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GTX 1060 6GB+Kaby Lake-H搭載のMSI製ゲーマー向けノートPC「GS63VR 7RF Stealth Pro」をテスト
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印刷2017/01/06 14:00

レビュー

GTX 1060 6GB+Kaby Lake-H搭載の新しいGS63VRを実力検証

MSI GS63VR 7RF Stealth Pro
(GS63VR-7RF-002JP)


GS63VR 7RF Stealth Pro(型番:GS63VR-7RF-002JP)
メーカー:MSI
問い合わせ先:supportjp@msi.com
パソコンショップ アークにおけるBTO標準構成価格:23万9800円(※2017年1月6日14:00現在)
画像集 No.002のサムネイル画像 / GTX 1060 6GB+Kaby Lake-H搭載のMSI製ゲーマー向けノートPC「GS63VR 7RF Stealth Pro」をテスト
 日本時間2017年1月6日,MSIの日本法人であるエムエスアイコンピュータージャパンは,「Kaby Lake-H」(ケイビーレイクH)という開発コードネームで知られてきた4コア版Core i7-7000番台を採用するゲーマー向けノートPCの国内発売を発表した。
 現在同社は発表会を開催中なので,具体的なラインナップは追ってお伝えしたいと思うが,4Gamerでは,ノートPC向け「GeForce GTX 1060 6GB」と,4コア8スレッド対応の「Core i7-7700HQ」を,折りたたみ時に実測18.6〜18.8mm程度という厚みの筐体に搭載する新モデル「GS63VR 7RF Stealth Pro」(型番:GS63VR-7RF-002JP,以下 GS63VR 7RF)に触れる機会を得た。というわけで,さっそく,注目の新モデルが持つ実力に迫りたい。

 なお,先にお伝えしておくと,入手したGS63VR 7RFのスペックは以下のとおりだ。ストレージ周りはロットによって異なることもあると思われるので,そこは参考程度と思って確認してもらえれば幸いだ。

●入手したGS63VR 7RFの主なスペック
  • CPU:Core i7-7700HQ(4C8T,定格クロック2.8GHz,最大クロック3.8GHz,共有L3キャッシュ容量6MB)
  • チップセット:未公開(※デバイスマネージャを見る限りIntel HM100シリーズ搭載)
  • メインメモリ:PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2
  • GPU:HD Graphics 630+GeForce GTX 1060 6GB(グラフィックスメモリ容量6GB,Optimus)
  • ストレージ1:Samsung Electronics MZVPV256(NVM Express対応,M.2,容量256GB)
  • ストレージ2:HGST Travelstar Z5K1000(HTS541010A7E630,Serial ATA 6Gbps,容量1TB)
  • パネル:15.6インチ,解像度1920×1080ドット,ノングレア(非光沢)IPS,sRGBカバー率100%
  • 無線LAN:Rivet Networks Killer Wireless-AC 1535(IEEE 802.11ac)+Bluetooth 4.1
  • 有線LAN:Rivet Networks Killer E2500(1000BASE-T)
  • 外部インタフェース:Mini DisplayPort×1(※バージョン未公開),HDMI 2.0b(Type A)×1,Thunderbolt 3(USB Type-C)×1,USB 3.0(Type-A)×1,USB 2.0(Type-A)×1,SDXCカードリーダー×1,1000BASE-T(RJ45)×1,ヘッドフォン出力兼S/PDIF出力(3極3.5mmミニピン)×1,マイク入力(3極3.5mmミニピン)×1
  • カメラ:207万画素(インカメラ,1080/30p対応)
  • スピーカー:内蔵2ch
  • バッテリー:5700mAh,64.98Wh
  • ACアダプター:定格180W
  • 公称本体サイズ:380(W)×249(D)×17.7(H)mm(※折りたたみ時。突起部除く)
  • 公称本体重量:約1.89kg
  • 保証期間:2年(※修理対応は製品発売から起算し3年間)

 本稿では,ベンチマークパートを宮崎真一氏が,外観および使い勝手のインプレッションを4Gamerの佐々山薫郁が担当します。


CPU以外がほぼ同じ構成のGS63VR 6RFと比較。Skylakeからの性能向上を見る


製品ボックスのビニール製カバー部で,第7世代Coreプロセッサ(=Kaby Lake)搭載を謳っている
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 とにもかくにも,GS63VR 7RFにおける最大の特徴は,CPUにCore i7-7700HQ(以下,i7-7700HQ)を採用した点だ。それだけに,Kaby Lake-H採用のゲーマー向けノートPCが,ゲームでどの程度の性能を発揮するのかは気になるところではないだろうか。そこで,今回はまずテスト結果から見ていこう。

 比較対象に用意したのは,MSIの「GS63VR 6RF Stealth Pro」(型番:GS63VR 6RF-003JP,以下 GS63VR 6RF)。このGS63VR 6RFは,CPUに「Core i7-6600HQ」(以下,i7-6700HQ)を搭載したモデルで,性能に影響を与えそうなスペックで比較した表1を見てもらうと分かるとおり,2モデルの違いはCPUとストレージ構成,有線LANコントローラだけだ。なので,両製品を比較すれば,i7-7700HQと,同CPUを搭載した新型GS63VRの実力が見えてくるだろう,というわけである。
 なお,表にあるとおり,テストに用いるグラフィックスドライバは,テスト開始時の最新バージョンとなる「GeForce 376.33 Driver」で揃えた。

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 テスト方法は,4Gamerのベンチマークレギュレーション19.0準拠。ただし,時間的都合により「ARK: Survival Evolved」と「Fallout 4」のテストを省略している。「3DMark」(Version 2.2.3509)を除き,解像度はGS63VR 7RFのパネル解像度である1920×1080ドットと,アスペクト比16:9でその“1つ下”となる1600×900ドットを選択したこともお断りしておきたい。

内蔵バッテリーは5700mAh,64.98Whという仕様だった
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 あと,テストに先立って,GS63VR 7RFの内部構造も簡単に確認しておきたい。毎度お馴染みだが,MSI製ノートPCはシールで底面カバーが封されており,それを剥がした時点で保証が切れるという,残念な仕様になっている。それをお断りしつつ,今回はレビューのため特別に底面カバーを外してみるが,すると,手前に5700mAh,64.98Whというスペックのバッテリーパックを搭載する点,そして,底面吸気しつつ,GPU用の冷却ファンが2基,CPU用の冷却ファンが1基という構成になっていることが分かる。
 実際は後段で検証するが,薄型ノートPCながら,冷却には相当な配慮があるという理解でよさそうだ。

底面パネルを開けたところ。保証が切れるリスクを冒しても,簡単にアクセスできるのは2.5インチストレージだけなので,保証期間内は下手に触らないほうが幸せに過ごせそうだ
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GPU用クーラーは2基,CPU用クーラーは1基のファンを搭載。排気は本体奥側と側面に向かって行う仕様である
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CPU性能は従来製品比で最大10%以上プラス。ただしゲームで体感できるかは別の話


 では,テスト結果を順に見ていこう。
 グラフ1は3DMarkの「Fire Strike Extreme」「Fire Strike」における総合スコアをまとめたものだ。より負荷が低く,CPU性能がスコアを左右しやすくなるFire StrikeでGS63VR 7RFはGS63VR 6RFに対して約2%高いスコアを示しているが,

  • i7-7700HQ:定格クロック2.8GHz,最大クロック3.8GHz
  • i7-6700HQ:定格クロック2.6GHz,最大クロック3.5GHz

と,定格クロックで約8%,最大クロックで約9%高いi7-7700HQを搭載するメリットが感じられるかというと,答えはノーと言わざるを得ない。

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 ただ,Fire Strikeで約2%高いスコア差が出ている以上,CPU性能に違いがあるのは確かだ。そこでソフトウェア処理ベースの物理シミュレーションテスト結果で,事実上のCPUベンチマークとなる「Physics test」の数字をグラフ2で示してみると,GS63VR 7RFはGS63VR 6RFに対して10〜14%程度高いスコアを叩き出している。スペック上のクロック差以上にスコアが開いている理由は後ほど考えたい。

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 グラフ3は3DMarkにおける「Time Spy」の総合スコアだが,GPUを徹底活用するDirectX 12ベースのテストだけあって,GPUが変わらない両者のスコアはキレイな横並びとなった。
 Time SpyにおけるCPU性能を見る「CPU score」だと,最大クロック差と同じだけ,GS63VR 7RFがGS63VR 6RFより約9%高いスコアを示している。

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 では,実際のゲームアプリケーションではどうか。グラフ5,6は「Far Cry Primal」のテスト結果だ。Far Cry Primalでは,最も描画負荷の低いノーマル設定の1600×900ドットでGS63VR 7RFがGS63VR 6RFに約10%の差を付けているが,グラフィックス描画負荷が高くなると,違いは1〜4%程度に留まる。

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 グラフ7,8は「DOOM」の結果となる。低レベルAPIであるVulkanベースらしく,DirectX 12と同様,CPUの性能差はスコアに表れ難くなっており,GS63VR 7RFとGS63VR 6RF間にあるギャップは0〜5%程度に留まった。GS63VR 7RFのユーザーが最も選ぶことになるだろう,「ウルトラ」プリセットの解像度1920×1080ドット条件で,GS63VR 7RFとGS63VR 6RFのスコアが横並びというのは示唆的だ。

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 一方,グラフ9,10の「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)は,「有意なスコア差はついているのだが……」という結果になった。「標準品質(デスクトップPC)」でGS63VR 7RFはGS63VR 6RFに対して13〜14%程度という,目に見える違いを見せているのだが,「最高品質」の解像度1920×1080ドットで総合スコアで1万を超える環境だと,多くのユーザーは「最高品質」を選ぶはずで,その場合のスコア差は約2%だ。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
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 DirectX 12ベースのタイトルである「Forza Horizon 3」のスコアをまとめたものがグラフ11,12で,「ULTRA」プリセットにおける両者のスコア差は約1%。DOOMと同様,CPUアップグレードの効果は限定的である。

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 ……と,ここまで,「GPU負荷が高まるにつれて,Kaby Lake-Hを搭載するメリットは相対的に失われていく」結果が出続けてきたが,では逆の条件ではどうなるだろうか。システム総合ベンチマーク「PCMark 8」(Version 2.7.613)で,システム全体の性能を確認しておこう。
 今回は一般ユーザーの家庭内利用を想定した「Home」と,ビジネスアプリケーションを中心とした「Work」,ビデオや画像の編集系が中心となる「Creative」という,3つのワークロードを実行してみることにした。その結果がグラフ13で,端的に述べて,GS63VR 7RFのスコアは非常に景気がいい。GS63VR 6RFに対してHomeで約26%,Creativeで約32%高いというのはインパクト大と言えるだろう。

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 ただ不思議なのは,なぜi7-7700HQはクロック差以上のスコアをi7-6700HQに対して示せるのか,という部分だ。2017年1月4日掲載の「Kaby Lake-S」基礎検証レポートに目を通してくれた読者はもう答えが分かっていると思うが,次の段落でその理由を探りたい。


Kaby Lake-Hで消費電力の低下を確認。動作音は密閉型ヘッドフォンならまったく気にならないレベル


採用するACアダプターは定格180Wのもので,実のところそのスペックは,GS63VR 7RFとGS63VR 6RFで同じ。ただ,どういうわけか入手したGS63VR 7RFのACアダプターには「キヤノンマーケティングジャパン」という文字がプリントされていた。右は付属品一式で,右に見えるとおり,なぜかMini DisplayPort→アナログRGB変換アダプターが付属していた
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 Kaby Lake世代のプロセッサはSkylake世代と同じく14nmプロセス技術を用いて製造されているが,Kaby Lakeではそこに改善が入っているという。なので,多少なりとも消費電力の低減が期待されるが,果たして実際はどうなのだろうか。そこで,ログの取得が可能な「Watts up? PRO」を用いてシステム全体の消費電力を測定してみることにしよう。

 テストにあたっては,ゲーム用途を想定し,無操作時にもディスプレイの電源がオフにならないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。バッテリーパックを基本的には取り外せない仕様のノートPCなので,スコアは参考値となるが,いずれも満充電の状態であれば,相応に意味のある結果にはなると考えている。

 果たして結果はグラフ14のとおりで,一部の例外を除き,全体としてGS63VR 7RFのほうがGS63VR 6RFより低めの傾向を示した。

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 さらに,CPUとGPUの温度を取得し,GS63VR 7RFの冷却性能が十分足りているか確認しておきたい。ここでは3DMarkの30分間連続実行時点を「高負荷時」とし,アイドル時ともども「Dragon Center」から温度を取得することにした。テスト時の室温は約24℃で固定し,机上にノートPCを置いて計測を行っている。
 その結果はグラフ15,16のとおり。GPU温度がN/Aなのは,「Optimus」により,アイドル時はCPU側のグラフィックスが使われ,GPUが無効になるためだが,高負荷時に注目すると,CPU,GPUとも,GS63VR 7RFのほうがGS63VR 6RFより低いというスコアになった。CPUの消費電力が低くなったことで冷却系全体に余裕が生まれ,GPUの温度が低くなり,逆にブーストクロックに入る確率は大きくなる。
 結果として3Dベンチマークの低負荷状況において,CPUのクロック差を超えたスコア差が出たということなのだろう。

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 最後に,気になるGS63VR 7RFの動作音もチェックしておきたい。今回は,カメラをGS63VR 7RFと正対する形で30cm離した地点に置き,アイドル状態で1分間放置した状態から,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを最高品質の1920×1080ドットで4分間実行するという,合計約5分間をビデオに収めた。
 テスト開始後の1分間はアイドル状態で,ファンの動作音も小さくあまり気にならないレベルだ。60秒後にFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを実行すると,次第にファンの回転数が増大していき,ベンチマーク実行から3分後(動画冒頭から4分後)には,動作音はかなり大きくなっている。お世辞にも静かとは言えないが,密閉型ヘッドフォンを使えば問題ないレベルとは言ってもいいように思う。そしてこのことは,GS63VR 7RFの使い勝手を語るうえで重要な意味を持っているのだが,その点は続く段落で語ることになる。



薄型化実現のために失ったものがあるGS63VR 7RF。ヘッドフォン出力と液晶パネルは良好


 順番が前後したが,GS63VR 7RFというノートPCそのものについてもチェックしていきたい。
 前段でも軽く触れたが,GS63VR 7RFは,GS63VR 6RFのマイナーチェンジモデルである。見比べた限り,外観上の違いは,天板部にある「G Series」のロゴのみ。Windowsからデバイスマネージャを見る限り,搭載するチップセットは新しい「Intel HM175」のようだが,基本的にはCPUを載せ替えただけという理解で構わないだろう。

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天板を比較したカット。ロゴが膨らんでいるのが新型だ
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デバイスマネージャを見ると,チップセットはIntel HM100シリーズなのが分かる

ゲーマー向けノートPCとしては極めて珍しいことに,GS63VR 7RFは液晶パネルを180度開ける
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 とはいえひととおり外観をチェックしておくと,冒頭でも触れたとおり,その最大の特徴は,折り畳んだときの厚みが実測で実測18.6〜18.8mm程度という薄型筐体を採用しているところだ。底面吸気のため,相応の厚みを持つゴム足が付いていることもあり,机上からの高さは同21.6〜22.0mm程度となるが,それでも十分にスリムと述べて差し支えない。これだけでグッとくる人もいると思う。

本体前面(上)および背面(下)から見たところ。これだけ薄い
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本体底面から新鮮な空気を吸気するため,相応に背の高いゴム足を搭載している
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 ただ,実際にGS63VR 7RFを使ってみると,「薄くすることを重視しすぎて失ったもの」の存在も見えてくる。

ACアダプターのケーブルを熱風にさらさないようにすると,おおむねこんな感じの配線になってしまう。電源ボタンが本体右手前にあるので,それを押すときにもケーブルは邪魔になった
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 なかでもおそらく多くの読者にとってマイナスポイントとなるのが,左右両側面に並んだ各種インタフェースだ。とくによろしくないのが,本体向かって右側面のACアダプター接続端子で,中途半端に中央寄りとなっているため,取り回しに難儀するのである。

 奥側にある排気孔を塞ぎたくないと思ったとたんに,電源ケーブルが本体右側の端子を塞いでしまう。また,そのすぐ隣にビデオ出力端子もあるため,外部ディスプレイを併用したマルチディスプレイ構成にしようと思うと,右利きの人がマウスを置くスペースはどんどん浸食されていく。

本体両側面のインタフェース。本体前面向かって左は奥から1000BASE-T LAN(RJ45)にSDXCカードスロット,3連のUSB 3.0 Type-A,そしてヘッドフォン出力およびマイク入力という並びだ(上)。右は奥からACアダプター用,Mini DisplayPort,HDMI Type A,Thunderbolt 3(USB Type-C),USB 2.0 Type-Aという並びになっている(下)
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底板を外した状態。左右でスピーカーの配置が異なる点に注目してほしい。写真で左に見えるスピーカーが本体側面寄りにあり,これが定位ズレの原因になっている
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 また,個人的に致命的だと思ったのは,2chステレオなのに定位がおかしい内蔵スピーカーである。最初は自分の耳がおかしくなったのかと思ったほどだが,結論から言うと,本体底面側にあるスピーカーの配置が左右で異なり,右耳に近いほうのスピーカーが物理的に遠く,これが理由で音が左に寄ってしまっているのだ。

 ただ,不幸中の幸いとしては,GS63VR 7RFの内蔵スピーカーが,定位のおかしさを語る以前の問題として音が悪く,一方でヘッドフォン出力段には音質に定評のあるESS Technology製D/Aコンバータ「SABRE HiFi」を組み込んでおり,こちらの音質が確かに良好なことを挙げられる。普通に考えたら,ユーザーはスピーカーではなくヘッドフォン出力を使うので,スピーカーのダメさが問題になることはまずないだろう,といったところか。
 MSIがそう言っているわけではないものの,ひょっとすると同社は薄型化を実現するためにハナからスピーカー出力を“捨て”て,ゲームなどのサウンド出力には良質なヘッドフォン出力を使ってほしいと考えているのかもしれない。

 音周りということで続けると,最近のMSI製ゲーマー向けノートPCの常として,サウンドプロセッサスイートとしては「Nahimic Audio Software」を採用している。ヘッドフォンやヘッドセットと組み合わせると,デフォルトでは効きすぎなほど,各種効果を体験できるので,ゲームや音楽,ビデオでいろいろ,できれば気持ち弱めに適用してみるといいだろう。

Nahimic Audio Softwareからは,ヘッドフォン出力およびマイク入力時に各種効果を適用できる。デフォルト設定だと効果が強すぎるので,少し弱めると,いずれも快適に利用できるだろう。ただし,スピーカー出力時はそもそも音質がアレなので,効果も大して期待できない
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キーボード全体。10キー付きの日本語配列である
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 キーボードは伝統のSteelSeries製で,十分なキーストロークのある,しっかりした打鍵感が特徴だ。キーボードは薄型筐体化による妥協の影響を受けていない印象がある。
 Microsoftが公開しているWebアプリケーション「Keyboard Ghosting Demonstration」で確認したところ,最小で5キーの同時押しに対応できることを確認できた。いわゆる音ゲーには足りないものの,左手で操作できるキーの数はカバーできているので,「キーボード+マウス」で操作するタイトルなら不安はないだろう。今回筆者(佐々山薫郁)は「World of Warships」と「Overwatch」で試したが,違和感なく操作できた。

同時押しは5キーまで対応だった。この状況で[Print Screen]キーは押せるのだが,[W]キーは入力が反映されない
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キーボード関連というか,近くにあるのでタッチパッドも紹介しておくが,ボタンが独立しておらず,単体では使いにくい。まあ,ゲーマーはマウスを使うから問題ないということなのだろう
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 ただし,これも伝統だが,英語配列のキーボードに対応したトップサーフェスを使い回して,そこに無理矢理日本語配列を押し込んでいるため,合計5か所でキーとキーが密接しており,非常にミスタイプしやすい。本稿の執筆にはGS63VR 7RFを利用しているのだが,「ATOK」で[無変換]キーを多用する筆者の場合,何度もトラブルに見舞われた。しかも,ミスタイプして[Back Space]キーを押そうとしてさらにミスタイプするという負の連鎖も生じてしまう。
 いい加減,安価でもないノートPCでこの配列は何とかしてほしいところである。

キーの間に隙間がないのは,[Space]キーの左右に加え,[¥]キーと[Back Space]キー,[Enter]キーと[ ]]キー,右[Shift]キーと[\]キー(右)の5か所。つらい
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Dragon Centerの「LEDウィザード」から,3ブロックに分かれたLEDバックライトの色を個別に指定できる
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 ここまでの写真でも想像できるとおり,キーボードはLEDバックライトを搭載している。プリインストールの統合ソフトウェア兼ランチャー「Dragon Center」か,これまたプリインストールの「SteelSeries Engine 3」を使えば,3ブロックに分かれたLEDバックライトの色は個別に設定可能だ。RGBの三原色以外だと色ムラが気になるケースが多く,この点は減点材料だが,自由に調整できることを歓迎する人も多いだろう。

3ブロックで色を揃えながら,色を変えてみたところ。上段左から青,水,緑,黄,下段左から紫,赤,白だが,青緑赤の三原色以外はやや色ムラが目立つ
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 気になる液晶パネルは,「True Color」技術の採用によりsRGBカバー率100%を達成したとされ,確かに破綻は少ない印象だ。ゲーマー向けの高速液晶ディスプレイに慣れた人だと,動きの激しいゲームシーンで「遅さ」を感じることはあるかもしれないものの,大多数の人にとって,GS63VR 7RFの画面は,不満を覚えるものではないだろう。ノートPC向けGTX 1060 6GBの性能を踏まえるに,1920×1080ドットというパネル解像度も,バランスが取れている印象だ。

液晶パネルの発色は良好。ノングレア(非光沢)加工されていることもあり,斜めから見ると若干の変色があるように感じられるものの,視認性は十分に確保できている
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 そのほか気になったところは,画像とキャプションで以下のとおりまとめておきたい。

Dragon Centerの「システムモニター」は情報がまとまっているだけ,「システムチューナー」は各種機能の代表的なものを選べるだけと言ってしまえばそれまでだが,使ってみると,どちらもけっこう便利だった。とくに後者は,設定内容の確認を一括で行えるという点で意味があると思う
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デフォルトだと,Dragon Centerからは直接呼び出せない「SteelSeries Engine 3」。マクロなど,キーの機能カスタマイズはここから行うのだが,画面上のキーボードレイアウトが英語配列となっており,一部,実態と齟齬がある
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CPU性能向上の恩恵はゲーム用途で限定的。また,明らかなマイナスポイントもあるが,総合ではまずまず


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 GS63VR 7RFで,GS63VR 6RFから劇的な性能向上はない。ゲーム用途における性能向上は限定的だ。ただし,消費電力の低減,そして発熱の低減がもたらすブースト効果の向上があるのは確かで,この点は新世代CPUを搭載するメリットと言い切ることができるだろう。

 ノートPC全体としては,とにかく内蔵スピーカーの定位がおかしく,しかも音質もよろしくないのが大きなマイナスポイントであり,薄型化のために失ったものは決して少なくない印象がある。ただ,密閉型ヘッドフォンやヘッドセットの利用を前提とするなら問題にはならず,むしろ,このスリムさを「持ち運べるゲーマー向けノートPC」として見れば,よく頑張っているとも言える。

 明らかな欠点が気にならない,もしくはカバーできると判断できるなら,GS63VR 7RFは選択肢としてアリだろう。

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GS63VR-7RF-002JPをパソコンショップ アークで購入する

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