さすらいのリュート弾き(ちょっとポッチャリ型)らしく,熱いライブツアーを精力的にこなしつつも,最近は中つ国のため激しく闘うことが多くなった我らが主人公エディー。というわけで,連載第5回となる今回も,オークの指揮官を倒したり,エルフの王様に謁見したりと大活躍する彼の姿を堪能してほしい。なんとなく物騒な雰囲気の漂い始めた中つ国。彼もそろそろ人々の平和について考え始めたようだ。
今日は,この間の大興奮のオークの砦襲撃計画の続き。
大部隊で攻めたけど,敵(オーク)の守りが思いのほか固かったんで正攻法はあきらめたって話だったよね。で,オイラ達の指揮を取ってる野伏のヒスリムは,精鋭の一部隊を潜入させて敵の親玉を倒すピンポイント隠密作戦に攻撃方法を変更したんだよ。もちろん,その部隊を率いて砦に潜入するのはオイラの仕事さ。
一声かけたら志願者はすぐに集まったから,前回の総攻撃から間をおかずに出撃することにした。ついさっき総攻撃が終わったばかりで,ヤツらも油断しているに違いないからね。
行ってみたら,案の定さ。敵は壊れた砦の修理やら,負傷した仲間の手当てやらで大忙し。警備はかなり緩んでたよ。難なく潜入したオイラ達は,物陰に隠れながら砦の中心へと向かっていったのさ。うう,緊張するなあ。
中門のようなところで,門を警備していた連中と一戦交えることになったけど,幸い仲間を呼び集める前に倒すことができた。なんたって,味方の援護もないような危険な作戦に志願するようなヤツらだからね。腕のほうは,みんな超一流さ。おいらも余裕を持って,回復や攻撃ができたよ。
中門を過ぎて少し行ったら,前のほうから地響きが……。あわてて物陰に隠れたら,なんと砦の指揮官である“パコンカ”が警備兵も連れずに一人でこっちに来るじゃないか。
なんで,あんなところに指揮官がたった一人でいたのか分からないんだけど,たぶん砦の被害状況なんかを確認に出てきてたんだろう。こちらにしてみれば,千載一遇のチャンスさ。奴が十分近づいてきたところを見計らって,飛び出していって周りを取り囲んだんだ!
さすがに指揮官だけあって,たった一人とはいえかなりの激戦になった。ヤツが腕を一振りすると,周りにいた仲間がふっ飛ばされちまうし,コブシがかすめただけでも頭がクラクラしちゃうんだ。オレ様ピーンチ!
とはいえ,いかに強大なパワーを誇るトロルでも,オイラ達のチームワークの前には勝てなかった。とどめの一撃が決まった瞬間,ヤツは一声吼えてヒザから崩れ落ちていったよ。オイラ達の完璧な勝利だった。
とまあ,ここまでは良かったんだけど,問題は砦からの脱出だったね。あまりに作戦がうまくいったもんで,調子に乗りすぎたのかもしれない。何気なしに角を曲がったら,警備の一部隊とばったりと出くわしちまってさ。
あのときは,心臓が止まるほど驚いたよ。たぶん敵も,すっげえ驚いたんだと思う。数秒の間だと思うけど,その場にいた全員が凍ったように固まっちまったからな。
で,その後はもう大乱戦さ。闘っているうちに,ほかの敵もワラワラと集まってきて収拾がつかなくなり,結局はみんなで一目散に逃げ出しちゃったよ。まあ,みんな無事に逃げ出せたから良かったけど,この話の教訓は,最後の最後まで気を抜いちゃいけないってことだね。
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このオークの砦を舞台とした一連の戦いは,数多いエステルディンでのクエストの中でも核となるものだ。ほとんどがフェローシップを前提とするものだけあり,激戦に次ぐ激戦を存分に楽しめる。
砦の最奥部は,巨大なトロルのエリートモンスターが多数徘徊しているという危険な場所。だが,フェローシップのチームワークを発揮すれば,必ずや乗りきれるだろう。
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そういえば,このあいだ妙なところでフロドに会ったよ。え? 誰って,フロド・バギンズさ,知らないのかい? ホビット庄でバギンズ家っていやあ,ビルボの爺さんの一件もあって,ちょっとした有名人なんだよ。
ホビット庄の歴史に残るようなビッグなバースデイパーティを開き,煙のように消えちまったって話ぐらいは聞いたことあるだろ? あのパーティにはオイラも呼ばれててね,ライブをやったんだ。だからもちろんフロドのことも良く知ってるのさ。そのフロドがさ,なんでだか裂け谷にいたんだよ。
オイラが裂け谷に行ったのは,北連丘の現状を裂け谷にいる野伏の頭に報告してくれって頼まれたからだ。裂け谷にはそのときに初めて行ったんだけど,いやあ,びっくりするほどキレイなところだなあ,あそこ。
エルフの里であるファラスロルンもキレイな土地だったけど,それ以上だ。キレイとか風光明媚ってだけじゃなく,なんかこう風雅さみたいなものがあるんだよ。分かる? 風雅だよ。
で,そこで野伏の頭に会ったんだけどさ,驚いたのなんのって,あの馳夫だったんだよ。ブリー村の「踊る子馬亭」でたまに見かける人でね,いつも隅でひっそりしてるから,なんだか得体の知れないヤツって思ってたんだ。まさか野伏の頭とはねえ。
で,北連丘の顛末をいろいろ話したら,エルフの王のエルロンド様に会って,今の話を聞かせろとかって言うじゃない。王様に謁見するような格好はしてなかったから,ほんとは遠慮したかったんだけど,馳夫さんに無理やり連れてかれてさ。格式ばった訪問じゃないってことで,図書館で謁見することになったんだ。
そこでまたまた驚いたのが,エルロンド様の隣に,あのガンダルフがいたんだよ。そう,あの灰色のガンダルフさ。このところ見かけないと思ったら,こんな所にいたんだね。しかもガンダルフときたら,エルロンド様と親しげに話してるし,もうわけが分からなくなっちゃってさ。
なんとかかんとか無事に謁見も終えて外に出たら,とどめのビックリ,そこにフロドがいたのさ。あんなところでホビット仲間に会えるとは思わなかったから,すごく嬉しかったよ。向こうも嬉しかったみたいで,しばらく二人で散歩した。
こんなふうに,裂け谷では驚くことばかりだったなあ。馳夫はいるし,王様に会ったりガンダルフがいたり,おまけにフロドまでいたからねえ。
ただ,フロドがやけに元気がなかったのが気になるなあ。やることがあるとか言ってたけど,結局何をやるのかは話してくれなかった。うーん,馳夫といいガンダルフといい,何かを隠してるみたいなんだけど,なんなんだろうなあ。知りたいなあ。
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裂け谷は,エピッククエストの途中で訪れることとなる。ブリー村からはるか東に位置しており,トロルの森という物騒な名前の森を抜け,川を渡り,高い山を越えると,やがて美しい谷間が見えてくる,そこが裂け谷だ。
ここに着いたら,ぜひともグラフィックスオプションを最高に設定して,裂け谷の美しい風景を堪能してもらいたい。アラゴルンをはじめ,ガンダルフ,フロド,サム,ピピンなど,指輪物語でお馴染みの人物達と出会えるのもたまらない。
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塚山のことはこないだも話したと思うけど,その奥に巣食っている悪霊の親玉を退治しに行った話をするよ。
ブリー村の踊る子馬亭の前で,ネランディールってヤツに話しかけられたのが始まりだった。ライブが終わって,外に出てきたらネランディールがいたんだよ。
サインでもせがまれるのかと思ったら,塚山の悪霊を退治してくれときたもんだ。オイラが,ブリー村の幽霊の頼みを引き受けて成仏させてやったっていうのを聞いて来たらしいんだね。ちょうど,しばらくライブの予定もなかったんで引き受けることにしたのさ。
悪霊のボスはサムブログっていう奴で,塚山丘陵の洞窟の一番奥にいるらしいことが分かってたんで,村で仲間を募ってさ,みんなで意気揚々と塚山に向かったんだ。
おいらも戦いには慣れてるからね,途中,絡んできたアンデッドなんかちょちょいのちょいで叩きのめして,その洞窟に入っていったんだ。
洞窟の中は,でっかいクモやらわけの分からん虫みたいなの,あとは骸骨や幽霊といったアンデッドの巣だった。そいつらをぶちのめしながら奥へ進んでいくと,やがて大広間みたいなところに出たんだ。
一歩足を踏み入れた途端,なんかここは違うぞって感じたけど,その予感は当たっていた。やがて奥の方から,何かがゆっくりと現れたのさ。そう,それが塚山の悪霊の親玉,サムブログだった。
さすがにアンデッドのボスって言われてるだけあって,かなり強かった。斬ろうが殴ろうが,一向に倒れやしないんだ。しかもそいつ,ときおり妙な息を吐きかけてきて,そいつを吸い込むと不思議なことに闘う気力がなくなっちまうんだ。これは強敵。
幸いなことに,奴の取り巻き連中がいなかったこともあって,なんとかぶちのめしてやったんだ。当たり前だろう,だからオイラ,こうして話なんかできるんじゃないか。負けてたら,きっと今頃は塚山の中でアンデッドの仲間入りをしていたよ。
サムブログを倒して,さらに洞窟の奥に向かったら,なんと古森のほうに出ちまったんだ。そっから帰るのが,また大変だったなあ。古森の中は昼でも薄暗いし,道は曲がりくねってまるで迷路だからね。
案の定,迷っちゃってさ。いつの間にか一緒に歩いていた仲間ともはぐれちまうし,どうしようかと思っていたら大きな滝のところに出た。そこには,それはそれはキレイな
おねーちゃんがいたんだ。
その人がゴールドベリーだったんだ。オイラ,あんなきれいな人を見たのは生まれて初めてだよ。キレイなだけじゃなく気品と優雅さがあって,それでもってオイラみたいなホビットにも優しいんだ。
道に迷って腹ペコだったオイラに,食べ物を分けてくれてね。で,食べながらいろいろ話をしているうちに,ある頼みごとを引き受けることになったのさ。
ホビットは食べ物の恩義は一生忘れないし,だいいちゴールドベリーみたいなキレーな人の頼みだったら,なんだって引き受けちゃうよね。へへへ。
おっと,間もなくステージが始まっちまう。ま,この話の続きはステージが終わったらしてやるよ。さあて,今晩も熱いライブをぶちかましてやるか!
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アンデッドが彷徨う塚山丘陵には,インスタンスダンジョンが用意されており,その中には一般のモンスターとは比べ物にならないほど高い士気や気力を持つエリートモンスターが,たくさん徘徊している。
とくに,今回のエディーの話に出てきたサムブログを退治するクエスト,「悪の最終章」は,この塚山丘陵の中でも最難関だ。それだけに,クエストをコンプリートしたときの喜びもまたひとしおである。一騎当千の勇者を募り,ぜひこの難関クエストに挑んでみよう。
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Illustration by めざし
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このところ野伏達と戦いに赴くことが多く,ますます逞しく,ミュージシャンとはほど遠くなりつつあるエディーだが,相変わらず美人には目がない。
ゴールドベリーとの出会いを話す彼の表情は昔とちっとも変わっておらず,「ああ,やっぱりホビットのエディーだ」とちょっとホッとした筆者であった。