以前の回では,もっぱら「Guild Wars」の個性的なゲームシステムをピックアップして解説してきた。今回は少々方向性を変えて,RPGモード全体がどのような流れで進むのか,いわばその前半部分を整理しておこう。

テンポの良い戦闘を満喫できるアクションRPG「Guild Wars」。「RPGモード」でスキルを揃え,「PvPモード」での対人戦に備える
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PRGモードのプレイを開始した直後は,クエストやスキル等の基本操作を覚えながら冒険を行うという,いわばチュートリアル的な段階にある。そして前回でも紹介したように,セカンダリ用のProfessionを決め,この時点でのキャラレベルは3前後といったところ。そのほか大小さまざまなクエストをこなしていけば,レベル5くらいまではとくに考えることなく進められるだろう。
しかし,ゲームの序盤ともいえるこの段階に,ダイナミックなイベントがいきなり発生する。冒険者の活動拠点ともいえる城塞都市Ascalonが,モンスターからの大規模な襲撃を受けてしまうのだ。これは兵士達には防ぐことができず,プレイヤーの眼前でAscalonが見るも無惨に破壊されてゆく。そして時は流れ,2年が経過する。その荒廃した世界において,また新たな冒険が始まるというわけだ。

Ascalonを拠点にしている間はチュートリアル段階といえる。セカンダリProfessionの習得などを経て,ゲームシステムに慣れていこう
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このように,後戻りのできないイベントがゲーム序盤に発生するため,プレイに当たってはくれぐれも気をつけたい。例えばやりかけのクエストがあっても,Ascalon崩壊時にはリセットされてしまうのである。もっとも,Guild Warsには実に多くのクエスト用意されているので,そもそもコンプリートしようと考える必要はない。スキルを獲得できるクエストを一通りこなし,ゲームシステムを大まかに把握したと思ったら,崩壊イベントを進める,くらいの認識で構わないだろう。
Ascalonの崩壊後は,基本的なゲームの進め方が変わる。今まではAscalonという拠点を中心に,周囲で発生するクエストを順にこなしていった。それに対して崩壊後は,"ミッション"と呼ばれる個々のシナリオに沿ってプレイし,世界中に点在する拠点を旅しつつ進めてゆくのだ。このミッションは全部で25種類あり,Ascalonのような拠点がほかにもたくさん登場するのである。
そのため,ゲームの舞台はのどかな田園地帯や山岳地帯,雪原やジャングル,砂浜や砂漠というように,目まぐるしく変わる。掲載画像を見てもらえば分かるように,Guild Warsではこれらの風景の描写が実に素晴らしい。また,例えば屋外から屋内へ移動した瞬間に画面全体が暗転したりといった演出も工夫されている。プレイ時にはそうした新鮮な光景を満喫しながらキャラクターを成長させ,ストーリーを展開させていくわけだ。
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赤字で説明されるクエストは要注意。二度と戻れないイベントが立て続けに発生するため,その前にやり残しがないか確認しよう |
崩壊前に,蘇生スキル"Ressurection Signet"の習得クエストはこなしたい。グループを組んで城外へ出るだけの簡単な内容だ |
やがてAscalonは敵の急襲を受けてしまう。堅固な城壁は崩れ落ち,人々は逃げまどい,見るも無惨に都市が破壊されてゆく |
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そして瞬く間に2年が経過し,プレイが再開される。画像は同じAscalonの景観だが,以前とは雰囲気がまったく違っている |
ちなみにこれが,Ascalonを襲撃した獣人の"Charr"。初期のミッションでは,このCharrを相手に奮闘することになる |
プレイヤーはミッションを通して世界各地を冒険してゆく。各地域のグラフィックスは美しく,景色を眺めるだけでも十分楽しめる |

序盤のミッションで行動を共にする"Prince Rurik"。悪い人ではないが,国を復興したいという気持ちがあまりにも強すぎる
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Ascalon崩壊後のRPGモードは,前述のように全25種類ある"ミッション"を軸にゲームが展開してゆく。ミッションをクリアすることで,新たなエリアへの冒険が可能となるのだ。またミッションのクリア時には,経験値などの報酬も得られる。冒険者はミッションをクリアすることで活動範囲を広げ,レベルアップも同時に行えるわけだ。
ミッションの目標には,「ボスを倒してこい」といった単純なタイプは少ない。敵の拠点を偵察したり,投石器を組み上げて敵の野営地を一掃したり,はたまた敵対勢力と陣取り合戦を行ったりと,多岐にわたるのだ。ミッション中のストーリー的ギミックも豊富で,飽きずにプレイできる。

RurikのProfessionはWarriorで,とても頼りになる。ミッション時は斬り込み隊長として,大いに活躍してくれるだろう
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個々のミッションは,RPGモードのメインストーリーと密接に絡み合っている。序盤のストーリーを簡単に説明すると,最初はAscalonの王子"Prince Rurik"がNPCとしてプレイヤーと行動を共にする。そして,今も都市近辺で活動を続ける獣人"Charr"族との攻防に明け暮れる日々が続く。それが一段落した後は,Rurikの父でありAscalonの国王である"King Adelbern"も登場するが,国を復興しようとする目標は同じでも,意見の相違により二人は袂を分かつ。プレイヤーは引き続きRurikに付き従うも,彼には凄惨な運命が待ち受けている……といった具合だ。このようなストーリーがプレイヤーを交えながら展開されるため,ゲームにより一層没入できる。
各ミッションの難度に関しては,序盤は4名までのグループでプレイするミッションが主流を占め,攻略時間は平均で1〜2時間といったところ。そしてミッションをこなしていくにつれ6名あるいは8名と,参加できる人数が大きくなってゆく。「Diablo2」と違って,参加人数に応じて難度を自動調節するシステムは存在しないため,推奨人数未満でのクリアはかなり難しい。
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次のミッションがどこで行われるかについては,広域マップを確認するとよい。ここでアイコンが点滅している都市が対象となる |
ミッション中の目標は,随時画面に表示される。かなり具体的な説明内容なので,何をやったらよいのか戸惑うことはないだろう |
と,ここまで読むと「ファイナルファンタジーXI」のミッションのように,メンバー集めだけで数時間単位といった,非常に手間が掛かりそうなイメージを抱く人もいるだろう。その点,Guild Warsはまったく違うので安心してほしい。
各拠点には"Henchman"と呼ばれるNPCの傭兵が配置されており,これを雇うことで極めてスムースなゲーム展開が可能なのだ。自分が遊びたいと思ったら,すぐに始められる手軽さは非常にありがたい。HenchmanはProfession別に存在し,主に現時点でのグループ編成の穴を埋める形で雇用する。この場合,取得経験値や金銭はHenchmanも含めた人数で分散されてしまうものの,トータルの戦力は何倍にもなるので,とりあえず補充して損はない。武具などの戦利品も,自分の分はきちんと手に入る。
HenchmanのAIはなかなか賢く,Professionに応じたスキルをしっかり使ってくれるので,ミッション時に足手まといになるようなことは少ない。今のところGuild Warsの日本人プレイヤーはあまり多くないため,英語が得意でない読者は,どうやって仲間を集めたらいいのか不安に感じているかもしれない。また,社会人などのプレイヤーは思うように時間を確保しづらいということもあるだろう。
しかしGuild Warsでは極端な話,ゲーム起動後たった30秒でHenchmanを集めてミッションを始められる。"戦闘以外は極力シンプルに"という基本コンセプトが,ここでも生かされているのが分かってもらえるはずだ。
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ミッションごとに目的は大きく異なり,飽きのこないプレイが可能。画面はCharrの追っ手を振り切り,偵察結果を報告している場面 |
ミッションを無事にクリアすると,経験値などの報酬を得られる。ストーリーを進めつつ,同時にキャラのレベルアップも図れるのだ |
すべての拠点にはこのようにHenchmanがおり,必要なときにいつでも雇用できる。Guild Warsでとくによく考えられている部分だ |

Ascalon崩壊後のプレイはグループ単位での行動が基本となる。Henchmanを含めたグループ戦闘のノウハウを意識してプレイしよう |
次に,グループで行動するときのコツをいくつか紹介していこう。まず編成面で気をつける点としては,何はともあれヒーラー役,すなわちMonkが少なくとも一人は欲しいということ。プライマリのProfessionとして選択しているMonkキャラが望ましく,そして回復系のスキルが中心の"Healing Prayers"アトリビュートをきっちり上げていることが条件となる。もしMonkのプレイヤーが見つからなければ,Henchmanを入れてでも確保したい。
Guild WarsにおけるHealthの自然回復はかなり速いものの,戦闘時にはどうしても追いつかなくなる。これをサポートするための"Healing Prayers"は何よりも重要で、Monkがいないことにはミッションが始まらないとまでいわれているのだ。見方を変えれば,もし自分のキャラクタがMonkであれば,大いに歓迎される。「Monk Looking for mission!」(Monkです。ミッション探してます)とエリアチャットで言えば,かなり速やかにグループに招待してもらえるはずだ。
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Monkは仲間の蘇生を行えるため,重宝される。たとえグループが半壊しても,Monkさえ生き延びていれば復旧できるのだ |
Monkがいないと,安心してミッションを始められない。写真はグループの最後の枠をMonk用に空け,片っ端から招待しているところ |
Monkに次いで重要なのは,最前線で敵をがっちりと受け止めるタンク役,つまりWarriorである。モンスターの位置を固定できれば,防御の薄い後衛役も安心して活躍できる。
例えばElementalistには10秒間炎の雨を降らせる"Fire Storm"というスキルがある。これは任意の"範囲"が攻撃対象となっているため,かりにモンスターがちょこまかと動き回っていたら,効率的にダメージを与えられない。後衛の安全を確保するにも,有効な攻撃を行うにも,タンクの役割は重要だ。
以上の2点がグループ編成時の大前提で,それ以外のメンバー構成はある程度好みで選んでかまわないだろう。
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Warriorがモンスターをがっちり受け止めてくれれば,ほかのメンバーは思い通り動ける。タンク役もグループに一人は欲しい |
Elementalistによる強力な攻撃スキルが炸裂! おのおのが役割をこなし,チームプレイが決まった瞬間はとても気持ちがいい |
グループでの戦闘時に気をつけたいのは,集中攻撃/各個撃破を実現する方法についてだ。例えば仲間と一緒にプレイする場合は,WarriorやMesmer,Rangerなどのキャラクターが"ターゲッター"役を担当し,それ以外のメンバーがアシストすればよい。
これに対して,Henchmanを雇っている場合には注意が必要だ。例えばプレイヤーが,途中で攻撃対象を変えたりすると,Henchmanは今しがた瀕死に追い込んだモンスターが目の前にいても,そのまま放置してしまうことがある。今ひとつ思ったとおりに動いてくれない場合があるのだ。
例えばMesmerや,"Curse"アトリビュートを専攻したNecromancerは,弱体化魔法を得意とする性質上,現在集中攻撃をかけているのとは異なるモンスターをターゲットすることも多い。このような方向性のキャラクターは,基本的にプレイヤーに追従するHenchmanとはあまり相性が良くないのである。
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モンスターの特殊攻撃で道を塞がれてしまい,近接攻撃では届かない。こうした場合,間接攻撃系のスキルを活用せねばならない |
どのスキルを用いるかによって,ミッションの攻略法は大きく違ってくる。自分に合ったプレイスタイルを模索したいところ |
ただし,MesmerやNecromancerのすべてがHenchmanと相性が悪いわけではない。例えばMesmerで攻撃系スキルを主体にした場合や,Necromancerで"Curse"以外のアトリビュートを伸ばした場合がそうだ。そして,グループの編成に応じてスキル,場合によってはアトリビュートすら変更できることがGuild WarsのGuild Warsらしい部分なのである。
以上の基本要素に留意しつつ,自分なりにグループを最適化してミッションに挑戦してみよう。戦闘時のアプローチは数限りなく存在する。その試行錯誤も大きな楽しみの一つといえよう。