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2000万分の1の頂点は韓国に。「ゲットアンプド世界大会2007」レポート
2007/02/13 17:03
 2007年2月10日,韓国はソウル市にあるCOEX Indian Hallで,「2007 GetAmped World Festival」(ゲットアンプド世界大会2007)が開催された。これは,以前の記事でもお伝えしたとおり,オンラインアクションゲーム「ゲットアンプドR」(韓国では“R”がつかない「GetAmped」)がサービスされている,日本,韓国,中国,台湾,タイ,インドネシアから選ばれた総勢48名のプレイヤーが,世界一の座をめぐって競うというもの。
 ゲットアンプドRのプレイヤーは,上記六つの地域で合計2000万人(2007年2月9日時点)存在するため,まさに2000万分の1の頂点をめぐっての戦いが繰り広げられたというわけだ(競技人口はともかく,全世界のNo.1という意味では,60億分の1をめぐる戦いと言ってもいいだろう。PRIDEのように)。

 主催は,韓国で本作を運営するWindySoftと,開発元であるサイバーステップの2社。約1億円もの予算をかけて行われたというこのイベントは,予算額に恥じないどころか,それをはるかに超えるほどの盛り上がりを見せていた。



■個人戦,チーム戦ともに韓国勢が上位を独占

個人戦とチーム戦の両方で優勝した韓国代表のBAE,jae minさん
 前述のとおり,現在2000万人を超えるゲットアンプドRのプレイヤーだが,その多く(1000万人以上)は韓国のプレイヤーである。
 オンラインゲームに限った話ではなく,あらゆる競技で国別の対抗戦を行った場合,競技人口の多い国が上位を占める傾向がある。その競技に取り組んでいる人々の実力をピラミッド型に配置するならば,競技人口が多いほど頂点の標高が高くなる(=レベルが高くなる)というわけだ。これがそのまま当てはまる光景が,ゲットアンプド世界大会2007では繰り広げられた。
 日本からは,Synergyさん,TMさん,yuuさん,キリサキさん,チスミーさん,トサカ大将さん,まっちょさん,チムニーさんの8名が出場。個人戦では,yuuさんが4位に,チムニーさんが6位に入賞したものの,チーム戦では入賞者ゼロという結果になった。
 ちなみに,個人戦で1〜3位を独占したのは韓国代表。チーム戦でも1〜3位は韓国代表で,4位は中国代表であった。

2月9日に行われたレセプションで,大会の組み合わせ抽選会が行われ,このようなトーナメント表が出来上がった


2月8日に日本で行われた決起集会
 日本代表が韓国に向けて出国した2月9日の前日には,サイバーステップ本社にて決起集会が行われ,おのおのが世界大会への意気込みを語っていたものの,世界(というか,韓国)の壁は想像以上に厚かったようである。
 ちなみに決起集会では,サイバーステップの岡山博紀氏から「他国と力を合わせてでも,最強国であろう韓国をマークせよ!」とのアドバイスがあったのだが,そうした事前の作戦をもはねのけるだけの実力を,韓国代表は持っていたということなのだろう。

 また,大会前日に行われた,トーナメントの組み合わせ抽選会や,大会当日の進行に日本語での説明がほとんどなかったり,そもそもイベント自体の流れが“悪い意味で自由”だったりと,日本代表にとって環境面で不利だったのは事実。オンラインゲームという分野にも,ホームタウンディシジョンが存在するようだ。

 サイバーステップとしては,ゲットアンプドRのサービスが行われている各国で,今回のような大会を定期的に開催したいという意向を持っているようだが,そういった場面で日本勢が韓国に打ち勝つのは,現状ではかなり厳しいように思える。
 対外試合の経験はもちろんのこと,やはりプレイヤー数を増やし,その中で熾烈な競争を勝ち抜くぐらいの実力をつけることが急務だろう。

 今回,個人戦で4位(世界で4位ではあるが,日本では1位と言っても差し支えないだろう)という好成績を収めたyuuさんは,本作をガンホー・オンライン・エンターテイメントがサービスする以前,サイバーステップが自社で手がけた頃からの古株プレイヤーであったという(現在は再びサイバーステップが運営中)。本作が,プレイヤースキルの高さを競い合う側面を持っている以上,プレイ期間の長さ(もちろん,センスも重要だが)が,その実力を裏付けるものであるのだろう。
 となれば,プレイヤー数を増やすことのみならず,プレイヤーが安心してプレイをし続けられる環境を提供することが,サイバーステップには求められるはずだ。

日本代表で唯一,個人戦の準決勝に進出し4位に入賞したyuuさんは賞金1000ドルを獲得


■大盛況のWorld Festival

 さて,ここまでは世界大会の結果についてをざっくり触れてきたが,ここからは2007 GetAmped World Festivalというイベントの盛況ぶりをお伝えしていこうと思う。
 こと日本国内に限って言えば,ゲットアンプドRはまだメジャーなタイトルではない。むしろ,運営主体が2度変わるなど,紆余曲折を経てきたタイトルだ。それもあってか,国産のオンラインゲームでありながら,韓国をはじめ,アジア圏で多大な人気を獲得しているにもかかわらず,日本国内においては,盛り上がっているとは言い難い。
 ゲットアンプドRというゲームが,対戦型のアクションゲームであるということは,近年までコンシューマゲーム機が(合法的に)存在しなかった韓国市場において,大きなアドバンテージを持っている。だが,日本では対戦アクションゲームはコンシューマ,およびアーケード市場で確固たる基盤を築いており,その分,タイトル間の競争も熾烈だ。また,カジュアルに楽しめるオンラインゲームという点でも,韓国から多数のタイトルが日本国内に進出しているため,ゲットアンプドRが埋もれがちであるというのも,否定できない事実だろう。

 こういった日本国内での現状を知っている人ならば,いくら韓国で盛り上がっていると聞いたところで,眉に唾をつけたくなってしまうのではないだろうか。率直に言って,筆者自身も“それなり”の盛り上がりなのだろうと予想していた。
 だが予想は,2007 GetAmped World Festivalの開場前,2月10日の午前9時頃に会場に着いた時点で覆された。本作のメインターゲットである小中学生が,行列を作って開場をいまかいまかと待っていたのだ(最前列は朝4時頃には到着していたとか)。9時過ぎに会場についた子供達が,行列を見るや焦った表情で全力疾走をする光景も,何度となく見ることができた。
 開場は9時50分頃だったのだが,入場者数は10時半の時点で3万人,午後2時の時点で7万人を突破。韓国の一部メディアによると,最終的に10万人に達したのではないか? というほどの盛況ぶりだった。
 具体的な数値は計測していないが,COEX Indian Hallの敷地面積が3645平方メートルで,「東京ゲームショウ2006」の会場となった幕張メッセのホール1〜ホール8の面積が5万4000平方メートルであること,東京ゲームショウ2006の3日間の総入場者数が19万2411人であることなどを考えると,さすがに10万人というのは多分に誇張も含まれていると思われる。だが,単体のオンラインゲームタイトルで行われたイベントとしては,世界でも類を見ないほどの成功だったことは,間違いない。
 余談だが,10万人という数値は,COEXで実施されたラグナロクフェスティバルとの比較ではじき出されたもののようだ。日本でも観客動員数の水増し発表はさまざまな分野の興行で常態化しているが,それと同じことなのだろう。

 WindySoftでは,事前に地上波テレビ放送でCMを流すなどして,このイベントへの動員に尽力していたというが,当日の開場前に同社のキム副会長は「本当にお客さんが来てくれるのか,少し心配していましたが,今はホッとしています」と語っていた。
 入場が無料であることや,来場者へのプレゼントが用意されていること,さまざまなアトラクションが用意されていることなどを差し引いて考えても,ゲットアンプドRが韓国内において,かなりの動員力を持つオンラインゲームになっているのは,間違いないようだ。



■コスプレ大会からライブまで盛りだくさんのメインステージ

 今回,世界大会の準決勝から決勝までは,メインステージ上で行われ,その模様が韓国のゲーム専門ケーブルTV局「OngameNet」で生放送されたのだが,メインステージではこれ以外にも,B-BOYや小さな女の子達のダンス,テコンドーのデモンストレーション,コスプレコンテスト,お笑いライブなどが行われた。
 中でも圧巻はコスプレコンテスト。「美少女戦士セーラームーン」のコスプレイヤーが,ミュージカル版の楽曲(日本語)を口パクしながら踊ったり,モーニング娘。のコスプレイヤーが「THE マンパワー!!!」「浪漫 〜MY DEAR BOY〜」を完璧なフォーメーションと振り付けで披露したり……。このほかにも,「涼宮ハルヒの憂鬱」「NARUTO」「BLEACH」のコスプレイヤー達(寸劇をやるグループも)が,立て続けにステージに登場。日本のオタク文化が韓国で愛されていることが,非常によく分かって複雑な気分にさせられたものである。



 世界大会の授賞式の前後には,韓国の人気アイドルや人気アーティストも登場。会場には,彼らを見るために足を運んだ人も多かった様子だった。
 ゲットアンプドRの試合が行われている間は小中学生がステージ前に集まり,試合の様子を見ながら歓声を上げていたのに対し,アーティストのライブが始まるともう少し上の年代の観客がステージ前を占拠。
 つまるところイベント主催者としては,ゲームのメインターゲットとは異なる年齢層にも,イベントに足を運んでもらおうという狙いがあったのだろう。その狙いの向こう側に,何を見ていたのかは不明だが,とりあえず幅広い年齢層が会場に足を運んだという結果は,確かに出ていたようである。

上段左から,ペ・スルギ,ブライアン,Baby box Re.v,ピョル,Battle,Epik High。それぞれかなりの歓声を浴びていたが,韓国にはPPPHやらヲタ芸やらは存在しない様子だった


 このほか会場には,立体迷路やラジコンコーナー,ゲットアンプドRのプリクラコーナー,カートコース,ゲットアンプドRの試遊台など,多彩なアトラクションが用意され,どれも行列が生まれていた。
 今一つ,ゲットアンプドRとの関連性が思い浮かばないものもあるのだが,これもきっと,何でもいいから来場者を楽しませようという熱意の現れなのだろう。その結果,イベント自体が大いに盛り上がっていたのだから,細かいことは気にしない方が良さそうだ。そして何より,このきっかけとなったのが,日本で生まれたゲームであるということを,少し誇りに思えた次第である。(TeT)


ゲットアンプドR
■開発元:サイバーステップ
■発売元:サイバーステップ
■発売日:2007/02/26
■価格:基本料金無料(アイテム課金)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.02/20070213170357detail.html