― 連載 ―

Dungeons & Dragons Online: Stormreach

第2回 ローグのいないパーティで罠に突撃してしょんぼりの巻

6人のパーティでの行動が「Dungeons & Dragons Online」のスタイル。各自が自分の役割を演じるという,ロールプレイングゲームの原点に立ち返った作品だ

 RPGの元祖として名高い「Dungeons & Dragons」の,公式ルールを採用した初のMMORPGであり,正統派ファンタジーの世界観が魅力的な「Dungeons & Dragons Online」(以下,DDO)。欧米で2006年3月に正式サービスが開始されたばかりだが,硬派なRPGプレイヤーを中心に,じわじわと人気が拡大している。日本ではさくらインターネットによる運営が決定済みで,今後の展開が楽しみだ。

 

 DDOはテーブルトークRPGを母体としているだけあって,“最大6人でのパーティ行動”が基本であり,同時に神髄となっている。メンバーの力を結集して,どうやってクエストをクリアしていくのか,あるいはパーティの中で自分のキャラクターがどんな役割を演じられるのか,という点がDDOを楽しむうえで重要だ。連載第2回以降は,この「パーティプレイ」に焦点を当てながら,毎回違うメンバーでの珍道中を通してDDOの魅力をお伝えしていきたい。

チュートリアルの間だけソロプレイ

 前回,勢い余って「Wisdom」(判断力)の足りないパラディンを作ってしまい,しょんぼりした筆者。いきなり前途多難な気配だが,その代わりに得た高い「Charisma」(魅力)は,きっと先々役に立つはず。それに,呪文をあきらめるのはまだ早い。「呪文を使う方法を探る」のも,きっと旅の目的の一つになるのだ。

 

 と,前向きに考えたところで「いざ出発」といきたいところだけど,ゲーム開始直後からいきなりパーティ行動はできない。DDOでは,まずいくつかの簡単なチュートリアルをこなす必要があるのだ。ここでつまずく人がいては気の毒なので,手順を解説しよう。チュートリアルのチュートリアルである。

 

(1)Smuggler's Rest
 チュートリアル用の小さな島。キャラクターメイキングが終了すると,すべてのキャラクターはここに降り立つ。まずはこの島で,移動や戦闘,クエストの受け方など基本的なことを学ぶのだ。ここでしなければならないことは,以下のとおり。

  • 建物の入り口にいる衛兵と話し,さらに酒場のマスターと話す
  • 酒場の奥にいるEuphoniaという女性からクエストを受ける
  • 近くにある扉からダンジョンに入り,五つの宝石を集める(クエストを完了する)
  • 酒場の外に出て先に進み,四つの扉の中で自分に合った訓練(ファイター系,ウィザード系,クレリック系,ローグ系)を受ける
  • 船に乗って次の目的地へと出発

 

(2)Harborエリア
 船は小さな港に到着。この大陸がゲームの主な舞台となる。ここは「Harbor」という岸沿いのエリアだが,衛兵が門を閉じているため,行動範囲はごく一部に限られている。まずはこの衛兵を説得して,門を通してもらうことが当面の目的だ。
 ここからパーティを編成できるが,まだまだ簡単なクエストが続くため,しばらくは一人でも行動できる。

 

○クエスト1 「Taking Stock」
まずは正面の酒場に入り,何か仕事がないかマスターに聞いてみよう。すると「地下の倉庫からグロック酒を取ってくる」という簡単なクエストをもらえる お酒はすぐに見つかり,クエスト完了と思いきや,奥に隠し扉が。先に進んでみると,そこにはなんとコボルドが! 寝ているところをお邪魔して宝箱をいただこう

 

○クエスト2 「Thwarting the Threat」
さきほどのクエストで発見した工芸品を神父に見せると,もう一度地下の倉庫に潜入し,さらに奥へと探検してくることに 最深部にある台座に触れると,どこからともなく恐ろしい声が。どうやらこの地下倉庫は呪われている様子。逃げようとしたら扉が閉まっている! 現れたネクロマンサーを倒すと,命からがら脱出できた

 

○クエスト3〜5
「Quest for Ancient Dagger」
「Steal the Healing Elixir」
「Search for the Rare Scroll」」
港の桟橋のすぐ脇にいたLord Gerald Goodbladeに話しかけると,三つのクエストを順に受けることになる。写真の「Quest for Ancient Dagger」では,“ゾンビ系は切る/刺す武器で倒し,スケルトン系は叩く武器で倒す”ことを学ぶ。クレリックのターンアンデッドも効果的だ。これら三つをすべてクリアすると,衛兵が門を通してくれるようになり,次のエリアへ行ける

 

 このあたりから心細くなってきたので,いよいよパーティを編成。それでは本日の頼もしいパーティメンバーを紹介しよう。

本日のお仲間達

私(パラディン レベル1 人間・女性)
急きょ決まった連載のために,あわてて作成した「なんちゃってパラディン」。外見の魅力不足を数値で補おうと「Charisma」(魅力)を17と高めに設定したところ,「Wisdom」(判断力)が足りず,呪文が使えないパラディンに(今のところ)。キャラとしてアリなのか……

 

Aさん(ウィザード レベル2 ウォーフォージド・男性)
日本人プレイヤーには珍しく,種族はウォーフォージド。ウィザード呪文を使って自己治療できるのが強み。召喚呪文が大好きで,ダンジョンの中では常に犬を呼び出して脇に従えている。そして犬が戦うのを眺めている

 

Bさん(バーバリアン レベル2 ドワーフ・男性)
ダンディなフェイスに礼儀正しい口調の「紳士系」バーバリアン。レベルでも突撃っぷりでもEさんに後れをとっているためか,遠慮気味。常に私のナナメ後ろあたりにいるので,一見すると従者のようだが,実戦では彼に助けられることがしばしば

 

Cさん(パラディン レベル1/クレリック レベル1 ハーフリング・女性)
パラディンとクレリックのマルチクラスキャラクター。パラディンとして前線の戦いで活躍しつつ,クレリック呪文で回復もしてくれる,頼もしい味方。小柄なハーフリングなので敵の攻撃を避けるのも得意という,今後の成長が楽しみな存在だ。

 

Dさん(バード レベル3 エルフ・男性)
回復役としてお呼びがかかった,おじさんバード。目つきの怖さはさておき,こまめな回復でメインヒーラーとしての役割を完璧にこなしてくれた。また,ゲームシステムやクエストの内容に詳しく,本日の案内役も務めてくれた。ただ,ボイスチャットでしゃべるのに夢中で,バードとして歌うのをすっかり忘れていた様子。

 

Eさん(バーバリアン レベル3 ドワーフ・男性)
6人めとして途中参加。どこで手に入れたのか,怪しげなお面をかぶって登場。性格のほうも「ピュア・バーバリアン」といったふうで,常にパーティの先を行って敵を蹴散らす。私が追いつく頃にはもう敵がいない。炎に焼かれるのが大好きで,わざわざ脇道に入って敵の高レベル魔術師に会いに行ったものの,パッチで削除されていてしょんぼり。

 

本日のパーティの特徴

・ローグがいない
 罠の解除と鍵の開錠はローグしかできない。罠を放置してダンジョンを進むと,突如吹き出す炎に丸焦げにされたり,床から突き出る剣に串刺しにされたりする。今回のパーティの運命は,この時点で推して知るべし,である。

 

・回復役としてのバード
 DDOにおけるメインの回復役はクレリックだが,バードも同様に回復役として活躍してくれる。レベル1から回復呪文が使えるのは,この2クラスだ。レンジャーとパラディンも,レベルが上がるにつれサブ回復役として重要になってくる(私のパラディンはさておき)。

 

・ウォーフォージドなウィザード
 ウォーフォージドという種族は特殊で,回復呪文では通常の半分しか治療できず,代わりにウィザードかソーサラーが使える「Repair」(修理)呪文を使って傷を修復する。Aさんはウォーフォージドかつウィザードなので,自分で自分を修理できるのだ。

罠にはまって初の天国行きを経験

○クエスト「Sewer Rescue」

 門をくぐって前を見渡してみると,がっくりと首をうなだれて半分ゾンビ状態な男性が目に飛び込んできた。話を聞いてみると,コボルドのギャングに襲われて妻を誘拐されたようだ。もちろん私達は救出に向かうことにした。
 このクエストでは,初の本格的な罠が登場した。通路を遮るように床一面から剣が突き出てくるのだ。剣は突き出たり引っ込んだりするので,タイミングを図ってうまくジャンプすれば回避できなくはないが,ジャンプ技能が低く,アクション操作も苦手な私には至難の業だ。

 

床から剣が! パーティには罠を解除できるローグがいないので,ここは指先のテクニックで先に進まなければならない 意を決してジャンプするが,着地した瞬間に目の前が真っ暗になる。案の定,あの世に召されたようである

 

 DDOでは,キャラクターが死んだ場合の復活方法には次の3種類がある。

  • 魂を解放して,最後に登録した復活ポイント(主に酒場)に戻る
  • ダンジョン内にある「Ressurection Shrine」で復活する。この場合,ほかのパーティメンバーに魂をそこまで運んでもらわなければならない
  • 9レベル以上のクレリックが使える呪文「Raise Dead」によって復活する

 今回は,幸いにも近くにRessurection Shrineがあったため,そこまで連れて行ってもらって無事復活できた。ラッキーなパターンだ。ちなみにパーティ内で罠を突破できなかったのは,リーダーの私だけであった。しょんぼり。

 

2度めの挑戦で,ダメージを受けながらもなんとか罠を突破。待ち構えていたホブゴブリンのボスを倒し,依頼主の妻を無事解放できたのである

そのほか挑戦したクエスト

○クエスト「Walk the Butcher's Path」
Leaky Dinghyという酒場で受けられる,80匹のモンスターを倒しながら長いダンジョンの中を駆け抜けるクエスト。画像は,クエストの途中で水に潜る必要があり,鎧を脱いで裸になったところ。MMORPGは女性キャラのお色気が命! という人にとっては,がっくり膝をつきかねない光景だ

 

○クエスト「Durk's got a secret」
「Walk the Butcher's Path」と同様,Leaky Dinghyで受けられるクエスト。Muckbaneという武器を入手するのが主な目的だ。私はあっさり入手できたが,4月19日のアップデート以降,修正が加わって入手できるかどうかがランダムになってしまった。Muckbaneは持っておいてまず損はないので,ぜひとも手に入れたいところ

 

○クエスト「Kobold Assault」
野外で次々と押し寄せるコボルドの大群を,ひたすら倒し続けるという,単純で爽快感があることで人気のクエスト。ここでも犬に戦わせて,自分はちゃっかり後ろで控えるAさん(中央一番奥)。ウォーフォージドのゴツくて強そうな見た目とは裏腹に,かわいいプレイスタイルである

 

「Muckbane」(クラブ・片手近接武器)
 「Durk's got a secret」のクエストで,宝箱から入手できる。「Lesser Ooze Bane」が付加されているので,スライム系の敵に対して追加ダメージを与えられる。スライムに普通の武器で攻撃するとすぐに傷んでしまうので,そういうときはこの武器を使おう。

「ダイス(Dice)とロール(Roll)」

 

 D&Dでは,プレイヤーが何か不確実な行動をとる場合,そのたびにダイス(サイコロ)を振る。これが「ロールをする」という行為だ。ダイスを振って出た目に各種の修正値を足し,それと目標となる値とを比較して,上回っていれば成功,下回っていれば失敗,といった具合に判定するのだ。
 ダイスのロールには,例えば次のような表記が使われる。

 

d20 20面体ダイスをロールする。出る値は1〜20。
1d8 8面体ダイスを1回ロールする。出る値は1〜8。
1d8+2 8面体ダイスを1回ロールした値に2を加える。出る値は3〜10。
2d4 4面体ダイスを2回ロールする。出る値は2〜8。

 

 DDOでは,こうした計算はもちろん全自動で行われるのでプレイヤー自身が計算する必要はないが,サイコロを振っているグラフィックスが画面端に表示される。また,実際にいくつの値がロールされたかを,テキストログのウィンドウで確認できる。テーブルトークRPGの雰囲気が,このような形でも演出されているのだ。

 

■■Sluta(ライター)■■
「今年のゴールデンウィークはいかがでしたか」と聞いたら,「DDO三昧でした(;;)」という一般的な答えが。DDOは現在,経験値の上限が54万9999ポイント(レベル10のギリギリ限界)で割と簡単に上限に達してしまい,次々とキャラを作り替えているようだ。それはともかく,氏は最近MMORPGナイズされてきたのか,妙に顔文字が増えた気がする。
タイトル ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン:ストームリーチ
開発元 Turbine 発売元 さくらインターネット
発売日 2006/08/10 価格 ダウンロード版 1500円(税込) 利用料金:1500円/1か月(税込)
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.60GHz以上[Pentium 4/3GHz以上推奨],メインメモリ:512MB以上,グラフィックスメモリ:32MB以上,HDD空き容量:3GB以上

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http://www.4gamer.net/weekly/ddo/002/ddo_002.shtml