― 連載 ―

ハートマン松本の全軍突撃! バトルフィールド2
諸君! 登場する全エアクラフトを学習だ

 新米パイロット諸君! ご機嫌いかが? 今回は「航空機編」の続きとして,ゲームに登場する各機体と懇意になっておこうという魂胆である。「今,貴様は何に乗っている?」と聞かれて「ヒコーキ」と答えたところで,まあゲームの進行には何の支障もないのだが,ここはやはり「サー! F-35 ジョイント・ストライク・ファイターです! サー!」と返事をしたほうが,デキるパイロットっぽいと思うのである。

 ゲームバランスの都合上,どの軍勢の機体も同じカテゴリなら,そんなに性能は変わらない設定になっているが(地上攻撃がやりやすいとか,操縦しやすいとかはある),問題は空中戦である。「ファーストルック・ファーストショット・ファーストキル」こそが,飛躍的に殺傷力の高まった現代のバトルフィールドの掟である。照準を当ててタグを出したり,レーダーを見れば,あっちを飛んでいるアレが敵なのか味方なのかは分かるが,ハッキリ言って,それでは遅いのだ。機影を見て,一発で識別できる能力が今時のジェットパイロットに求められているのである。むろんヘリパイロットの諸君も,うまく逃げ隠れするために同じ能力が必要だ。というわけで,各機の解説をどうぞ。気をつけ!

 

【ヘリコプター編】
―― 共通スペック ――
武器 ロケット:56発
副操縦士 20mm機関砲(Mi-28を除く):900発
TV誘導ミサイル:8発

 

アメリカ

■AH-1Z スーパーコブラ

アメリカ陸軍がベトナム戦争に投入した,AH-1G コブラ戦闘ヘリコプターを原型としており,エンジンの換装,武装の強化など,海兵隊独自の発展をしてきた傑作攻撃ヘリコプターシリーズの最新型。このスーパーコブラは,2004年から配備が開始されたばかりであり,電子機器や射撃管制装置,照準器などのさらなる近代化が図られている。攻撃力の中心はヘルファイア対戦車ミサイルだが,実物はゲームと異なり,レーザーで誘導される。

 

中国

■Z-10

1990年代から中国が独自開発を続けている攻撃ヘリコプター。実戦配備は2014年ごろではないかとされているため,今のところ詳細ははっきりしていない。ゲーム中ではロシア製とアメリカ製を合わせたようなデザインだが,非公式のイメージ図を見ると,テイルローターの形状がやや異なるようだ。スーパーコブラと見誤りそうだが,前方に突き出した機関砲と,降着装置が車輪であるところがポイントか。操縦しやすい機体でもある。

 

中東連合

■Mi-28 ハボック

アメリカ陸軍のAH-64A アパッチに対抗するためにロシアで開発されたが,主力の座を単座のKa-50 ホーカムに奪われたため,もっぱら輸出向け。大成功を収めたMi-24 ハインドの後継機として,より豊富な兵器搭載能力と,高い機動性を特徴としているが,設計自体はごくオーソドックス。ゲームでは唯一,35mm機関砲を450発搭載しており,発射速度はやや遅いものの,より大きな破壊力を持っている。マッシブなスタイルが特徴だろう。

 

【輸送ヘリコプター】
―― 共通スペック ――
武器 ミニガン:2基
搭載人員 6名

 

アメリカ

■H-60H シーホーク

ベトナム戦争で名を馳せたUH-1 ヒューイの後継機としてシコルスキー社が開発したH-60は,数々のバリエーションを持ち,総計2400機以上が生産されている。シーホークもその派生型の一つで,それぞれの空母戦闘群に一個飛行隊6機が配備されており,もっぱら特殊作戦の支援,捜索任務などに使用されている。キャビンの両側にミニガンが設置されているのはゲームと同様だが,実物は副操縦士用のヘルファイア・ミサイルも積んでいる。

 

中国

■Z-8

1970年代,中国がフランスから13機輸入したシュペル・フルロン輸送ヘリコプターをリバース・エンジニアリングして開発した機体。初飛行は1985年だが,技術的問題が多発し,最初の年は少数の生産にとどまったらしい。輸送や捜索任務以外に,魚雷と吊下ソナーを搭載し,対潜任務もこなせる。実機の武装は不明だが,ゲームでは他と同様ミニガンを装備し,地上制圧に威力を発揮する。ずんぐりとしたシルエットがポイントだ。

 

中東連合

■Mi-17 ヒップ

ベストセラー輸送ヘリコプターであるロシア製Mi-8の改良型で,外見上はテイルローターの向きの変更以外,ほとんど変化はないが,エンジンの換装によりホバリング性能が向上している。輸送,捜索以外に,地上支援攻撃,電子戦,救難救急,空中指揮管制など,数多くの任務をこなす多目的機であり,総計で1万2000機以上(含Mi-8)が生産されている。Z-8同様,ややずんぐりしたスタイルと,長い降着装置で見分けられるはず。

 

【戦闘機】
―― 共通スペック ――
武器 機関砲:300
発熱誘導ミサイル(対空):6発
爆弾(対地):2発

 

アメリカ

■F-35B JSF

JSF(ジョイント・ストライク・ファイター)は,これ一機種で空軍のF-16とA-10,海軍のF/A-18,海兵隊のAV-8BとF/A-18,イギリス海軍のシーハリアーを代替しようとする野心的な機体である。2001年のトライアルの結果,ロッキード・マーチンの計画が採用され,F-35という型番が与えられた。ゲームに登場するF-35Bは,空母搭載機として垂直離着陸が可能なタイプだ。ステルス性能を追求した翼形が独特なため,識別は容易だろう。

 

■F-18E/F スーパーホーネット

アメリカ海軍の主力であるホーネットの最新型だが,改良というより,新しい戦闘機と呼んでかまわないほど各部にわたって変化している。機体は大型になり,より長い航続力と,大きな兵器搭載能力,そしてエンジン換装による高速化がポイントだ。ステルス性やエレクトロニクスも向上し,今後も長く海軍の主役となるのは間違いない。スラリとした大型のシルエットが特徴であるが,SU-30,SU-34と見誤る可能性も割と高く,注意が必要。

 

中国

■Jian J-10

J-10は,1990年代から開発が続けられている独自開発の戦闘機で,中国名は「殲撃10型」。今のところ,公表されているデータがないので正確なところは不明だが,配備が開始されれば中国空軍のレベルを一気に引き上げることになると観測されている。一枚の垂直尾翼とシャープなデルタ翼,そして操縦席後方のカナード翼と,個性的なデザインなので,ゲーム中,最も見分けやすい戦闘機だろう。機体が小柄で機動性が高いため,飛ばしやすくもある。

 

中東連合

■Mig-29 ファルクラム

Mig-29 ファルクラムは,1983年から部隊配備が始まり,現在まで1200機以上が生産されているロシア空軍の主力戦闘機で,前線向きの安価で簡易な制空戦闘機として開発された。設計に当たっては,エンジンの配置や機体形状などを工夫し,空中における機動性が極限まで追求されている。バリエーションも多く,複座型や空母搭載型などもある。機体下部の大型エアインテークが識別ポイントだが,距離があると見分けにくいかもしれない。

 

【戦闘爆撃機】
―― 共通スペック ――
武器 機関砲:300発
熱誘導ミサイル(対空):4発
エアブレーキ付爆弾(対地):5発
レーザー誘導ミサイル(副操縦士):20発

 

アメリカ

■F-15E ストライクイーグル

現在,世界最強の戦闘爆撃機がこのF-15E ストライクイーグルだ。なにしろ,世界最強の戦闘機であるF-15 イーグルを複座にし,多機能ディスプレイをはじめとした贅沢なアビオニクスを満載したうえ,機体の各部が強化され,エンジンもより大きくなっているのだから,この評価も当然というべきだ。現在,アメリカ空軍の調達は終了しているが,輸出向けの生産は続いている。柄の大きさと,翼に吊り下げた兵装類の多彩さが見分けどころだろう。

 

中国

■SU-30MKK

西側諸国の最新鋭機はもっぱらステルス性能と音速巡航を指向しているが,あくまで空中機動性にこだわるのがロシアである。SU-30 フランカーは間違いなく現在最高の機動性を持った戦闘機であり,レシプロのスタント機でなければ普通できないような曲技飛行を苦もなくこなす。このSU-30MKKは,そんなフランカーを複座にして多目的に使えるようにした中国向け仕様機だ。残念ながら,ゲームにおける機動性は他機と比べてほぼ同じようだが。

 

中東連合

■SU-34 フランカー

NATOによるコードネームが同じ「フランカー」でも,上記のSU-30から,カナード翼の付いた単座のSU-35,そして艦上型のSU-33まで,十把ひとからげに同じ名前で呼ばれるため面倒である。そんなフランカー一族の中で,最も特異な形状をしているのが,このSU-34だ。エンジン部から前方にかけて大きく盛り上がり,まるで「カモノハシ」と形容される平べったい機首に設けられたコクピットには,操縦手と副操縦手が横並びに座る。そのせいで,識別は比較的容易だろう。

 

戦闘機で活躍したい人は

 ご存じのように,シングルプレイでは戦闘機,戦闘爆撃機は登場しない。したがって,飛行訓練をしたい人は"一人マルチプレイ"を作って練習するといいだろう。だが,普通に飛ばせるようになれば,そんなのすぐに飽きるので,やはりマルチプレイに参加するしかない。その場合,ちょっと人の少ないサーバーが狙い目かも。というのも「飛ばしたがり」は結構たくさんいて,なかなか順番が回って来ないことが多いからだ。しかも戦闘爆撃機なのに,一人で飛んでいっちゃうプレイヤーもいて,「おい!」という気もしないでもない。

 副操縦士のミサイル訓練は,攻撃ヘリコプターの場合ならシングルプレイでもできるが,戦闘爆撃機では,これはもうマルチプレイでやるしかない。へたっぴなパイロットの後席に乗ると,やたらブンブン振り回されて,とても目標に当てるどころではないが,それはそれでよし。小心者の筆者が困るのは,実はうまい人に当たったときだ。「まっすぐぴったり飛ばしますから,さあ,あの戦車に当ててくださいよ」みたいな感じで爆撃航過に入られると,かえって緊張しちゃって,なかなか……。うーむ,うまくいかないもんだなあ。

■■松本隆一(ライター/学生/教官)■■
ミリタリーに詳しい松本教官だが,何よりロシア戦車に詳しい。わざわざ戦車を見にロシアへ渡ったこともあるほどだ。なぜロシア戦車に興味を持ったかというと,ソ連戦車研究家のスティーブ・ザロガという人物の書籍に「ソ連戦車は当時世界最強だったドイツ戦車を打ち破った。だが,ソ連戦車のことについては誰も知らない」とあり,誰も知らないなら,よーし詳しくなろうと思ったらしい。しかし最近は普通に知れ渡ってしまい,しょんぼりのご様子。しかも航空機の回なのに,戦車の話ですね。サーイェッサー!
タイトル バトルフィールド 2
開発元 Digital Illusions CE 発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2005/07/07 価格 オープンプライス
 
動作環境 OS:Windows XP(+DirectX 9.0c以上),CPU:Pentium 4/1.70GHz以上(Pentium 4/2.40GHz以上推奨),メインメモリ:512MB以上(1GB以上推奨),グラフィックスメモリ:128MB以上(256MB以上推奨)

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