去る3月23日(木)から26日(日)まで,晴海の東京ビックサイトにて開催された東京国際アニメフェア。「ときめきメモリアルオンライン」(以下,TMO)を題材にしたアニメ,「ときめきメモリアル」のイベントがそこで開催されたことはお伝えした通り。4Gamerでは25日(土)のイベント終了後,TMOのプロデューサーであるメタルユーキ氏を会場で捕まえて,急遽単独インタビューを実施した。
イベントで大々的に発表されたアニメ化の話題,3月下旬からスタートした正式サービスのこと,そして今後の展開など……。プレイヤーが気にしているであろう数々の疑問をぶつけてきたので,各高校に通う生徒諸君は必読だ。だいぶ時間が経ってしまったうえに長い記事になってしまったが,ぜひ読んでみてほしい。
4Gamer:
3月末から正式サービスが開始になりましたが,制作現場は落ち着いてきましたか?
メタルユーキ氏:
まだ全然落ち着いていないね。自分自身,ちょっと油断すると,いつでもどこでも寝ちゃうような状態だし(笑)。
4Gamer:
いろいろあって寝不足なんですね。
メタルユーキ氏:
(クローズド)β2テストの期間が3週間ぐらいあって,その直後からの正式サービス開始だったじゃない。だからバタバタしていてね。ただ,β2テストで遊んでくれたお客さんもたくさん戻って来てくれたし,この春のタイミングで開校できたから,ホッとしているよ。初日にアクセスが集中して問題が起こってしまい(編集部注:レジストレーションコード入力時の不具合など),プレイヤーのみんなには大変迷惑をかけてしまったんだけど,今は何とか修復して入学しやすくなったしね。
4Gamer:
さて,正式サービスが始まって,手応えは感じていますか?
メタルユーキ氏:
うん,感じてるね。今までのオンラインゲームとは,違うイメージを打ち出せたんじゃないかと思うんだ。モンスターが現れて,パーティを組んでやっつける……。これまでは,そういうスタイルの作品がオンラインゲームの王道だったけど,「MMORPGだけがオンラインゲームじゃない」っていう一つの解答を示せたんじゃないかな。
それに共感してくれたユーザーが今,学校(サーバー)に集まってくれていて,大きく荒れることもなく,学校全体がすごくいい雰囲気になってるし。我々が意図していた以上に,プレイヤー同士で学校を使って遊んでくれてるんだよね。
4Gamer:
そういえば,「かがやき高校」では,有志のユーザーが入学式をやっていましたよ。
メタルユーキ氏:
でも,入学式の開始予定時間に,サーバーがメンテナンスに入っちゃって……。本当にあれは,申し訳なかった。
4Gamer:
生徒のみんなが「なんでこのタイミングでメンテナンスなんだ!?」って言ってましたよ(笑)。
メタルユーキ氏:
うん,それは,怒られても仕方ないことだよね。真摯に受け止めなきゃいけないと思う。有志によって入学式が開催予定だったことは,運営側でも把握していたんだ。把握していたうえで,それとは別の問題を回避するためにメンテナンスに入る決断をしたんだけど,あのときは非常に心苦しかった……。
4Gamer:
そうだったんですか……。じゃ,ちょっと話を変えましょう。正式サービス後は高校の数が増えましたが,現時点でプレイヤーはどれぐらい集まっているんでしょうか?
メタルユーキ氏:
スタートしたばかりで,具体的な数は発表できないんだけど,学校の数もβ2テストのときから増えているし,プレイヤー数自体も順調に増えてはいるよ。
4Gamer:
人数が一番多いのは,かがやき高校ですか?
メタルユーキ氏:
うーん,かがやき高校と「さくらの高校」「いずみの高校」といったβ2テスト初期からあった三つの学校は,どこも人数が多いよ。β2テストで作ったキャラのステータスが引き継げるから,そのまま同じ学校で遊んでいる人が多いみたいだね。
逆に,正式サービスから参加してきた新しいプレイヤーは,どこが一番楽しい学校なのか,自分に合ってるのはどの学校かを探って,いろんなコミュニティを確認しつつ,新設された学校に入る傾向があるね。もうすでに先輩がいる学校よりは,新設校に入って,自分が先輩になりたいのかもしれない。ほかには,せっかく新学期が始まったんだから,新たな気持ちで学園生活を始めようってことで,新キャラを作って新設校に移動する人も少数ながらいるみたいだね。
4Gamer:
そういえば,正式サービスに合わせて,何種類もパッケージ版が発売されましたね。
メタルユーキ氏:
今回のTMOは,コモディティ化(特殊な商品ではなく,日常/一般商品化すること)を考えているんだ。つまり,一般の人達がいかに手に取って,参加して楽しめるか,そこまでのプロセスを通常の日常品と同じレベルに持っていきたいんだ。
4Gamer:
それはかなり壮大な野望ですね。
メタルユーキ氏:
選ばれた人とか,知っている人だけが遊ぶんじゃなくて,普通の人が遊んでも十分楽しいものなんだということを,これからもっと訴えていかなきゃいけないからね。そのために,いろんなパッケージでの販売が行われていて,いつでもどこでも手に取れる環境を作っておきたいんだ。
4Gamer:
ソースネクストさんから販売されたパッケージは,その最たる例ですよね。
メタルユーキ氏:
うん。税込み1980円っていう値段でTMOのパッケージが買えるというのは,とても大きいと思うんだ。買いやすい価格のパッケージも用意しつつ,もっといろんな付加価値が欲しいって人にはグッズが付いてる特別版もある。それから「買いに行くのがめんどくさい」って人は,公式サイトでダウンロードもできますよ,と。
いろんな入手方法,いろんな価格帯のパッケージがあることで,プレイヤーのニーズにあった形でソフトをお届けできる。これも一つのコラボレーションのあり方だろうね。ソースネクストさんというパートナーができたことによって実現した,大きな一歩。オーバーロードさんが経営する「ときメモ・カフェ『エコル』」の体験プレイスペースも,同じような考え方で協力してもらっているし。
4Gamer:
食事しながら遊べる環境もあるよ,と。
メタルユーキ氏:
そう。ほかにも,今回はPCソフトという形態をとっているから,このゲームをきっかけに初めてPCとソフトを買っても,動くかどうかっていう不安があると思うんだ。インストールして始めようとしたら,動かないかもしれないっていうね。それを解消するために,クレバリーさんと提携してプリインストールのPCを発売した。こういう展開を打っていくことで,いろんなタイプのお客さんに遊んでもらえる環境を作っていこうかなと。
面白さを口で説明しにくい,ある意味で新しいタイプのゲームだから,まずは手に取りやすい環境を作って,気軽に買ってもらって,その上で遊んでもらわなきゃいけないからね。コモディティ化の一環として,今後も購入前にゲームを体験できる場所,環境はどんどん作っていきたいね。
4Gamer:
そういえば,クレバリーからはデコレーションPCなんてのも発売されましたね。
メタルユーキ氏:
あれ,面白いでしょ? 今までのPCって,無骨な箱に入っていて,こだわり派の人にとっては自分の机に馴染まないような大きさだったり,箱のデザインだったりしてたよね。でも今回のデコレーションPCだと,小さな箱に可愛らしいイラストが入ってて,TMOの世界観を演出できる。キャラ性の高いアイテムが好きな人にとっては,非常に喜んでもらえるんじゃないかな。こういうコラボレーションができるいいパートナーと巡り会えたのは,大きな成果だと思っているよ。
4Gamer:
そういったコラボレーションのネタは,正式サービスに合わせてポンポンポンと出てきましたけど,まだ実は隠し球があったりするんじゃないですか?
メタルユーキ氏:
まぁ,いろいろ考えてはいるよ。
4Gamer:
おっ! じゃあ今後もタイミングがくれば発表されると。
メタルユーキ氏:
そうだね,契約中のものもあるし。
4Gamer:
契約!? 一気に生々しい話になりましたね(笑)。
メタルユーキ氏:
まぁね(笑)。まだ提案したり,されたりっていう段階のものあるし。でも,いろいろと動いてはいるよ。