4Gamer:
先ほど出たグランディアオンラインに続いて「北斗の拳オンライン(仮)」ですが,その後リリース予定に変化はありましたか?
森下氏:
いいえ。「北斗の拳オンライン(仮)」についてはすでにリリース済みのとおり,年内の予定です。あとはライセンスタイトルになりますが,
「eXtreme Soccer」があります。
4Gamer:
いかにもカジュアルゲームらしいゲームでなく,現在展開中のMMORPG群とも異なる立ち位置のeXtreme Soccerですが,今後そうした位置づけのラインナップも展開されていくのでしょうか? eXtreme Soccerに限らず。
森下氏:
ガンホーゲームズのラインナップを大きく区分けすると,まず,Flash作品や対戦型など本当にカジュアルなゲームがあります。いわばミニゲーム的なものですね。次に,ある程度のインタラクティビティを備えたカジュアルゲームが来る。そのあとにMMORPG群が位置付けられるわけです。
そうした,大きく三つの区分けを意識しつつ,スポーツゲームというジャンルの充実も図っていきます。
4Gamer:
ニュースリリースでも,シリーズ化を示唆するような記述がありましたよね。すでに予定が何本かあったりするのでしょうか?
森下氏:
うーん,“eXtremeシリーズ”的な展開は考えています。
4Gamer:
サッカーはワールドカップのタイミングでもありますから分かりやすいですが,そのほかにも順次お話が来たりする,ということですね。
森下氏:
ええ。そうですね。
4Gamer:
では,スポーツゲーム以外で,先ほどの三つの区分けで,中間に属する作品を,考えていますか?
森下氏:
すでにサービスしている
「ポトリス2」や
「サバイバルプロジェクト」もそこに位置付けられると思いますが,段階を追っていけるような形で,作品のポートフォリオを組んでいこうと。
誰にでも簡単にできるものから始めたとして,次はスポーツゲームとかもう少しインタラクティブなものをやってみようという風に,進んでいける形にしたいのです。
オンラインゲームとか,RPGとか,聞いたことはあるけど難しそうだと思っているような一般層をターゲットとし,会員数を極大化していくのが目標です。
4Gamer:
タイトルごとの横軸に対して,濃さによる縦軸方向の分布を考えるということですか。
森下氏:
そうですね。そのとおりです。
4Gamer:
ガンホーゲームズの課題として,会員数の極大化と並んで重要だと聞いているのは「Stay Time」概念ですよね。それを生み出せるような,ゲームタイトル由来の別要素,もしくはタイトル横断的な仕組みは考えていますか。
森下氏:
それはもちろん考えています。……現段階でどこまでお話しできるかが問題ですが,「派生」したり,「連携」したりする要素は,当然あります。
4Gamer:
先ほどのアバターのお話もその一つですよね。
森下氏:
アバターは非常に分かりやすい例ですが,そのほかにも――RPGを多くサービスする弊社ですから――連携要素を用意しています。
コミュニティを核としていきますが,そのうえで各作品が横断的につながるのが理想です。
4Gamer:
では先ほどお聞きした,ROやECOの関連カジュアルゲームは,RO本体,ECO本体とつながっているのでしょうか?
森下氏:
うーん,そうですね。「つながる」ということも,将来的にはいろいろ考えられると思いますね。つなげていきたいなあ,と。
4Gamer:
それは,立ち上がりの段階ではつながっていないけれども,という意味でしょうか?
森下氏:
いや,直接アプリケーションベースでつながっているわけではないけれども,間接的につながる,連携する部分がある,ということです。
4Gamer:
関連カジュアルゲームでプレイした結果,手に入れたものなどが,“本編”に影響を与えるということでしょうか?
森下氏:
まあ,そういったところで構想を練っています。あとは「やりたいね」というレベルで考えているのが,あるタイトルとほかのタイトルが実際にオンラインでリアルタイムに連動していて,一方で遊んでいるだけで,他方もリアルタイムに変化していく,という形ですね。
4Gamer:
それはROとROモチーフのカジュアルゲームといった,関連タイトル同士で,ということですか。
森下氏:
そうです。
4Gamer:
なるほど,PCオンラインゲームの操作コンソールとして携帯電話が使える,といった状態とは違うけれども,連動はしていると。
森下氏:
ええ。あるMMORPGを遊んでいる人がいたとして,その作品と関連したミニゲーム,カジュアルゲームを遊んでいる人が別にいる。この二つのプレイが,オンラインでつながっている,ということです。
4Gamer:
そうなると,例えばチャットなどはできることになりますね。
森下氏:
チャットがどうかといった限定はできませんけどね(笑)。ゲームプレイそのものの相互連関というより,何らかのコミュニケーションができればと考えています。
4Gamer:
うーん,どんなカジュアルゲームが展開されるのか,すごく気になってきました。キャラクターなどの魅力を,さらに多方面で生かすことになるわけですね。
森下氏:
そうです。従来「ワンソース・マルチユース」は主にマーチャンダイジング(関連製品,関連事業)の面で実践されてきたわけですが,ゲームから別のゲームが派生する形も,今後はあり得ます。もちろん,普通のカジュアルゲームも展開されますけれども,生かせるところでは強みを生かしていこうと。
また,例えばECOがすごく好きな人が,そのカジュアルゲームをプレイしてみようと思ったときに,ECO本体に影響する一種のロイヤリティ,特典がある形にしようという構想もあります。
4Gamer:
なるほど,ロイヤリティですか。逆に本体のゲームをプレイしているかどうかで,カジュアルゲーム側のプレイにも,何らかの違いが出てくる可能性があるのでしょうか?
森下氏:
そちらは基本的に作らない形で考えています。カジュアルゲームは本体への導線としても機能する必要がありますから。カジュアルゲームでECOのキャラクターなどを目にして気に入り,そこからECO本体へ,という流れが重要なわけです。その意味で,これを遊んでいないとこっちが十分に遊べないといった依存関係は,作らないようにしないと。
4Gamer:
なるほど。では,連携するもの,しないものを含めた質問になるのですが,ガンホーゲームズのカジュアルゲームは基本無料になるのでしょうか?
森下氏:
基本無料ですが,有料のゲームも一部含まれます。
4Gamer:
最後になりますが,RJC 2006に来てくれた人も含め,ROの今後を楽しみにしている人に,そして,ガンホーゲームズを含め広くガンホーの作品や活動に注目している人に,それぞれメッセージをいただければと思います。
森下氏:
ROについては本日もいろいろ新しい発表がありました。今後我々としてもどんどん新しいことにチャレンジしていきたいと考えていますので,新しいプレイヤーさんも多く入ってくることと思います。古くから遊んでくれている人も,そうした新しい人とぜひコミュニケーションを深めていただき,一緒にプレイを盛り上げていただければと思います。
そして,ガンホーゲームズについて言えば,グループ全体の中核を成す事業となっていくと思いますので,ガンホーのみならず,ジー・モードやゲームアーツ,ブロッコリーさんのキャラクターなどがどんどん入ってきます。
グループの総力を挙げて取り組んでいきますので,ぜひ楽しみにしていてください。夏に具体的な発表をして,すぐにサービスインします。今年の夏は,ぜひガンホーゲームズで。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
今年の3月末に,今夏サービス開始という発表があったポータルサイト「ガンホーゲームズ」と,そこでの展開予定タイトルについて,なかなか興味深い話を聞けた今回。グループ会社の分も含め,ゲームおよびその近縁分野に,マーチャンダイジング展開の核となるキャラクター商品を多数保持するガンホーだが,それは今後関連グッズのみならず,カジュアルゲームにも活用されていくようだ。
森下氏が「一種のコミュニケーション」と語ってくれた,ROとROモチーフのカジュアルゲーム,ECOとECOのカジュアルゲームの間での連携要素は,いったいどんなものになるのか。具体的な形が実に気になるところだが,差し当たりはこの夏の正式発表タイミングを楽しみに待つことにしよう。(2006年5月21日収録)