連載 : 奥谷海人のAccess Accepted


奥谷海人のAccess Accepted
2007年5月2日掲載

 当連載の第60回で,ゲーム関連グッズを紹介したのだが,今回はその第2弾をお届けする。前回は,実際に販売されている「商品」のみを紹介したが,今回はその消息が気になる周辺機器からこれから発売されるものまで,バラエティ豊かな五つ(+1)の珍品を紹介しよう。

 

ゲーマーのための珍品集2

 

あのPhantomはどうなったのか?

 

 2年半近く前に,当連載でPhantomというハードウェアについて説明したのを覚えているだろうか? これは,Infinium Labsが手がけたゲームをオンラインでのみ提供するWindowsベースのゲーム機。Xboxを生んだ“四天王”の一人,Kevin Buchus(ケビン・バッカス)氏がInfinium Labsの経営に加わるなど,そこそこ話題になった製品だ。しかし,発売の遅れや会社運営力の欠如で宣伝もままならず,前述のBuchus氏も不満を示して辞職するなど問題が続き,我々のレーダーからも徐々に消えることとなった。

アメリカのメディアから「2006年Digital Life発明賞」にノミネートされたらしく,さすがに発売も迫っているようだ。ただ,発明といっても,ソフトに合わせてキーセットを交換できるというような,どこかで聞いたことがあるような仕様になっている

 ふと「あのPhantomはどうなったのだろう?」と疑問を抱き,公式サイトにアクセスしてみた。すると,どうしたものか。あのPhantomゲーム機の姿はなくなり,PCの周辺機器が紹介されている。
 もちろん,まだサイトには「Phantom Game Service」と呼ばれる,オンライン配信システムの情報は載っているものの,その詳細については,まさにPhantom(亡霊)そのものだ。その代わりといってはなんだが,ワイヤレス式のキーボードとレーザーマウスを一体化させた「Phantom Lapboard」という製品が発表されている。
 このPhantom Lapboardは,PCをHDテレビにつないだメディアセンターでの利用を念頭に置いている製品のようだ。その名前からも,ソファーに座りながらオンラインゲームを楽しむというようなイメージがうかがえる。やがてオンライン配信サービスが始まる頃にはオフィシャルな機器となることは想定できるが,とりあえずはPhantom Lapboardだけでも先行発売して,売り上げを立てたいのかもしれない。

 さて,前置きが長くなったが,ゲーマーとしてちょっと気になる珍品を再び集めてみたので紹介しよう。

 

Half-Life 2 ヘッドクラブ帽子
カテゴリ:ファッション

2007年5月2日現在,売り切れています

 「ヘッドクラブにコントロールされてみたい」という人がいるかどうかはかなりの疑問だが,Valveの公式サイトで販売されているのが,ヘッドクラブの帽子だ。ヘッドクラブとは,Half-Lifeシリーズに登場する地球外生物のことで,取りついた人間をゾンビ化し,本体を意のままに操るという能力を持っている。
 これから夏に向けてフェルト地の帽子をかぶるのは暑苦しいが,クーラーがガンガンかけられたカフェで,写真のようにすまし顔のまま,真面目な本を読むといいかも。あと,失態をしでかした場合にヘッドクラブのせいにするというのはお約束的な使用方法かもしれない。

Project Epoc
カテゴリ:−

 「最新の脳波探知テクノロジーで,かぶるだけでゲームが動く」というEmotiv Systemsが開発中の「Project Epoc」。脳から発せられる微弱な電波シグナルを解析し,ユーザーの思考や感情をリアルタイムに読み取れる。手足の動きも感知し,アクションゲームなどにも応用できるのだという。
 写真は研究所などでの利用を目的にしたプロ仕様のモックアップだが,一般消費者用の製品もリリースされる見込み。ソフト開発には,三つのプログラムからなる開発キット「Emotive Development Kit」が必要ということだ。

Cocktails in the Cantina
カテゴリ:音楽CD

 目を閉じると,映画「スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望」に出てきたバー「カンティーナ」にいるような気にさせてくれるのが,この「Cocktails in the Cantina」という音楽CDだ。ちなみに,カンティーナはハン・ソロとチューバッカが雇われたバーで,エイリアン達がジャズに耳を傾けながら酒を飲んでいた。

 ジャケットにスター・ウォーズのロゴがなくて心細いが,メジャーなオンラインサイトなどで販売されているので,ライセンスなどはクリアしていると思われる。映画のオーケストラミュージックがすべてビッグバンド風のジャズにアレンジされ,いかにもカンティーナで演奏されていそうな感じだ。ちなみに,検索するとファンクにアレンジされた「Star Wars Galactic Funk」など,いろんなスター・ウォーズ系のCDがあるのに驚く。

G-Flex Sound Booster
カテゴリ: 家具

 スピーカー付きの椅子を,長らく開発してきたPyramatだが,値段の高さと大きさがネックになり,ヒットには結びついていなかった。ところが,2007年になって市場価格が40ドルを下回る廉価版「G-Flex Sound Booster」を投入。お手ごろな価格が受け,ヒット作になりそうな雰囲気を漂わせている。折りたたみ可能なコンパクトさもウリだ。
 MP3プレイヤーやテレビのほか,各種コンシューマ機もサポートされている。PCの対応が明記されていないのは,この姿勢でPCを使うアメリカ人が少ないからだろう。RCAジャックがあるので接続は可能であるはずだ。日本であれば,“コタツにキーボード”のときに重宝するかもしれない。

Manhunt 2
カテゴリ:ソフトウェア

 最後に紹介するのは,グッズではなくゲームそのもの。反ゲーム弁護士Jack Thompson(ジャック・トンプソン)氏と,とりあえずの休戦に持ち込んだRockstar Gamesが,この8月にリリースを予定している「Manhunt 2」。現在のところ,PlayStation 2,PSP,Wiiでの発売が発表されているだけで,PC版は予定されていないので,珍品グッズとしての紹介をご容赦いただきたい。
 殺人ビデオを撮るために雇われた主人公が,より決定的な瞬間を求めて犯行に及ぶという内容の前作は,“殺人シミュレータ”とも揶揄されるほどの問題作。本作では,ストーリーや設定のすべてが変更され,反暴力ゲーム陣営を黙らせるだけの仕掛けがいくつもあるそうだが,Wiiリモコンに対応した残虐アクションになるのだろうか? 前作であったガラスの破片を使って首を掻き切るシーンなど,果たしてWiiリモコンに対応していると,かなり生々しくなってしまいそうだが……。

 

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。最近,新しい車を購入した奥谷家。少し離れた街に研修に出かけている奥さんと,車の争奪戦を繰り広げているとか。とはいえ,自宅勤務の奥谷氏には,車に乗る大義名分がなく分が悪い。仕方なく,「今日は子供を学校に送る」とか「大きな毛布を洗いにランドリーに出かける」などと,用事を自ら作り出し,なんとか車に触れる時間を作り出し勝った気でいるそうだ。どうやら,奥さんにうまく操縦されていることに,気がついていないらしい。


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