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「Dell G3 15(3579)」レビュー。エントリー市場を狙う新しいゲーマー向けノートPCは,どれくらいゲーム向きなのか
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印刷2018/07/14 00:00

レビュー

エントリー市場を狙うDellの新しいゲーマー向けノートPCは,どれだけゲーム向きなのか

Dell G3 15(3579)


 2018年4月に,Dellは,ゲーマー向けPCの新シリーズ「Dell G」を立ち上げた(関連記事)。旧「Inspiron Gaming」を置き換えるシリーズは,Dellのゲーム部門であるDell Gamingにとって,ALIENWAREがカバーするよりも“下”の市場に向けた新しい製品ブランドとなる。

 ラインナップは,Inspiron Gaming 7000の後継となるDell G7およびDell G5と,Inspiron Gaming 5000の後継ではない,コスト重視型の新しいエントリーモデルとして立ち上がったDell G3の3種類。今回4GamerではDell G3の第1世代モデルとなる「Dell G3 15(3579)」を入手できたので,「新しいエントリーモデル」とされるノートPCの価値を探ってみたい。

Dell G3 15(3579)
メーカー:Dell
問い合わせ先:デル オンラインチャット(平日9:00〜22:00,土日祝日10:00〜22:00)
入手した個体の実勢価格:14万378円(※税&送料込,2018年7月14日現在,クーポンなど考慮せず)
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※本稿では,FPSによるテストをBRZRK氏,ベンチマークによるテストを宮崎真一氏,それ以外を4Gamerの佐々山薫郁が担当します。


薄さとインタフェース配置は魅力的ながら,致命的な弱点も


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 Dell Gブランドのコンセプトは,「厚み1インチ(=25.4mm)未満の筐体を採用しつつ『GeForce GTX 1060 6GB with Max-Q Design』までのGPUを搭載できる」というものだ。ALIENWAREのようなBTOには対応しないものの,エントリー市場向けとなるDell G3 15(3579)の場合,主にCPUやGPUの違いで数モデルを選択できるようになっている。今回4Gamerで入手した個体のスペックは以下のとおりで,2018年7月時点において選択できる最上位構成という理解でいい。

 よく知られているとおり,ゲーマー向けノートPCではメインメモリのアクセスチャネル数が重要で,シングルチャネルだとゲームにおけるシステム性能は目に見えて低下するのだが(関連記事),最上位モデルですらシングルチャネルアクセス仕様に留まるというのは,「エントリー市場向け」とはいえ,やはり残念である。

●入手したDell G3 15(3579)の主なスペック
  • CPU:Core i7-8750H(6C12T,定格2.2GHz,最大4.1GHz,共有L3キャッシュ容量9MB,TDP 45W,cTDP:35W)
  • チップセット:Intel MH370
  • メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM 8GB×1
  • グラフィックス:GeForce GTX 1050 Ti(グラフィックスメモリ容量4GB)
  • ストレージ:SSD(容量128GB,M.2/Serial ATA 6Gbps接続)+HDD(容量1TB,Serial ATA 6Gbps接続)
  • パネル:15.6インチIPS液晶,解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢,LEDバックライト)
  • 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 5.0(最大433Mbps,1x1,Intel「Wireless-AC 9462」)
  • 有線LAN:1000BASE-T
  • 外部インタフェース:HDMI Type A×1,RJ-45×1,USB 3.1 Gen.1 Type-A×2,USB 2.0 Type-A×1,SDカードスロット×1,4極3.5mmミニピン(※ヘッドセット用)×1
  • スピーカー:内蔵2chステレオ
  • マイク:内蔵2chステレオ(※アレイマイク)
  • インカメラ:解像度720p
  • バッテリー容量:3500mAh/56Wh,15.2V
  • ACアダプター:出力130W(19.5V 6.7A)
  • 実測サイズ:380(W)×258(D)×23(H)mm
  • 実測重量:2.53kg
  • OS:64bit版Windows 10 Home

本体天板部
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 一方,薄さにこだわっているとされる筐体は,同じようなハードウェア構成を採用するシステムビルダー製の15.6型ノートPCと比べて確かに細身だ。白い筐体色と相まってスマートな印象がある。

 天板部は青い「DELL」ロゴが入るタイプで,とくに光ったりはしない。全体としてシンプルと評していいのではないかと思うが,良くも悪くも,あまりゲーマー向けPCっぽくはないデザインと言えそうだ。

天板を閉じた状態の本体前面側(左)と背面側(右)。前面側はスピーカーを搭載するのみで,背面側は排気孔などが並んでいる。厚みは実測約23mmで確かに薄い
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 インタフェースは本体の左右に散るタイプ。ACアダプター接続端子とビデオ出力用のHDMI Type A端子,有線LAN用のRJ-45端子,外部ストレージ用のUSB 3.1 Gen.1端子,そしてヘッドセット接続用の3.5mmミニピン端子がすべて本体正面向かって左にあるため,本体正面向かって右側のUSB 2.0 Type-A端子にマウスを接続すれば,本体の正面右手側にマウス用の広いスペースを確保できる。ケーブルマネジメントに関するこのあたりの配慮はさすがDellといったところである。

本体正面向かって左側面(上)と右側面(下)。薄型筐体を採用しながらもRJ-45ポートを搭載して有線LANに対応するのは立派だ。それ以外のインタフェースはいかにもエントリークラスといったところで,USB 3.1 Gen.2といった高速,あるいはType-Cといった汎用インタフェースは持っていない
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 搭載するパネルは解像度1920×1080ドットのIPS液晶で,表面はノングレア(非光沢)。標準で若干青みがかっているのと,角度を付けたときにコントラスト感が目に見えて低下するのが気になるものの,税込売価10万円台前半のノートPCとしては可もなく不可もなしという評価が妥当なところだろう。

4Gamerの壁紙を表示させた状態で液晶パネルを見た例。正面から見たときの視認性に問題はない。角度を付けていくとコントラスト感が低下していく
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テスト中のBRZRK氏
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 垂直リフレッシュレートは60Hz。FPSやTPSで死活問題となる応答速度や残像感といった面で違和感はない。垂直リフレッシュレートが最大60Hzなので,日頃から120Hz超級のディスプレイでゲームをプレイしている筆者(=BRZRK)はちょっとコマ数が少なく感じてしまったが,ノートPC向けGeForce GTX 1050 Ti(以下,GTX 1050 Ti)と釣り合うスペックだとは言える。

 気になるキーボードは日本語フルキー仕様で,[Esc]キーの行やカーソルキーが縦方向に潰れ,かつセパレート型の弊害で[Space]キーと[Enter]キー,[Back Space]キー,右[Shift]キーが隣接するキーと一体化してしまっているという,海外ブランドのエントリー市場向けやモバイル向けノートPCでよく見るタイプである。
 キーの押下感はペコペコした印象で,ストロークも浅い。

キーボード部を正面から。LEDバックライトは非搭載だ。10キーを搭載してしまっているため,タッチパッドは本体の左にズレている
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キーボードは一部が変則的な配列になっている
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 キーの配置バランスがおおむね適切だからか,慣れてしまえば少なくとも[Space][Enter]キーのミスタイプは少なかった。ただし,横方向に詰まっている[Back Space]キーと[¥]キーの“誤爆”は相応に発生してしまい,そこを意識して[Back Space]キーの右寄りを叩くようになると,今度は[Num Lock]キーをミスタイプするという問題が出てくるので,キーボードの使いづらさに一定レベルの覚悟は必要だろう。
 10キーを排除してくれれば,「[Back Space]キーのミスタイプ問題」は解決に向かうと思うのだが……。

こちらはゴーストが確実に出る例。[Q/A/Z/X]キーを押すと[X]キーの代わりに[S]キーの入力が入ってしまう
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 もっとも,キーボードで真に問題なのは同時押し周りの配慮が皆無ということのほうである。「配慮が足りない」のではなく「皆無」なので,同時押し対応数は組み合わせ次第で最小2キーになってしまう。
 FPSやTPSの基本設定だと[S]キーは後退にあたるが,たとえばこれと[D]キーを押して右斜め後方へ下がりながらアビリティやリーンなどが割り振られている[E]キーを押すと,入力が入らなかったり,最悪の場合はゴーストが出て別のキーが入ってしまったりするのだ。

キーの同時押し状況をチェックできるソフトウェア「Aqua’S KeyTest」実行結果。本ソフトウェアは指を離した後で「どのキーが入ったか」も確認できるのだが,[S][D][E]キーを押下すると[E]キーの代わりに[Space]キーが入ってしまい(左),指を離すとその時点で今度は[E]キーが入ってしまうことを確認できる
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 キーボード周りの問題はもう1つある,それが,「けっこう熱い」ということだ。本体は底面から吸気し,2基のファンを使って背面から排気する仕様なのだが,冷房の効いた部屋でも,1時間も連続でゲームをプレイしていると,キーボード盤面,とくに[W]キー周辺は40℃を超えてくる。45℃にまでは達しないよう制御されている印象はあるが,FPSやTPSにおいて[W]キーは「押しっぱなし」になることが多いので,指先がじんわりと熱くなってきてしまう。

放射温度計「FLIR ONE Pro」で,「Fortnite」を1時間以上プレイし続けた状態のDell G3 15(3579)を計測したところ。ゲーム中に指先が触れない排気孔側へ熱を適切に送ってはいるものの,その熱がキーボード盤面へ広がってしまい,結果として[O]キー周辺は50℃近くに達し,プレイポジション周辺も40℃を超えてしまった
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 国民生活センター(※リンクをクリックするとPDFファイルのダウンロードが始まります)によると,44℃のものに3〜4時間触れ続けると,人は低温やけどになるとのこと。なので,Dell G3のキーボードは「熱が理由で,ゲームプレイできる時間に制約を抱えている」と理解すべきではないだろうか。

タッチパッドの感度はよいので,使うときは有用だ。ただし左右メインボタンは独立したものではなく,タッチパッドに統合されている
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 付け加えると,Dell G3 15(3579)ではキーボードショートカットからタッチパッドを無効化する術(すべ)がない。もちろん,Windowsの「設定」−「デバイス」−「タッチパッド」から無効化はできるのだが,面倒なのは確かである。

 以上の問題を総合的に鑑みて,Dell G3 15(3579)を使って本気でFPSやTPSをプレイするつもりなら,別途ゲーマー向けキーボードを購入して外付けしたほうがいい。おそらく使えば使うほど本体側のキーボード周りにはストレスが溜まるはずだ。

本体底面。写真上端にあるスピーカーと中央より下の吸気孔が同じ面にあるので,サウンド出力はマスクされやすい
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 なお,本機のファンはかなりの音を立てるため,3Dゲームを起動し,ファンの回転数が上がった状態だと,本体底面に埋め込んである2chスピーカーの音はほぼマスクされ,細かい情報は聞き取りにくくなる。
 そもそもスピーカーの音質は典型的な「ノートPCの音」なので,ヘッドセット(やヘッドフォン)の利用は必須だろう。


本体底面カバーを取り外したところ
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 Dell製ノートPCは「出荷状態に戻せれば保証の範囲内」(※戻せなかった場合,メーカー保証は失効するので十分に注意してほしい)ということで,内部も簡単にチェックしておこう。
 底面カバーはビスを外せば比較的簡単に開けられる。また,メモリスロットとM.2スロット,2.5インチストレージトレイにも簡単にアクセスでき,さらにはデバイスの着脱にあたって外す必要のあるバッテリーパックの接続インタフェースにはわざわざ「BATT」と説明のシールも貼ってあるという親切さなので,ノートPCのカスタマイズ経験があれば,Dell G3 15(3579)のカスタマイズも容易なはずだ。

カバーを外した底面全景。ヒートパイプ2本およびファン2基でCPUおよびGPUの冷却をまかなっている
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DIMMスロットは当然のことながら片方空いている
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Type 2280対応のM.2スロット。PCI ExpressとSerial ATA両対応だ
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2.5インチストレージトレイは「脱着ガイド」付き
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バッテリーパックもどのケーブルを外せばいいか分かりやすい

 冒頭で触れたとおり,本機は標準のメモリアクセス設定がシングルチャネルだという残念な仕様を抱えているので,ゲームで使うにあたってはぜひデュアルチャネル化したいところである。
 Cドライブの容量が128GBというのも人を選ぶところで,将来的なアップグレード対象になりそうだ。


最新世代のエントリーゲームPC,そして5年前のハイエンドPCと性能を比較


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 ハードウェアの特徴とゲームにおける使い勝手をチェックしたところで,ここからはベンチマークテストに入っていきたい。
 今回,Dell G3 15(3579)のテストを行うにあたって,比較対象として,最新世代のエントリーゲームPCと,5年前のハイエンドクラスのPCを用意してみた。具体的には,6コア12スレッド対応の「Core i7-8700T」(以下,i7-8700T)とGTX 1050 Tiを組み合わせたシステム,そして「Core i7-4790K」(以下,i7-4790K)と「GeForce GTX 780」(以下,GTX 780)を組み合わせたシステムだ。このテストを行えば,Dell G3 15(3579)が,現行世代のエントリー市場向けGPUを搭載するデスクトップPCと比べてどの程度の性能があり,5年前のハイエンドPCと比べた場合はどうかを確認できるはずだ。

 テストに用いたグラフィックスドライバはテスト開始時点における最新版となる「GeForce 398.36 Driver」で統一し,電源プランは「高パフォーマンス」で揃えている。それ以外のテスト環境はのとおりだ。

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 テスト方法は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション21.0準拠。ただし,GTX 1050 TiがエントリークラスのGPUであることを考慮に入れ,「Middle-earth: Shadow of War」(以下,Shadow of War)と「Tom Clancy’s Ghost Recon Wildlands」(以下,Wildlands)ではグラフィックス設定プリセットを「中」とした。

 また,今回はレギュレーション22世代を先取りする形で,「Prey」に代わり「Far Cry 5」を,「Forza Motorsport 7」に代わり「Project CARS 2」をそれぞれ利用する。
 これらの具体的なテスト方法だが,Far Cry 5では,オプション設定から「中」プリセットを選択し,ゲームに用意されたベンチマークモードを実行する。そのうえで,1回実行した結果をスコアとして採用した。一方のProject CARS 2では,事前テストで「GeForce GTX 1080 Ti」カードを装着したとき,「オプション」で自動設定されるグラフィックス描画指定値を「低負荷設定」とし,それを適用した状態で,4Gamerオリジナルのリプレイデータを冒頭から2分間実行し,その平均と最小のフレームレートを「Fraps」(Version 3.5.99)から測定することにした。こちらは2回連続で実行し,その平均をスコアとして採用している。

 テスト解像度は,Dell G3 15(3579)の標準解像度である1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその“1つ下”となる1600×900ドットを選択した。1280×720ドットは,最近のゲームタイトルにおいてはあまり現実的ではないという判断からテストを省略している。

 また今回は,Dell G3 15(3579)の総合性能を評価するためUL製のベンチマークソフト「PCMark 10」(Version 1.0.1493)と,動画のトランスコードテスト「ffmpeg」(Version 4.0)でのテストも実施することにした。両テストをどのように実施したかは考察の直前でそれぞれ紹介する。


おおむね「i7-8700T+GTX 1050 Ti相当」の性能だが,スコアが伸び悩む場面も


 以下,文中とグラフ中ともに,i7-8700TとGTX 1050 Tiの組み合わせを「i7-8700T+GTX 1050 Ti」,i7-4790KとGTX 780の組み合わせを「i7-4790K+GTX 780」と表記することを断りつつ,「3DMark」(Version 2.4.42641)の結果から見ていこう。

 グラフ1は「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。Dell G3 15(3579)はi7-4790K+GTX 780にこそ届いていないものの,i7-8700T+GTX 1050 Tiとほぼ互角の戦いを演じているので,「GTX 1050 Ti搭載のデスクトップPCと遜色ない」とは言えそうである。

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 続いてグラフ2はFire StrikeのGPUテストである「Graphics test」のスコアを抜き出したものだ。
 スコア傾向は総合スコアを踏襲したものになっており,DirectX 11ベースだとGTX 1050 Tiの3D性能はGTX 780比で8割強になることを確認できる。また,Dell G3 15(3579)が採用するノートPC向けGTX 1050 Tiの性能がデスクトップPC向けGTX 1050 Tiとほぼ同じことも見てとれるだろう。

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 事実上のCPUテストとなる「Physics test」の結果を抜き出したものがグラフ3だが,ここでDell G3 15(3579)はi7-4790K+GTX 780に32〜33%ものスコア差をつけている。マルチスレッド処理の最適化が進んでいる3DMarkでは,6コア12スレッド対応となるi7-8750Hのほうが4コア8スレッド対応のi7-4790Kに対して優勢ということだ。
 Dell G3 15(3579)がi7-8700T+GTX 1050 Tiに若干届いていないのは,i7-8750Hの定格クロックがi7-8700Tより200MHz低いためだと考えている。

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 グラフ4はGPUとCPU両方の性能がスコアに影響を及ぼす「Combined test」の結果だ。ここでは,Dell G3 15(3579)のi7-4790K+GTX 780に対するスコアがFire Strike Ultraだと約84%のところ,Fire Strike“無印”では約71%までスコア差が広がっている点に注目したい。高解像度環境ではGTX 780のグラフィックスメモリ容量3GBという仕様がボトルネックとなる一方,低解像度環境ではGPUコア数勝負になってGTX 780が高い性能を発揮できるがために,このような結果になっているのだろう。
 Dell G3 15(3579)がi7-8700T+GTX 1050 Tiに対してFire Strike Ultraで約5%高いスコアを示しているのは,GPUのブーストクロックが順に1493MHz,1290MHzと,Dell G3 15(3579)のほうが高いので,そのためだと思われる。

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 3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」の総合スコアをまとめたものがグラフ5だ。また,グラフ6,7はGPUおよびCPUテスト結果を抜き出したものになる。
 総合スコアだと,Dell G3 15(3579)はi7-8700T+GTX 1050 Tiの96〜98%程度で,i7-4790K+GTX 780の92〜93%程度。GPUおよびCPUテスト結果を見てもDell G3 15(3579)はi7-8700T+GTX 1050 Tiの後塵を拝しており,とくに「CPU score」では72〜80%程度に沈んでしまっている。
 理由については後段で触れることとして,ここは先に進みたい。

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 というわけでグラフ8,9は「Far Cry 5」のテスト結果だ。Dell G3 15(3579)の平均フレームレートはi7-8700T+GTX 1050 Tiの94〜96%程度で,i7-4790K+GTX 780に対しては4〜10%程度高いスコアを示した。より低い解像度でi7-4790K+GTX 780とのスコア差が開いているのはCPUの性能差によるものという理解でよさそうだ。

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 その一方,「Overwatch」のスコアであるグラフ10,11を見ると,最も高いスコアを示したのはi7-8700T+GTX 1050 Tiとなっており,それと比べるとDell G3 15(3579)は平均フレームレートで85〜89%程度となっている。1920×1080ドット条件の平均フレームレートではi7-4790K+GTX 780からも約95%と若干離された。

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 「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下,PUBG)のスコアがグラフ12,13となるが,ここではi7-4790K+GTX 780がトップの座に就いた。Dell G3 15(3579)はi7-8700T+GTX 1050 Tiに平均で1fps前後の差を付けるものの,逆に最小フレームレートでは1.5fps離されている。

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 グラフ14,15にスコアをまとめたShadow of Warだと,Dell G3 15(3579)は平均フレームレートこそi7-8700T+GTX 1050 Tiを上回るスコアを発揮したものの,最小フレームレートでは一桁まで大きく落ち込み,目に見えてガクガクした動きを確認できた。
 Shadow of Warはグラフィックスメモリに対して負荷が掛かるテストなのだが,今回は中プリセットを採用してメモリ負荷を低減させていること,そして最小フレームレートにだけ問題が生じていることを踏まえるに,CPUクロックが上がりきらない局面が生じているのではないだろうか。つまり3DMarkのTime SpyにおけるCPU scoreと同じ問題が原因ではないかということになる。この点も後段で考察することにしたい。

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 次にグラフ16,17はWildlandsの結果だが,Dell G3 15(3579)の平均フレームレートはi7-8700T+GTX 1050 Tiの89〜91%程度,i7-4790K+GTX 780の115〜117%程度となった。
 1920×1080ドット条件において,Dell G3 15(3579)とi7-8700T+GTX 1050 Tiの最小フレームレートが揃っている(≒CPU性能の違いはほぼ出ていない)ことから察するに,この場面ではDell G3 15(3579)におけるメインメモリのシングルチャネル構成が足かせとなり平均フレームレートを下げる要因になっているものと考えられる。

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 「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」(以下,FFXIV紅蓮のリベレーター ベンチ)の総合スコアをまとめたものがグラフ18となる。
 Dell G3 15(3579)のスコアはi7-8700T+GTX 1050 Tiやi7-4790K+GTX 780に届いていないものの,1920×1080ドットでスクウェア・エニックスの指標において最高評価となるスコア7000を超えている点はまずまず立派と言っていいのではなかろうか。

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 グラフ19,20はFFXIV紅蓮のリベレーター ベンチにおける平均フレームレートと最小フレームレートとなるが,Dell G3 15(3579)のほうがi7-4790K+GTX 780より最小フレームレートは高くなっている。CPU性能の高さで最小フレームレートの底上げを実現できているのだと思われ,プレイの快適さではDell G3 15(3579)に分がありそうだ。

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 Project CARS 2の結果がグラフ21,22となるが,ここでテストした3条件のスコアはほぼ拮抗している。要するに,Project CARS 2でDell G3 15(3579)はGTX 1050 Ti搭載のデスクトップPCと遜色ない性能が得られているというわけである。

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 続いて。非ゲームなテストの結果を見ていこう。
 PCMark 10では「Basic Edition」でも選択できるPCMark 10“無印”テストを実行した。その結果がグラフ23だ。
 Dell G3 15(3579)はi7-4790K+GTX 780より約2%高いスコアを示す一方,i7-8700T+GTX 1050 Tiと比べると約90%というスコアに落ち着いている。

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 そこでグラフ24を使ってワークロードごとのテスト結果を見て行くわけだが,Dell G3 15(3579)は「Essentials」と「Productivity」でi7-4790K+GTX 780に届いていない。Webブラウジングやビジネスアプリケーションなどでは,動作クロックで上回るi7-4790Kが優位に立つということなのだろう。
 しかし,コンテンツ制作における性能を測る「Digital Content Creation」では,Dell G3 15(3579)がi7-4790K+GTX 780を27%も上回っている。Digital Content Creationで採用するアプリケーションはマルチスレッドに対応するものが多いため,6コア12スレッド対応のCPUを搭載するDell G3 15(3579)のスコアが優勢だ。

 Dell G3 15(3579)とi7-8700T+GTX 1050 Tiでスコア差が出ているのは,総合的な要因によるものだろう。CPUが6コア12スレッド対応で揃ってはいるものの,定格クロックはi7-8700TのほうがDell G3 15(3579)のi7-8750Hよりも200MHz高く,L3キャッシュ容量も両者で3MBの違いがある。さらに,Dell G3 15(3579)は,シングルチャネルメモリアクセスとメモリ周りでもi7-8700T+GTX 1050 Tiに対して不利なので,それらが作用したものと筆者(=宮崎真一)は考えている。

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 性能検証の最後はffmpegである。
 今回は,FFXIV紅蓮のリベレーターで実際にゲームをプレイした,計6分42秒,ビットレート149MbpsのMotion JPEG形式,解像度1920×1080ドットの録画データを用意し,それを「libx264」を用いたH.264/AVC形式もしくは「libx265」を用いたH.265/HEVC形式へそれぞれトランスコードしたときの所要時間を測定する。
 その結果がグラフ25だが,Dell G3 15(3579)はi7-4790K+GTX 780にH.264で3分47秒,H.265で1分2秒という大きなスコア差を付けている。やはりコア数の違いは小さくない印象だ。
 ただ,i7-8700T+GTX 1050 TiにはH.264で5分9秒,H.265で10分50秒も離されており,とくにH.265でDell G3 15(3579)のスコアが低迷している印象を受ける。

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 それはなぜなのかということだが,ここまで何度か「後段で」としてきたことの答えは,消費電力にあるようだ。


消費電力165Wあたりで上限か。それがネックとなりスコアが伸び悩む


 消費電力の測定にあたっては,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いて,システム全体のそれを計測することにした。ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時としている。
 バッテリーは(底面カバーを取り外さない限り)無効化できないため,Dell G3 15(3579)は充電を100%にした状態でテストしていることをお断りしておきたい。

 結果はグラフ26のとおりだが,これを見るとDell G3 15(3579)の消費電力が165W前後でキレイに揃っているのが分かる。比較対象として用意したデスクトップPCだと,アプリケーションによって消費電力は多少の変動があるので,それと比べると明らかに異質だ。つまり,「消費電力が170Wを超えないような熱設計」がDell G3 15(3579)ではなされており,ここまでのテストでスコアが伸び悩んでいたアプリケーションではそれがキャップとなってしまい,フルの性能を発揮できなくなっているのではないか,ということである。

 Shadow of Warにおける極端に低い最小フレームレートもそうかと言われると自信はないが,いま述べた電力制御との相性が悪かった可能性はあると考えている。貸し出し期間の都合でそこまで踏み込んだテストを行えなかったのが悔やまれるところだ。

 なお,アイドル時の14WというDell G3 15(3579)というスコアは,ノートPCらしく十分に低い。

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 最後に温度も確認しておこう。今回は,3DMarkのTime Spyを30分間連続実行した時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども,CPUは「Core Temp」(Version 1.12.1),GPUは「GPU-Z」(Version 2.9.0)から温度を取得した。
 結果はグラフ27,28のとおり。CPUは高負荷時に90℃と高めだが,GPUは72℃とまずまずの値だ。GPUよりもCPUの冷却が少し足りていないように見える。
 ちなみに,GPUの温度がアイドル時にN/Aなのは,GPUを使うアプリケーションが動いていない限り,GPUへの給電はカットされるためである。

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Dell G3 15(3579)は「ゲームPC」ではなく「ゲームもプレイできるPC」だ


 以上,使い勝手と性能の両面でDell G3 15(3579)を見てきたが,良いところと残念なところ,人によって評価が割れるであろうところは,おおむね以下のとおりとなる。

良いところ

  • ゲーム用途としてほぼ理想的な外部インタフェース配置
  • システムビルダー製のGTX 1050 Ti搭載ノートPCと大差のない価格設定と,価格設定からすれば薄くスマートな筐体
  • メモリモジュールとストレージを(自己責任で)簡単にアップグレードできる筐体設計

残念なところ

  • シングルチャネルメモリアクセス仕様
  • ゲーム用としては何も良いところがないキーボード
  • (おそらく)消費電力が原因でフルポテンシャルを発揮できないハードウェアの仕様

人によって評価が分かれるであろうところ

  • 長時間連続でプレイした場合に低温やけどの恐れがある熱設計
  • ゲーマー向けノートPCとして特徴のない内蔵スピーカー
  • 128GBというCドライブの容量

電源ボタンはWindows Hello対応の指紋センサーを搭載する。これはこれで便利だ
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 本製品を「ゲーマー向けノートPC」と紹介するには,あまりにも「ゲーマー向け」の要素がなさすぎると言わざるを得ないだろう。「これがゲーマー向けノートPCらしいところだ」と言えるのは事実上,インタフェース配置しかない。致命的なのはキーボードが本当に「ただのノートPC用キーボード」でしかないところで,価格設定的にも,「システムビルダーがゲーマー向けノートPCとして売っているものと大差のない製品」ということになる。

 ただこれは,「3Dゲームもプレイできるレベルの性能を持った,大手メーカーのノートPC」をできる限り安価に手に入れたいという人にとって,Dell G3 15(3579)が悪くない選択肢であることと同義でもある。大手メーカー製のノートPCだと,底面カバーを開けただけでメーカー保証が失効するものが多いだけに,元に戻せるなら自分でメモリモジュールやストレージをアップグレードできるというのは地味に意義深く,長く使っていきたい人にとっては大きな魅力となるはずだ。

購入する場合,最低限,メモリアクセスのデュアルチャネル化は行いたい
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 というわけで,「ゲーマー向けノートPC」としては失格だが,「ゲームもプレイできるノートPC」としては大いにアリ。過度な期待さえしなければ,Dell G3 15(3579)は価格以上の価値をもたらしてくれる製品である。

デルのDell G3 15(3579)販売ページ

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