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[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
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印刷2009/03/30 19:57

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[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性

画像集#001のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
ピーター・モリニュー氏。現在は,「Project X」という秘密の新作を手掛けているという話だ
 イギリスのPeter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏といえば,Bullfrog Productions時代に「Populous」(1989年)や「Syndicate」(1993年),そして「Dungeon Keeper」(1997年)など「ゴッドゲーム」と呼ばれる一連のシミュレーションを量産した奇才,カリスマゲームデザイナーとして知られる人物。Lionhead Studiosを設立してからは「Black & White」(2001年)などをリリースしており,Microsoft Game Studiosの傘下に入った今でもXbox 360向けのアクションRPGであるFableシリーズの制作を通じ,常に最前線で活躍し続けている。
 そんなモリニュー氏が,GDC最終日に「Lionhead Experiments Revealed」(Lionhead Studiosの実験のことを暴露しよう)という講演を行った。Lionhead Studiosは,現在「Project X」という仮称の作品を制作中であることが知られており,そのセンセーショナルな表題から「ひょっとしたら新作発表?」と期待した参加者も多かったようだが,講演の内容は,これまでLionhead Studiosが,リサーチ目的で開発してきた実験作を次々に紹介していくというもの。中には過去のGDCで発表された作品も多く,筆者を含むモリニュー・ウォッチャーにとっては少し残念な内容だったかもしれない。

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画像集#003のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
技術的に難しいリアルタイムのレイトレーシングは,まだゲームには実装できる段階ではない
 Bullfrog ProductionsがElectronic Artsに買収され,コアメンバーが離脱してLionhead Studiosを結成したのは1998年。約10年前のことだ。30人ほどのスタッフで,4年の期間をかけて開発したのがBlack & Whiteなのだが,その開発過程は「ほんとうに混乱していた」とモリニュー氏は話す。それぞれの開発者が,一つのソフトに詰め込もうとしたアイデアや新技術が多過ぎて,まとまりにくくなってしまっていたのだ。あの壮大なゲームアイデアを知っている人なら,それはそうだろうと思うかもしれない。
 「だからといって,実験的プロジェクトを続ける必要がないということにはならない」と続けるモリニュー氏。開発チームとしての質の高さや,開発者達の士気を高めるには,内部で実験をさせてやることが重要なのだそうだ。実際,開発会社としては珍しいことに,同社にはCentral Technology Groupと呼ばれるリサーチを専門に行う部門が存在し,数人のプログラマがさまざまな実験プログラムを常時トライアウトしているという。

画像集#004のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
非常に現実的な水流シミュレーションも開発したが,これを活かせるようなゲームはいまのところ思いつかないらしい
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ワンボタン式コントロールの格闘デモ。こちらはFableで採用されているが,その後の改良で周囲のオブジェクトも利用できるようになった

画像集#010のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
 例えば,モリニュー氏は「Dog 1」「Dog 2」というビデオで,「Fable II」に登場するペット犬がどのように開発されてきたかを紹介する。最初は,Black & Whiteのペットシステムを応用したもので,なでたり平手打ちしたりすることも可能だった。しかし,どうもゲームになじまなかったので,別の研究員が実験していた「NPCがメインキャラクターを引率する」というシステムを組み合わせることで,Fable IIの愛犬システムを作り出したのである。
 また,Lionhead Studiosでは,レイトレーシングや数千体レベルでの群集システム,また金属の酸化現象などを自動的に行うプログラムなども開発されており,まだ製品として実装するには至っていない技術デモも紹介された。

画像集#006のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
キャンセルになったことが判明した,「The Room」のデモ。このプログラマーはMedia Moleculeで「リトルビッグプラネット」を開発した
画像集#007のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
Black & Whiteを利用したプロトタイプ向けエンジンで,「Fable II」のペットの実験を行う様子を示したデモ。このあと,より完成に近付いたデモムービーが紹介された

画像集#008のサムネイル/[GDC 2009#36]ゲーム業界の大御所,ピーター・モリニュー氏が語るR&Dの意義と必要性
2005年10月リリースの「Black & White 2」。グラフィックス技術のレベルは非常に高く,今見ても色あせていない
 興味深かったのは,4年前のGDCで初めて発表された「The Room」というデモの逸話。残念ながら,ゲームとして活用されることはなく,ボツになったことが今回のレクチャーで判明したが, Valveの「Portal」(2007年)より早くから,ポータルというコンセプトを煮詰めていた実験だとモリニュー氏は力説する。ただ,「それをゲーム化させる能力が我々にはなく,Valveの開発者を素直に褒め称えたい」とした。
 ちなみに,このThe Roomの実験を行っていたプログラマー達は,2006年にはモリニュー氏のすすめにより独立し,新メーカーであるMedia Moleculeを設立しており,2008年末には「リトルビッグプラネット」を作り上げている。そういえば,そのMedia Moleculeのメンバーの一人,Mark Healey(マーク・ヒーレー)氏は2005年頃,Lionhead Studiosの公式サイトで自分達が作ったインディゲーム,「Rugdoll Kungfu」を無料公開していたことがある。そうした若い才能が次々とモリニュー氏のもとを巣立っていることが,イギリスでユニークなゲームが多く出回る一つの理由なのかもしれない。
  • 関連タイトル:

    マイクロソフト フェイブル:ロスト チャプター

  • 関連タイトル:

    Fable II

  • 関連タイトル:

    Black & White 2

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