4Gamer:
神獣についてあらためてお聞きしたいのですが,これは正式の開拓団を成立させた時点で,自動的に与えられるものなのでしょうか?
中内氏:
いいえ,購入するものです。どの神獣を選ぶかは,マスターが決めることになります。
4Gamer:
神獣は何種類いるのでしょうか?
中内氏:
現在企画されているのは4種類ですが,今後追加していく予定です。日本でどういったキャラクターが求められるのか,リサーチして反映したいと考えています。
4Gamer:
「神獣」で4種類ときたので,亀(玄武)と鳥(朱雀)と……とか想像してしまったのですが,そういうわけではないんですね(笑)。やはり,ドラゴンの姿をしていたりするのでしょうか?
中内氏:
イメージ的にほぼ固まっているのが2種類ありまして,ミレナ/レインにはそれぞれ,レベル170くらいのボスモンスター的な存在がいるのですが,それに近い姿を予定しています。具体的には,ドラゴン型とメカ型です。
4Gamer:
割と両国の文明の性格に沿ったもの,というわけですか。ところで先ほど,神獣の経験値が召喚時間に応じたものになる,というお話があったかと思います。つまり一度召喚したら,そのまま連れて歩くというイメージではないということになりますよね?
中内氏:
神獣自体は召喚したままでも問題ないのですが,実は連れていると召喚したプレイヤーキャラクターの移動が遅くなるのです。いざ戦おう,というときに呼び出す感じになります。ちなみに,メジャーが召喚した神獣は,マスターによってほかのところに呼ばれる可能性があります。逆は不可能になっていますが。
4Gamer:
ところで,デコオンラインについては,日本市場を非常に重視しているというお話をかねてから聞いています。ここまでにお聞きしたなかで,これぞ日本からの提案要素,というものがありましたら,その経緯ともどもぜひ教えてください。
中内氏:
うーん,ゲームの全体について日常的に意見交換を行っていますので,取り立ててこれ,という感じではないのですが。実を言うと神獣という要素自体,開発元と意見/情報交換をしていく中で,我々のほうから提案していった結果でもあります。デコオンラインのサービスを展開するに当たっては,とにかく“みんなで何かができる”要素をたくさん盛り込みたいと思ったのです。
4Gamer:
なるほど,そもそも神獣がそうなのですか。
中内氏:
ええ。このインタビューでも,インスタントメッセンジャー経由で説明を補足してくれている,開発元Rocksoftのジョ・ホンソプ社長も,日本のゲーマーに評価されるものを作りたいという考えを持って,デコオンラインを立ち上げたので,非常に理解があります。
神獣に関しても,実は我々がポソッと「ギルドのみんなでペットを育てられたらいいんじゃないの」みたいに言った話から,始まっています。その段階では,とくに神獣といった形ではなかったわけです。そしてそれを「攻撃の強いギルド,防御の固いギルドといった個性が出るとよい」といった話と組み合わせる形で,Rocksoft側によって落とし込まれたのが,今考えられている神獣のシステムというわけです。
4Gamer:
今後いろいろバリエーションが考えられる部分だけに,それが日本からの提案とコミュニケーションの成果というのは実に面白いですね。先が楽しみ,といいますか。
中内氏:
ですので,今後日本人にウケるというよりは,日本のファンタジーに根ざしたような神獣を出していきつつ,プレイヤー同士が協力することでプラスになるようなシステムを,もっともっと追加していきたいと考えています。
4Gamer:
話の方向は大きく変わるのですが,フロンティアシステムの後には,どういった方向性のアップデートが検討されているのでしょうか?
中内氏:
現在構想されているところでは,各プレイヤーキャラクターが持てるペットという要素があります。まだ,いわゆる従者型にするか, 乗り物型にするかも決まっていないのですが,ぜひ導入したいと考えています。
それと,PvPエリアで,新しいルールを含めた拡充を行いたいと思います。加えて三次職で,より強力なクラスを用意します。
4Gamer:
一次職から二次職へという流れでは,専門性が強化されていますが,そこから三次職となると,その流れが加速されるのでしょうか,それとも別のクラスの能力を兼ね備える方向になっていくのでしょうか?
中内氏:
違った(クラスの)要素が出てくる……可能性が高いです。ただし,まだ決定しているわけではありません。
それからさらに先のことについて触れるならば,今後ミレナとレインだけでなく,また新しい要素が加わっていきます。開発スケジュール次第で,年末なのか来年になるのか,まだ分かりませんが,ミレナとレインとは,また違ったところが出てきます。
4Gamer:
デコオンラインの概要が紹介されたときに,ミレナともレインとも異なる第三勢力として紹介されたものとは,また別ですか?
中内氏:
それはレテ平原とそこのモンスターについての説明ですね。今お話ししているものとは別です。
4Gamer:
ではそれは,プレイヤーキャラクターですか? NPCですか?
中内氏:
今言えるのは,「エリア」ですね。新しいエリアが追加されます。そしてそのエリアは,ミレナでもレインでもありません。
4Gamer:
普通にミレナでもレインでもないエリアが追加されるだけであれば,ミレナとレインの戦いに影響は出ないはずですよね。そこをめぐって新しい戦いが生じるかもしれない,くらいといいますか。
中内氏:
そのとおりです。そのエリアでは,ミレナともレインとも異なる“文明”が見いだされます。村やモンスターの様子が違うかもしれないですし,まだ詳細はお話できませんが,ミレナ/レインの対立構造とは,また違った要素を導入します。
4Gamer:
単にミレナとレインが土地を奪い合うだけでなく,第三軸が加わると……。
中内氏:
はい,この三つめの存在が非常に大事でして……そもそもミレナとレインの設定のバックボーンには異世界があります。例えば魔法は,そうした異世界に由来する「プロイマ」という力を利用する行為であるわけです。
4Gamer:
そうですね。それが現状で明かされている設定ですね。
中内氏:
そして,そのプロイマや,ミレナとレインの歴史に関わる遺跡と関連を持つのが,新しく登場する第三の要素というわけです。これが入ることで,シナリオにさらに深みが出てきます。
4Gamer:
それは先住民族のような存在ですか?
中内氏:
ええと……デコオンラインにおけるモンスターの定義そのものが,次元の狭間から出現している,という考え方になっています。さらにいうと,プレイヤー自体も,違った次元から迷い込んできた存在ということになります。
将来的に出てくる新しい要素は,その次元の狭間に関係するものです。
4Gamer:
次元の狭間から,新しいものが出現してもおかしくない,と。
中内氏:
そういう感じです。今のところ,言えるのはここまで,ですが。
4Gamer:
うーん……分かりました。具体的なお話が聞ける時期が来ましたら,ぜひ教えてください。また別の話題となりますが,今のところデコオンライン内では,比較的オーソドックスな季節イベントが開催されてきていますよね? 今後どんなイベントが予定されているか,お聞きできればと思います。
中内氏:
実は今まさに開発側と協議している最中でして,具体的にお話しできる事柄がないのですが……。今後開発側を巻き込んで,イベントを活発に展開していきます。日本からも積極的に提案していますので,ご期待ください。
4Gamer:
日本提案要素や独自展開としては,公式サイト上のノベル「シオンの剣」もそうですよね。これの狙いと展開はどういったものになるのでしょうか?
中内氏:
シオンの剣では,ゲームの背景となる世界を気軽に読んで理解してほしいというところからスタートしました。今後は,ゲームのアップデート内容に関する,いわばヒントも盛り込まれていきます。
また今後,例えばイベントでシオンの剣の登場人物が体験する物語が,題材として出てくるかもしれない,ということです。
デコオンラインでは,NPCのキャラクター設定などもそうですが,世界観,ストーリー要素が一つの魅力だと思っています。そうした意味で,ゲーム本体ともども楽しんでいただければ,というところですね。
4Gamer:
なるほど,単なる関連メディアにはとどまらないわけでですね。では最後になりますが,この記事を読んで,改めて興味を持ってくれるであろう人に,ぜひメッセージをいただけますか。
Rocksoft社 代表取締役社長 ジョ・ホンソプ氏
デコオンラインは,韓国でオープンβテストを始めてから2か月後という,早いタイミングで日本でも展開していますので,まだ不十分なところがもあるかと思っています。
しかし,それゆえに今後の可能性は広いのではないかとも考えております。日本プレイヤーの好みや要望を積極的に反映して,プレイすればするほどより独特で,より楽しいデコオンラインにしていきたいと思っています。ぜひお楽しみに。
中内氏:
クローズドβテスト,オープンβテストに参加してくださった方,貴重なご意見をお寄せくださった方に,まずはお礼を申し上げます。
日本における運営側のスタンスとしては,デコオンライン自体が韓国でも出たばかりということもあって,まだまだ完成されていない作品だと思っております。
今後の展開に関しては,日本のプレイヤーの意見を大いに参考にしつつ,日本におけるファンタジーゲームのファンにとって,楽しめる要素をどんどん追加していきます。
ただしそれだけではなく,プレイヤー同士で何かができるとい,ことを,実感できるゲームにしていきたいと思います。今後の展開に,ぜひご期待ください。
4Gamer:
本日は長時間にわたり,ありがとうございました。
直近で導入が予定されているフロンティアシステムから,年末ないし来年のアップデート予定まで,デコオンラインの今後について実に広汎な話が聞けた今回のインタビュー。鉱山マップやコロニー,そこで展開される攻城戦について,まだビジュアルイメージがあまり出てきていないのは残念だが,「ギルドが街を持てる」という触れ込みの中身については,大まかなイメージを持っていただけたことと思う。
また,日本からの要望を積極的に受け止める開発体制は,今回聞いた話のなかで見逃せないポイントだ。日本独自イベントもさることながら,例えば今後追加される神獣にどういったバリエーションが用意されるかなども,非常に楽しみな部分といえる。
ミレナとレインの間に広がるレテ平原,そこで展開されるRvRを通して本領を発揮するであろうデコオンラインの今後に,ぜひ注目していただきたい。(2006年3月収録)