連載 : お父さんは夢見がち


お父さんは夢見がち

第5回:高知 仁さんとひろみちゃん(前編)

 

高知 仁氏近影(松本隆一:画)。しかし,どことなく水木先生の絵のような雰囲気なのは気のせいか。ますます生命力に不安を感じなくもない

 各方面からあきれられようとも,しぶとく続く本連載である。今回登場するお父さんは高知 仁さん。将来を嘱望されたアスリートでありながら,病により若くして選手生命を断たれた,失意のスポーツマンだ。現在は指導員として若手の育成を行っているが,その練習メニューの厳しさには定評がある。
 そんなお父さんに預けられた娘さんは「ひろみ」ちゃん。高知さんはその素質を見抜き,トップ選手に育てるべく,さまざまな特訓を施すのであった。

 

 

まずは体力作りから

 

序盤の基本スケジュールは体力と運動能力,そして厳しい特訓に耐えるための精神力の向上に主眼を置いた。結果,ジム通いと空手道場,さらには部活と運動系ばかり。勉強は大丈夫なのだろうか?

 さて,ここまで何度か述べてきたが,このゲームにおける序盤の2年間,つまり中学入学までの期間は,スケジュールに組み込める事柄も多くなく,ストレスも溜まりやすいので,基本パラメータの向上に主眼を置いたスケジュールを組むのがセオリーだ。今回の目標をたいへん回りくどく言うと「エースと呼ばれ得るような,スポーツ分野での確固たるポジションをねらえ!」という次第であるからして,基本的には運動能力の向上と,特訓に耐えられる根性,つまり精神力を養うことが最重要課題となる。
 ということで,基本スケジュールとしては,基礎体力作りのためのスポーツジム通いと,運動部への所属は確定事項。なお,小学校では運動部が陸上部しかないわけだが,ランニングはすべてのスポーツの基本であるので,当面問題はない。加えて,精神力を効率よく鍛えるなら,空手道場が一番だ。
 ということで,組んでみたスケジュールだが,見事なまでに毎日何かしら体を動かしている。まあトップアスリートになるためには,早いうちから体を鍛えておくことが重要なので,実生活に困るほど勉学で劣らないならば,それでよしとしよう。
 また,あまり体力のないうちは,ストレスが溜まりすぎないよう,とくに気をつける必要がある。休日は体を休めつつ,お父さんや猫のゴエ○ン……じゃなかった犬のキューブと一緒に「お出かけ」をして,ストレス解消に努めさせる。また,余裕があれば「市民スポーツセンター」や「ファッションビル」内の「スポーツジム」などで体を鍛えることを,忘れないようにする。

 

ジムや部活で体を鍛えるひろみ。その地道な活動がエースを目指す第1歩となるのだ。いやその,やみくもにエースと言われましても……

 

 

中学入学,いよいよ選手としての第1歩

 

休日にはゴエモ○あらためキューブと散歩して,ストレスを解消し,体を休める。雨の日は蹴飛ばすのも可

 こうして小学校最後の2年間,基礎体力の強化に努めた甲斐あって,体力,精神力ともにそこそこの値をキープ。いよいよトップアスリートを目指した,本格的な活動を始めることにしよう。
 しかし,あろうことかこの中学では,メジャーな女子体育競技であるテニスができないのである。部活動としては陸上,剣道,柔道,新体操,水泳があるのだが,陸上や剣道はともかく,柔道ではY○W○R○!になってしまうし,新体操では○の伝説になってしまい,何かが「ねらえ!」なくなってしまうのだ。そもそも水泳以外の競技は,独立したスキルにもなっておらず,基本的な運動能力パラメータと関連スキルの向上につながるだけである。娘の部活動をめぐって,どういうわけか自分の存在意義に悩む高知 仁さんなのだが,前述のような理由から,水泳選手として世界を目指すことにしよう。

 

一人前のアスリートにすべく,厳しく指導する高知さん。ほめるよりもやる気を引き出すべく,厳しい言葉を選ぶのだった ジム通いなど特訓(?)の甲斐あって,体力がついたひろみ。中学になったら本格的な選手活動が始められそうだ

 

中学の部活動にテニスがない! 仕方なく,運動競技で唯一独立スキルとなっている「水泳」で,選手を目指すことにする。仁さんがかつて何の選手だったか,いい感じに揺らぎ始めるわけである。しかし,トップ選手への道のりは長い

 

そう,コートの中では一人きり,愛も苦しみも,誰も分かってくれないのですよ

 というわけで水泳部に入部し,選手としての道を歩み始めた,ひろみ。しかし,さらにこの記事のコンセプトを揺るがす大問題がある。水泳部にはひろみのあこがれとなるべき天才的な先輩もいなければ,お父さんの異母姉妹であるライバル(他校所属)もいないのであった。
 救いといえるのは,家にはときどき蹴飛ばせる猫のゴエ○ンじゃなかった,犬のキューブがいること,そして親友としてひろみを支えてくれるマキ……もとい小早川みちるがいることである。
 とまぁ,しょっぱなから「……これからどうしようか」という状況を迎えつつあるが,初志貫徹の姿勢こそスポーツマンの基本である。中学時代の週間スケジュールも基本路線どおり。基礎体力作りのためのジム通い,部活動による水泳スキルの向上に加え,休日は「お出かけ」でストレスを解消するとともに,市民スポーツセンターのプールでお父さん自らコーチとして指導することも忘れない。
 さて,基本的なスケジュールと方針は決まった。あとは今後どのように展開していくのか,ひろみは無事トップアスリートとして大成し,試合後に「チョー気持ちいい」とか言えるような選手になれるか,そしてそれまでお父さんの体は保つのか??? さまざまな疑問を持ち越しつつ,次回に続く。

 

休日は疲れをとるとともに,体がなまらないようスポーツジムや市民プールでの練習も織り込んでいく。スポーツ用品店で器具を購入し,トレーニングを欠かさないのもポイント

 

トップ選手になるべく,厳しい特訓を受けるひろみを気遣い,サポートしてくれる親友のマキ,じゃなかった小早川みちる 特訓の甲斐あって頭角を現し始めたひろみ。しかし,まだまだこれからも,特訓は続くのであった

 

 

■■田村真治(ライター)■■
国産PCゲームのみならず,スポ根アニメ/漫画もカバーしているらしいゲームライター。本連載では例によって,どのバージョンを念頭に置いてカスらせるかがポイントなのだが,そこに悩みつつ,きちっと小ネタを拾うこの人の生真面目な仕事ぶりが,子育てとはまったく別の意味で微笑ましい。
タイトル プリンセスメーカー5
開発元 ガイナックス 発売元 サイバーフロント
発売日 2007/03/03 価格 9240円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Celeron 2GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスメモリ:32MB以上[64MB以上推奨]

(C)GAINAX (C)CYBERFRONT


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http://www.4gamer.net/weekly/princessmaker5/005/princessmaker5_005.shtml