― 連載 ―

シヴィライゼーション4 (午前)3時のおやつは文明道
最終回:アルファケンタウリまでの最短ルートは?
宇宙開発競争は「アポロ計画」から始まる

宇宙開発競争勝利を目指す場合「序盤にアポロ神殿,終盤にアポロ計画」という妙な符合のもとでプレイする。思えば紀元前4000年から宇宙を目指してきたのですよ,我々は。国家プロジェクトなので完成ムービーがないのが残念

 宇宙開発競争勝利は,技術力と生産力を反映した勝利条件だ。文化遺産の建造に相当するほど,大量のハンマーを要求する宇宙船パーツを,次々と完成させていかなければならない。これら宇宙船パーツを作るのに必要となる条件が,自文明で「アポロ計画」を完遂することだ。「シヴィライゼーションII」までは,一文明が完成させることで全文明に宇宙船製造が解禁される効果があったが,「III」からは文明ごとに取り組む形に変わっている。
 アポロ計画は,ゲーム内で「プロジェクト」として扱われている。これは文化遺産と同様に,「大量のハンマーを費やして完成させるもの」という位置づけだ。また,やはり文化遺産同様,世界で一つのプロジェクト(マンハッタン計画,インターネットなど)と,文明ごと(チーム戦設定では同盟ごと)に取り組むプロジェクト(アポロ計画,宇宙船パーツなど)がある。
 文化遺産との最大の違いは,どんな手段をとっても緊急生産できず,大技術者による加速もできないことだ。このため,純粋にハンマー生産力で勝負する必要がある。ただし,国家遺産にある「1都市に2個まで」という制限は適用されない。

 

軍事における石油と同じく(ただし艦船ならウラン+原子力で代替可能),アルミがないと宇宙開発競争勝利は相当に厳しくなる。比較的潤沢な資源だが,たまに入手できないこともあるので,これが確保できるとまずは一安心である

 「アポロ計画」の着手に必要なのが「ロケット工学」。これは「ライフリング」からたった二つ先にある。ライフル兵が作れるようになる時代から,宇宙開発競争まではほんの一歩。要するに弾道学に類する位置付けなのだろう。
 だからといって最短コースで「ロケット工学」を開発し,アポロ計画の完遂を目指すのは,逆に効率が悪い。アポロ計画のコストは1600,正面から取り組んだのでは,前回述べた三峡ダムに匹敵するほど高コストである。少なくとも,工業化が落ち着いてから建造したほうが割に合うのだ。
 さらに効果的なのが「産業主義」技術によるアルミニウムの発見である。アルミニウム資源が利用可能なら,その生産加速効果によって,コストは実質,半分に減らせる。また,すぐあとで見るように,アルミニウムによる生産加速効果は,宇宙船のパーツの過半数で利用できる。とにかくこれを確保しておくことが重要,というより必須だろう。石油やウランは入手できなくてもまだなんとかなるが,もしアルミがこの先,貿易でも入手できないようなら,資源確保のために戦争も検討しなければならないだろう。

 

宇宙船建造には卓越した工業都市が重要

 Civ4における宇宙船建造は,目的別のパーツをいくつか作って,それを組み合わせる形になっている。各パーツのコストと必要数,生産速度を倍に加速できる資源は下の表のとおりだ。

 

表1 宇宙船建造に必要なパーツ

 コスト必要数加速資源
エンジン16001
コクピット10001
スラスター12003アルミ
ドッキングベイ20001アルミ
冷凍睡眠室12001
外殻8005アルミ
生命維持装置10001

 数が3個,5個と必要なスラスターや外殻は比較的安い。それに対して,加速できないエンジンや,加速しても高いドッキングベイは1個で済む。

 

宇宙船はこのセピア色の全体図で見られるだけ。画面左上に逐次報告がなされるものの,他文明での進捗状況は,まとまった形で確認できない。これは今作で,一プレイヤーとして最も残念なところの一つだ

 すべてのパーツを揃えないと完成しないのだから,こうした「高くつく」パーツをいかに早く作れるかが勝負を決める。したがって,「とくに卓越した工業生産都市を一つ作る」ことが,とても重要になってくる。
 そして,まさにこのためにあると考えるべきなのが,国家遺産の「製鉄所」だ。石炭と鉄が利用可能であれば,建設した都市のハンマー生産を100%増幅する。溶鉱炉+工場+発電所と同じだけの効果があるわけで,御利益は絶大だ。
 この製鉄所による増幅効果を最大限に生かすには,もちろんもともとハンマー生産が十分に多い都市に作るのが望ましいことになる。ただし,ここで気をつけたいのが都市の立地条件だ。前回述べたように,三峡ダムは川沿いにしか作れない。さらに,入手したい世界遺産には,宇宙船パーツの建造を,資源とは別の方法で50%加速できる「軌道エレベーター」もあるが,これの建設可能都市は赤道近く(ルール上は「緯度30度以内」)という制約があるからだ。

 

工業生産のトップ都市をどこに作るか

製鉄所を作った都市に三峡ダムまで作れた場合のサンプル。シールド生産力は基本の値で51,多数配置した技術者専門家がけっこう利いている。これが合計200%分の増幅を受けて生産量153。調子に乗っていろいろと近現代の世界遺産を作りまくった

 製鉄所を作った都市に,三峡ダムと軌道エレベーターを併設できれば理想的である。ただし,そのためには「赤道近く」で「川沿いにある」都市が「自国内でのハンマー生産がトップかそれに匹敵すること」が必要になってしまう。この条件が満たせないことはけっこう多い。
 その場合,川沿いの都市のなかで,最も工業生産力の高いところに製鉄所と三峡ダムを作るのがよいようだ。軌道エレベーターの生産コストは,アルミニウムがあれば実質1000で済む。製鉄所による強力なハンマー数の増幅は,より負担の重い三峡ダムを作る都市に割り当てるのが合理的だろう。ちなみにその都市には,先に火力発電所を建てて,あらかじめエネルギーが供給されている状態にしておいたほうがよい。三峡ダムが完成すれば無駄になるわけだが,それでも膨大な建設期間を短縮できるメリットは捨てがたい。

 

アルミニウム資源があれば,軌道エレベーターの実質生産コストは1000で済む。中級の宇宙船パーツが一つ増えた程度の出費で,以後のパーツ生産速度を50%加速できるのは,悪くない効果だ

 軌道エレベーターは,位置条件が満たせる限りで,できるだけ工業生産力の高い都市に置く。また,位置条件が見合う都市のハンマー生産量がいま一つ少ないなら,大技術者で加速することも検討したい。なお,終盤の技術「核融合」を先取できれば,大技術者が確実に手に入る。ただしこの方法は,軌道エレベーターの「ロボット工学」にまっすぐ向かうより,技術二つ分遠回りすることになるので,技術でのリード具合をよく考えて決めたいところだ。
 ちなみに,軌道エレベーターが作れる条件の「緯度30度以内」については,どうも標準サイズ設定のマップで,設定に小さなバグがあるようだ。軌道エレベーターが建設可能になるのは,マップ北端からだと17マス目以南だが,マップ南端からだと19マス目以北になっていて,なぜか多少南半球に分が悪い。とはいえ,序盤の中核工業都市を作る時点では,マップ端からの正確な距離は分からないから,どのみち「少しでも赤道に近そうなところに工業都市を確保しておく」ことしかできないのだが。

 

プレイの総仕上げとなる終盤の技術開発

 ここまでに述べてきたことを踏まえて,近代から終盤にかけての技術と文化遺産は,こんな感じで取るとうまく回る,というプランを示してみよう。

 

[社会体制の近代化]

  • 自由主義 → 経済学 
  • 上記に続けて代議制 → 民主主義
  • 自由の女神建設を狙う

※この前後にライフル兵・擲弾兵の少なくともどちらかは生産可能にし,軍備の近代化も図る。

 

[鉄道とプレ工業化]

  • 物理学で大科学者ユニット入手を狙う
  • 鋼鉄,蒸気機関,鉄道を取って労働者に鉄道を敷設させる。また,工業生産のトップ都市に製鉄所を建設
  • 「生物学」を取って食糧供給を強化

 

[工場とエネルギー]

  • 大量生産 → 電気 → 産業主義 → 内燃機関 → プラスチックと取得,三峡ダムを建設
  • 各都市では工業力の高いところからバランスよく工場を建設
  • 工場建設済みの都市では歩兵,戦車を直接生産するか,富を生産してライフル兵/擲弾兵をアップグレードし,軍事力を向上させる

 

[宇宙開発の開始]

  • 長距離砲 → ロケット工学と取ってアポロ計画を完遂
  • 宇宙船パーツが建造可能になったら,工業生産のトップ都市は世界遺産と宇宙船パーツの建造に専念,複数必要なパーツには上位3都市から4都市程度を割り当てる

 

「核融合」技術の先取で大技術者を狙う場合,「インターネット」にも必要な「光ファイバー」技術を取ることになる。技術面でのリードを守るため,また逆に確実なリードを築くために,インターネットを作ってみることも考慮したい

 ここまでのルートを採るなかで,幸福値を上げる資源を五つ生み出す世界遺産「ブロードウェイ」「ロックンロール」が作れるようになる。工業都市でとくに生産するものがないとき,これらの世界遺産を作れば,幸福度が維持でき,他文明との取引材料が得られるというメリットがある。いやまあ,アメリカ文化万歳のテイストには,少々疑問があるにしても,だ。
 この先,技術面ではまっすぐロボット工学に進んで軌道エレベーターに向かうか,核融合を先取して大技術者を得てからロボット工学を取るかを選ぶことになるだろう。さらにその先は,宇宙船パーツに必要とされる技術を順次取っていくだけである。ただし,石油資源が得られなかった場合には,ロボット工学を先に取って機械化歩兵の生産を可能にすることで,軍事的な脅威を取り除きたい。
 なお,「共産主義」「医術」「マスメディア」「複合材料」そしてこれはやや意外だが「飛行機」という,合計五つの技術は,宇宙船建造に必要ない。他国に渡しても脅威になりにくそうな技術と交換で手に入れるならよいが,自分から積極的に開発する意味はないのだ。もっとも,飛行機が生産できないのは軍事的に危険だし,「マスメディア」では世界遺産の「国際連合」「ハリウッド」が建設可能になり,これらを建設すればスコアが伸ばせるという利点がある。
 こうした技術を一手に入手できるのが,世界プロジェクトの一つ「インターネット」だ。技術力では他国に迫られているが,工業生産で十分に卓越した都市があるときなどには,積極的に狙ってみるとよいだろう。

 

最後に挙げた技術ジャンルが,技術ツリーのどこに来るかを示したもの。これに,軍事ユニット生産に必要なだけの技術を交えていけば,近代以降の技術獲得ルートがほぼ確定するだろう。なお×印のところは,宇宙船建造に直接必要とされない技術だ

 

占領したはよいが,隣国からの文化圧力が強かったモスクワ。手っ取り早く寺院を建てることで文化値を稼ごうとしたら,いつの間にか全宗教が揃ってしまいましたとさ。こうしたところにも楽しさが見つけられるのが,Civシリーズの奥深さだと思う

 ということでCiv4文明道は,以上をもってひとまず完結。筆者が担当した攻略連載部分は,割と実用一辺倒のデータ記事になってしまったが,読者自身のプレイに役立てていただければ幸いだ。海外では最初の拡張パック「Warlords」が出ているが,筆者自身はなんやかやで残念ながら未プレイ。ただし,日本語版が発売されるとか,何らかの動きがあれば,その折にはまたぜひ記事でお会いしたいところである。
 それでは,ナレーション担当のレナード・ニモイにちなんで最後のご挨拶を。
 Live long and prosper!

 

■■虹川 瞬(フリーライター)■■
いまさら強調すべきでもないが,「やはりこの人も」という感じでトレッキーなPCゲームライター。PC,ヒーローものの特撮,ハードSF,1980年代少女漫画が好きという古典的なサブカル連鎖で来たら,アニメ遍歴や好きな列車についても尋問するのがセオリーなのだが,何が出てくるか恐いので,まだあまりフタを開けていない。このヒトのプレイテクニックのみならず蘊蓄をも,いつか記事に生かしたいものである。
タイトル シヴィライゼーション4【完全日本語版】
開発元 Firaxis Games 発売元 サイバーフロント
発売日 2006/06/17 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium III/1.2GHz以上[Pentium 4/2GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[512MB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce 2 MX/Radeon 7500以上,グラフィックスメモリ:64MB以上[128MB以上推奨]

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http://www.4gamer.net/weekly/civ4/013/civ4_013.shtml