― 連載 ―

灰色着てるやつを見たら撃て!ブラザー イン アームズ
第7回:続編「Earned in Blood」を紹介
同じくD-DAYの闘いを描いた続編「Earned in Blood」

「Brothers in Arms: Earned in Blood」では,D-DAYより10日間の戦いをハートソック伍長の視点で描いている。前作よりも同時に相手にする敵の数が多く,敵AIルーチンも強化されたことで,さらに戦術面が重要となる

 「ブラザー イン アームズ ロード トゥ ヒル サーティー」(原題 Brothers in Arms: Road to Hill 30。以下,BIA)の連載も,ついに今回が最終回。今までこの連載を読んでくれた人の多くは,すでにBIAを難度リアルで全チャプタークリアしていることだろう。まだクリアできていないという人は,今一度第1回から読み返して,ぜひとも挑戦してほしいところだ。

 というわけで,今回は特別編としてBIA続編「Brothers in Arms: Earned in Blood」(以下,EIB)はどんな感じなの? という部分を,簡単に紹介していこうと思う。ちなみにEIBは海外では2005年10月に発売されたが,日本での発売は今のところ予定がないようだ。

 

今回も当時の貴重な写真や資料などを見られる「ボーナス」がある。すべてのボーナスを見るには,全チャプターを難度リアルでクリアする必要があるが,前作よりも難しいので心して挑戦してほしい
あの場にいた,もう一人の兵士の話

 今回の主役は「レッド」ことハートソック伍長だ。BIAではノルマンディ降下当日(D-DAY)からプレイヤーであるベイカー軍曹と合流し,戦いを共にしてきたこともあり,一番印象深いキャラの一人である。EIBではD-DAY当日から1944年6月16日までの10日間を,ハートソックの「回想」で追っていく。

 

本作の主役であるハートソック伍長。D-DAYからの10日間が描かれており,前作にもあったシーンがハートソックの視点で再現されている。ストーリーの隙間が埋まっていくため,前作をプレイしていれば一層楽しめるのだ

 BIAはD-DAY当日から8日め(D-DAY+8)までの戦いだったが,EIBにもD-DAY当日から7日め(D-DAY+7)までの一部のチャプターが登場する。とはいえ,BIAとは時間帯や視点が異なり,チャプター内容も別物だ。ハートソックの行動を描いているため,EIBからBIAへ,BIAからEIBへとストーリーがつながるようなシーンが随所に挿入されているところが面白い。例えばBIAでハッセーニ等曹長,ベイカー軍曹,レゲット上等兵と合流するところや,「ヒル30」でベイカーが戦車部隊を探しに行っている間,ハートソックやハッセーニ等曹長がどんな戦いをしていたのかが判明するなど,BIAをプレイしてからEIBをプレイすると「なるほど,こういう流れだったのか」と,ストーリーの幅がグンと広がることになる。

 

 もちろん,ベイカー軍曹は当然のことハッセー二等曹長,コリオン,アレンとガーネット,デソーラなど,顔なじみの第三分隊の面々も登場し,チャプター後半の8日め(D-DAY+8)以降はSeamus Doyle伍長をはじめ,第一分隊のJacob Campbell,Will paige,Derrick McConnel,第二分隊のFranklin Paddock,Dean “Friar” Winchell,James Marshなど,新たな仲間達と共に戦っていく。ちなみに新たな要素として,仲間に話しかけると銃弾の補充ができるようになった(ドイツ軍兵器の使用時は補充できない)。

 ちなみに8日め以降のチャプターは,カランタン(Carantan),Baupte,ル・ヴィコント(Le-Vicomte)の街を舞台に激戦が繰り広げられていく。

 

マーシャル中佐との会話の中で,ハートソックがこの戦争を回想していく。戦争映画のような流れで展開する 前作と被る日付もあるが,内容は異なるのでご安心を。総チャプター数が減っているのが少し寂しいところ
見た目には,あまりにも変化のない続編だが

今回は街での戦闘が多く,フィールド内の移動も比較的自由度が高まったこともあり,映画さながらの市街地戦を味わえる。前作ではプレイヤーの専売特許だった「側面攻撃」を敵も行うようになり,またこちらの側面攻撃に,黙ってやられてくれなくなったのだ

 基本的なゲームシステムはBIAとまったく同じだ。銃撃班と突撃班(または戦車部隊)の指揮を執り,ドイツ兵を見たら遠慮なく倒していけばよい。このゲームシステムでは,基本的に“制圧からの攻め”,つまりチーム戦術がポイントになるわけだが,EIBではBIAよりもさらに戦術が重要になっている。

 BIAでは建物の裏側に回り込んで敵の側面を突くルートなど用意されていたが,そういったルートもせいぜい一つ程度で,基本的に1本道といえるものだった。しかし,EIBでは比較的自由に移動できるフィールドが用意されており,とくに市街地では移動すべき目標地点は分かっていても,どの道を行くべきか迷ってしまうほどだ。戦闘では,狙いづらいところに敵が配置されいることが多く,別ルートを探して攻めるといったシーンが多くなった。ルート次第では,簡単に突破できることもあるし,別の敵と遭遇して集中砲火を浴びることもある。しかもEIBでは,こちらの動きを察して敵も移動してくるのだ。

 EIBでは敵AIルーチンが強化され,かなり機動的になった。遮蔽物に隠れて攻撃していても,こちらの位置を見てチャンスと見るや,地形を利用してこちらの側面を取ろうと移動する。こちらが側面を取ろうとすれば,応戦できる位置へ敵も移動するため,簡単にはいかない。人間くさい攻撃を仕掛けてくるので,実に倒しがいがある。

 

ドイツ軍が誇る88mm砲(Flak36/37)の直撃だけは避けたい。再装填に時間がかかるので,その間に近づいて叩く M10 Wolverine対戦車自走砲。遮蔽物が多く先の見えない市街地では,下手に進ませると対戦車砲の餌食となる
敵は遮蔽物に張り付いているだけでなく,こちらの動きを察して移動するため,簡単に側面を取らせてくれない
設定を変えて何度も遊べる新モード搭載

時間制限のある「Timed Assault」では,ノンビリと精密射撃で狙っていると即タイムアウトになる。敵を倒すごとに残り時間が加算されるので突撃命令も必要になるが,味方が倒されると先が厳しくなる

 EIBで新たに登場した,「スカーミッシュ」(SKIRMISH)について紹介しよう。スカーミッシュには,与えられるさまざまな任務こなしていく「Objective」,制限時間内にステージ内の敵を全滅させる「Timed Assault」,攻めてくる敵を撃退し目標物を守る「Defense」,五つの任務を遂行する「Tour of Duty」の4モードを楽しめる。

 スカーミッシュではアメリカ軍だけでなく,ドイツ軍としてもプレイでき,Tour of Duty以外のモードではアメリカ軍/ドイツ軍それぞれ5種類ずつ計10種類のミッションが用意されている。死んだら即ゲームオーバーになり,ゲーム終了時の記録(敵の攻撃を何波まで防いだか,何分でクリアしたかなど)が保存されるので,良い記録を目指して何度もプレイしてしまうだろう。とはいえ,Skill Levelとして難度を4段階に設定できるのだが,一番簡単なはずのNoviceですら難しい。「ストーリーモードは難度リアルでも簡単」という強者に,ぜひプレイしてほしいモードだ。
 ちなみにスカーミッシュはソロプレイのほか,LANまたはインターネットでのマルチプレイにも対応している。

 

「Objective」はトーチカ周辺を制圧し,「Defense」はトーチカ周辺を守り抜く。両方の立場で楽しめるのが良い スカーミッションではドイツ軍も使用できる。聞き慣れないドイツ語の命令が,妙に新鮮に感じられるだろう
これはどうしても日本語版で遊びたい

うまく戦車を引きつけないと,一度に2両を相手にする事態になる。これはまだ良いほうで,挟み撃ちにされたときには本気で殺される恐怖を感じてしまった。威嚇射撃をしながら移動して敵の気を散らすとよい

 簡単にEIBを紹介してきたが,BIAのサイドストーリー的な存在のEIBは,BIAを遊んだ人は問答無用でプレイすべきだろう。この連載で1か月以上,BIA漬けになっている筆者がいうのだから間違いない(はず)。

 しかし,現時点ではEIBは輸入版しか入手できないのが悲しいところ。ゲーム中には英語テキストを表示可能だが,テキストが長いうえ消えるのが早いため,内容を理解するには相当な英語力が必要になる。実際,セリフなど分からなくても十分楽しめるのだが,やはりストーリーが把握できると面白さはまったく違うので(BIA日本語版で経験した),ここはぜひともEIB日本語版の登場を願いたいところである。

 

今回はベイカー軍曹の命令で作戦を遂行することが多い。それにしても「ヒル30」の砲撃で受けた傷が痛々しい 英語字幕は,表示できても意外と早く消えてしまうため,読解には英語力が必要だ。日本語版の登場を切に願う
■■UHAUHA(ライター)■■
4Gamer専属ゲームライター。副業として,会社員と二児の父をやっている。家では「これは4Gamerの仕事だから」と言えば,どんなゲームをしていても咎められないというUHAUHA氏。もちろんその特権を利用して,今日も今日とて「SIMPLE2000シリーズ お姉チャンプルゥ」で遊んでいるらしい。うーん,それはPCゲームじゃないなぁ。
タイトル Best Selection of GAMES ブラザーインアームズ 〜ROAD TO HILL 30〜 日本語版
開発元 Gearbox Software 発売元 フロンティアグルーヴ
発売日 2006/11/10 価格 3990円(税込)
 
動作環境 Windows 2000/XP,PentiumIII/1GHz以上(Pentium4/2.5GHz以上推奨),512MB以上(1GB以上推奨),VRAM 32MB以上(128MB以上推奨)のビデオカード,DirectX 9.0c以降

(C)2005 Gearbox Software, LLC. All rights reserved. Published and distributed by Ubisoft Entertainment under license from Gearbox Software, LLC. Brothers In Arms Road to Hill 30 is a trademark of Gearbox Software and is used under license. Ubisoft, Ubi.com and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. Gearbox Software and the Gearbox logo are registered trademarks of Gearbox Software, LLC.

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