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Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰
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印刷2007/09/26 16:33

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Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰

 Intelは,北米時間2007年9月18日から20日にかけて開催された「Intel Developer Forum Fall 2007」(以下IDF Fall 2007)で,グラフィックスコア(≒グラフィックス機能)の強化を今後のプラットフォーム戦略の重要な要素ととらえ,2010年までに10倍のグラフィックスパフォーマンスを実現する計画を披露した。


2010年までに現在比10倍の

3D性能向上をコミット


Intelのモビリティグループを統括するDadi Perlmutter氏が,Intel製グラフィックスコアの性能向上について説明した
画像集#002のサムネイル/Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰
 9月19日の記事でお伝えしたとおり,IDF Fall 2007のオープニングを飾ったのはPaul Otellini(ポール・オッテリーニ)社長兼CEOだったが,氏は,現在のところCPUと比べて一世代前の半導体製造プロセスを利用して生産されているチップセットをCPUと同じプロセス技術に順次移行させるとともに,3Dグラフィックス性能を2010年までに現在の10倍に引き上げると表明した。さらにOtellini氏は,グラフィックスコアの製造プロセスがCPUと同じ45nmプロセスに移行する2009年を目処に,グラフィックス機能をCPUに搭載する“Intel版Fusion”計画も明らかにしている。

Intelが計画中のグラフィックスコアのパフォーマンスアップは,3Dグラフィックスとビデオ性能の両面で,プロセス技術の移行とともに進化していく。そして,45nmプロセス世代でCPUへの統合が図られる
画像集#006のサムネイル/Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰
 そんなOtellini氏の講演から一夜明けた北米時間9月20日,モバイル製品の基調講演で登壇したIntelのDadi Perlmutter(ダディ・パルムッター)モビリティグループ担当上級副社長は,グラフィックス機能の進化についてさらに踏み込んだ説明を披露。「現行の90nmプロセス世代でも,一般的な用途であれば十分なグラフィックスパフォーマンスを発揮する」としながらも,2008年に投入される65nmプロセスのグラフィックス内蔵チップセットでは,ハイエンド3Dグラフィックスの機能やHD-DVD/Blu-rayのデコード機能,ビデオエンコード機能も取り込んでいくと説明する。
 さらに,45nmプロセスへと移行する2009年には,家庭用ゲーム機レベルの3Dグラフィックス機能をサポートするというロードマップが示された。

画像集#003のサムネイル/Intel,グラフィックスコアの性能と互換性の向上に本腰
Windows XP用14.31.1,Windows Vista用15.6ドライバにおける,ゲームのパフォーマンス改善状況を示したスライド。「Half-Life 2: Episode One」では従来比3.3倍にブーストするという
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Switchable Vertex Processingの効果を示したスライド。「Grand Theft Auto」や「Guild Wars」では,ハードウェア処理と比べて1.5倍以上のパフォーマンスが得られるとのこと
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Switchable Vertex ProcessingではCPUを利用するため,CPUパフォーマンスによってスケーラブルに頂点処理性能を引き上げられるとするスライド。3Dベンチマークソフトでのパフォーマンス向上度合いが示されている
 このロードマップで注目すべきは,現行の90nm世代で,Intelがゲームの互換性(Game Compatibility)に着目している点だ。
 Otellini氏らの基調講演を受けて,IDF Fall 2007の一般セッションでは,グラフィックスをテーマにしたものが数多く設けられた。その中にはグラフィックス機能統合型チップセットにおけるゲームへの最適化に関するセッションも用意されたが,そこでは2007年9月上旬にリリースされた最新のグラフィックスドライバにより,「Intel G965/GM965 Express」(以下G965,GM965)および「Intel G35 Express」(以下G35)チップセットにおいて,3Dゲームの互換性とパフォーマンス向上を実現したと説明した。

 対応するドライババージョンはWindows XP用の「14.31.1」,Windows Vista用の「15.6」(※いずれも入手は4Gamerの最新ドライバページからどうぞ)。具体的には,上で挙げた3種類のチップセットにおいて,ハードウェアT&Lおよび頂点シェーダ(Vertex Shader)処理を新たにサポートし(※これまではT&L処理もソフトウェアベースだった),同時に負荷に応じてCPUを使ったソフトウェア処理に切り替える「Switchable Vertex Processing」(スイッチャブル バーテックス プロセッシング)をサポートする。

 Switchable Vertex Processingは,デュアルコアやクアッドコアCPUのリソースを有効に使い,頂点処理の負荷が比較的軽いゲームを実行するときは,グラフィックスコアのハードウェアリソースをピクセル処理に回すことで,パフォーマンスアップを図れるというもの。これは,将来的にDirectX 10への対応が予定されている(※詳細は後述)プログラマブルなシェーダエンジンを採用したG965やGM965,G35ならではの機能といえるだろう。
 実際,セッションでは「F.E.A.R」を使って頂点処理をそれぞれハードウェアとソフトウェアで行う比較デモが披露され,ピクセル処理の負荷が相対的に高い(≒頂点処理の負荷が相対的に低い)タイトルでは,CPUを利用したソフトウェア頂点処理のほうがゲームのパフォーマンスで有利になることが示された。

Switchable Vertex Processingによるゲームパフォーマンスアップのデモ。右が通常のハードウェアバーテックス処理で,Switchable Vertex Processingでソフトウェア処理を行った左のほうが平均フレームレートは向上しており,25fpsを割り込む割合も70%から35%へと半減している。「これで十分か」という議論はあるものの,確かな改善は見て取れよう
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ようやく人気トップ25タイトルとの互換性問題を解消したIntelだが,対象となるチップセットは3製品のみ
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 Intelいわく,今回のドライバ改良によって,G965/GM965/G35では,マーケットリサーチ企業(NPD.com)による“3Dゲーム人気トップ25タイトル”の互換性が確保されたとのこと。また,今後も互換性を向上させていく姿勢が強調された。
 もっとも,対応チップセットはあくまで3製品のみで,プログラマブルシェーダ2.0(Shader Model 2.0)を採用する「Intel G33 Experss」(以下G33)などが含まれていないのも事実。IntelはG33(やIntel Q3xシリーズ)は3Dゲームプラットフォームではないと位置づけているようだ。なお,現在Intelでは,公式サイト内の「Game Compatibility List」という英語ページにおいて,ゲームの互換性リストを公開している。


Nehalemを目指して進む

Intelのグラフィックス強化


グラフィックスコア進化の第一段階では,プロセス技術の進化に合わせて実行ユニット(EU,Execution Unit)の数を増やす(※上の図→下の図)ことで処理能力を引き上げる
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 Intelが計画する「2010年に現行製品の10倍」という性能向上ロードマップは,3段階のフェーズに分かれている。
 第一段階は,現行製品――といっても搭載マザーボードはまだ発売されていないが――となるG35で採用されているプログラマブルな実行ユニット数を,半導体製造技術の進化にともなって増やしていく手法だ。G35やGM965のDirect3D 10対応は2008年第2四半期に計画されているが,45nmプロセスで製造され,CPUへ内蔵されることになるグラフィックスコアも,G35が搭載するグラフィックス機能「GMA X3500」の進化系になる見通しだ。

 しかし,第2段階以降は二つに分岐する。一つは,Intelが「μ-Thread Dispatch」(マイクロスレッドディスパッチ)と呼ぶスケジューラを搭載し,よりDirectX 10の統合型シェーダアーキテクチャ的なアプローチで進化させる方向で,この手法はグラフィックス機能と性能を高める一方で,消費電力を増大させる弊害がある。そこでもう一つ,低消費電力プラットフォーム向けには,G33などで採用されている「GMA 3100」などのように,固定機能の比率を高めることで消費電力を抑える方向性が用意されている。

第2段階における“パフォーマンス向上側”のアプローチ。μ-Thread Dispatchスケジューラを搭載することで,現行のDirectX 10世代GPUと同等の柔軟性と機能の獲得を図る
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Intelが目指すグラフィックスコアの第3段階では,ターゲットとなる消費電力のセグメントごとに,最適なグラフィックスコアを提供することにある。最上位は「Larrabee」(ララビー,開発コードネーム)に代表される汎用プロセッサが位置し,中間に統合型シェーダを採用するグラフィックスコア,そして一番下にはワット性能に優れる固定機能重視型グラフィックスコアといった具合
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Intel製グラフィックス機能統合型チップセットの歴史
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 Intelはなぜ,CPUにグラフィックスコアを内蔵する計画を加速させるのだろうか。そこには,Intelの次世代CPUアーキテクチャを採用するCPU,「Nehalem」(ネヘイレムもしくはネハレム,開発コードネーム)が大きく関わってくる。
 Nehalemは,現行のCoreマイクロアーキテクチャとはまったく異なるアーキテクチャを採用し,2008年後半にも市場投入される予定だが,Nehalemでは,メモリインタフェースがCPU内蔵となり,またFSBが廃され,6.4Gbpsの帯域を持つ「Intel Quick Path Interconnect」へと変更される。簡単にいえば,マザーボードレベルでも大幅な変更が必要になるわけだ。

 とくに問題となるのがグラフィックスの扱いで,(カード上にグラフィックスメモリを搭載する単体グラフィックスカードは問題ないのだが)グラフィックス機能統合型チップセットの場合,グラフィックスメモリへアクセスするためにはIntel Quick Path InterconnectとCPUを通る必要があり,それが性能面のオーバーヘッドを生む原因となる。
 そこで,Intelでデジタルエンタープライズグループのディレクターを務めるStephen L.Smith(ステファン・スミス)コーポレート副社長は,「Nehalem世代では,グラフィックスはメモリインタフェースを内蔵するCPUコアに内蔵するのが自然な流れだ」と述べ,近い将来,グラフィックス機能統合型チップセットならぬ,“グラフィックス機能統合型CPU”が市場投入される見通しであることを明らかにしている。Intelのグラフィックス強化は,ほかならぬこのNehalem世代,2008年後半以降のIntelプラットフォームを支えるべく進められているものなのだ。

  • 関連タイトル:

    Intel 3

  • 関連タイトル:

    Intel 900 Express

  • 関連タイトル:

    Core i7(LGA1366,クアッドコア)

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