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印刷2013/09/03 16:01

レビュー

LGA2011の新世代CPUコア「Ivy Bridge-E」はゲーマーを幸せにするか

Core i7-4960X Extreme Edition

Text by 宮崎真一


Core i7-4960X Extreme Edition(※入手したのは性能評価用エンジニアリングサンプルであるため,パッケージ上の刻印は最終製品と異なります)
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 Intelは,LGA2011パッケージを採用したハイエンドデスクトップPC向けCPUの新製品となるCore i7-4900番台およびCore i7-4800番台を,日本市場へ投入予定だ。
 ラインナップは下記のとおり3製品。これらは開発コードネーム「Ivy Bridge-E」(アイヴィブリッジE)と呼ばれてきたCPUで,「Core i7-3970X Extreme Edition」(以下,i7-3970X)に代表されるSandy Bridge-E世代のCPUを置き換えるモデルとなる。

  • Core i7-4960X Extreme Edition
    ベースクロック3.6GHz,最大クロック4GHz,6C12T,15MB L3,4ch DDR3-1866,130W TDP,Unlocked,990ドル
  • Core i7-4930K
    ベースクロック3.4GHz,最大クロック3.9GHz,6C12T,12MB L3,4ch DDR3-1866,130W TDP,Unlocked,555ドル
  • Core i7-4820K
    ベースクロック3.7GHz,最大クロック3.9GHz,4C8T,10MB L3,4ch DDR3-1866,130W TDP,Unlocked,310ドル

※製品名の下で動作クロックに続けて並んでいる表記は順に,コア/スレッド数,L3キャッシュ容量,メモリコントローラのスペック,TDP,倍率ロックフリーかどうか(※Unlockedは完全ロックフリー,Partially Unlockedは一部ロックフリー),OEM向けの1000個ロット時単価となる

 今回,4Gamerでは最上位モデルとなるCore i7-4960X Extreme Edition(以下,i7-4960X)を入手できたので,さっそく,基本特性やゲームにおける性能を検証してみよう。i7-3970Xや「Core i7-4770K」(以下,i7-4770K)との力関係は,どうなっているだろうか。


製造プロセスは32nmから22nmへと(ようやく)進化

メモリコントローラは新たにDDR3-1866をサポート


Ivy Bridge-Eの立ち位置。主力プロセッサとしてはHaswell世代のものがすでに流通しているので,CPUコアとしては一世代前ということになる
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 テストに先立って,Ivy Bridge-EがどういうCPUなのかをまとめてみたいと思うが,これはもう,開発コードネームが如実に物語っている。簡単にいえば,CPUのマイクロアーキテクチャにSandy Bridge-Eから引き続いて「Intel Microarchitecture(Sandy Bridge)」を採用しつつ,製造プロセス技術を,Sandy Bridge-Eで用いられていた32nm High-kメタルゲート・トランジスタ技術から,22nmの3次元トライゲート・トランジスタ技術に切り替えてきた製品である。

IntelによるIvy Bridge-Eの位置づけ。プロセッサ・ナンバーからも推測できるとおり,Haswellの上に置かれる
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)

Sandy Bridge-Eのダイイメージ。i7-3970X(やCore i7-3960X Extreme Edition)では,CPUコアの8コア中2コア,共有L3キャッシュの20MB中5MBが無効化されていた
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 ただ,その過程のなかで,1つだけ,大きく変更されたことがある。それはCPUのダイデザインだ。Sandy Bridge-Eでは,32nmプロセス技術で22億7000万トランジスタを集積し,そのダイサイズは約435mm2(20.8×20.9mm)に達していた。さらに,ダイ自体はサーバーおよびワークステーション用のXeon E5-4000番台と共用だったため,CPUコアは8基,L3キャッシュは容量20MB分搭載し,i7-3970Xでは2基のCPUコアと5MB分のL3キャッシュが無効化される格好だったのである。

こちらがIvy Bridge-Eのダイイメージ。CPUコアは6基,共有L3キャッシュ容量は15MBとなっている。外回りと内回り,2方向のリングバスで,CPUコアとアンコア部が結ばれる仕様なのは,Sandy Bridge-Eと変わりなしだ
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 それに対してIvy Bridge-Eでは,初めからi7-4960Xのスペックである「6コア,15MB L3」がフルスペックとなっている。そのため,トランジスタ数は18.6億,ダイサイズは257mm2(15.0×17.1mm)へと,大幅な小型化を実現しているのだ。
 Sandy Bridge-E比でトランジスタ数で約82%,ダイサイズで約59%というのは,当然のことながら製造コストに影響してくるので,Ivy Bridge-Eは,前世代のLGA2011版CPUと比べて,相当に製造コストの低い(≒同じ価格なら利益率の高い)プロセッサになったといえるだろう。

 もちろん,エンドユーザーの立場からすると,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)がi7-3970Xの150Wから130Wへと20W下がったCPUという見方も可能だ。……Sandy Bridge-Eの初期モデルである「Core i7-3960X Extreme Edition」からは変わっていないので,22nmプロセスの恩恵が大きい,とまでは言えないが。

Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
i7-4960Xの概要
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
Ivy Bridge-EとX79を中心としたブロック図
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
CPUパッケージはLGA2011
 Ivy Bridge-Eでは,Intelが「Uncore」(アンコア)と呼ぶ部分にも手が入っている。
 1つは,Sandy Bridge-Eの「インタフェース自体はPCI Express Gen.3準拠だが,正式サポートはPCI Express 2.0まで」という制限が取り払われ,CPUの40レーンが正式にPCI Express 3.0をサポートしたことだ。
 もう1つは,クアッドチャネルメモリコントローラが,DDR3-1866に対応したことが挙げられる。ゲーム用途を前提にした場合,十分な容量が確保されている限り,性能に“効きやすい”のは帯域幅ではなくレイテンシのほうなので,DDR3-1866対応にどれだけのメリットがあるかは議論の余地があるものの,メモリバス帯域幅で,DDR3-1600対応だったSandy Bridge-Eの51.2GB/sから,Ivy Bridge-Eで約59.7GB/sへと,約17%向上した点は押さえておきたい。

 なお,Sandy Bridge-Eと同じくLGA2011パッケージを採用することもあり,組み合わせられるマザーボードは,Sandy Bridge-Eと同じく,「Intel X79 Express」(以下,X79)搭載モデルとなる。Ivy Bridge-E対応BIOS(もしくはUEFI)が用意されているX79マザーボードであれば,CPUを載せ替えるだけで,Ivy Bridge-Eマシンとして運用を開始できるわけで,これは既存のLGA2011プラットフォームをゲームPCとして使っている人にとってのメリットといえそうだ。
 なお,そんなIvy Bridge-Eの最上位モデルであるi7-4960Xのスペックを,i7-3970Xおよびi7-4770Kと比較したものが表1となる。



i7-3970Xおよびi7-4770Kとの比較を実施

X79マザーにはIvy Bridge-E対応BIOSを導入


Rampage IV Extreme
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店)info@tekwind.co.jp
メーカー想定売価:4万3000〜4万7000円程度(※2013年9月3日現在)
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 以上を踏まえつつ,テスト環境のセットアップに入ろう。
 今回,比較対象には,表1でも取り上げたi7-3970Xとi7-4770Kを用意した。GPUには,ボトルネックになる可能性を少しでも排除すべく,「GeForce GTX TITAN」を選択している。

 そのほかテスト環境は表2のとおりで,i7-4960Xとi7-3970Xのマザーボードには,ASUSTeK Computer製のX79搭載モデルとなる「Rampage IV Extreme」を利用。同製品では,BIOSバージョン4310でIvy Bridge-Eのサポートが実現されているので,同バージョンを導入した次第だ。


Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
SMD-32G28CP-18ML-Q
メーカー:サンマックス・テクノロジーズ
問い合わせ先:パソコンショップ アーク
パソコンショップ アーク販売価格:3万5980円(税込,※2013年9月3日現在)
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
MAXIMUS VI FORMULA
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:テックウインド(販売代理店)info@tekwind.co.jp
メーカー想定売価:4万5000円前後(※2013年9月3日現在)
 今回,テストは,4Gamerのベンチマークレギュレーション14.0に準拠したゲーム関連アプリケーションと,PC総合ベンチマーク「PCMark 8」,そしてプロセッサの基本性能を計測するベンチマーク「Sandra 2013 SP5」(Version 19.58)を用いることにする。
 ただし今回は,レギュレーション14.0で規定するタイトルのなかから「SimCity」を外し,今が旬のタイミングである「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」(以下,新生FFXIVベンチ キャラ編)を代わりに追加している。新生FFXIVベンチ キャラ編では,グラフィック設定プリセットに「標準品質(デスクトップPC)」を選択たうえで,解像度ごとに2回テストを実行し,その平均をスコアとして採用する次第だ。

 ゲーム関連ベンチマークの解像度は,レギュレーションで規定される1280×720ドット,1600×900ドット,1920×1080ドットを選択。これまたレギュレーションどおりだが,CPU性能を見る目的から,描画負荷が低い「標準設定」およびそれに準拠した設定を基本的には用いるので,この点もお断りしておきたい。
 ちなみに,いま「基本的には」と述べたのは,当然例外があるからだ。今回,「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)は,標準設定では描画負荷が低くなりすぎてスコアが頭打ちの傾向を見せてしまった。そのため,Skyrimだけは「Ultra設定」を用いるので,この点もご注意を。

 なお,CPUの自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)は,GPUやグラフィックスカードの検証時には無効化することが多いのだが,今回はCPU検証ということで,ゲームのテストとPCMark 8においては,Turbo Boostを有効化したままとする。一方,CPUコア性能などを見る基礎検証となるSandra 2013 SP5では,Turbo Boostだけでなく,「Intel Hyper-Threading Technology」(以下,HTT)も無効化する。


6コアCPUとしての基本性能は

i7-3970Xから確実に向上


 今回は,Sandra 2013 SP5を用いた基礎検証結果から見ていこう。
 グラフ1は,整数演算ベンチマークである「Dhrystone」と,浮動小数点演算ベンチマークの「Whetstone」が用いられる「Processor Arithmetic」の結果となる。整数演算ではSSE 4.2が,浮動小数点演算ではSSE 3の性能が効いてくるわけだが,ここでi7-4960Xは整数演算で約3%,浮動小数点演算で5〜10%程度,それぞれi7-3970Xより高いスコアを示した。両者の間には定格動作クロックで100MHz,割合にして約3%の違いしかない(※最大クロックは4GHzで同じ)ため,Sandy Bridge-EからIvy Bridge-Eへのマイクロアーキテクチャ変更が,浮動小数点演算性能に好影響をもたらしたと見ていいだろう。


 AVX命令を用いたマルチメディア系演算の性能を見る「Processor Multi-media」の結果がグラフ2だ。グラフに並んだ4つの項目は,上から順に整数演算性能,32bit単精度浮動小数点演算性能,64bit倍精度浮動小数点演算性能,そして単精度と倍精度混在の浮動小数点演算性能となっているが,ここで注目したいのは,整数演算性能でi7-4770Kが最も高いスコアを示し,また,グラフ1と比べても,相対的にi7-4770Kのスコアが高い点である。
 HaswellマイクロアーキテクチャではAVX周りに改良が施されているため(関連記事),スコア自体は妥当なのだが,ウルトラハイエンド市場向けでありながら,マイクロアーキテクチャ自体は一世代古いという,Ivy Bridge-Eの弱点が出ているとはいえそうだ。

 なお,i7-3970Xに対しては2〜4%程度高いスコアなので,ここはおおむね動作クロックどおり,ということになりそうである。


 グラフ3は,暗号化性能を見る「Cryptography」の結果となる。まず,AES(Advanced Encryption Standard)256bitのエンコード/デコードを行う「Encryption/Decryption Bandwidth AES256-ECB AES」だと,i7-4960Xは6コアCPUである利点を活かし,i7-4770Kに約91%の大差を付け,また,i7-3970Xに対しても10%高いスコアを示している。コアの数,動作クロックが最大限に“効いた”印象だ。
 一方,AVXを使って「SHA2」(Secure Hash Algorithm 2)でハッシュの計算を行う「Hashing Bandwidth SHA2-256 AVX」だと,i7-4960Xはi7-4770Kの約80%というスコアに留まった。i7-4770KにおけるAVXの強化は,ここでもi7-4960Xを引き離す方向で働いている。


 続いては,「Multi-Core Efficiency」で,コア間のデータ転送レートを見てみよう。グラフ4で,i7-4960Xの折れ線は,i7-3970Xのそれをほぼトレースするような形になっているが,そんななかで注目したいのは,「4x 64kbytes Blocks」から「8x 1Mbytes Blocks」で,i7-3970Xに有意な違いを見せているところだ(※16x 1Mbytes Blocksは,共有L3キャッシュから外れるので,これはメインメモリの帯域幅による違いと思われる)。
 ただ,この結果だけでは,なぜこういう結果になっているのかは分からない。スコアの詳細を表3に示しつつ,考察を保留して次に進もう。


 というわけで,グラフ5の「Cache & Memory Latency」と,その詳細スコアをまとめた表4を見てほしいが,共有L3キャッシュの範囲に収まる8MB Rangeまでで,i7-4960Xのレイテンシがi7-3970Xよりもわずかに改善している。コア間のデータ転送レートは,共有L3キャッシュの性能に左右される傾向にあることからすると,グラフ4でi7-4960Xが見せた優位性の一端はここに求めることができるだろう。
 メモリコントローラのレイテンシを見ることになる32MB Range以上で,i7-4960Xが最も良好なスコアを示している点にも注目しておきたい。


 キャッシュとメインメモリの帯域幅変動を見る「Cache Bandwidth」の結果がグラフ6となる。HaswellではL1&L2キャッシュの強化が実現されているため(関連記事),128kB Data Setよりも小さな容量帯ではi7-4770Kの高いスコアが目を引くが,L3キャッシュの範囲内だと,リングバスが2系統あるi7-4960Xとi7-3970Xが有利だ。また,2MBや4MB,8MBといったData Set時にi7-4960Xがi7-3970Xに対して5〜8%程度高いスコアを示しているあたりからは,i7-4960XにおけるL3キャッシュの速度向上という,グラフ3,4から見えた傾向も再確認できる。
 なお表5は,スコアの詳細だ。


 基本検証の最後はグラフ7の「Memory Bandwidth」で,ここではメインメモリに絞って帯域幅を見ることができるが,当然というか何というか,DDR3-1866に対応したi7-4970Xのスコアが抜きん出ている。スペック上,DDR3-1866はDDR3-1600比で帯域幅は約17%広がっていることを考えると,i7-4960Xとi7-3970Xのスコア差が13〜14%程度というのは,おおむね妥当なところだと述べていいだろう。
 なお,i7-4770Kのスコアが低いのは,メモリコントローラがデュアルチャネルアクセスに留まるためであり,異常ではない。



ゲームにおける性能はi7-4770Kが圧倒

i7-3970Xと比べると若干の上積みは確認できる


 以上の結果を踏まえつつ,4Gamerとして本命になる,ゲーム関連のテスト結果を見ていきたい。
 グラフ8は,「3DMark」(Version 1.1.0)の総合スコアをまとめたものだ。「Fire Strike」はそもそもグラフィックス描画負荷が高く,しかもCPU性能がスコアを左右しにくい計算式になっているので,おおむね予想どおりではあるのだが,3製品の間に大きなスコア差はない。あえていえば,Fire Strikeにおけるi7-4970Xのスコアは,i7-3960X比で約1%,i7-4770K比で約2%高いが,その程度である。


Intelが示している「i7-4960Xとi7-4770Kの性能差」。ゲームにおいては最大で36%,i7-4960Xのほうが高速とされる
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 そんな3DMarkの総合スコアから,「Bullet Physics」を用いたCPUベースの物理シミュレーションを行ったときの結果を抜き出したものがグラフ9となる。3DMarkの物理シミュレーションテストはマルチスレッド処理へ高度に最適化されていることもあり,6コア12スレッド対応のCPUが,4コア8スレッドのCPUを圧倒した。
 Intelは,ここでの結果をもって,「i7-4960Xはi7-4770Kより36%高速」と謳っているので,謳い文句どおりのスコアが出たわけだ。スライドを見る限り,ここでのスコア差が,i7-4960Xの叩き出せるベストなスコア差という理解でいいのだろう。

 ちなみにi7-3970Xに対するスコアは約106%。L3キャッシュ周りの改善が,動作クロック以上の効果を生んだのだと考えられる。


 続いてグラフ10は「Far Cry 3」のテスト結果だが,i7-4960Xのスコアはi7-3970X比でほとんど誤差レベルの微増に留まり,一方,対i7-4770Kでは大きく後れを取った。今日(こんにち)のゲームタイトルは,3DMarkのPhysicsテストほどにはマルチスレッドへの最適化が図られていないため,6コア12スレッド仕様のCPUだとむしろスコアを落とす傾向にあるのだが,それが見事にここで確認されたわけだ。


 「Crysis 3」のテスト結果も,GPUボトルネックによってスコアは丸まり気味であるものの,全体としてはFar Cry 3と似たものになった(グラフ11)。i7-4770Kをテストしたときにはi7-4770Kとi7-3970Xでほとんどスコア差がない結果となっていたが(関連記事),あのときは,用いたGPUが「GeForce GTX 680」だったため,GPUボトルネックよるスコアの頭打ちが生じていたのだということが,GeForce GTX TITANを用いた今回のテスト結果からはよく分かる。
 いずれにせよ,最新世代のゲームエンジンとして知られる「CryENGINE 3.0」であっても,6コア12スレッド対応のCPUは使い切れず,4コア8スレッド対応のCPUには,効率で及ばないというわけである。
 もっとも,1920×1080ドット時のスコアが並んでいることからすると,4xアンチエイリアシングと16x異方性フィルタリングを適用する「高負荷設定」を行った場合,CPUの性能差を感じることはできなくなると思われるが。


 グラフ12に示した「BioShock Infinite」の結果は,Far Cry 3とほとんど同じ,と述べていいだろう。i7-4960Xはi7-3970Xより若干高いスコアを示すが,i7-4770Kには届かない。


 本稿の序盤で述べたとおり,Ultra設定で実行したSkyrimの結果がグラフ13だ。ここでは「Skyrimのように,ハイエンド環境からすると描画負荷もCPU負荷も低すぎるタイトルを前にした場合,このクラスのCPUはどれを選んでも同じ」という結果にまとまっている。


 面白い結果になったのはグラフ14の「F1 2012」で,ここでは解像度が上がって描画負荷が高くなるにつれ,若干ながらi7-4960Xの優位性が出てくるのである。F1 2012の場合,キャッシュやメモリ周りの性能がスコアを左右することが分かっているので,i7-4960XにおけるL3キャッシュ周りの改善などが,こういう結果を生んでいるということなのだろう。


 新生FFXIV キャラ編のテスト結果は,Far Cry 3とCrysis 3の間をとったようなものになっている(グラフ15)。「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」は論理4コア程度に最適化されている気配なので(関連記事),6コア12スレッドのi7-4960Xやi7-3970Xのスコアが伸び悩むのも「さもありなん」といったところである。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
Ivy Bridge-E(開発コードネーム)

 ゲームから少し離れて,グラフ16はPCMark 8の総合スコアだが,i7-4960Xがi7-3970Xよりスコアが低いという,不思議な結果になった。
 表6でスコアの詳細を見てみると,「Video encoding」と「Casual gaming」でi7-3970Xに差を付けられてしまっているのだが,正直,ここまでのテスト結果から,こういうスコアを推測するのは難しいところだ。PCMark 8がIvy Bridge-Eに完全対応するのを待つ必要があるのかもしれない。



消費電力のテスト結果からすると

22nm化の恩恵はあまり受けられていない


 LGA2011派のユーザーとして最も気になる要素の1つであろう,22nmプロセス技術の採用による消費電力の低減がどの程度なのかをチェックしてみよう。いつもどおり,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみることにした。
 テストにあたっては,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,システムに負荷をかけ続けるストレスツールの「OCCT」で,CPUに100%の負荷を30分間かけ続けた時点を「OCCT時」,そして,3DMarkのPhysics testを30分間実行し続けた時点を「3DMark時」としている。

 その結果がグラフ17で,i7-4960Xは,アイドル時にi7-3970Xより5W低く,逆に高負荷時は10W高いというスコアになった。一方,3DMark時とOCCT時はいずれもi7-4970Xがi7-3970Xよりも高い消費電力値を示した。「こういう理由だからi7-4970Xのほうが消費電力が高い」とまではいえないうえ,違いもそう大きくないため,個体差の可能性は捨てきれないが,少なくとも,Ivy Bridge-Eコアのi7-4970Xで,Sandy Bridge-Eから大幅に消費電力が下がったとは言えそうにない。


 アイドル時とOCCT時,3DMark時で,CPUの温度を比較したものがグラフ18だ。
 テスト時の温度は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態で机の上に置いてある。i7-4960Xとi7-3970Xの冷却にはIntel純正の空冷クーラー「RTS2011AC」を,i7-4770Kの冷却にはリテールボックス付属のものをそれぞれ用い,CPU温度はモニタリングツール「HWMonitor Pro」(Version 1.17)から取得した。

 i7-4770Kとはテスト環境もCPUクーラーも異なるので,横並びでは比較できないが,i7-4960Xとi7-3970Xを比較すると,アイドル時のCPU温度はi7-4960Xのほうが低めになった。一方,高負荷時にはCPUクーラーの回転数が自動制御されることもあって,OCCT時や3DMark時のCPU温度にこれといった違いはない。



ゲーム用ハイエンドCPUとしてのi7-4960Xは微妙

既存LGA2011環境からのアップグレードならアリ


Ivy Bridge-E(開発コードネーム)
 以上,i7-4960Xは,i7-3970Xから確実に進歩しているものの,性能の圧倒的な向上までは期待できない。しかも,1000個ロット時の単価が990ドルであるにも関わらず,ゲーム用途だと2013年9月3日時点の実勢価格が3万3000〜3万7000円程度となるi7-4770Kに歯が立たないわけで,一世代古いマイクロアーキテクチャのCPUをゲーマーが積極的に選ぶ理由は見当たらないというのが正直なところだ。

 ただし,Sandy Bridge-Eプラットフォームが出始めたころに,LGA2011パッケージの比較的安価なCPU,それこそ4コア8スレッド対応の「Core i7-3820」あたりを搭載したゲームPCを手に入れていた人のアップグレードパスとして,Ivy Bridge-Eには相応の価値があるともいえるだろう。
 i7-4960Xを検証しておいて何だが,実際には,555ドルで6コア12スレッド化を狙えるCore i7-4930Kや,310ドルでUnlocked版となるCore i7-4820Kのほうが,選択肢として,より有力かもしれない。

Core i7 Extreme Edition製品情報ページ

ark.intel.com(Intel製品一覧ページ,英語)

  • 関連タイトル:

    Ivy Bridge-E(開発コードネーム)

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