4Gamer:
キッズホビーのオンラインゲーム化としては,ケイブさんが「ミニ四駆オンラインレーサー」などを手がけています。時期的に近いところで,こういう動きが出てきているのが興味深いのですが,その背景にはどんな戦略があるのでしょうか。
小澤氏:
ZOIDSは,1983年にスタートしたんですね。ですから,当時子供だった方々は,現在20代や30代になっているわけです。最初のテレビアニメも1999年スタートですから,例えば当時それを見ていた12歳の人が,来年には20歳になるわけですよ。その年代にもなると,PCオンラインゲームを遊んでいる人達も多いですよね。おもちゃからは卒業してしまったけれども,かつてZOIDSが好きだったという人にも,現在触れるZOIDSとして,PCオンラインゲームを提供しようという狙いがあります。
4Gamer:
そういう意味では,ちょっと失礼な言い方になってしまいますが,少子化なども含め,ZOIDS市場というものが小さくなってきているということでしょうか。
小澤氏:
今は多種多様なコンテンツや娯楽がありますから,ZOIDSだけに限った話ではないと思います。ZOIDSが好きな人達の多くにとって,昔は入り口となっていたのはおもちゃだと思うんです。現在はゲームやアニメでの展開もしてきたことで,新たなZOIDSファンも生まれてきています。
すでに卒業してしまった人もいらっしゃると思いますが,ZUをきっかけに新旧のファンの皆様がコミュニケーションや対戦を楽しめる場を,提供したいと考えています。
4Gamer:
ということはやはり,ZUとZOWは,どちらかというと大人向けということでしょうか。
小澤氏:
PCだったり,課金が必要だったりで,どうしても(笑)。もちろん,子供を排除しようというつもりはありません。WebMoneyというのもありますので。ただ,子供達にはまずニンテンドーDSなどで発売しているタイトルで遊んでいただいて,課金をクリアできるようになってから,ZOWに入ってきてもらえたらな,と思っています。
4Gamer:
決済手段は,クレジットカードやWebMoneyなどを採用するようですが,やはり毎月お小遣いの中から一定額を支払うのは,子供にはきついですもんね。
小澤氏:
そうですね。ただ,コンシューマとの連動といった形で,コミュニティの輪を広げていく工夫はしていきます。そういう意味では,コンシューマ向けのタイトルを開発している翔泳社さんと,今回もまたいい連携ができるんじゃないかと模索しています。
4Gamer:
つまり今回のタイトルに関しては,最初から20代以上をターゲットにしていくということですね。
小澤氏:
そういうことになりますね。
「僕が好きなロボットアニメは『ゾイド』だ!」なんて人達が,これからどんどん20代になっていくでしょうし。それもあって,先ほどもお話ししたように,アバターのデザインを坂崎さんにお願いしたわけです。もちろん,アニメ以前のミリタリーな世界観(「バトルストーリー」)を売りにしていたおもちゃのファンの人達も,視野にいれていますし。
さらに数年後には,2006年3月まで放送していた「ゾイドジェネシス」を見てきた人達が入ってきてくれると嬉しいですね。
4Gamer:
それではここからは,ZOWのゲーム内容について教えてください。ストラテジーというジャンル,そしてヘックスタイプのマップを採用した理由からお聞かせ願えますか?
小澤氏:
プレイステーションで2000年にリリースした「ZOIDS 帝国VS共和国〜メカ生体の遺伝子〜」は,今でも高い支持を得ているのですが,これがストラテジーなんです。また,「ZOIDSファン=ヘビーなゲーマー」ではないので,直感的に分かるスタンダードなシステムにしたいと考え,このジャンルになりました。
また,ZOIDS自体,見た目以上にデータの塊なんですね。なので,戦闘システム自体はシンプルにして,一つのZOIDSでさまざまな戦術を楽しめるようにしたいという考えもあります。
4Gamer:
あえてシンプルにしたというわけですね。
小澤氏:
ほかの理由としては,例えばZOIDSには索敵能力が高いものがあったりするんですが,アクションゲームだと使いどころがなかったりするんですね。そういう部分や,ZOIDSの世界観の根幹にあるミリタリーな雰囲気を生かせるのは,やはりストラテジーであるということです。
4Gamer:
一つのZOIDSでも,パーツの組み合わせによってどんどん変わるんですよね?
小澤氏:
もちろんです。ZOIDSファンは,ZOIDSがゲーム内でどんなオリジナルの能力を持っているかに期待している人もいるんで,そういった要望にも応えていくつもりです。こういったニーズに対応するためにも,今回のようなシステムを採用したという部分はあります。
全体のバランスとしては,ゲームフィールドはシンプルながら,自分のポイントを使って思い通りのZOIDSを作り上げ,思い通りに戦わせられるような形にしたいですね。
4Gamer:
ちょっとバンプレストの「スーパーロボット大戦」っぽいのかな,と思ったんですが。
小澤氏:
スーパーロボット大戦も,ゲームシステムそのものよりも,ユニットへの思い入れのほうがポイントになっていると思いますので,そういう意味では近いかもしれません。
4Gamer:
プレイヤーが所有できるZOIDSの数は,いくつですか?
有高氏:
ZUでストックできるのは,99体までですが,ゲーム中で一度に使用できるのは,ステージによって4体までであったり,6体までであったりですね。
小澤氏:
一つのステージで使用できるユニットが多すぎると,戦闘時間が長くなりすぎてしまうんですね。やはり,オンラインでほかのプレイヤーと遊ぶことになるわけですし,それは避けたいなと。そういったことを考えると,4〜6体がちょうどいいというバランスだろうという判断をしました。
4Gamer:
一回の戦闘時間は,どれくらいになるんでしょうか。
小澤氏:
いろいろ真面目にやると,1時間ぐらい必要です。ただ,ターン制にするか,時間制にするかなど,ある程度レギュレーションを持たせられるようにしていますので,プレイスタイルによっては1時間を切るぐらいになるかもしれません。なるべく短い時間で,だれないような形を目指しているんです。
4Gamer:
でも,ストラテジーが好きな人の中には,じっくり長時間遊びたいという人もいますよね。
小澤氏:
ええ,ですからそういったニーズに対しては,時間無制限のミッションを用意するような考えもあります。
4Gamer:
ソロプレイ用のミッションも用意されているんですよね。
小澤氏:
やはり,常にオンラインで遊ぶのが,しんどいというお客様もいらっしゃると思うんですね。そういう方に,一人で経験値稼ぎ的な遊び方ができるようなソロプレイ専用のミッションを用意しました。その中には,野良ZOIDSを捕まえるという内容のものもあります。
4Gamer:
ところで,戦闘をするごとにZiポイントが必要になったりはしますか?
小澤氏:
基本的にそれはないです。
ただ今後,キャンペーン的なもので,参加賞として特別なZOIDSのデータをプレゼントするような企画を行うとすれば,いろいろな可能性はあると思います。幅広い運用を目指して,骨格を作っている段階です。