4Gamer:
その数十タイトルは,すべてPCプラットフォームの作品ですか?
森下氏:
基本的には,PCプラットフォームで数十タイトルです。
4Gamer:
携帯電話向けタイトルなどは,また別だということですね。
森下氏:
携帯電話向けは,別立てで制作されています。ただし対戦ゲームに関しては,PCと携帯電話それぞれのユーザーが一緒に遊べる作品を,用意していく予定です。
4Gamer:
なるほど,両者をターゲットにした作品もあると。先ほど,ガンホーゲームズにはガンホーの全タイトルが載る予定であるというお話がありましたが,そうだとすればグランディアオンラインもそこに載るわけですよね? グランディアについては過去に何度か,多プラットフォーム展開を積極的に考えている旨のお話をお聞きしたことがあります。実際のところ,どうなのでしょうか?
森下氏:
どこのタイミングでやるかを明確にしてはいませんが,基本的にマルチプラットフォームという考え方で展開することは,年頭からやってみたいと考えているプランです。
4Gamer:
やはり方針としてはマルチプラットフォームということですね。すごく基本的なところで気になるのがガンホーゲームズのサービス開始時期ですが,3月時点での情報では,今年(2006年)の夏ということになっていました。日程周りはその後具体的になっていますか?
森下氏:
まあ,現時点での予定でも夏,ということで。何も変わっていません。オンスケージュールで進捗しています。
4Gamer:
しかし,数十タイトルというのは今日初めてお聞きしましたが,なかなかのボリュームになりそうですね。
森下氏:
ええ。そしてもちろん,それだけで終わるわけではないですから,どんどん追加していきます。カジュアルゲームのほうは,現在ジー・モードで開発を進めています。
4Gamer:
増やしていくペースの目安などを教えてください。
森下氏:
月に何タイトルというところで考えているのですが,それが何タイトルなのかは……ごめんなさい,言えません。
4Gamer:
では,スタート時の数十タイトルは,どういった内訳になっているのでしょうか。計画的にいろいろな分野にわたる形で用意されるものと想像しているのですが,そのラインナップの考え方をぜひ。
森下氏:
ガンホーゲームズの基本的なコンセプトは,カジュアルに特化していることです。ですから,本当に単純な操作感で誰でも遊べるもの,ニンテンドーDSなどで流行っている“右脳系”のものも入ってきますし,ゲームゲームしていないものも,当然ながら含まれます。また一方で,エデュテイメントコンテンツも,可能性のある分野と捉えていまして,必ずしもゲームを目的としない人も,取り込んでいけると考えています。
4Gamer:
ガンホーゲームズが立ち上がる時点で,対応するプラットフォームはPCのみですか?
森下氏:
ええ,まずはPCです。そして,比較的早い段階で携帯電話との連動がスタートします。基本的に今はその二つのプラットフォームがターゲットであるとしていますが,ジー・モードとの提携を発表したときに述べたとおり,思想としてはマルチデバイスで行きたいと考えています。
ただ,そのためにはどうしてもハードウェアプラットフォームごとの制限事項などが出てきますので,開発上意識しなくてはいけないことは多々ありますけどね。
4Gamer:
そうなると気になってくるのが,以前堀さんがAOGCで解説していた
「ソフトウェアプラットフォーム」のお話なのですが。
森下氏:
うーん,とはいえまだPC以外は次世代ハードウェアの動向に注目させていただいている段階ですね。現在ハードウェアそのものの進化が仕様として見え始めた段階ですし,ソフトウェア環境の変化はこれからだと思います。
4Gamer:
そうですね……ハードウェアの足回りに合わせていかなければならないですし。
森下氏:
ただ,次世代機でソフトウェアのダウンロード配布形態が発表されるなど,オンラインゲームにとって追い風となる動きも出てきています。
4Gamer:
今回ガンホーゲームズで展開されるタイトルの中に,堀さんの「ソフトウェアプラットフォーム」に準拠した作品は含まれていますか?
森下氏:
いいえ。基本的に別のお話です。
4Gamer:
すると,「ソフトウェアプラットフォーム」はもう少し先のお話と考えるべきなんでしょうか?
森下氏:
うーん,先かというと,それも少し違います。というのも,すでに開発中のタイトルで,一部研究結果が反映されているものがあるからです。
4Gamer:
つまり,「グランディアオンライン」や「北斗の拳オンライン(仮)」がそうだということですね。両方ですか?
森下氏:
具体的なお話は製品発表の段階で,ということで(笑)。
4Gamer:
差し当たり,ガンホーゲームズ提供タイトルが「ソフトウェアプラットフォーム」に直結しているわけではないと。確かにカジュアルタイトルであれば,気負わずともマルチプラットフォーム化できそうな気はしますね。
森下氏:
そうですね。例えばRPGのような規模のあるコンテンツを複数のハードウェアで提供するのはかなり困難なことです。しかしオンラインゲームの場合は,ゲーム自体がサーバーという共有世界を持っていますから,すべてを一から作り直す必要はありません。「ソフトウェアプラットフォーム」の概念は,それをヒントとして,けっこう前から研究開発してきているものです。
4Gamer:
スペック周りなどを考慮したうえで,当面考えられるターゲットは,やはり次世代の据え置き型コンシューマ機ということですか。携帯型ゲームではなく。
森下氏:
うーん,当然デバイスとしてはニンテンドーDSやPSPもありますが,PCで要求されるグラフィックスを携帯型ゲームで実現できるかという問題にもなってしまいますから。
例えばグランディアという作品は,もともとコンシューマ機タイトルですし,この作品ではできる限り,コンシューマ機で遊んできた人にもオンラインゲーム触れてもらえるようにしていきたいなどと,思ってはいるのです。
4Gamer:
なるほど。ただ,一方で携帯型ゲーム機の市場は著しい成長を見せています。そこへのアプローチは,なんらかの形で始まっているでしょうか。
森下氏:
基本的なところでいえば,携帯型ゲーム機も常に意識しています。ごりごりのRPGというよりは,例えばニンテンドーDSなどでは,もっとカジュアルライクなもののほうがいいんじゃないかとかですね,それぞれのハードウェアと受容環境によって,展開の仕方はいろいろあると思いますので。
基本的に,できないということではないので,あとはタイミング次第ですかね。
4Gamer:
いざ作品を作るとなれば,隙間時間利用を狙うとか,目指すポイントそのものが変わってくるでしょうし。
森下氏:
そうですね,例えばタッチパネルとか。それをうまく活用して,既存のオンラインゲームにないサプライズを作り出せるかどうかが重要です。