― 特集 ―

タイトル

Text by キーオ林/Guevarista 

前へ

かつてそこに,何か未知のものがあった……

4Gamer
 遺跡ダンジョンに関して,アートワーク担当のキムさんにお聞きします。1個1個の遺跡のデザインは,どういったコンセプトで決めていったのでしょうか?

 

キム・チュンヒョ氏
 ウルラ大陸のダンジョンには,それぞれデザイン上のテーマがありました。例えばアルビダンジョンやキアダンジョンは自然の石で出来ているとか,ペッカダンジョンはうち捨てられた墓,といったような……。
 そしてイリア大陸のダンジョンは,「そこに何があったのか分からないけど,ウルラ大陸にはなかったもの」を,一つのメインのテーマにしています。

 

4Gamer
 イリア大陸全体にわたる,大きな古代文明があったという考え方でしょうか? それともいろいろな文明が,大陸各所にあったという考え方でしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 イリアというのは「古代に何かの文明があったのかもしれない」という設定になっていて,人が入った気配がないのに石像があったり,建造物があったりします。ダンジョンのデザインは,「何か分からないけど,発達した文明があったのかもしれない」というテーマを考えています。それが一つなのか複数なのかは,プレイヤーの想像に任せる部分だったりします。

 

 

4Gamer
 文明と遺物を記録していく「スケッチ」に関してですが,これは例えばスケッチ帳に蓄積されていって,ほかのプレイヤーに見せたりできる形になるのでしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 スケッチそのものを集めて他プレイヤーに見せることはできないのですが,プレイヤーごとの探検年表に自動的に記録され,それをほかのプレイヤーが見て,情報を共有することはできます。

 

4Gamer
 スケッチは,やはりAPを使ってランクを上げていくスキルなのでしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 いいえ,スケッチはスキルではありません。ゲーム内のアイテムを使うと自動的に起動するものであって,ランクがあって成功率が上がっていくとか,そういうものではないのです。

 

4Gamer
 それでは,APを使ってランクをアップさせていくスキルは,C2では増えないのでしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 今回のアップデートはイリア大陸の導入を中心としたものなので,とくに新しいスキルは実装されません。しかし今,韓国ではイリアの導入とは別に,新しい魔法スキル「アイススピア」が実装されています。
 それ以外にも「二刀流」というスキルを企画しています。まだ詳しくはお話しできませんが,いろいろな剣の組み合わせができるスキルになるはずなので,ぜひ,楽しみにしてください。

 

4Gamer
 先ほどのパーティの話に関連するのですが,探検をメインにしたC2では,例えば複数人で探検隊を組み,共同で業績をまとめたりすることは可能でしょうか。

 

イ・ヒヨン氏
 探検隊を組んで業績を共有することは,現段階では不可能です。ただし,そこは今後追加される内容に関連していて,これからどうなるのかは,残念ですがまだお話しできません。

 

4Gamer
 良い線を突いたところで先に釘を刺されてしまいましたね。時期が来たらぜひ教えてください。
 では話は基本的なところに戻るのですが,ウルラ大陸からイリア大陸に渡る船の運賃や,到着までにかかる時間を教えてください。割と一大決心をして新大陸に渡るのか,気軽に行けるのか,というところについてなのですが。

 

devCAT 運営チーム ローカライズユニット長 メン・ジソン氏

メン・ジソン氏
 船はリアルタイムで6分ごとに一度出航し,船の出発から到着までには3分かかります。その3分間にはチャットが可能で,NPCとの会話も楽しめます。運賃は100ゴールドですので,気楽に大陸間を行き来できます。

 

4Gamer
 蜜蝋の翼(編注:任意の町にテレポートできるアイテム)などを使って大陸間を移動することは可能でしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 ベースキャンプや地面に描かれた絵の場所に,アイテムを使って移動可能で,大陸をまたいでの移動も可能です。また,日本サービスでは最初から「大陸移動」というメニューも実装されると思います。そのメニューによって,ウルラ大陸ではダンバートンに,イリア大陸ではベースキャンプに移動できます。

 

4Gamer
 C2でゆくゆく実装予定の漁船に関してですが,これは個人所有はできないのでしょうか?

 

イ・ヒヨン氏
 今の企画としては,定期的に出航する小さな船があって,これに乗ると大きい船に乗り換えられ,そこでプレイヤーが集まって釣りをしたり情報交換したりできるという形を考えています。個人で船を持てるようにするかどうかは,現在検討中です。

 

4Gamer
 今回のアップデートでは,乗れる動物としてダチョウや馬,ユニコーンが導入されましたが,今後増やす予定はありますか?

 

イ・ヒヨン氏
 今,乗り物にできるペットとして馬があり,かなりの数のプレイヤーさんにご購入いただけている状況ですので,乗り物として新しい動物を導入する必要は,当分の間ないと考えています。とはいえ,既存の馬やダチョウのうち,外見が可愛らしいものや綺麗なものについては,プレイヤーさんの要望があれば入れるかもしれません。

 

日本から世界への提案,コラボレーション

ネクソンジャパン 運用部 神田淳氏

4Gamer
 C2そのものの話からは少し離れるのですが,韓国で導入されているハウジングに関して,日本での導入予定はありますか?

 

ネクソンジャパン 運用部 神田淳氏
 今,時期を調整してまして,どういう形で導入するかはまだ本格的には決まっていないです。差し当たりの話をするならば,次のアップデートの段階では,まだハウジングは入りません。

 

4Gamer
 C2およびそれ以降に関して,日本からの提案要素や提案予定はありますか?

 

神田淳氏
 現状,まだ大きなアイデアを出したことはありませんが,日本側のアイデアも,もちろん順次出して行きたいと思っています。うまく意見が一致を見るようであれば,コラボレーションを積極的に行っていきたいと思っております。

 

4Gamer
 発表会では日本刀が登場していましたが,これは韓国でアイデアが出たのですか?

 

神田淳氏
 ええ。僕らも今回初めて日本刀を見ました(笑)。「意外なところで日本由来のものが採用されたな」と思いまして,これをベースに,これからどうするかという提案を考えたいと思います。

 

4Gamer
 では最後にdevCATチームのみなさん一人一人に,C2以降でプレイヤーに期待してほしいところや,プレイヤーへのメッセージをいただけたらと思います。

 

ハン・ジェホ氏
 C2では新しい世界を作ることに力を入れています。そこでプログラマとしても,新しい世界をより遠くまで見せるために,技術的にいろいろ苦心しました。それがうまく実を結んで安心しています。
 これからも,従来導入されているワールド以上のものを追加していきたいと思いますので,広いワールドの探検をぜひ楽しんでほしいと思います。

 

キム・チュンヒョ氏
 デザイナーとして「今まで経験したことのない世界を作りたい」という思いが一番強いです。背景もそうですし,モンスターもそうです。見たことがない世界をイリア大陸で実現するので,そこで新しい経験を楽しんでもらえたらと思います。
 そして,新しい体験を重ねるうちに,今までの「マビノギ」が懐かしくなったら,またウルラ大陸に戻って,従来の生活を楽しむのもよいでしょう。そういう風に,プレイヤーが自ら選択して,ファンタジーライフを楽しんでほしいですね。

 

イ・ヒヨン氏
 えー,話したいことは先に二人が話してくれました(笑)。C2で,本当の意味での探検と冒険をしてほしいと思います。探検という体裁だけを取り入れて,その実戦闘ばかりしているのではなく,別の大陸で新しい探検をし,新しい経験ができるような世界を作っていけると自負しています。
 これからも,どんどん新しいワールドが作られる予定です。材料は開発側が用意しますので,その材料で自分なりのストーリーを作っていってください。

 

4Gamer
本日はどうもありがとうございました。

 

 

 C1で展開されたストーリー形式のジェネレーション1〜3は評判も高く,多くのプレイヤーが惹き付けられ,こぞって攻略していた。手堅い選択をするなら,今後のアップデートもこの方式の延長で進めていくことは可能だったはずだ。
 しかしマビノギ開発チームは,あえて新たなステージへと踏み出した。新大陸イリアでは,これまでとはまったく違った展開のゲームが,プレイヤー達を待ち受けているのである。
 当然,不安要素もまた多い。まったく新しい展開を見せるC2は,C1を好んでプレイしてきたプレイヤーにとって,ひょっとしたら「最高に楽しい」といえるアップデートにならない可能性もある。
 だが,もともと「マビノギ」は生産を中心とした生活面と,アクションゲームに近い戦闘面,まったく異なる要素がうまく融合した新タイプのMMORPGであったのだ。今回のインタビューでも,開発側の「戦闘だけではない新しいファンタジー」へと向かう不変の信念を,垣間見ることができたと思う。
 来る4月27日,また新たな「ファンタジーライフ」が展開される。新大陸ではどんな冒険がプレイヤーを待ち受けているのか,今から楽しみにしたい。(2006年4月18日収録)

 

前へ

 

 

タイトル マビノギ
開発元 Nexon devCAT studio 発売元 ネクソンジャパン
発売日 2005/04/26 価格 基本プレイ料金無料(アイテム課金)
 
動作環境 OS:Windows 98/Me/2000/XP,CPU:Pentium III/500MHz以上[Pentium 4/1.0GHz以上推奨],メインメモリ:128MB以上[512MB以上推奨],HDD空き容量:1GB以上

Copyright(C) 2003 Nexon Corporation. All rights reserved. Developed by devCAT.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/specials/060425_mabi/060425_mabi_002.shtml