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印刷2008/11/14 12:21

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「ATI Catalyst 8.11」が公開される。追加された複数の新機能に注目

 AMDは,同社製のデスクトップPC向け単体GPUおよびグラフィックス機能統合型チップセット向けドライバスイート「ATI Catalyst」の2008年11月版,「ATI Catalyst 8.11」(以下,Catalyst 8.11)を公開した。
 「Display Driver」のバージョンは「8.552」で,対応GPUはATI Radeon 9500〜9800とATI Radeon X/X1000/HD 2000/HD 3000/HD 4000,対応チップセットはATI Radeon XpressおよびAMD 4/5/6/7シリーズとなっている。すぐに入手したい人は,4Gamerの最新ドライバページからどうぞ。

最新ドライバへのリンクページ

 今回の月例アップデートにおけるトピックは下記の4点。ざっくりとまとめるなら,ATI CrossFireX(以下,CrossFireX)の使い勝手向上と,Windows XP&Linux環境の新機能追加,そして「ATI Catalyst 8.10 HotFix」における更新内容の一部反映,といったところだろうか。

1.ATI CrossFireXの拡張
 システムトレイアイコンのコンテキストメニューに「アプリケーションがCrossFireXモードで動作しているかどうかを確認するためのオプション」が追加され,有効にすると,Direct3D/OpenGLアプリケーションの実行時にCrossFireXロゴが表示されるようになった。

2.Windows XP環境でのHydraVisionサポート
 Windows XP環境で「HydraVision」がサポートされ,シングルあるいはマルチディスプレイ環境において,下記の機能を利用可能になった。

  1. HydraGrid
    デスクトップをいくつかのエリアに“分割”し,複数のウインドウを開いたときに,ウインドウが重ならないよう,各エリアに分けて配置できる
  2. HydraVision Hotkeys
    「ATI Catalyst Control Center Hotkey Manager」により,HydraVisionの操作に必要なキー操作を登録&管理できる
  3. HydraVision Virtual Desktops
    最大で9の仮想デスクトップを設定可能。アプリケーションのポジション(※アプリケーションを開いた場所のことだと思われる)や関連づけ,デスクトップの設定は仮想デスクトップごとに保持できる
  4. HydraVision Wizard
    「ATI Catalyst Control Center Wizard」により,HydraVisionのセッティングを簡単に行える

3.ディスプレイ接続関連の拡張
 Linux環境でDVI/HDMIもしくはコンポーネントビデオ出力を行うときに,480i/p,720p,1080i/pスケーリングをサポートした。
32bit版Linux用ドライバ64bit版Linux用ドライバ


4.パフォーマンスの向上
 下記のとおり,3Dパフォーマンスが引き上げられた。

  • ATI Radeon HD 4000/3000シリーズ搭載環境で「Far Cry 2」をプレイすると,シングルカードで3〜10%,CrossFireX構成時に8〜14%。特定のグラフィックス設定ではさらに高いパフォーマンス向上がある
  • ATI Radeon HD 4000/3000シリーズ搭載環境で「S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky」をプレイすると,シングルカードで6〜18%,CrossFireX構成時に10〜30%

 恒例のバグフィックスは以下のとおりだ。先月に引き続き,全項目の和訳を試みている。

●Catalyst 8.11で解決した問題(Windows XP)
  • 「Stranglehold」を解像度800×600ドット,「Dynamic Shadows」無効という設定でプレイすると不安定になることがある問題(※不安定になるのがゲームなのかシステムなのかは不明)
  • 「InterVideo WinDVD」でHDコンテンツを再生しようとすると「Lower Resolution」というメッセージが表示される問題
  • 特定のOpenGLアプリケーションを実行していると,断続的にシステムの応答がなくなることのある問題
  • フルスクリーン表示させていたDOSウインドウから抜けながらSDビデオを再生していると,デスクトップの表示がおかしくなる問題
  • 「Overlay rotation」(※オーバーレイ表示中にディスプレイを回転させることだと思われるが詳細は不明)に失敗する問題
  • セカンダリディスプレイをクローンモードで利用しているときにホットアンプラグを行うと,ビデオ再生が不安定になる問題
  • マルチディスプレイ環境で,クローンモードを選択し,かつ「Overlay Theatre Mode」を有効にしていると,ビデオ再生を正常に行えない問題
  • ディスプレイを回転させた状態で「Cyberlink WinDVD7」(※原文ママ。Cyberlink PowerDVD 7のことではないかと思われるが……)を用いてビデオ再生を行うと,画面表示がおかしくなる問題
  • ビデオ再生時にティアリングの発生することがある問題

●Catalyst 8.11で解決した問題(Windows Vista)
  • DirectX 10版「Age of Conan: Hyborian Adventures」をプレイしていると,画面に何も表示されなくなることがある問題
  • ビデオの再生中にリサイズを行うと,「desktop video」(※原文ママ。再生中のビデオファイルを指していると思われるが詳細は不明)の表示がおかしくなる問題
  • ビデオ再生時にティアリングの発生することがある問題
  • Cyberlink製プレイヤーソフトを利用したHDビデオコンテンツの再生時にハードウェアアクセラレーションが有効化されない問題
  • ATI Catalyst Control Centerの「Graphics settings」に「ATI OverDrive」オプションが表示されない問題
  • いくつかのOpenGLコンテンツがHydraVisionで設定したグリッドに並ばない問題
  • ATI Catalyst Control Centerの「ShowGrid」で,HydraVisionのグリッド設定が正しく表示されない問題
  • HydraGridを立ち上げた後,プロセスタブに「Gratitude{EF25BC.....}」もしくは「HydraGrid.exe」が表示される問題

 以上,バグフィックスはどちらかというとビデオ再生関連が中心で,絶対数も数えるほど。4Gamerに対し,AMDは次の大規模アップデートが「ATI Catalyst 8.12」になると予告しているので,今回はそのための助走期間的な扱いになっているのかもしれない。

 とはいえ,これまでHotFix版ドライバでしか実現できなかったFar Cry 2とS.T.A.L.K.E.R.: Clear Skyのパフォーマンス向上が正式にサポートされた点は大いに意味がある。また,ATI Radeonを使ってビデオ再生することのある人であれば看過できないバグフィックスがいくつか含まれているのは確かだ。
 気になる新要素や修正内容があったなら,自己責任で導入する価値は十分にある月例アップデートといえるだろう。
  • 関連タイトル:

    AMD Software

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