス戦略の重要な要素です。APUアーキテクチャーの強化とインテリジェントな電力効率における技術を通じて、当社のプロセッサーの電力効率は今後数年間で飛躍的に改善するでしょう。AMDのプロセッサーのエネルギー効率を2020年までに25倍改善するという目標設定は、当社の取り組みとアプローチに対する自信を表しています」

米国スタンフォード大学のSteyer-Taylor Center for Energy Policy and Financeの研究員であるジョナサン・クーメイ(Jonathan Koomey)博士は、次のように述べています。「IT分野の電力効率は、PC時代の幕開けに伴い、急速に向上しています。また、半導体技術のイノベーションが引き続き高効率化への新たな可能性を開拓しています。AMDは、常にモバイル・プロセッサーの電力効率の改善に努めており、過去6年間において標準消費電力効率の10倍以上の改善を達成しています。標準消費電力効率の改善に対するAMDの取り組みは、モバイル・デバイスの実際のバッテリー寿命やパフォーマンスを大幅に改善し、消費者に大きな利益をもたらす可能性があります。AMDの技術計画は、モバイル・デバイスの標準使用時のエネルギー効率を今後6年間にわたって25倍改善するという目標の達成に向けた、あらゆる可能性を示唆しています。これは、ピーク出力時の電力効率における過去の成長率を大幅に上回るペースです。この目標は、パフォーマンスの向上とプロセッサーの標準消費電力の急速な削減によって達成される見通しです。パフォーマンス向上のメリットに加え、効率が改善されることで、バッテリー寿命が長くなり、より小さく、少ない材料でのデバイスの開発が可能になり、コンピューティング・デバイスの増加による全体的な環境負荷が低減されます」

「ムーアの法則」では、一定の面積に組み込めるトランジスターの数は、2年ごとに約2倍になるといわれています。クーメイ博士の研究は、従来のプロセッサーの電力効率が「ムーアの法則」で予測される改善率に近かったことを示しています。インテリジェントな電力管理、APUアーキテクチャーの進歩、半導体製造加工技術の向上、標準消費電力への取り組みを通じ、AMDは「ムーアの法則」が予測する従来の効率パターンを2014年から2020年にかけて、最低70%上回ることを目指しています。

電力効率におけるリーダーシップの確立
演算性能の進化と同様、電力効率における進化も個々のトランジスターのサイズを小型化する新世代のシリコン加工技術と共に歴史を歩んできました。AMDは、電力効率の設計戦略における以下の3つの主要な取り組みによって、2020年までの加工技術の変遷から予想される標準消費電力の効率改善を上回ることを目指しています。

●ヘテロジニアス・コンピューティングおよび電力最適化:AMDはヘテロジニアス・システム・アーキテクチャー(HSA)を通じて、CPUやGPU、デジタル署名プロセッサーやビデオ・エンコーダーなどの専用アクセラレーターの演算コアを同じチップにAPUとして融合します。AMDによるこのイノベーションは、個々のチップ間の接続を排除し、CPUとGPUをピアとして扱うことで演算サイクルを減らし、電力を削減するとともに、演算ワークロードを最適なプロセッシング・コンポーネントへとシームレスにシフトすることを可能にします。その結果、標準的なオフィス・アプリケーション、ナチュラル・ユーザー・インターフェースや画像/音声認識などの新たなビジュアル志向のインタラクティブなワークロードを含む共通ワークロードの電力効率が改善し、パフォーマンスを高速化します。AMDは、組み込み型、サーバー、およびクライアント・デバイス市場にHSA機能に対応するAPUを提供しており、セミカスタムAPUは新世代のゲーム機に搭載されています。

●インテリジェントなリアルタイムの電力管理:多くの演算オペレーションの特徴として、アイドル時間、キーストロークの間隔、タッチ入力、または表示されたコンテンツを確認する時間が挙げられます。可能な限り早くタスクを実行してアイドル状態に戻るまでの時間を短縮し、アイドル時の電力消費を最小化することが、電力消費を管理するうえで重要です。Webの閲覧や、オフィス文書の編集、写真編集といった消費者指向のタスクには、この「すぐにアイドル状態にする」動作が有効です。AMDの最新APUは、ワークロードおよびアプリケーションに対するリアルタイム分析を実施し、クロック速度を動的に調整して、最適なスループット速度を実現します。また、AMDは、速やかにジョブを完了するためにプロセッサーをオーバークロックしてから、低電力のアイドルモードに戻すことができるプラットフォーム別の電力管理機能を提供します。

●電力効率における今後のイノベーション:効率の改善には何年もの技術開発が必要とされます。AMDは、何年も前に電力効率に対するニーズを認識して研究投資を行うことで、影響力の高い機能の実現に至りました。いずれは、フレーム間の電力ゲーティング、部品ごとの電圧の適用、電圧アイランド、システム・コンポーネントのさらなる統合や開発段階の他の技法などの差別化を図る多くの機能が進歩を加速させるでしょう。

市場調査会社であるTIRIAS Researchは先ごろ、AMDの電力効率の測定に関する方法論、および2020年までに25倍の改善を実現する計画を評価し、詳細な分析をまとめたホワイトペーパーを一般公開しました。

TIRIAS Researchのアナリスト、ケビン・クレウェル(Kevin Krewell)氏は、次のように述べています。「電力効率に優れたプロセッサーの目的は、これまでの世代より低い電力でより高い性能を提供することです。モバイル・コンピューティング・プロセッサーの電力効率の改善を促進させるAMDの計画は素晴らしい内容です。部分的にはプロセスの改善も必要ですが、アイドル時の電力削減による節約とHSAのパフォーマンス向上の組み合わせを中心に、よりインテリジェントな電力管理を通じてAMDは電力効率の目標を達成できると思います。これにより、AMDはコンピューティング業界でのリーダーシップを実証し、より優れた電力効率の未来向けてイノベーションを推し進めるでしょう。」

参考情報(英語)
TIRIAS Research に関するホワイトペーパー

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