― 連載 ―

The Art of Guild Wars
第3回:いつでも組み替えられるスキル/アトリビュート体系
プレイヤーのテクニック要素が大いに介在するスキル

Guild Warsはアクション性を重視したオンラインRPG。対人戦を指向しており,アクションRPGとして軽快さ,選べる戦術の多様さがウリだ

 「Guild Wars」における"スキル"とは,ゲームに登場する6種類のProfessionそれぞれにちなんだ特殊能力のことである。スキルはProfessionごとに分かれており,合計で約470種とかなり多い。プレイヤーはゲームを進めることでこれらスキルを少しずつ習得し,各Professionの性格に沿った戦術が可能になっていくわけだ。

 プレイヤーがスキルを習得する手段は,3通りに大別される。最もオーソドックスなのは,クエスト達成時の報酬として得るパターン。次に,拠点エリアでNPCから購入するという方法がある。最後は,ゲーム中盤以降で習得できる特殊スキルを用い,レアモンスターからキャプチャーするというものだ。キャプチャーするタイプのものは"エリートスキル"と呼ばれており,習得は難しいが際立った効果を持つ。

 各スキルは,Professionごとに5〜6系統用意された"アトリビュート"に属している。例えばWarrior用のアトリビュートは,"Strength","Axe Mastery","Hammer Mastery","Swordsmanship","Tactics"の五つ。そして,例えばSwordsmanshipには,一度負わせた傷を再度狙って追加ダメージを与える"Gash"というスキルがあるし,Hammer Masteryにはハンマーの強烈な一撃で敵をノックダウンさせる"Hammer Bash"があるといったように,アトリビュートに大きく関連している。理由は後述するが,各スキルがどのアトリビュートに属しているかは非常に重要な事柄である。



 スキルはやみくもに使うのでなく,どんな状況で使うと効果的かを常に意識しておいたほうがよい。例えばMesmerの"Crippling Anguish"というスキルは,対象の移動速度を半分に減らし,更に継続ダメージを与えるという効果がある。これを近接攻撃タイプの敵に用いれば,敵が味方のところに到達するまでの時間を伸ばせるし,敵から遠ざかりつつ攻撃すれば,遠距離から一方的にダメージを与え続けることも可能だ。それに対して敵が間接攻撃タイプの場合,攻撃を阻止する手段にはならないわけだが,逃げ足を奪う目的なら,それはそれで意味がある。
 場面に応じたスキルの選択はRPGにおける戦闘の基本ともいえるが,Guild Warsではとくに高い比重を占める。極端な話,同じ"スペック"のキャラクターでも,プレイヤーのテクニックによって発揮戦力はまったくといっていいほど変わってくる。この,アクションゲームにも通じるテクニック要素も,Guild Warsの大きな魅力といえよう。

画面下にある8個のスロットは,スキルのショートカットボタン。これらを使いこなすのがプレイのポイントだ "Skill Unlocked!"の文字に注目。スキル習得の手段は,クエスト達成時に報酬として得られるパターンが一番多い NPCからスキルを習うこともできるが,その場合金銭などが必要。クエストでもらえるのと同じスキルも,一部ある

戦闘に,どうスキル使用を挟み込むか考えるが面白い。スピード感のある戦闘ながら,非常に奥が深いのだ スキルの詳しい説明は英語で書かれているが,とりあえずモンスターに使ってみれば,おおよそは理解できる どのProfessionでも,最初に習得できる2種類のスキルは使いでのあるものになる。まずはこれらを使いこなそう

アトリビュートと関連スキルを絞り込むのが重要

レベルアップ時には,キャラクターが光で包まれる。アトリビュートポイントの割り振りを忘れないように

 最初に習得したスキルを使いこなし,クエストを3〜4個達成するころには,キャラクターがレベルアップしているだろう。HealthやEnergyをはじめとした基本ステータスが上昇するのはもちろんだが,レベルアップはそれらにも増してスキルの効果に多大な影響を与える。これについてしっかり覚えておこう。

 各スキルはアトリビュートと呼ばれる系統に属していることはすでに述べた。キャラクターはレベルアップ時に"アトリビュートポイント"を獲得し,これを好きなアトリビュートに割り振ることが可能となる。すると,そのアトリビュートに属するスキルすべてがパワーアップするのだ。例えばWarrior用の"Hammer Mastery"にアトリビュートポイントを割り振ると,"Hammer Bash"や"Crushing Blow"をはじめとした10以上のスキルの効果が上がる。

アトリビュートの数はかなり多い。器用貧乏になると割に合わないので,2〜3種類くらいに絞ってポイントを注ぎ込もう

 アトリビュートへのポイント割り振りは,次の段階に達するためのポイント数が次第に増えていくようになっている。また,獲得できるポイント数には限りがあるため,すべてのアトリビュートを強化することはできない。集中的に鍛え上げるアトリビュートを決め,それに属するスキルを選んでいくしかないのだ。
 これによって,同じWarriorのキャラクターでも,ある人はHammer Mastery中心で,別の人はSwordsmanshipが主体といった個性が出てくるのである。

 連載第1回でも軽く触れたが,一度割り振ったアトリビュートポイントを元に戻して,振り直せるのも重要な点だ。例えばSwordsmanshipを専攻していたWarriorが,キャスタータイプの強力なボス敵に遭遇して,「ハンマーによるスタン攻撃で詠唱中断を狙ってみたい!」と感じることがあるかもしれない。また逆にHammer Masteryを伸ばしていたWarriorが,優れたマジックアイテムの剣を入手したので,性能を最大限に引き出すためスキル構成を見直したいということもあるはず。Guild Warsではそういった場合,いつでもキャラクターの方向性を見直すことが可能となっているのだ。

スキルが属するアトリビュートにポイントを注ぎ込むことで,効果は上がる。説明文の数値が変わっていることに気が付くはずだ "Attribute Refounds"の回数だけポイントを振り直せる。この回数は経験値の獲得につれて増えていくので,気軽に変更できる

 なお,Guild Warsには剣や弓,杖などさまざまなタイプの武器が登場するが,どのProfessionでも装備すること自体は可能だ。しかし,武器ごとにアトリビュートのランクが設定されており,それを満たさないと存分に威力を引き出せない。
 例えばMesmerが本格的に剣を使おうと思った場合は,セカンダリ用のProfessionにWarriorを選び,さらに"Swordsmanship"にアトリビュートポイントを注ぎ込む必要がある。得意とする武器はProfession選択のさらに先,アトリビュートによって決まると考えてよいだろう。ちなみに防具に関しては,プライマリのProfessionに応じたものを使うルールになっている。

 ゲームが進展するにつれて,キャラクターが習得するスキル数は100種類以上にもなる。しかし,一度の冒険でスキルスロットに登録できるのは8種類のみ。この制限も実に悩ましく,そして考えがいのある部分といえよう。
 Guild Warsでは目的に応じてスキル構成を頻繁に入れ替えるのは当たり前で,ときにはアトリビュートですら根本から見直すことになる。カードゲームでデッキを作る感覚に近いのだが,この試行錯誤が非常に面白く,同じキャラクターでもさまざまなプレイスタイルが可能となっているのだ。

武器の発揮能力は,アトリビュートのポイント数に関連している。これさえ満たしていれば,キャラクターレベルは関係がない スキルスロットの入れ替えは拠点エリアのみにおいて行える。スキル数がとても多いため,構成を悩み抜くのが面白い いろいろなタイプのモンスターが登場し,それに対応できるスキルを選ぶ。自分の狙ったスキルによる戦術が決まると,痛快だ

セカンダリ用のProfessionでさらに個性豊かに

一人のキャラクターに対し,二つのProfessionに由来する個性を盛り込める。それによってさまざまな方向への成長が可能となるのだ

 スキルやアトリビュートポイントに関しては,比較的簡単に選び直せることが理解してもらえただろう。しかしキャラクターの能力を左右する事柄のなかで,一度決めたら後戻りができない要素もある。そういった意味においてゲーム中最大の分岐路ともいえるのが,セカンダリProfessionの選択だ。

 前回述べたとおり,セカンダリといっても,プライマリに選んだProfessionと比べて大幅なペナルティはない。例えば"Monk/Warrior"というProfessionのキャラクターが,Monkが得意とする回復スキルを一切使わずに,前線で剣を振るうのもアリだ(いや,仲間からは回復してくれと言われるかもしれないが)。セカンダリ用のアトリビュートにポイントを注ぎ込んでよいのだ。

セカンダリProfession獲得のクエストを遂行中。お試し期間中に,スキルを含め,あれこれ試してから決めても遅くはない

 どのようなProfessionの組み合わせでも,アトリビュートポイントとスキルの構成さえ適正であれば,苦労することはまったくない。とはいえ,プライマリとセカンダリの違いも一応あるので覚えておこう。
 前回触れた防具の違いもさることながら,一番大きいのは,プライマリに選ばないと出てこない限定のアトリビュートが,各Professionに一つずつ用意されていることだ。これにポイントをつぎ込むと,スキル使用以外のメリットを発揮する。
 例えばNecromancerのプライマリ限定アトリビュート"Soul Reaping"には,敵味方問わず周囲でキャラクターが死亡したときに,自分のEnergyが回復するという効果がある。これらのプライマリ限定アトリビュートはべつに使わなくてもよいのだが,かなり強力なので実際のところ大半のプレイヤーがある程度ポイントを割り振っている。伸ばすアトリビュートを考えるときにはぜひ考慮したい。

 セカンダリProfessionを確定するまでの間,ゲーム中では冒険エリア各地のクエストで,いろいろなProfessionを一時的に試せる。実際にいくつかのセカンダリProfessionのスキルも習得できるので,各Professionの大まかなイメージを掴めるはず。セカンダリProfessionの完了報告クエストを行うまでは,何度でも選び直せるので,自分に合った方向性を探ってみるのがよいだろう。

装備できる防具のタイプは,プライマリProfessionで決まっている。一方武器に関しては,Professionに関係なく装備できる セカンダリProfessionまで含めると,スキルの数は膨大になる。成長させるアトリビュートを決めて絞り込むのがコツだ
二つのProfessionの組み合わせが,キャラクター育成のキモ。セカンダリに選んだProfessionも,プライマリにほぼ遜色なく使える 報酬としてスキルを習得できるタイプのクエストは率先して行いたい。クエストの課程で経験値やアイテムも得られ一石二鳥だ

■■川崎 政一郎(ライター)■■
RTS,MMORPGを得意分野として,ゲーム雑誌/Webメディアで活躍するゲームライター。先ごろ唐突に「もっと仕事ありませんか〜」と打診があったので,何事かと思ったら,部屋のクーラーが住人より先に猛暑で音(ね)を上げたとのこと。現在クーラー代を捻出するための仕事を絶賛募集中らしい。うーん,リスペクト(クーラーを)。
タイトル ギルド ウォーズ
開発元 ArenaNet 発売元 エヌ・シー・ジャパン
発売日 2006/01/27 価格 オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
 
動作環境 Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(PentiumIII/1.0GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 500MB以上,VRAM 32MB以上(64MB以上推奨)

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