5月18日に大規模アップデート第三弾が実装されたエヌ・シー・ジャパンの「リネージュII」。その特集記事第二回(第一回は「こちら」)では,サブクラスとCPシステム,MSN機能などを紹介していこう。
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ファントム サマナーをサブクラスに選択したバウンティハンターで,ペットを召喚してみた。スキルやステータスはファントム サマナーと同一だ
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サブクラスとは,種族の制限を越えてメインクラスとは別のクラスに就けるシステム。サブクラスを選択するには,キャラクターレベルが75に到達していて,さらにミミルの泉水クエストをクリアする必要がある。
選択したサブクラスは,2次転職後のレベル40からスタートするが,キャラクターの能力という部分では,メインクラスと完全に切り離されているので,習得済みのスキルを引き継ぐことはできない。たとえば,メインクラスがシリエン エルダーのキャラクターが,ソーサラーをサブクラスに選んだ場合,ソーサラーでプレイしているときはヴァンパイアリック レイジやグレーター グレープ ヒール,ピューリファイなどのスキルは使用できない。
サブクラスとメインクラスは,村にいる各種族のギルドNPCに話しかけることで随時切り替えが可能だ。メインクラスとサブクラスの切り替えには,種族特性やフレンドリストなどのほとんどの情報が引き継がれるが,注意したいのはSP値がメインクラスとサブクラスで別々に保持されることだ。サブクラスとはいえ,通常と同様にスキルの習得などをしていく必要があるといえるだろう。ちなみに,ステータスは,サブクラスで選択したものが適用される。シリエンエルダーがホークアイをサブクラスに選んだ場合は,ホークアイのステータス(ヒューマンファイター)になるということだ。
選べるサブクラスはいくつかの制限があり,同種とみなされるクラスには就くことができない。たとえば,ホークアイはサブクラスでシルバー レンジャーとファントム レンジャーが選べないといった具合だ。ただし"例外"もあって,ネクロマンサーは召喚職でありながら同系職のウォーロックを選択可能。ほかの召喚職も,ネクロマンサーだけは同系職にもかかわらず選択できる。
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これまで"見た目"でクラスを判断することが多かったが,これからはそうもいっていられない。特に攻城戦では一瞬の判断の遅れが致命的なので難しくなる |
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このサブクラスシステムは,クロニクル4以降で実装が予定されている「英雄」システムと連動している。この英雄システムの詳細はまだ不明だが,一つの"クラス"として用意されるかもしれない。
サブクラスをレベル75まで成長させると,もう一つサブクラスを選択できるようになり,トータルで三つのサブクラスが選べる(メイン75,サブ75,サブ75,サブ75まで)。英雄には,一つのサブクラスが75になると権利(どのような実装形態になるか不明なため)が得られるようだ。
レベル75のキャラクターはおそらく200名前後(2005年3月31日時点で151名)なので,サブクラスを体験できる人はまだまだ少ない。これからレベル75に到達し,サブクラスを選択した結果,見た目とクラスが異なるキャラクターが増えてくると,いろいろな意味で面白くなってくるのではないだろうか。
闘志(Combat Will Point:以下CP)は,プレイヤーキャラクター(ペットなどを含む)から攻撃を受けた(PvP)ときにHPよりも先に減少する数値だ。ダメージを受け続けてCPが0になってからHPが減少していくので,結果的にいままでよりも倒されにくくなる。PvPでの戦闘時間を長くすることで,各クラスの戦術の幅を広げるシステムといえなくもない。
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CPはクラスとレベルで決まる。PvPで倒されにくくなるので,攻城戦の戦術も変わりそうだ |
CPの量はクラスとレベルによって変化する。レベル75時点でのCP量をクラス系統別で見てみると,アタッカー系(バウンティハンターを含む)が最も多く,逆にヒーラー系,攻撃魔法系,短剣アタッカー系は少なくなっている。
しかし,これは平均値で見た場合で,実際には単純に系統でCP量が決まっているわけではない。例えば,弓アタッカー系でもホークアイはレベル75時点でのCP量が3000近くもあり,シルバーレンジャーと比較しても1.5倍となっているのだ。
また,単純に1対1でのPvPの戦闘時間を延ばして倒されにくくするだけならば,攻撃力のあるアタッカーは少なく,逆にヒーラーは多くすればいいだけだが,実際はそのようになっていない。つまり,CP量はパーティでの役割,プレイヤー人口などいろいろな要素が加味されて,総合的なバランスで決められているのではないだろうか。
パーティ時の経験値ボーナス
2人パーティ | 7% → 30% | 3人パーティ | 14% → 39% |
4人パーティ | 23% → 50% | 5人パーティ | 31% → 54% |
6人パーティ | 40% → 58% | 7人パーティ | 50% → 63% |
8人パーティ | 61% → 67% |
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パーティでの戦闘についても,少人数でのハンティングがしやすくなるように変更されている。いままでは,パーティ人数が一人増えるごとに約7%の経験値ボーナスが付与されており,人数が増えるごとにその割合も少しずつ増加していた。つまり,パーティの人数が多いほど,ボーナスも多いということなので,常に9人集まってから出発するということが多かった。
クロニクル3では,2人パーティでも30%の経験値ボーナスが付与されるので,そこそこ効率のよかったペア狩りが一般的となるかもしれない。
クロニクル3では,ゲーム的な要素だけでなくユーザインタフェースが大きく変わっているのも見逃せないところ。これには,パーティメンバーのウィンドウの詳細情報,ターゲットウィンドウの詳細情報,マップの常用化,周囲マップのアングル機能などがあり,全体的にプレイしやすくなっているのが特徴だ。
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ターゲットウィンドウのモンスター情報は要チェック。睡眠耐性を持つモンスターは優先的に倒していこう |
これらのうち,パーティメンバーのウィンドウ,マップ機能,ターゲットウィンドウの3点について,ここで少し細かく紹介しよう。
まずパーティメンバーのウィンドウは,以前よりもひと回り大きくなり,そのキャラクターにかかっているBuff(補助魔法)のアイコンやクラスが表示されるようになった。以前は,どのキャラクターにどの魔法がかかっているかが分からず,プロフィットなどのバッファー(Buffer)にとってはチャットで確認する必要があった。パーティ全体の補助魔法を管理するバッファーにとっては結構面倒なことでもあったし,募集で集めた即席パーティでは,どの職業かが分かりづらかった。これが,画面で随時確認できるようになったのは,非常に有用な変更といえるだろう。
NCsoftの開発者に聞いたところ,技術的には可能だったが,1通信あたりのサイズ(パケット)が肥大することから,サーバーや回線などクライアント側の環境よってはラグ(通信遅延)などの問題に直結しやすいため,見送られていたとのことだ。ある程度,プログラムやパケットの最適化を行い,それによって追加できそうと判断できたので,今回追加されたというわけだ。
このような背景はともかく,プレイヤーにとっては非常に嬉しい機能(MMORPGでは当たり前だが)といえるだろう。
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パーティウィンドウも大きく変わった。補助魔法のアイコンやキャラクタークラスが随時チェックできる |
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次に,マップの常用化について。いままでマップを参照するには,アデンマップとエルモアマップというアイテムを使用する必要があった。本作のマップがすべて頭に入っているという人は別だが,少なくともアデンマップはほとんどのプレイヤーが所持していただろう。これによってインベントリが1スロット(エルモアとアデンの2つなら2スロット)占有されてしまうというデメリットも存在していた。
クロニクル3では,マップはシステム機能の一つとなり,基本的にマップアイテムは必要なくなった。また,マップ機能自体についても拡張がなされ,ギランやアデンなどの村の詳細が表示できるようにもなっている。この詳細表示では武器屋やアクセサリー屋など,基本的な施設が記載されているので,迷うことも少なくなるだろう。
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自分のHP/MPウィンドウは,横に伸ばせるようになり,非常に見やすくなった。画面にあるサイズが最大となる |
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最後にターゲットウィンドウについてだが,これが最も有用な機能といえる。プレイヤーをターゲットすると,所属血盟と所属同盟が表示され,モンスターをターゲットすると,属性やHP量,弱点,耐性が表示されるようになった。とくにモンスターの場合は弱点や耐性の情報をその場で閲覧できるので,睡眠耐性があるモンスターを先に倒したり,弓と短剣を持ち替えたりと戦術をリアルタイムで変更していけるようになるだろう。
また,コミュニティ強化の機能としてMSNメッセンジャー(以下,MSN)がリネージュII上で利用できるようになった。基本的な利用方法は同じだが,リネージュIIのサーバーを介して,リネージュIIのパケットとして送受信されるので,エヌ・シー・ジャパンのサーバーにもログが保存されるようになる。ゲーム内から最初にMSNでメッセージを送受信したときにその旨表示されるが,とくに問題になる事柄はないだろう。
さらに,いままではコマンド入力で表示させていた友人リストは,専用ウィンドウ(MSNと共用)が用意され,オンライン/オフラインの確認やウィスパーの送信がしやすくなった。同時にメール機能も実装され,血盟員への同報やオフラインのメンバーにメッセージを残しておくことができるのも,地味ながらうれしい機能といえる。
次回は,目玉要素の一つであるセブンサインについて,体験談を交えつつ紹介していこう。
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画面オプションでは,ブラー効果(ぼかして雰囲気のある画面にする)のオン/オフ切り替えが可能に。画面左がオフで画面右がオンだ |