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ATI Radeon HD 5800公式サイトへ
  • AMD
  • 発表日:2009/09/23
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印刷2009/09/23 13:01

レビュー

世界初のDirectX 11カードは「速い」だけに留まらない

ATI Radeon HD 5870リファレンスカード

Text by 宮崎真一

»  DirectX 11時代の幕開けを告げたのは“赤いほう”だった。Windows 7&DirectX 11のリリースを控え,ついに登場した世界初のDirectX 11対応グラフィックスカードのレビューを,さっそくお伝えしたい。シングルGPU世界最速の座を大差で奪還し,プラスアルファもあるという衝撃の完成度にご注目あれ。


開発コードネーム「Cypress」(サイプレス)こと,ATI Radeon HD 5870リファレンスカード
ATI Radeon HD 5800
 日本時間2009年9月23日13:01,AMDは世界初のDirectX 11対応GPUシリーズ,「ATI Radeon HD 5800」を発表した。同社は,その性能に自信を見せているが,果たして実際のところはどうなのか。とくに,DirectX 11対応タイトルがリリースされていない現時点では,必然的にDirectX 9&10用カードとして利用されることになるが,これら“前世代”のゲームタイトルを前にしたとき,ATI Radeon HD 5800はゲーマーの信頼に足る存在となるだろうか。
 今回4Gamerでは,AMDの日本法人である日本AMDから,発表時点のシリーズ最上位モデル,「ATI Radeon HD 5870」(以下,HD 5870)リファレンスカードを入手したので,さっそく,その正体に迫ってみることにしたい。製品概要や,DirectX対応タイトルについては,別記事を併せて参照してもらえれば幸いだ。

[製品概要]AMD,世界初のDX11 GPU「ATI Radeon HD 5800」を発表。HD 4800の大幅な進化形
[DirectX 11アップデート]DirectX 11が加速するゲームの進化〜AMD,新世代DirectXのポイントとメリットを解説


大型のGPUクーラーで覆われたHD 5870

カードはGTX 295&285よりやや長い


ATI Radeon HD 5800
 ATI Radeon HD 5800シリーズについては,どうしても「世界初のDirectX 11対応GPU」と紹介せざるを得ないが,3D性能という観点から注目すべきポイントは,シェーダプロセッサ数が「ATI Radeon HD 4870」(以下,HD 4870)や「ATI Radeon HD 4890」(以下,HD 4890)比で2倍の1600基に拡張されたことと,それに合わせて,レンダーバックエンド(Render Back-End。ROPともいう)が32基へと,こちらも従来比で倍増している点だ。また,256bit接続のGDDR5メモリは実クロック1.2GHz動作で,メモリバス帯域幅も,HD 4870の115GB/sからHD 5870では154GB/sへと,33%拡張している。
 このほか,HD 5870のスペックを既存のハイエンドGPUと比較したものを表1にまとめたが,HD 5870は,非常にバランスのいいGPUだったATI Radeon HD 4800シリーズをベースに,そのバランスを維持したまま,スペックを大幅に引き上げた――そんな印象である。


基本的に外排気仕様のGPUクーラーは,見栄えのためか,冷却面の意図があるのか,本体後方に穴が二つ設けられている。このデザインにより,カードは従来製品と比べてやや長くなった
ATI Radeon HD 5800
 カードを概観してみると,まず,そのサイズと,カード全体を覆う,2スロット仕様のGPUクーラーが目を引く。公式のカード長は10.5インチ(約266.7mm)で,同9.5インチ(約241mm)のHD 4870&4890と比べると長くなっているが,「GeForce GTX 285」(以下,GTX 285)や「GeForce GTX 295」(以下,GTX 295)とは同じだ。ただ,GPUクーラーが張り出しているため,実際のところ,実測で281mm(※突起部含まず)になってしまっていることは,少々注意が必要である。
 もっとも,二つ用意された6ピンの外部給電コネクタは,マザーボードに対して垂直方向に取り付けられているので,GeForce GTX 285/295カードを余裕で搭載できるPCケースなら,それほど気にする必要はないかもしれないが。

左は9.5インチ(約241mm)長のリファレンスデザインを採用したFORCE3D製のHD 4890搭載カード「Force3D HD 4890 GDDR5」,右はASUSTeK Computer製のGTX 285搭載カード「ENGTX285 TOP/HTDP/1GD3」と,HD 5870リファレンスカードをそれぞれ比較したところ。HD 4890と比べて明らかに長いのはいいとして,GTX 285カードと比べても,クーラーの分だけHD 5870のほうが若干長い
ATI Radeon HD 5800 ATI Radeon HD 5800

 カード背面には,自重による基板の歪みを防ぐためと思われる補強板が装着されている。これを外し,さらにGPUクーラーも取り外すとカード全体が姿を見せるが,基板で目を引くのは,デジタルPWM仕様の電源部が,基板全体の3分の1を占めるところか。

ATI Radeon HD 5800
カード背面には補強板が取り付けられている
ATI Radeon HD 5800
その補強板を取り外したところ
ATI Radeon HD 5800
さらにGPUクーラーを取り外すと,カードが姿を見せる

ATI Radeon HD 5800
クーラーの内部を覗き込むと,ヒートパイプが4本取り付けられていた
ATI Radeon HD 5800
カード全体。写真の右側3分の1がデジタルPWM仕様の電源部になっている
ATI Radeon HD 5800 ATI Radeon HD 5800
電源周りはVolterra製のPWMコントローラ「VT1165MF」×2で制御しているようだ

GPU-Z実行結果。データの多くは正しく読み取れていないが,動作クロックがリファレンスどおりであることは確認できる(※サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
ATI Radeon HD 5800
 GPUを囲む8枚のGDDR5メモリチップは,Samsung Electronics製の「K4G10325FE-HC04」(0.4ns品)を搭載。メモリチップの仕様上は,実クロックで50MHz分のマージンが設けられていることになる。なお,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.3.4)で確認したところ,コアクロックは850MHz,メモリクロックは4.8GHz相当(実クロック1200MHz)で,当たり前だが,リファレンスどおりだった。

ATI Radeon HD 5800
HD 5870 GPU。ダイサイズは実測で18.6×18.8mmだったが,AMD公式には334mm2なので,実際にはもう少し小さいはずだ
ATI Radeon HD 5800
メモリチップはSamsung Electronics製のGDDR5品。1Gbitチップ8枚で,グラフィックスメモリ容量1GBを実現している

ATI Catalyst Control Centerでアイドル時のクロックを見たところ(※サムネイルをクリックすると,別ウインドウで全体を表示します)
ATI Radeon HD 5800
 「ATI Catalyst Control Center」を使って,アイドル時のクロックを見てみると,コアは157MHz,メモリは600MHz相当(実クロック300MHz)となっていた。ATI Radeon HD 5800シリーズでは,省電力機能「ATI PowerPlay」の進化により,メモリクロックや動作電圧を,負荷状況に応じて動的に切り替えることが可能で,アイドル時の消費電力は27Wにまで落ちるとされているが,その要因の一つは,この,非常に低い動作クロックにあると見て間違いなさそうだ。


HD 5870評価用ドライバで

従来製品やGTX 285&295と比較


 今回のテスト環境は表2のとおり。比較対象には,ここまでにその名を挙げたHD 4870&4890,GTX 285&295と,もう一つ,「ATI Radeon HD 4890 X2」デュアルGPUソリューションも用意している。また,CPUボトルネックの発生を極力防ぐよう,システムは「Core i7-975 Extreme Edition/3.33GHz」ベースとし,GPUによって「Intel Turbo Boost Technology」の影響が異なるのを避けるため,同機能を無効化している。


Rampage II Extreme
X58搭載のゲーマー&OCer向けマザー
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
実勢価格:3万6000〜4万3000円(※2009年9月23日現在)
ATI Radeon HD 5800
 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション8.1準拠。ただし,HD 5870の性能がウルトラハイエンドクラスであることは容易に想像がつくため,今回はテスト解像度を1680×1050/1920×1200/2560×1600ドットの3パターンに絞っている。
 表2について補足しておくと,ATI Radeon系のテストに用いたグラフィックスドライバ「8.66-090910a-088431E」は,HD 5870用として,AMDから全世界のレビュワーに配布されたもの。「ATI Catalyst 9.9」の「Display Driver」はバージョン8.65だったので,これを拡張したものだろう。
 一方,GeForce系はテスト時点の公式最新版を用いているが,GTX 295で「バイオハザード5」のテストを行う必要があるため,追加で「SLI Profile Update 2」を適用している。ただし,「SLI Profile Update 2に指定されている実行ファイル名と,『BIOHAZARD 5 Benchmark Version』では,実行ファイル名が異なっている」という問題があり,ただパッチを当てただけだと,NVIDIA SLI(以下,SLI)は有効化できなかった。そこで今回は,SLI Profile Update 2を適用したうえで,BIOHAZARD 5 Benchmark Versionの実行ファイルを「BH5DX10.exe」から「BHDX10.exe」へ変更しているので,この点はお断りしておきたい。

ATI Radeon HD 5800
EAH4870X2/HTDI/2G
HD 4000シリーズ最上位モデル
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
販売終了(※2009年9月23日現在)
ATI Radeon HD 5800
GV-R487D5-1GD
メモリ1GB&Zalmanクーラー搭載のHD 4870
メーカー:GIGABYTE TECHNOLOGY
問い合わせ先:リンクスインターナショナル(販売代理店)
1万8500〜2万4000円(※2009年9月23日現在)
ATI Radeon HD 5800
ENGTX295/2DI/1792MD3
“2階建て”仕様のデュアルGPUカード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
5万3000〜5万8000円(※2009年9月23日現在)
ATI Radeon HD 5800
ELSA GLADIAC GTX 285 V2 1GB
リファレンス仕様のGTX 285搭載製品
メーカー:エルザジャパン
問い合わせ先:エルザジャパン サポートセンター TEL 03-5765-7615
実勢価格:3万9000〜4万8000円(※2009年9月23日現在)


HD 4870 X2を凌駕し,GTX 295に迫るHD 5870

シングルGPUでは世界最速の座を奪還


グラフィックス出力インタフェースは,DVI-I×2,DisplayPort×1,HDMI×1。今回のテストにはDVI-IによるデジタルRGBを用いた
ATI Radeon HD 5800
 テスト結果の考察に入ろう。グラフ1,2は,「3DMark06」(Build 1.1.0)のスコアをまとめたものである。HD 5870は,GTX 295にこそ一歩及ばないが,すべてのテスト条件でHD 4870 X2を上回る結果を残している点は立派である。GTX 285やHD 4890を子供扱いしている点も見事だ。現時点における,シングルGPUのポテンシャルという観点において,HD 5870が世界最高であることに疑いの余地はない。
 なお,パーセンテージで見てみると,HD 5870のスコアは,対GTX 285で15〜32%,対HD 4890で20〜47%,対HD 4870では29〜62%,それぞれスコアが高い計算になる。


 GPUの特性をもう少し細かく見るべく,3DMark06における「Feature Test」の結果をチェックしてみたい。グラフ3〜5は順にFill Rate(フィルレート),Pixel Shader(ピクセルシェーダ),Vertex Shader(頂点シェーダ)だが,まず,DirectX 9以降のゲームタイトルにおける性能を決める,最も大きな要因となるピクセルシェーダのスコアが,GTX 295に迫るものである点に注目したい。AMDは,ATI Radeon HD 4800シリーズ以降,ピクセルシェーダ性能重視に舵を切ったドライバ開発を進めているが,それはHD 5870でも変わらないか,むしろ,さらに最適化が進んでいる。

 また,レンダーバックエンドとテクスチャユニット性能に不安がないことも,フィルレートのスコアからは確認できよう。


 グラフ6,7は順に,汎用演算性能を見るShader Particle(シェーダパーティクル),長いシェーダプログラムの実行性能を見るPerin Noiseのテスト結果をまとめたもの。Shader Model 3.0ベースなので参考程度ではあるが,DirectComputeや,複雑なシェーダプログラムの実行に当たって,HD 5870に不安がなさそうであることは,グラフから推測できる。


 というわけで,ここからは実際のゲームパフォーマンスを見てみたい。グラフ8,9は,FPS「Crysis Warhead」の結果だが,CPUボトルネックが生じる高負荷設定の2560×1600ドットを除くと,HD 5870は安定的にHD 4870 X2やGTX 285のスコアを上回っている。GeForceに有利な傾向が出るタイトルだけに,GTX 295がズバ抜けたスコアを示しており,そこには届かないが,標準設定の1680×1050ドットで平均30fpsオーバーというのは,なかなか感慨深い。


 グラフ10,11は,同じくFPSから「Left 4 Dead」の結果である。Left 4 Deadでは,Crysis WarheadほどGTX 295が抜けた存在になっていないが,いずれにせよ,「HD 4870 X2以上,GTX 295以下」というHD 5870のポジションは変わっていない。また,HD 4870と比べて54〜79%もスコアが高く,ベンチマークレギュレーション8.1で規定するハイエンドGPUの合格レベルである100fpsを,標準設定の2560×1600ドットでクリアしている点にも注目しておきたいところだ。


 「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果をまとめたグラフ12,13も,Left 4 Deadとほぼ同じ傾向を示している。ここでも,高負荷設定を中心に,従来のシングルGPUソリューションとは大きな差がついた。とくに,高負荷設定の2560×1600ドットで100fps超えというのにはインパクトがある。


 一方,グラフ14,15に示した「バイオハザード5」は,これまでとは傾向が大きく異なり,HD 5870は,高負荷設定の2560×1600ドットでかろうじてGTX 285をパスする程度。アンチエイリアシングを無効化した低負荷設定では,GTX 285に惨敗といっていいスコアになっている。
 バイオハザード5の採用するカプコン独自の開発フレームワーク(≒ゲームエンジン),「MT Framework」はGeForceに有利なスコアが出やすく,以前も,AMDはATI Radeon HD 4800シリーズを,MT Frameworkベースの「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」へ最適化するのに,数か月もの時間を要していたので,今回も歴史が繰り返される可能性はありそうだ。
 なお,HD 4870 X2は,ATI CrossFireXの効果が得られていないというか,かえってマイナスに作用しているとしか思えないスコアになってしまった。


 貴重なPC向け国産RPG,「ラスト レムナント」の結果がグラフ16となる。本タイトルも,GeForceへの最適化が見られ,実際,GTX 285が全般に良好なスコアを示しているが,かろうじてとはいえ,いずれのテスト条件でもHD 5870がそんなGTX 285を抑えている点は,トピックといえそうだ。
 ATI Radeon HD 4800シリーズとの比較だと,HD 5870は対HD 4890で44〜53%,対HD 4870では61〜70%と,いずれも大幅な性能向上を確認できる。


 最後にグラフ17,18は,ATI Radeon搭載時に高いスコアが出やすい「Race Driver: GRID」(以下,GRID)の結果だが,ここではHD 5870がGTX 295とほぼ互角に渡り合っている。GTX 285など,DirectX 10/10.1世代のシングルGPUに対しては,圧倒的な大差を付けていると評していいだろう。



アイドル時の消費電力が低い……だけではない!

高負荷時の消費電力も要注目


 本稿の序盤でも紹介したとおり,AMDは,ATI Radeon HD 5800シリーズで,電力効率が大幅に改良されており,とくにアイドル時の消費電力は27Wと,ハイエンドGPUらしからぬ低水準に維持できるとしている。40nmプロセス技術を採用したGPUというと,「ATI Radeon HD 4770」は,リーク電流の大きさからか,アイドル時の消費電力が今ひとつ下がりきらなかったが,このあたり,第2世代とされるTSMCの40nmプロセス技術でどう改善されただろうか。ログを取得できるワットチェッカー,「Watts up? PRO」を利用してシステム全体の消費電力を計測してみたい。

 テストに当たっては,OS起動後30分間放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,各タイトルごとの実行時とし,その結果をまとめたのがグラフ19だ。

 ご覧のとおり,アイドル時の消費電力を見てみると,HD 5870のそれは確かに低い。GeForce GTX 200シリーズは,アイドル時の消費電力が低いことで定評があったが,それより確実に一段低い値だ。AMDのいう27Wという数字が正確かどうかまでは何ともいえないが,少なくとも,従来製品比で劇的に下がったことだけは間違いない。

 さらに,注目したいのは,3Dアプリケーション実行時の消費電力で,多少のバラツキはあるものの,おおむねHD 4890と同等以下の水準で推移していること。カードレベルの公称最大消費電力はHD 5870が188WでHD 4890が190Wだから,妥当な結果といえばそれまでかもしれないが,パフォーマンスの向上率を考えると,この数字は驚くべきものである。


 なお,HD 4870 X2の消費電力が,GTX 295のレビュー時と比べると大きく減少しているが,これは,先のレビュー時とはカードの個体が異なることと,Windows 7におけるドライバレベルの電力管理効率が向上している可能性が考えられよう。

 さて,カード全体を覆うGPUクーラーは,GPUを適切に冷却できるのか。3DMark06を30分間連続実行させた状態を「高負荷時」として,アイドル時ともども,GPU-ZからGPU温度を取得した結果をまとめたのがグラフ20になる。
 テスト時の室温は24℃で,テストシステムはPCケースに組み込まない,いわゆるバラック状態のものであることと,HD 4870のみ,リファレンスクーラーではないことをお断りしてからHD 5870のスコアを見てみると,やはりというかなんというか,アイドル時のGPU温度は非常に低い。また,高負荷時も,ATI Catalyst Control Centerから見る限り,ファン回転数は60%に留まり,動作音も(筆者の主観ながら)さほどうるさくないにもかかわらず,温度は70℃を下回っている。クーラーの性能はかなり優秀だと述べてよさそうだ。



DirectX 11時代の幕開けを告げるだけでなく

DirectX 9&10環境でも極めて魅力的なHD 5870


ATI Radeon HD 5800
 HD 5870(というかATI Radeon HD 5800シリーズ)の持つ最大の特徴が,世界初にして唯一のDirectX 11対応GPUシリーズであることに異論はないが,市場で大多数を占めるDirectX 9&10対応タイトルでも,HD 5870は十二分に速い。デュアルGPUソリューションであるGTX 295にはさすがに敵わない一方,多くのテストでDirectX 10&10.1世代のシングルGPUソリューションを圧倒するその実力は,間違いなく本物だ。ウルトラハイエンドのゲーマーの間では,少しずつ解像度2560×1600ドット環境への移行が始まっているが,GPU 1基で同解像度におけるゲームプレイを可能にするカードとしても,HD 5870は意義深い存在といえる。
 そして,大幅なパフォーマンス向上を果たしながら,消費電力が抑えられている点も好印象。重箱の隅をつつけば,恒例となっているドライバ周りの不安は多少ついて回るものの,ハードウェアの“穴のなさ”は特筆ものである。シングルGPU構成で,より高いパフォーマンスを求めているなら,DirectX 11対応タイトルの登場を待つ必要はないだろう。

 搭載グラフィックスカードの価格は,当初,5万〜5万5000円前後で,また,出荷量は相当限られる見込み。だが,年末に向けて,流通量が増えるにしたがい,
店頭価格は北米市場における売価である「400ドル未満」に近づいていくはずだ。ハイエンド志向のPCゲーマーにとっては,2009年年末商戦の主役と呼べる存在が早くも登場してきたとまとめておきたい。
  • 関連タイトル:

    ATI Radeon HD 5800

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