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Intel,Creativeが持つ3Dグラフィックス技術やライセンスの使用権と開発チームを入手。モバイルCPUのグラフィックス機能内製化に弾み?
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これにより,CreativeはIntelから5000万ドル(約40億6000万円)を得るとのことだ。
……頭の上に疑問符が2つ3つ浮かんだ人がいるのではないかと思う。「そもそもZiiLABSって何?」という読者も多いと思われるが,ZiiLabはかつて「3Dlabs」という名で3Dグラフィックスアクセラレータ(≒グラフィックスカード)を手がけていた企業である。
最盛期にはOpenGLの策定にも関与するような,3Dグラフィックス市場における有力なプレイヤーとして知られ,とくにプロフェッショナル向けの製品を得意としていた。一般PCユーザー向けにも,一時期「Permedia」(パーメディア)というブランドでグラフィックスチップを展開していたので,古くからのPCゲーマーなら記憶に残っているという人もいるだろう。
3Dlabsは2002年のCreativeによる買収後,2009年には社名をZiiLABSと変え,開発リソースをモバイル向けプロセッサに集中させる決定を行った。以後,3DLabs時代からの資産に基づく独自のGPUコアをARMアーキテクチャのCPUコアと組み合わせたモバイル向けSoC「ZMS」の開発を続けながら現在に至っている。
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今回の発表で重要なのは,そんなZiiLABSの技術と開発リソースをIntelが利用できるようになる点である。
これまでIntelは,Atomベースのモバイル向けプロセッサ「Clover Trail」(クローバートレイル,開発コードネーム)などにおいて,英Imagination Technologiesの「PowerVR Graphics」コアIPを採用してきたが,将来の製品では,ZiiLABSが持つStemCell技術をベースにしたものが使われることになるかもしれない。
なおCreativeはリリース文のなかで,「28nmプロセス世代以降の次世代メディアプロセッサはさらに複雑になり,開発にコストがかかるようになるだろう。我々は顧客やパートナーのために,継続的な製品の革新を推進すべく,新しい方法を見つける必要がある」と述べている。「ZiiLABSを保有し続けることによる将来へのリスク」を軽減するとともに,中核となるサウンド&マルチメディア関連事業へ集中できるようになるメリットがあるというわけだ。
Creativeは今後もZiiLABSを子会社として持ち続け,特許を継続的に保有するほか,「ZMS-40」などを搭載する製品も開発していくとも述べているが,開発チームを譲渡する以上,将来のZMSプロセッサがZiiLABSから登場する可能性は限りなく低いだろう。
いずれにせよ,Intelがモバイル向けのGPU技術を手に入れたというのは大変興味深い。現時点においては地味な譲渡契約といった印象だが,将来のIntel製品,とくにAtomで代表されるモバイル製品には少なからず影響を与えるものと思われ,今後の展開が楽しみである。
Creativeによるニュースリリース
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