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6時間でのWinny被害は約100億円,さてその内訳は?
2006/11/29 17:34
 コンピュータソフトウェア著作権協会と日本音楽著作権協会は,ファイル交換ソフトWinnyに対して独自に実態調査を行い,2006年10月10日6:00PM〜10月11日0:00AMまでの6時間にWinnyネットワーク上に存在したファイル数から,被害金額を算定して発表した。
 
  音楽ファイル 61万ファイル 4.4億円
  ビジネスソフト 61万タイトル 19.5億円
  ゲームソフト 117万タイトル 51.3億円
  アニメーション 18万タイトル 17.2億円
  コミック 159万タイトル 7億円

 
 個別に被害額は挙がっているのだが,具体的にどういう数字を表したものかは分かりにくい。被害についての線引きも曖昧で,立場によっては,暴論ではあるが「みんなタダだからダウンロードするわけで,お金出してまでダウンロードしないと思うから別に被害とは言えないんじゃないか?」といった声も聞かれる。その是否はともかく,上記の数字がどういったものなのかについて詳しく聞いてみたので,紹介しておこう。

 まず,音楽ファイルとその他のファイルでは,数字の持つ意味もかなり違う。音楽ファイルから見てみよう。
 61万ファイルというのは,音楽ファイルを含んでいたファイル数そのもので,そこからもっと詳細に何曲のファイルがあるのかというところまで推定して数値は出されている。
 Winnyネットワークに存在が確認された音楽ファイルは,

  アルバム 36万8000件
  シングル 23万7000件


の内訳となっており,そのファイル内にある曲数を,アルバムについては12曲,シングルなどについては2曲と換算して曲数を算定している。そこからJASRACで管理できる著作権物以外(自主制作,著作権切れなど)の数をアルバムで10%,シングルで5%と見積もって被害曲数を算出しているわけだ。これを非営利のダウンロード配信として考えた場合の,規定の音楽著作権料(10曲あたり1か月1000円)から4.4億円という額を計算している。この料金規定は,もともとダウンロード数に関わりなく,曲数のみに依存する課金となっている。
 一度ネットワークに上げられたデータが1か月で消えるとは思えないので,月間ではなく年間料金を使用すべきではないかという気はするが(これだと約3.5億円の被害となる),現状確認されたファイルに対してだけの比較的控えめな数値と言ってよいだろう(一緒に歌詞が付いているとすると,話は途端に複雑になるのだが,今回は曲データのみ算出)。音楽ファイルでの被害額とは,音楽著作権協会(ないしは著作権者)に入るべき著作権使用料で,CDの売り上げなどについては一切考慮されていない数字だ。

 これに対し,ソフトウェアやアニメ,コミックについては,基本的にパッケージ単価を基準としているようである。制作者の被害というよりは,販売店を含んだ業界全体の被害額と言ってよいだろう。
 ビジネスソフト61万タイトル,ゲームソフト117万タイトルという数字はなにを意味しているのだろうか? これは,Winnyネットワーク上で確認されたソフトののべ数を表している。1ファイルに複数のソフトがアーカイブされている場合には,内部のソフトタイトル を個別に計算し,同一ソフトが別々にある場合は,それぞれを別のタイトルとして計 算して,その結果を合計した数値である。
 単純にタイトル数と被害額から平均単価を出すと,

  ビジネスソフト 3200円
  ゲームソフト 4400円
  アニメ  9600円
  コミック 440円


となる。実際にはもっと細かく分類されて,それぞれの平均単価が掛けられており,単純に算出されたものではないそうだ。1タイトルあたりの単価で妙にビジネスソフトが安くなっているのは,フリーウェアやシェアウェア,ダウンロード販売ソフトウェアなどの比率が高かったのかもしれない。

 さて,これからなにをもって被害額としているのかという問題だが,これは,Winnyネットワークに存在するタイトルとその単価を掛けたものとなっている。つまり,そのファイルがどれだけの人からアクセスされようが,それは問うていない。分かりやすく言い換えれば,全ファイルが1アクセスずつダウンロードされた場合の被害額である。厳密に言えば,誰からもダウンロードされないファイルもあるだろうから,正確とはいえないのだが,大筋でいえば最低限といえるくらい,かなり控えめな数字となっている。
 
 Winnyでの著作権物被害の調査が行われたことは初めてでもあり,センセーショナルな取り上げられ方をしているが,音楽ファイルについては,CD売り上げの被害などを考慮していないこと,ソフトウェアについては,ダウンロード数を考慮していないことなどから,まだまだ実態の一部でしかないことが分かる。

 P2Pは非常に有用な技術ではあるものの,Winnyなどのファイル共有ソフトで違法コピーをする人が多いためか,世間的に誤解されがちである。Winny自体も優れた技術による作品であるのだが,その技術はもっと有益な方向で役立ててほしいものである。(aueki)

■コンピュータソフトウェア著作権協会ニュースリリース
URL:http://www2.accsjp.or.jp/topics/release2.html


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http://www.4gamer.net/news/history/2006.11/20061129173402detail.html