4G:
隆山など初心者用のダンジョンやチュートリアルを完備したということで,新規用のキャンペーンなども行われるんでしょうか?
Yim氏:
もちろん行っていきます。
4G:
そうして集まってきた初心者に厳しい要素が,まだいろいろあります。そういうのでせっかくきた人を逃すのも残念ですよね。ちょっと思うのですが,ものの重さっていらないんじゃないんですか?(笑)
Yim氏:
確かに最初のうちは制限が大きいですね。これは個人的な倉庫を付けるという話も出てきていますので,それが出てくれば解決する問題ではあるのですが。
4G:
倉庫を持っていない人の場合はどうでしょう?
Yim氏:
これまでの倉庫は生産設備を持っている人しか使えなかったのですが,それとは別に,誰でも使える「個人用の倉庫」を用意しようという話も出てきています。これが実装されれば,かなり状況は変わってくるはずです。
4G:
新しいシステムですね。
Yim氏:
しかし,アイテムに重さがあって,それを運ぶためになにかが必要になって,それが売れる,それの値が動く,といった経済の流れがありまして,それをなくしたり調節するといろいろ影響が出てきまして,慎重に考えないといけない部分ではありますね。
4G:
不自由だから商売が成り立っていると。なるほど。
Yim氏:
商売と戦闘は完全に別物になっていますが,戦闘商人というのもできます。そうなると戦って戦利品を得るわけですが,持てる量に限りがありますので,行ったり来たりを延々と繰り返さなければなりません。そういうのは韓国発のオンラインゲームではよくあるものではありますが……。
4G:
そうですね。確かにそういうものだといえば,そういうもんなんでしょうけど。とはいえ,いきなり重いものが「降って」きて動けなくなったりしますからねえ。相場を調べないと捨てることもできませんし。
Yim氏:
そのあたりについては,わかりやすい説明をしたほうがよいのでしょうね。そういうことがあるから,兔馬を雇うとか。
ただ,それを完全になくすというのは,先ほどもいったようにいろいろ問題が出てきます。巨商伝のゲーム内では,中間にいる商人など,非常に細かく役割分担されて経済が成り立っています。そのあたりの楽しみを新規ユーザーのために切ってしまうのも問題がありますし,できるだけ全ユーザーにメリットがある方向で考えたいと思います。
4G:
なかなか難しいですね。
Yim氏:
確かに新規ユーザーが育ちにくいというのはマイナス点だとは思うのですが,そのあたりは初心者用ダンジョンでかなり解決できるのではないかと思っています。隆山では,星の破片というアイテムが降ってきますので。それはあまり重くないアイテムでして……。
4G:
あ,それはいいですね(笑)。
Yim氏:
それを集めてNPCに渡すと,そのダンジョンで使えるアイテムをもらえるようになっています。そんなに動き回らなくても,ある程度のレベルまで成長させることができます。
4G:
戦闘は,隆山とか分かりやすいものができたのですが,商売ももう少しなんとかなると嬉しいのですが。もう少し近場で,もう少し小ぢんまりとでよいので簡単に稼げる場所はできないんでしょうか?
Yim氏:
隆山でもらえるアイテムは,ダンジョン外では意味のないアイテムですので,言い換えるとダンジョンの内部で商売ができるということになります。隆山は,村まで帰らなくてもダンジョン内でたいていのことは解決できるようになっていますので,あまり歩き回らなくてもよくなっています。
4G:
隆山には高レベルの人は入ってこれるのですか?
Yim氏:
はい。入れますが,経験値も入りませんし,ただ高いレベルのユーザーにとってはあまりおいしいことはありません。ただ,そこで仲介商人をするような人は出てくると思いますね。
4G:
なるほど。
Yim氏:
商売で,いきなり日本から韓国に行って,韓国から中国に行ってというのは,持てる量の制限もありますし……ちょっと初心者には難しかったですね。
4G:
まあ,ゲーム内でときどき相場情報も流れていますが。
Yim氏:
ただ,あれだけを追っていくのもどうかとは思います。冥界では全部狩り場となっていてクエストなどもなかったのですが,隆山や少林寺では,クエストがありますので,それを制覇して富を築くこともできます。
巨商2のイメージキャラクター
4G:
それで,巨商2についてはどうなんでしょうか?
Yim氏:
やっぱりきましたか(笑)。
4G:
やはりこれは聞いておかないと(笑)。韓国でβテストが行われ,日本ではどこがサービスするのか気になっている人も多いと思います。巨商伝をサービスしているガマニアさんとしては,巨商2はどんな感じでしょう?
Yim氏:
巨商伝と巨商2の関係は,ちょうどリネージュとリネージュIIの関係に似ています。世界観は近く,また世界が広がったことなどで,少しステップアップしたものだとはいわれているのですが。
4G:
でも,全然違いませんか? どこが「巨商伝」なんだろうと(笑)。
Yim氏:
韓国のユーザーの反応も半々のようですね。「本当に,あれ巨商?」という感じで。
4G:
そうでしょうねぇ。フル3Dでかなり大規模にもなっていて,ライセンス料も高そうですよね。
Yim氏:
まあ,それだけお金をかけて開発したとも聞いていますし。巨商伝と巨商2は,双子ではなく,別のゲームであるということですね。巨商2はまだβテストが終わったばかりですし,詳細についてはまだ分かりませんが,私から見ると内容は少し微妙なところもありましたね。巨商伝との関連性が薄れてきているという感じがしました。開発当初はもっと似たものになると聞いていたのですが,実際にフタを開けてみると……全然違うものになっていたというか。いろいろなゲームのよいところを取り入れて,そこに巨商の基本システムを入れたような,個人的に見ればそんな感じです。
4G:
すでに日本企業からも,かなりオファーもいっていると思いますが。
Yim氏:
早いのだと2005年の2月頃から何件かあったようですね。
4G:
それはまた,ずいぶんと早いですね。G★でかなり派手にやってましたので,いまはもっと増えているでしょうが,ガマニアとしてはどうなんですか?
Yim氏:
一応密接に情報交換はしています。部署は違いますが,向こうの担当の方とは面識はありますし,話もしています。しかし,ガマニアがやるかどうかは会社の判断になりますね。
4G:
仮に他社が巨商2のサービスを始めちゃったらどうします? 同じ名前のものを他社がサービスするとかは紛らわしいのであまりあってほしくはないのですが,この業界ですと平気でありそうですし。
3Dゲームとなった巨商2
Yim氏:
ありますね(笑)。基本的に,「巨商」という名前を持った巨商2が出てくるのであれば,「巨商伝」というブランドを広めるんじゃないかと思っています。ユーザーさんは新しいものに興味を持つのは当然かもしれませんが,巨商伝にとってもよいことだと思います。
4G:
そういった場合に,いちばん動きそうなのが巨商伝をやっているプレイヤーだと思うのですが?
Yim氏:
それはそうなのですが,あまり心配はしていません。巨商2がやってくる前に巨商伝ももっと完成度を高めていくと思いますし,競合できるようにはなると思います。ですので,ちょっと浮気しても戻ってくるような人もいるんじゃないでしょうか(笑)。
4G:
開発元のJOYONさんではどうなっているんでしょう? チームは完全に別なのでしょうか?
Yim氏:
完全に別チームでやっていますが,緊密な連携は取っているようですね。巨商伝でのノウハウを巨商2に生かしたりとかやっているみたいです。逆に,巨商2のノウハウも巨商伝に入ってきています。
4G:
なるほど。やろうと思えば,いろいろできますよね。巨商伝のままで全世界まで広げちゃうとか?
Yim氏:
そうですね。巨商伝のまま3Dにしたりとか(笑)。
4G:
さすがにそこまでやっちゃうと,ちょっと(笑)。
Yim氏:
JOYONでもいろいろ交流していい方向に持っていこうということでやっているようですので,心配はないと思います。現在は,巨商伝の強化に努めてもらっていますので,よいバランスになってきました。
4G:
どうしても立ち上げ時は人手が必要でしょうからね。ガマニアとしては,とくに巨商2をやらないというわけではないわけですね?
Yim氏:
もちろんです。個人的にはやりたいと思っていますが,こればかりは,どうなるか分かりません。
4G:
では,ガマニアで巨商2をやることになった場合,巨商伝はどうなりますか?
Yim氏:
両方を並列してやっていきます。巨商伝はガマニアの看板タイトルの一つですから,なにがあってもおろそかにするようなことはありません。
4G:
本日はありがとうございました。
日本で2周年,韓国で3周年ということで,今回のアップデートはかなり大規模なものとなった。
今回のインタビューで,経済ゲームの特徴とアイテム課金制が相まって,巨商伝が独自のバランスを持つゲームとして成り立っていることが窺えた。また,ゲームシステムの問題だけではなく,プレイヤーと運営側のバランス感覚でゲーム性が構築されているようにも思われる。今後現れるであろう巨商2でこのあたりが,どの程度再現されているのかなどは不透明である。ぱっと見には,かなり違った方向性を持つゲームにも見え,現役プレイヤーの人は戸惑っている部分もあるのではないだろうか。
少なくとも巨商伝は巨商伝のまま進化を続けていくということで,「浮気しても大丈夫」と運営側は自信を見せている。何度か似た例として挙げられたリネージュシリーズでは,IIの直後にIがガタ落ちしたかというと,そうでもなかったという前例もある。
巨商伝シリーズの今後の展開に期待したい。