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印刷2009/12/28 10:30

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2009年末〜2010年始に「買い」のグラフィックスカードは? 10分で分かる,実勢価格3万円以下のGPU事情

2009年のグラフィックスカード業界で最大のトピックとなったのが,ATI Radeon HD 5000シリーズの登場であることに,異論を挟む人はいないだろう。写真は「ATI Radeon HD 5870」リファレンスカード。早いもので,もう発表から1四半期が経過した
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 ATI Radeon HD 5000シリーズの登場によって,DirectX 11世代の幕が明けた2009年下半期。押し出されるように“旧世代”となったGPUを搭載するグラフィックスカードが特価で店頭に並ぶようになったり,新シリーズが投入されていない価格帯でGeForceの新製品が登場したりした結果,2009年下半期の単体グラフィックスカード市場は,とにかく選択肢が豊富な時期を迎えることになった。
 カードのシリーズ名がまちまちになってしまっているがゆえに,モデルナンバーを見ただけでは性能の違いが分からない時期,と言い換えることもできそうだ。

 では実際のところ,新製品と従来製品は,どれが「買い」なのか。今回は,4Gamerのレビュー記事やテストレポート記事を振り返りながら,専門用語の利用をできる限り避けつつ,とくに混乱の度合いが激しい3万円以下の価格帯について,グラフィックスカード市場の状況を整理してみることにしたい。


図で確認する,2009年12月のグラフィックスカード市場


 さて,さっそくだが,下に示したは,2009年下半期に4Gamerのレビューやテストレポートで取り扱ったGPUのうち,搭載グラフィックスカードの価格帯が3万円以下の製品を主役として,性能と価格帯の分布をざっくりとまとめたものだ。一部例外はあるものの,基本的には,上にあればあるほど高性能,右にあればあるほど高価格となる。
 図は,クリックすると別ウインドウで拡大版を表示するようにしてあるので,文字が小さすぎて読みづらいという人はそちらをどうぞ。

図 2009年12月28日時点における,1〜3万円程度のGPU分布
※2009年12月28日現在。7月4日付けで同じコンセプトの記事を掲載しているが,その後,市場から搭載製品がほぼ消えた製品については,図からカットした。また,ドライバの最適化が進んだりしたことを受け,一部,3D性能については夏の時点から並びを入れ替えたりもしているので,先の記事と横並びで比較することはお勧めしない
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 図には,GPU名以外にも色や吹き出しによって色々と情報を付け加えてある。順番に説明しておくと,まず,青い点線と吹き出しによって示した「ハイエンド」「ハイクラス」「ミドルクラス」「エントリーミドルクラス」「エントリークラス」「ローエンド」は,だいたい,以下のようなイメージだ。

  • ハイエンド&ハイクラス:高解像度かつ高いグラフィックス設定で,最新世代の3Dゲームを快適にプレイできる。3Dオンラインゲームしかプレイしないのなら,よほどのことがない限り不要
  • ミドルクラス:最新世代のゲーム機と比べても遜色ないレベルで,大多数の最新世代3Dゲームを快適にプレイできる。一方,3Dオンラインゲーム用GPUとしては,普通に使うならオーバースペック。ただし,高い解像度設定でプレイしたい,(ジャギーを低減させる)アンチエイリアシングを適用したいといった目的があるなら,オンラインゲーム前提の人が選んでも損はない
  • エントリーミドルクラス:解像度やグラフィックス設定に妥協は必要だが,最新世代の3Dゲームを問題なくプレイできる。3Dオンラインゲームしかプレイしないなら,ひとまずこのレベルがあれば,当面,困ることはないはずだ
  • エントリークラス:最新世代の3Dゲームを問題のないフレームレートでプレイするには,解像度やグラフィックス設定に相当な妥協を強いられる。現行世代の3Dオンラインゲーム用としてはまずまずの性能を持っているので,とりあえずはこのレベルでも十分だが,将来を考えると若干の不安が残るのも確か
  • ローエンド:ゲーマー向けではないので,ゲーム用途を考えているなら選ぶべからず。ビデオ再生を快適に行いたいとか,ビデオのトランスコード(≒エンコード)などにGPUを使いたいとかいった一般PCユーザー向けの製品である

 「明確かつ明瞭な根拠によって厳密に分類している」わけではないので,おおよそこんな感じだと受け取ってもらえればと思う。

 注意してほしいのは,GPUという製品が一般に,「製品シリーズごとに,ハイクラス/ハイエンドGPUがまずあって,そこから機能や性能を削ることによってミドルクラス以下のGPUが作り出されている」ということ。ミドルクラス以下のGPUでは,製品ごとに「上位モデルと比べて,どんな機能や性能が制限されているか」が異なるため,ゲームごとの得手不得手が大きく出やすくなる。言い換えると,ゲームタイトルによっては,今回の図とはまったく異なるテスト結果になることがあるのだ。
 そういった事情もあって,上の図における「3D性能」は,何か特定のベンチマークテストにおける結果で代表させたものではない。あくまでも,4Gamerで掲載したレビュー記事やテストレポート記事を基に,スコアの平均を取る形でまとめたものなので,この点はお断りしておきたい。


●図を読み解くヒント


 図について,もう少し踏み込んで説明してみよう。
 GPUそれぞれの価格帯を示すバーは,計4色に色分けしてあるが,凡例にも入れてあるとおり,これらは対応するDirectX(Direct3D)世代を示している。

2009年11月17日に発表された「GeForce GT 240」は,エントリーミドルクラスの3D性能を持った,DirectX 10.1世代のGPUだ。写真はMSI「N240GT-MD512-OC/D5」
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 Windows 7がDirect3D 10.1ベースでデスクトップを描画する仕様になっており,Direct3D 10.0以前のGPUを利用する場合は,一部をソフトウェアエミュレーションでまかなう(=CPUで処理する),というのはよく知られているので,ご存じの読者も多いのではなかろうか。
 実際,Windowsを快適に動作させられるかどうかの指標と謳われる「Windows Experience Index」(Windows エクスペリエンスインデックス)を実行すると,DirectX 10.1対応以上のGPUを搭載したPCのほうがグラフィックスのスコアは高めに出るようだ。それを根拠に,DirectX 10.1以上に対応したGPUを選びたいという消費者マインドはよく分かる。

 また,ゲーマー視点からすると,DirectX 10.1/11独自の機能を使ったゲームというものは確かに存在するため,それらをプレイするなら,対応GPUのメリットを享受できるという現実もある。新世代のハイエンドGPUを渡り歩きながら,最新世代のゲームタイトルを積極的にプレイする人からすると,今からDirectX 11非対応のGPUを購入するというのは,あり得ない選択肢だろう。

DirectX 11に対応した「ATI Radeon HD 5770」(上)と,DirectX 10.1世代の「ATI Radeon HD 4870」(下)では,基本的に後者のほうが3D性能は高く,しかも搭載グラフィックスカードの実勢価格は低い。写真はいずれもGIGABYTE TECHNOLOGY製品
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 だが,この世にあるゲームタイトルの9割以上がDirectX 9.x/10.0世代,オンラインゲームに至っては限りなく100%に近い数がDirectX 9.x世代に留まるという現実もある。そして,上の図で示したとおり,実勢価格が3万円台以下のグラフィックスカードにおいて,対応するDirectXの世代と,大多数のゲームタイトルにおける3D性能の間に,相関関係はない。
 オンラインゲームをメインに考えているのであれば,DirectX 9.x/10.0世代のゲームタイトルにおける性能(≒図で示した指標)を重視すべきであり,DirectX 10.1/11がうんぬんという話は,1年後か2年後か分からないが,タイトルが出揃ってきたころに,あらためて考えればいいことなのである。

 このあたりは,人によって「正解」が異なるので,自分がどちら側の立場なのか,よく考えて選択することを勧めたい。自分とは逆の立場の人の意見を聞いてしまうと,あとあと後悔することにもなりかねないので,くれぐれもご注意を。

 さて,もう一つの軸である価格については,極端なクロックアップモデルや,極端なグラフィックスメモリ増量モデルといった個性の強い製品は対象から外し,中心的な価格帯をピックアップして反映させている。その理由は,

  • メーカーレベルのクロックアップがなされても,効果は限定的で,体感レベルでの性能に劇的な違いをもたらすことはあまりない。よって,「クロックアップ版である」点だけに高い金額を払うことは,(ベンチマークテスト用途はさておき)ゲーム用途だと割に合わないことのほうが多い
  • リファレンス仕様を大きく超えるグラフィックスメモリ容量は,ハイエンドGPUを搭載した環境で,ごくまれに意味があるかどうか,というレベル。とくに,ミドルクラス以下のGPUを搭載したグラフィックスカードなら512MBもあれば十分で,それ以上の容量にコストをかけるのはまったくの無駄である

ためだ。
 なお,当然のことながら,店頭価格は日々変わるうえ,ショップごとの特価販売が行われるケースもあるので,あくまでも,12月28日時点における参考データだと理解してほしい。


予算別に「買うなら何か」を考える


 以上,全体を俯瞰してみた。ここまでで,グラフィックスカード市場全体の状況はある程度把握してもらえたのではないかと思うが,ここからは「で,結局のところ,どれを買えばいいのか」を,予算別に少し考えてみることにしよう。


●2〜3万円の予算なら「待ち」が正解?


本稿の論旨から外れるが,この年末年始にとにかく3D性能重視でグラフィックスカードを購入するなら,ATI Radeon HD 5800シリーズを積極的に選びたい。写真はSapphire Technology製の「ATI Radeon HD 5850」搭載カード「SAPPHIRE HD 5850 1GB GDDR5 PCIE」
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 おそらく,いま一番選択肢に乏しいのが,2〜3万円の価格帯だ。ハイエンドを志向する人であれば,ATI Radeon HD 5800/5900シリーズを手に入れた後か,開発コードネーム「GF100」と呼ばれ,「Fermi」(フェルミ)世代とも言われる次世代GeForceを待つかを決めた後ではなかろうか。

 店頭には,DirectX 10.x世代のハイエンドGPUを採用した製品が「ブランドを問わなければ,探せば買える」程度には並んでいるので,アリといえばアリだが,その場合でも,投入する予算は2万円以下に抑えたいところだ。


●割り切れば悪くない1万円台後半


  DirectX 11世代のミドルクラス〜ハイクラスGPUシリーズであるATI Radeon HD 5700の2製品が迷いの種だが,これまで述べてきたように,このタイミングでDirectX 11対応GPUにこだわる場合は,ハイエンドのATI Radeon HD 5800シリーズに手を出すべきだ。一方,DirectX 11にこだわらないなら,「ATI Radeon HD 4890」「ATI Radeon HD 4870」(以下,HD 4870)「GeForce GTX 260」(以下,GTX 260)は魅力的な選択肢だといえる。
 ハイエンド製品の宿命として,補助電源コネクタ2系統の利用が必須で,さらにカード長も200mm台中盤と長い点は要注意だが,そのあたりを割り切って純然たる3D性能で評価するなら,いま挙げた3製品は,相当に買い得だ。

 なお,上に示した図で,HD 4870とGTX 260の3D性能はほぼ同じとしているが,GTX 260に関しては,3モデルが存在することを押さえておきたい。

  1. HD 4870よりも性能がやや低い製品
    (=65nmプロセス技術を採用して製造される,シェーダプロセッサ192基版)
  2. HD 4870よりも性能がやや高い製品
    (=65nmプロセス技術を採用して製造される,シェーダプロセッサ216基版)
  3. 2.と同じ性能で,消費電力が低い製品
    (=55nmプロセス技術を採用して製造される,シェーダプロセッサ216基版)

本文でいう3.に当たる,Galaxy Microsystems製のGTX 260カード「GF PGTX260+-OC/896D3」。「+」の記号で,従来モデルと区別されている
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 カッコ内は補足説明なので,読み飛ばしてもらってかまわないが,少し歴史を振り返ってみると,1.がリリースされたのは2008年6月のこと。2.が2008年秋で,3.が初めて確認されたのは2008年末(※4Gamerで検証したのは2009年2月)になる。
 筆者が秋葉原のショップ店頭で確認した限り,現在販売されているものはほぼ3.へ切り替わっているようだが,ブランドによっては,製品ボックスにも公式サイトにも,3.であるかどうかを判断するための情報がなかったりもするので,この点は覚悟しておく必要があるだろう。
 もっとも,1〜3のどれを選んでも,体感できる3D性能にそれほど大きな差があるわけではないが。


●選び放題の1万円台前半は主役が交代


GeForce GTS 250は,発表当初こそ「『GeForce 9800 GTX+』のリネームそのもの」で,外部補助電源が6ピン×2というモデルが少なくなかったものの,2009年下半期になって,外部補助電源が6ピン×1のモデルが主流となり,カード長の短いモデルも出てきた。写真は,カード長194mmのLeadtek Research製品「WinFast GTS 250 V2 512MB」
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 2009年夏の時点では,「ATI Radeon HD 4770」(以下,HD 4770)がぶっちぎりのコストパフォーマンスを見せていた1万円台前半だが,より高い3D性能を持ったGPUが,ハイクラス製品の値下がりに押し出される形で低価格帯に下りてきたため,HD 4770のインパクトは低下。むしろ,最安値なら1万円台前半にまで落ちてきたHD 4870や,1万円前後から購入できることも珍しくなくなった「ATI Radeon HD 4850」(以下,HD 4850),そして,カード長が200mmを下回って,俄然扱いやすくなったモデルがいくつか登場している「GeForce GTS 250」のほうが,存在感は大きくなってきている。
 この価格帯には,DirectX 11世代のGPUも存在しているが,図から明らかなとおり,コストパフォーマンスはやや低めだ。上で説明したとおり,DirectX 11にこだわるかどうかで決めるのが正解だろう。

 なお,1万円台前半の価格帯には,エントリーミドルクラスの製品もひしめいているのだが,どうしても補助電源の不要な製品を使いたいというのでなければ,積極的に選ぶ理由に乏しい。


●1万円未満の価格帯は9000円前後が熱い


補助電源コネクタを必要としなくなった省電力版の9800 GT,9600 GTが,9000円前後の価格帯における主役だ。写真は上が玄人志向ブランドの9800 GTカード「GF9800GT-E512HD/GE」,下がASUSTeK Computerの9600 GTカード「EN9600GT/DI/512MD3」
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 最後は1万円未満の価格帯。ここでは,どこまで根気よく探せるかが問われそうだ。というのも,この価格帯では,HD 4850やHD 4770,そして「GeForce 9800 GT」(以下,9800 GT)が,最安値で9000円台の値を付けているためだ。コストパフォーマンス重視ならこの3製品が有力な選択肢となる。
 また,搭載製品の大多数が1万円を大きく割り込んだ「GeForce 9600 GT」や,最安値なら5000円程度から購入できる「ATI Radeon HD 4670」も,この価格帯では相変わらずの輝きを放っている。安価さと入手のしやすさにこだわるなら,こちらになるだろうか。

 なお,上に示した図の中でも説明しているとおり,9800 GTと9600 GTには,6ピンの補助電源コネクタを必要とする通常版と,必要としない代わりに,若干3D性能が引き下げられた省電力版の2種類が存在する(※厳密には,通常版にも初期型と,消費電力が若干引き下げられた後期型があるのだが,それらを見分ける方法は基本的に存在しない)。
 秋葉原の店頭をチェックしてみると,トレンドは省電力版に移っているようで,9800 GT,9600 GTとも,省電力版のほうが在庫は多そう。ただし,通常版が店頭からなくなったわけでもないので,購入時は,製品ボックスを確認するなり,店員に聞くなりすることをお勧めしておきたい。

 最後に,エントリークラスおよびローエンド品は,図からも明らかなとおり,エントリーミドルクラスのグラフィックスカードと店頭価格に大きな違いがないため,積極的に選ぶ必要を感じない。とくにローエンド品は,3Dゲームをプレイする前提だと,安物買いの銭失いになるだけなので,くれぐれもご注意を。


「DX11をどう捉えるか」次第だが

DX9&DX10重視なら間違いなく買い時


 序盤の繰り返しになるが,DirectX 11環境を重視するハイエンド志向の人にとっては,入手済みのHD 5800/5900カードを“使い倒す”か,一時期の深刻な品不足を脱し,そこそこ店頭で見られるようになってきたHD 5800/5900カードを購入するか,はたまた次世代GeForceを待つか,というタイミングになるだろう。3万円以下で販売されているグラフィックスカードに気を配る必要はない。

 ただ逆に,そうでない多くの人にとっては,なかなか面白い時期だといえる。図を見ると分かるように,旧世代ハイエンドの値下がりによって,市場にあるほとんどのグラフィックスカードが,2万円を割って販売されているという,価格的に,たいへん買いやすいタイミングを迎えているからだ。とくに,5000円〜1万5000円の価格帯はよりどりみどりと言っていい。
 図でハイクラスとカテゴリ分けした旧世代ハイエンドの一部モデルが終息という噂も聞こえてきてはいるものの,実際の店頭では,まだまだ在庫が残っている。入り乱れるモデルナンバーの把握がやっかいだが,そこは今回示した図を参考にしつつ,ぜひ3Dゲーム環境のアップグレードを図ってほしいと思う。


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