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「ATI Catalyst 9.5」リリース。Vista&7のバグフィックスが進む一方,XP用の修正はゼロに
対応GPUはATI Radeon HD 2000/3000/4000シリーズと,「AMD 740G」を除くAMD 7世代のチップセット。4月28日に発表された「ATI Radeon HD 4770」をサポートするATI Catalystとしては,今回が初のリリース,ということになる。
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2009年5月版ATI Catalystの「Display Driver」バージョンは8.612で,「ATI Catalyst 9.4」(以下,Catalyst 9.4)からは0.012の引き上げとなるが,おそらく,本バージョンにおける最大のポイントは,Windows XPに関連したバグフィックスが一切レポートされていない点になるだろう。
もちろん,Windows XPのサポートが打ち切られたわけでは決してないため,来月以降,バグフィックス内容がリストアップされる可能性は十分ある。しかし同時に,北米時間5月5日に公開されたWindows 7向けのアップデート版Catalyst 9.4で,Display Driverのバージョンが先行して8.612へ引き上げられていた事実,そして,同社のマーケティング担当上級マネージャーであるIan McNaughton(イアン・マクノートン)氏が,自身のblogでCatalyst 9.5を紹介するに当たり,「XP」の文字がまったく出てきていない事実は,結構重そうだ。いよいよAMDは,来るべきWindows 7時代に向け,“2世代前のOS”から距離を置き始めたのかもしれない。
……といったところはさておき。新要素としては――ゲーマーとはほとんど関係ないが――AMD製トランスコードソフトである「ATI Avivo Video Converter」がらみの性能向上が挙げられている。さらに,いくつかゲームタイトルにおけるパフォーマンス向上がアナウンスされてもいるので,Windows Vista/7環境におけるバグフィックスともども,下記のとおり和訳をお伝えしたいと思う。
●Catalyst 9.5の新要素
- 32/64bit版Windows Vista環境におけるATI Avivo Video Converterで確認されていた多くの問題を修正(※なぜ「新要素」として紹介されているのかは分からない)
- ATI Radeon HD 4800/4600シリーズで,ATI Avivo Video Converterを利用したビデオトランスコード性能の相当な向上
●Catalyst 9.5におけるパフォーマンス向上(Windows XP/Vista/7)
- UNiGiNEエンジンを利用したデモ「Tropics」のDirectX 9版において,シングルカードおよびATI CrossFireX(以下,CrossFireX)のアンチエイリアシング適用時に最大11%
- 「Company of Heroes」において,シングルGPUおよびCrossFireX構成時に最大10%
- 「BattleForge」において,CrossFireX構成時に最大10%
●Catalyst 9.5で解決した問題(Windows XP)
- リリースノートに記載なし
●Catalyst 9.5で解決した問題(Windows Vista)
- いくつかのグラフィックス機能統合型チップセットで,Windows 7のデフォルトドライバを利用すると,システムの起動に長い時間を要することがある問題(※原文は「Windows 7 default driver may take a long time to start on some integrated ASICs」。これがなぜWindows Vistaの項目にあるのかは分からない)
- (プライマリとして液晶ディスプレイを接続した状態で)CRTディスプレイをホットプラグで接続すると,画面に何も表示されなくなり,シングルディスプレイ環境に戻すまで元に戻らなくなることがある問題(※ではないかと思われるのだが,正直,分からない。原文は「Both LCD and CRT may go blank when hotplugging the CRT to the system, and will not recover until it is switched to discrete GPU)
- Windowsのホットキーが割り当てられていると,「ATI Catalyst Control Center」(以下,CCC)が反応しなくなることのある問題(※ホットキーに関する詳細はないため,どんな状況で応答しなくなる可能性があるのかは分からない。原文は「Catalyst Control Center may stop responding when Windows Hotkeys have been assigned」)
- CCCの「Available Display Devices」で,セカンダリディスプレイを設定するとき,プライマリディスプレイがグレーアウトせず,選択できる状態になる問題
- CCCから行ったファン回転数設定が,CrossFireXの有効/無効化時にデフォルトへ戻ることのある問題
- CCCの「Auto-Tune」が動作完了するとき,処理が正常に完了したというレポートが表示されないことのある問題
- 「OverDrive5」に,ファン回転数制御関連の項目が表示されない問題(※「OverDrive5」が何のことかは不明。記憶が確かなら,現行のATI OverDriveのことではないかと思われるが……。原文は「Fan Speed Control is missing in OverDrive5 aspect」)
- いくつかのシステムで,CCCのOverDriveメニューを表示できないことのある問題
- 高解像度テレビとの接続を切った状態でも,Windowsコントロールパネルにある「サウンド」のプロパティに高解像度テレビが表示されることのある問題
- 7.1chサラウンドから2chへとサウンド出力を切り替えても,Windowsコントロールパネルにある「サウンド」のプロパティへ反映されない問題(※サウンド出力を切り替える主体は不明。原文は「Audio Control Panel might not reflect configuration change from 7.1 Audio to Stereo」)
- 3〜4台のディスプレイを接続した環境で,Super Anti-Aliasingと「Show CrossFireX」オプションを有効化してOpenGLタイトルを実行すると,画面表示がおかしくなることのある問題
●Catalyst 9.5で解決した問題(Windows 7)
- Blu-rayに記録されたインタレース方式のムービーを再生すると,フレームドロップが発生することのある問題
- 「World in Conflict」を実行すると,オープニングトレイラーの再生終了後,画面に何も表示されなくなることのある問題
- 「ATI PowerExpress」をサポートするシステムのいくつかで,シングルディスプレイ構成にもかかわらず,セカンダリディスプレイがリストアップされることのある問題
- 2台のディスプレイで拡張ディスプレイ構成を行っているとき,再生中のムービーを片方のディスプレイからもう片方へ移動させると,画面がちらついたり,再生ソフトが動作を停止したりする問題
- いくつかのGPUを,Windowsのデバイスマネージャが「Standard VGA Adapter」と認識する問題
- ドライバのインストール時に表示されるダイアログをデスクトップ上で移動させると,[Yes][No]ボタンの表示が消えることのある問題
というわけで,バグフィックスがレポートされていない以上,Windows XPユーザーにとっては,ATI Radeon HD 4770のサポートが追加され,2タイトルと1デモでパフォーマンスが向上しただけに過ぎない。場合によっては,見送ってもかまわないのではなかろうか。
一方,Windows VistaのユーザーとWindows 7 RCのテスターにとっては,新GPUのサポートが追加されたことはもちろん,着実にバグフィックスの進んだバージョンとして,自己責任で導入する価値はあるリリースと述べることができそうだ。
- 関連タイトル:
AMD Software
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