ブロッコリーがGameCRABおよびサーカスとタッグを組んだ「true tears」。「彼女の流す,ホントの涙」をテーマにした等身大の物語だ
ブロッコリーといえば,ゲームグッズの販売などを手がける店舗「ゲーマーズ」の運営で知られている。そこで販売されるグッズは,キャラクターゲームのものが多いのであるが,ブロッコリー自身がゲームを仕立てるケースもしばしばあって,本連載の第1回で取り上げた「Galaxy Angel」シリーズ以降にも,PCゲームのラインナップが複数存在する。
そのなかで今回は,ブロッコリーが,「トゥルーラブストーリー」(以下,TLS)シリーズで知られるGameCRABおよび,「水夏」「ダ・カーポ」などで有名なサーカスと組んで制作した「true tears」(トゥルーティアーズ)をピックアップしてみよう。
先生(飛美さん)に頼まれ,プールまで荷物を運んだ主人公が,水泳部女子の水着姿を狙う不届者と間違われる。実にありがちな対面シーンである。っていうか,TLSでも似たような対面シーンがあったような気が
主人公は高校3年生。卒業までの半年という,多くのキャラクターゲーム(と何かの歌詞)で見るとおりの時期設定で,お話が進む。そこで主人公はさまざまなキャラクター達と出逢うわけだが,交流していくなかで彼女らが心に秘めた,さまざまな悩みや苦しみを目のあたりにする。それらを時に共有し,時に克服の手助けをしていくといったストーリー展開が,本作の特徴となっているのだ。
昨今のキャラクターゲームでは,キャラクターのインパクトを強めるために,突飛な設定や性格付けを行う作品が多い。しかし,このゲームでは,多少誇張のあるキャラクターは存在するものの,「どこにでもいそうな」性格付けが基本となっている。
これは,開発を手がけたGameCRABの代表作ともいうべきTLSシリーズとも共通した特徴である。TLSシリーズで,青系統や緑系統といった,テレビアニメなどでしかあり得ない髪の色が意図的に排除されたのは有名な話だ。
とはいうものの,「学園のアイドル」「控えめな主人公の幼馴染み」「完璧超人な優等生の生徒会長」「クラス内でも存在感の薄い文学少女」などという,おなじみの人物造形は利用されているわけで,そこは言ってみれば“分かりやすさ”重視である。それぞれのキャラクターが抱える悩みは,立場からおおよそ想像できたりもする。
要は,意図的におとなしい設定になっているわけで,昨今流行のコミカルな人物描写と,どちらが思い入れを持ちやすいかということに尽きる。
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| 登場するキャラクターは全員,何らかの悩みや迷いを抱えている。主人公と関わっていく中で,何かのきっかけで涙があふれてくることがある。これがテーマになっている「彼女の流す,ホントの涙」である。とはいえ,左端はどう考えてもそのような涙ではないのだが |
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| 学園祭にて。「来るな」と柚子に念を押されていた主人公だが,あえて行ってみたところ,出し物はなんと「メイド喫茶」。これも時代の流れなのであろうか |
「鉄の女」といわれるかつらも,子供に対しては優しいところを見せる。意外な一面を見ると同時に,学校でのクールさはどこか作ったものではないかと思われるようになる |
学食で依緒と相席になる主人公だが,依緒の食事量に圧倒されてしまう。声優は体力を使う職業なのでよく食べる人が多いという話を聞くが,それにしてもこれは…… |
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| 仲根るい(なかね るい) |
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本作のメインヒロイン。主人公のクラスメイトで,昨年の学園祭ではミス瑞鳳学園(主人公達の通う学園名)に選ばれるなど,学園のアイドル的存在でさらに水泳部所属。メインヒロインに恥じないさまざまなアピールポイントを持っている。動物の世話が好きで,獣医になるのが夢なのだが……。(CV:伊月ゆい) |
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| 真田柚子(さなだ ゆずこ) |
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主人公の幼馴染みで,主人公からは「柚」と呼ばれている。料理が得意な家庭的な娘で,さらにおとなしくて引っ込み思案で泣き虫,周囲に物事を頼まれると「いや」と言えない性格など「幼馴染みキャラ」の必要条件の大半を備えている。ただ,残念ながらゲーム中の描写からすると,家は隣同士ではないようだ。将来の夢は保育士になることなのだが,そのためには……。ちなみに,CVの稲村優奈嬢は保育士と幼稚園教諭二種の免許を持っているという。(CV:稲村優奈) |
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| 上原穂香(うえはら ほのか) |
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主人公のクラスメイト。他人と話すことが苦手で体が弱く,クラスでも影が薄いという,文学少女タイプの典型キャラであるが,実はそれだけではなく,ちょっとした秘密(?)がある。確かに現在では,こういうキャラもアリかもしれないという説得力がある一方,ややパンチ力に欠けているかも。(CV:中山恵理奈) |
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| 桜川依緒(さくらがわ いお) |
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主人公の1学年下の2年生。体は小さいが,騒がしいくらいに元気で明るい少女で,放送部所属。実はアイドル声優として活躍しているのだが,主人公は出逢うまでそれを知らなかった。声優の仕事は好きなのだが,兄や両親などからは反対されている。ちょっと前ならこういう役回りのキャラクターの仕事は純粋な「アイドル」だったのだが,このあたりはキャラクターゲームらしい設定というべきか,「アイドル」の凋落ゆえと評すべきか。(CV:野川さくら) |
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| 雪代かつら(ゆきしろ かつら) |
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学園の元生徒会長(すでに10月のため)。成績は常に学年トップで冷静沈着な「鉄の女」というイメージが定着しているが,その心の内は……。優等生キャラによくあるパターンだが,さらに一ひねり加えられたところがポイントであろう。(CV:佐藤利奈) |
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| 小笠原光里(おがさわら ひかり) |
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噂話・恋愛話が大好きな,今時の女子高生。人懐っこい性格なので,誰とでも友達になる。主人公とよくバカ話をしたり,ほかのキャラクターとの会話に割り込んで来たりと,さまざまなところで登場する。しかし,その心の中では……。これもまたよくあるパターンだったりするのだが。(CV:小清水亜美) |
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| 百瀬真子(ももせ まこ) |
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お笑いが大好きで,底抜けに明るい少女。将来の夢は漫才師で,現在相方募集中なのだが,誰彼かまわず相方になってくれと頼む,困ったちゃんでもある。放送部に属しているので,依緒と絡んでくることが多い。(CV:渡辺明乃) |
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| 秋山飛美(あきやま あすみ) |
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主人公達の通う瑞鳳学園の保険教諭。実は主人公の従姉妹で,主人公とは同居している。主人公は自宅では「飛美さん」と呼ぶが,学校では「秋山先生」と呼ばせられている。学校ではしっかり者に見えるものの,自宅では気が緩むのか,天然ボケなところを見せることも。(CV:氷上恭子) |
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| 井上祇園(いのうえ ぎおん) |
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見かけは小学生のようだが,説教好きでオバサンのようなしゃべり方をする謎の少女。さらに,会話の端々に擬音が混じるので,何をしゃべっているのかよく分からないことも。彼女によると,メールを入力しているときの擬音は「めるめるめる」なのだそうだ。(CV:福井裕佳梨) |
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