― 連載 ―

トラックマニア マニアックス

連載第5回 オリジナルコースを作ろう 後編

 

ト世界中のTMマニアが唸るコースを作っちゃおう

 

 1か月にわたってお届けしてきた週刊連載「トラックマニア マニアックス」も,いよいよ最終回。これまで本連載を読んでくれた多くの人が,「トラックマニア サンライズ エクストリーム 日本語版」(TMSE)と「トラックマニア オリジナル 日本語版」(TMO)で,夏バテなんて吹き飛ばす勢いでイカれた走りを堪能していることだろう。

 

 前回は「オリジナルコースを作ろう 前編」として,「トラックエディタ」(コースエディタ)でオリジナルコースを作る,大まかな流れを紹介してきた。後編となる今回は,実際にTMSEの「コーストステージ」で,「レース」チャレンジのコースを作っていく課程を見ていこう。

 

 

オリジナルコース完成までの流れ

 

 コース作成で重要なのが,やっぱりコースレイアウト。どうしても,アレもコレもと派手なレイアウトにしたくなるが,「大ジャンプを多用してループ2連発のあるコース」「ブースターを連続して配置して鬼のような速度で突っ走るコース」といった具合に,しっかりとしたコーステーマを設けて,あとは無難につなぎ合わせていくのがコース作成の手っ取り早い方法だ。とはいえ,思いつきで建設ブロックを置いてイイ加減に作ってみたら,意外と楽しいコースができたりもする。

 

 とりあえず本記事で作っていく,サンプルコースの流れを書いておこう。スタート後は細かいコーナーを織り込んでテクニカルに,トンネルを使って山を抜けるとジャンプやループを使ってトリッキーに,最後はスピード感を醸し出してフィニッシュ……と,こんな感じのコースを作ってみる。

 

地面を作らなきゃ始まらない

 イチからコースを作る場合,最初にエディット画面に現れるのはまっさらな海だ。まずはここにコースの土台となる地形を作る。作成できるコースの大きさは最大30×30ブロックなので,少し狭いと感じるかもしれないが,上下空間へのレイアウトも取れるため実は意外と狭くない。
 地形はコースレイアウトを見越して全体を作ってもいいし,コース敷設と並行して地形をいじっていくのもありだ。とりあえず最大範囲の真っ平らな地形を作り,コースを作りながら削っていくなど,いろいろなやり方があるだろう。このへんは作業中にいくらでも調整できるので,今回はイメージしたコースレイアウトを配置できるような地形を作成してから始める。

 

 

スタート後はコーナーと勾配を組み合わせる

 「レース」チャレンジの場合,スタートからフィニッシュを走り切るコースと,同一コースを数周する周回コースが作れる。まずどうしても必要になるのが,「スタートブロック」と「フィニッシュブロック」だ。周回コースの場合は,「マルチラップブロック」を設置して周回数をセットすれば,そこがスタート/フィニッシュとなる。
 スタートブロックを設置したら,あとはロードブロックの中から好みの建設ブロックを選んでつないでいく。傾斜のない道路は,ドラッグして範囲指定すれば直線上にワンタッチで設置できる。大きな弧を描くコーナーは大型ブロックとして用意されているが,直角コーナーは敷設してある道路から真横にドラッグすればOK。傾斜のついた道路も,角度などの異なるブロックが数種類用意されているので,いろいろ使い分けるとよい。
 前半はテクニカルにということで,微妙に傾斜を付けて直角や角度の緩やかなコーナーを配置してみた。これだけじゃ面白くないってことで,途中に突然コースが途切れて斜めにジャンプして続くようなレイアウトも取り入れてみる。

 

山を抜ける地下コースを作る

 山を抜けるトンネルや,地下へ入っていくようなレイアウトを作ってみる。必ず入り口と出口が必要なので,最初に設置してしまったほうがレイアウトを考えやすいだろう。地下コースをレイアウトするときは,地上のテクスチャが消えて地下が見通せるようになる「アンダーグラウンドモード」を使う。地下コースは四方が壁に覆われた圧迫感があり,あまりに長い距離だったり,クネクネと直角コーナーが続いたりしても面白くない。勾配を付けたり,緩いコーナーでつないでブースターで加速させるほうが,スピード感も増強されて面白くなるだろう。
 いろいろなレイアウトを試してみたが,やはりトンネルに関してはシンプルな構成が一番いいようだ。ただトンネルの中を走り抜けるだけというのも面白くないので,トンネル出口手前の上り坂直前にブースターを設置して強制的に加速するようにして,アクセル全開でジャンプすると出口の天井に激突するような意地悪を仕込んでみた。

 

 

2連ループからのシビアな大ジャンプで難度アップ

 海上にあるコースへ大ジャンプした直後に直角コーナーを作り,すぐに小ジャンプして陸地のコースへ戻るレイアウトにする。ここのポイントは,直角コーナーをロスなく曲がれるかというところ。壁に接触すればジャンプの飛距離が伸びず海へ落下する。コーストで使用するスポーツカーは無理に曲げようとすると車速がガクンと落ちるので,ここで引っかかってくれると嬉しい。
 続いて,このコースの目玉というべきループ2連発からの大ジャンプを作る。ループは捻れた半円いう形でブロックが用意されており,向きを変えてつなげるだけで簡単に作れる。ループの通過自体はそれほど難しくはないが,プレイヤーを焦らせるために手前にブースターを設置して強制加速させておく。
 やはりループを回った直後に大ジャンプとなると,難度が高くなるようだ。しかも着地点は一本の細い道路ということもあり,正確にジャンプしなければならず,分かっていても海に落ちるハメになる。実際のところ作成中のテスト走行で,握っているゲームパッドを何度叩きつけそうになったことか……(自分で作っておいてナンだが)。まぁ,慣れればなんとかなるので,このまま採用することにした。

 

ハイスピードで一気にフィニッシュへ

 途中ちょいと高難度の部分があったので,ここからフィニッシュまでは微妙に難度を下げてみた。ただし,簡単すぎても面白くないので,イヤらしい仕掛けは取り入れておく。坂を登り切ったところに連続する直角コーナーを付けて,そこから一気にフィニッシュまで持って行くことにしたが,まっすぐというのもつまらないので,階段状に高低差を付けた。ついでにブースターと,コース終端に片側ジャンプ台を設置。うまくジャンプできれば中段を飛び越せるが,ここは最終段階で修正することになりそうだ。
 さらに再びコークスクリューから即ジャンプが登場。そのまま離れ小島のフィニッシュへダイブという具合だが,ここの難度はそれほど高くないはず。

 

 

コースができたらテスト走行だ

 コースが完成しても,まともに走れない部分や手直しする部分が出てくる。そのためにも念入りにテスト走行を繰り返して,改修が必要な箇所を洗い出そう。実はドライビングモードの作業中,すぐにテスト走行モードへ入れる。テスト走行を開始する地点を自由に設定できるので,1か所作ったら,その部分のみテスト走行してチェックすることも可能なのだ。ただし,部分的なチェックでは車速の違いなどで走り方に違いが出てくることもあるため,結局は全体を通して走ってみることが大切だ。コース全体のレイアウトの手直し,ジャンプポイントの変更,チェックポイントの追加など,細かい部分に手を入れていこう。

 

 

コース内を飾るアイテムを配置する

 単に地形を作り,コースを配置しただけでは,なんとも寂しい見栄えの悪いコースが出来上がる。トラックマニアでは,ド派手なスタントドライビングだけでなく,美しい風景も必要なのだ。
 海が見えるところは,地形を上げて小さな島を作ってやったり,船を浮かべてみたりするだけでずいぶんと見た目の印象が変わる。また山肌を飾る木々や岩などの建設ブロックを使えば,のっぺらぼうだった山も引き立つし,真っ平らな地面に起伏を付けてやり,木々や家を配置していけばスカスカだったコースも見違えるだろう。まぁ,あまりやりすぎると下品になってしまうので,少し賑やかなくらいがちょうど良いだろう。

 

 

完成,そして遊ぶ&配布する

 すべての作業が終了したら,フラッグアイコンの「チャレンジの証明」で,スタートからフィニッシュまで問題なく走り切れるか確認しよう。というか,命懸けで走ろう!
 というのも,ここでのタイムがターゲットタイムのデザイナーメダルのタイムとして設定され,ブロンズ,シルバー,ゴールドメダルのタイムが自動設定される。要するに,配布するときに自分の記録がデザイナーメダル(ゴールドメダル以上)のタイムとして登録され,世界に発信されてしまうのだ。ヘボヘボなタイムでは恥ずかしい思いをする可能性もなきにしもあらずなわけで,それを考えると結構怖いかも。もちろん手動で細かく設定もできるが,あまりシビアにしても仕方ないので自動設定でお任せしておくのが無難だろう。
 また,メディアトラッカーという機能がついており,レース中に登場させるゴーストデータを作成したり,ゲーム中にムービークリップを組み込んだり,スタート前やゴール後にコース紹介などのムービーを入れたり,なんてことまでエディットできてしまうのだ。

 

 すべて終了してコースを保存すれば,ゲームモードの「シングルチャレンジ」でオリジナルコースがプレイできるようになる。友人に渡したり,ネット上にアップロードしたりする方法は,前回触れているので,そちらを参照していただきたい。

 

 

 

細切れパーツの組み合わせで,大がかりな仕掛けを作る

 

 今回は比較的分かりやすい「コーストステージ」でオリジナルコース作成を行ったが,「アイランド」や「ベイステージ」では,コーストステージよりも緻密かつ派手なコースレイアウトを作成できる。平坦なコーナーや緩いバンク付きのコーナーなど,コーストでは一つのブロックとして用意されているが,アイランドとベイステージでは,4分の1パーツのバンクや,細切りにした板状のものなど,細々したパーツが用意されている。これらを組み合わせることで,チューブ上にしたり,徐々にズラして配置して捻れが緩やかなコークスクリューを作ったりなど,自由度の高いコースレイアウトが取れるのだ。

 

 

 

無限にコースが生まれるから無限に遊べる

 

 今回作成したコースが実際にはどの程度のものか分かるよう,走行ムービーを用意してみた。このムービーを見れば,TMSE,TMOを持っていない人でも,どのくらいのコースがエディットできるのか分かると思う。

 

 

UHAUHAオリジナル その1 (1分28秒:44.4MB,WMV) ダウンロード
 ところで,今回の作成したコースを見た担当編集者から「普通すぎない?」という厳しく鋭いご意見を頂戴した。そこでベイステージを使って,もうちょっとトリッキーなコースを用意してみた。見た目はトリッキーな部分もあるが,覚えてしまうと簡単という味付けにしてある。
UHAUHAオリジナル その2 (1分50秒:110MB,WMV) ダウンロード
 なお,すでにTMSEを持っているという人のために,「その1」「その2」のコースデータも用意した。興味を持ってくれたというありがたい読者は,実際にプレイしてくれると嬉しい。
UHAUHAオリジナルコースデータ その1/その2 (16.6KB) ダウンロード
※コースデータである拡張子Gbxファイルは「x:\TrackMania Sunrise\GameData\Tracks\Challenges\My Challenges」内に入れて,シングルチャレンジでプレイできる(自己責任で使用してください)。

 

 というわけで,全5回でお届けしてきた週刊連載「トラックマニア マニアックス」だが,トラックマニアのイカレ具合と面白さが少しでも多くの人に伝わったことを祈るばかりだ。こんな面白いゲームを,ごく一部のマニアの間だけで終わらせてしまうのは実にもったいない。
 まずは収録されたコースを究め,自分でコースを作り世界中のマニアを楽しませる。そして世界中のマニアが作ったコースを入手して自分が楽しむ。コースデータは嫌というほど手に入るし,これからもどんどん出来映えの高いコースが登場してくることだろう。普通のドライブゲームにはない面白さが味わえるトラックマニア。ぜひアナタも怖がらずに挑戦して,マニアの仲間入りを果たしてもらいたい。

 

 

 

■■UHAUHA(ライター・マニア)■■
というわけで6年前から4Gamerで記事を書いているのに,編集部のスタッフのほとんどが,まだ声も顔も知らない謎の人物,UHAUHA氏。どうやらお勤め先は都内のオフィス街らしく,編集部のあるビルからもそれほど遠くなさそうなので,「いつか仕事の帰りにでも立ち寄ってくださいよ」なんて話をしてから早数年。最近は「リネージュガールとかが編集部に来たときを見計らって行きたいっす」とか言っている。
タイトル トラックマニアサンライズ エクストリーム
開発元 Nadeo 発売元 オーバーランド
発売日 2006/06/30 価格 6800円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 98/2000/ME/XP/XP Professional 64-bit Edition(+DirectX 9.0b),CPU:Pentium III/500MHz以上[Pentium 4/1GHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[256MB以上推奨],グラフィックスチップ:DirectX 9対応以上,グラフィックスメモリ:16MB以上[64MB以上対応],HDD空き容量:900MB以上,オンボードグラフィックスは動作対象外,オンラインプレイ時は56kbps以上のネットワーク環境必須

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http://www.4gamer.net/weekly/trackmania/005/trackmania_005.shtml