ニュース
「メティン2」PR担当とGMにインタビュー:オープンサービスで実装される新機能や今後の展望などについて
2006/03/23 23:53
左から,中島氏,内海氏,根本氏
 ゲームポータルサイト間の競争が激化する昨今,「ネットマーブル」を運営するCJインターネットジャパンは,同社としては初めての3D MMORPG「メティン2」を新コンテンツとして追加すると発表した。同社では現在,3月24日のオープンサービス開始に向け,最終的な準備が進められている。

 今回その同社を訪ね,3月20日まで行われたクローズドβテストの状況や,今後のアップデートの予定などについて,PR担当の根本悠子氏,GMを務める中島隆尋氏,内海知也氏から話を聞いた。今まで詳細が明らかにされてこなかった,本作独自のシステムに関する概要なども分かったので,メティン2に関心を持っている人は注目してほしい。

■オープンサービス開始時に新たに実装されるシステム/機能について

4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。ではまず,3月24日のオープンサービス開始時に実装される新機能について教えてください。

中島氏:
 大きな要素として,釣りシステム,乗馬システム,アイテム改良システム,中立地帯の追加による他国間のPvPシステムが挙げられます。
 釣りシステムは,さまざまな効果を持つアイテムを得るための手段です。具体的には,釣り上げた魚を調理する(=たき火に放り込んで焼く)ことにより,体力を回復させたり,特定の能力値を一時的に向上させたりするアイテムに変えられるのです。魚は10種類以上用意されており,釣れた魚の種類に応じて,どのような効果を持つアイテムになるかが決まります。
 釣り上げられるのは主に魚ですが,餌となるアイテムが釣れる場合もあります。餌は数種類あり,どの餌を使うかは魚が釣れる確率に影響します。また,使い込んで釣り竿のレベルを上げることによっても,魚を釣れる確率が向上します。

4Gamer:
 釣りは,役に立つアイテムの入手手段なんですね。それでは乗馬システムについても説明してください。プレス向け発表会で上映されたプロモーションムービーでは,馬に乗ったまま豪快に敵をなぎ倒す様子が確認できましたが,そのような機能は実装されますか?

中島氏:
 キャラクターのレベルが25になると,馬を入手するためのクエストが受けられるようになります。「猿の洞窟」でモンスターを倒すと獲得できるアイテムを,とあるNPCに渡すことによって,馬を入手できます。
 馬の移動速度は3段階に分かれており,馬を育成することによって,速度を高められるようになっています。オープンサービス開始時点では,馬は移動速度を上げるための補助的な役割を担うことになりますが,ゆくゆくは,乗馬スキルを磨くことで乗馬したまま戦えるようになるほか,乗馬時限定のスキルといったものも実装される予定です。

(写真左)GMを務める中島隆尋氏


4Gamer:
 乗馬したまま戦うというスタイルは,メティン2の特徴的な要素の一つだと思いますし,今から楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。
 アイテム改良システムについては,どのような点に注目すべきでしょうか?

中島氏:
 オープンサービスから,武器や防具といった装備品をアップグレードできるようになります。アイテムのレベルは0から9までの10段階あり,武器や防具は,アップデートすることによって攻撃力/防御力が高まるだけでなく,光沢が出るなど外見上も変化します。また,レベルの高いアイテムには光を帯びるエフェクトも適用されます。

4Gamer:
 自分のキャラクターがほかのキャラクターよりも光り輝いていれば,誰しも嬉しいものですよね。あともう一つ,メティン2の重要な要素として,他国間のPvPシステムがありますが,オープンサービスと同時に実装されますね。

中島氏:
 PvPシステムについては,クローズドβテストの段階では実装されていなかった“中立地帯”が実装され,異なる国に属するキャラクター同士がPvPを行えるようになります。
 クローズドβテスターなら知っているかもしれませんが,メティン2では4発目の攻撃あるいは特定のスキルに“吹き飛ばし属性”が付いており,攻撃を立て続けにヒットさせたり,タイミングよくヒットさせたりすることで相手を吹き飛ばし,さらに一方的に攻撃を畳み掛けられます。この属性の存在が,メティン2での戦闘方法に幅を持たせているといえます。もちろん,吹き飛ばし属性はPvPでも有効です。



4Gamer:
 当初発表された機能の一部は,オープンサービスの段階でも実装されないとのことですが,実装されるのはいつ頃になる見込みでしょうか。

中島氏:
 結婚システム,ギルド基地建設システム,ハグやビンタなどの感情表現機能などは,今後のアップデートで実装される予定です。なお,次回の大規模なアップデートは4月に行われることになっていますが,そのアップデートでこれらの機能が実装されるかどうかは決まっていません。

4Gamer:
 戦闘の爽快さをウリとするメティン2ですが,それ以外の部分にもユニークな特徴があると聞いていますので,これらの機能を早期に実装してもらい,プレイヤー自身の手で確かめられるようにしてほしいと思います。

■クローズドβテスターの要望に対する開発側のスタンス

4Gamer:
 そういえば,3月20日までクローズドβテストが実施されていましたよね。GMの立場から見て,テスト中の雰囲気はいかがでしたか?

中島氏:
 “爽快な打撃感”を謳い文句とするゲームではありますが,カジュアルゲームに慣れたネットマーブル会員が多かったからか,全体的な雰囲気としては「まったり,のんびり」といった感じでした。それはむしろ,ネットマーブル全体の雰囲気だといえるかもしれません。
 もちろん中には,過剰にPKを行うプレイヤーもいるにはいましたが。

4Gamer:
 興味深い話です。ちなみにクローズドβテスターのうち,ネットマーブル会員の比率はどのくらいでしたか?

中島氏:
 クローズドβテスターの大部分は,既存のネットマーブル会員でした。そのため,中には「MMORPG」自体に馴染みがなく,何をしたらいいのか分からないプレイヤーもいたようなので,オープンサービス開始後は,MMORPGの遊び方を解説する初心者向けのページを充実させるほか,ゲーム内でのアナウンスを積極的に展開していきたいと考えています。のんびりもいいのですが,やはりメティン2ならではの爽快な戦いも存分に楽しんでもらいたいのです。

4Gamer:
 クローズドβテスターからは,どのような要望が多く寄せられていますか?

中島氏:
 広範にわたってさまざまな要望が寄せられていますが,中でも数が多いのは,バグを改善してほしい,キャラクターの種類を増やしてほしい,チャットシステムを改善してほしいといった要望です。主な要望については,すでに韓国側に申請しています。
 またメティン2はどちらかといえば,キャラクターごとに使用できるスキルの種類が多いほうではないので,その数を増やしてほしいと要請しており,韓国側も前向きに検討してくれています。

内海氏:
 モンスターを倒すとドロップされるお金やアイテムを拾う手段について,クローズドβテスターから「手間がかかる」との不満が寄せられました。
 実は韓国では,お金やアイテムを自動的に収集するためのアイテムや,それらを拾うためのショートカットまでもが有料で提供されているのですが,そのような仕組みは日本の市場には馴染まず,プレイヤーの反感さえ買いかねないことを説明しました。例えば,モンスターを倒すと直接お金が手に入るような仕様に変えられないか検討してほしいと伝えたところ,いい返事をもらえています。

中島氏:
 お金を入手するのに手間がかかるため,クローズドβテストではフィールドにお金が散乱しているといったシチュエーションも見受けられたんですよ。

4Gamer:
 韓国側との連携の話が出ましたので,この点についてもう少し具体的に教えてください。日本側からの要望に対してどの程度柔軟に対応してもらえそうでしょうか。例えば,日本でのオリジナルアイテムやオリジナルイベントといったものをスムースに実現できる体勢は整っていますか?

中島氏:
 場合によってはプログラムに変更を加えることになるかもしれませんので,一つ一つの要望について吟味してもらう必要はあるでしょう。とはいえ,基本的には非常に前向きに検討しており,手応えを感じています。

4Gamer:
 オリジナルイベントで,現在話が進んでいるものがあれば教えてください。

中島氏:
 本作のストーリーのキモともいえるのが,“メティンストーン”と呼ばれる魔石で,すでにクローズドβテスト中にも,いくつかのメティンストーンの存在が確認されています。
 で,このメティンストーンを特定の地域にだけ召喚させたら面白いのではないかと。ある日突然,メティンストーンがゴロゴロ転がっていたら,「キター」「出過ぎー」などと,プレイヤー達に騒いでもらえるのではないでしょうか(笑)。もちろん,まともなプレイをしたい人の邪魔にはならない程度にしますが。
 GMとしては,どちらかというと,ちょっと“おバカな”ことをしてみたいな,と考えています。プレイヤー達との間に親密でソフトな関係を築きたいのです。GMキャラをモンスターに変身させて街の中に現れる,なんていうアイデアもありますよ。

4Gamer:
 その様子を想像するだけでも楽しそうですね。ところで,結婚システムがゲームの進行にどのような関わりを持つのか,発表当初から気になっていたのですが。

中島氏:
 結婚システムの一部として,夫婦の親密度を示すパラメータ※があります。ゲーム中には“結婚アイテム”として,夫婦が身につけると特定の能力が向上するアイテム(指輪など)があり,そのパラメータが高いほど,つまり夫婦の仲が良いほど得られる能力値が増えるのです。
 ほかにも,配偶者がいる場所にワープできる機能もあります。これは私が勝手に考えていることなのですが,配偶者のところにワープすると,彼(彼女)は異性のキャラクターと一緒に楽しく過ごしており,怒ったプレイヤーが彼(彼女)にビンタを食らわす……なんていうストーリーが生まれたら楽しいなと。

※インタビューの時点では,「琴瑟(きんしつ)値」と表現されていた

4Gamer:
 それは確かに面白いですね。今日取材に来たのは既婚者ばかりなので,心から笑えなかったりしますが……(笑)。ところで,夫婦の親密度を示すパラメータの値はどのように決まるんですか?

内海氏:
 基本的には同じマップにいる時間が長くなるほど,その値も上昇するようです。

4Gamer:
 逆に離婚システムはあるんですか?

内海氏:
 離婚システムというものはありませんが,離婚すること自体は可能ですよ。



“バツイチシステム”“一夫多妻スキル”など,好き勝手な要素を思いつくままに挙げ,しばし盛り上がる一同……



根本氏:
 今のような話は決して非現実的なものではありません。プレイヤーの要望があれば,面白そうな要素についてどんどん検討したいというスタンスでローカライズに臨んでいます。ゲームを提供する側としても,これからのメティン2の進化を楽しみにしています。

(写真左)GMを務める内海知也氏
(写真右)PR担当・根本悠子氏


■メティン2の差別化を図るためのキーワードは“決め細やかな対応”

4Gamer:
 続いてマーケティング的な観点からも話を聞かせてください。日本では現在,MMORPGの分野で非常に激しい競争が行われています。そのような状況の中,MMORPGで,しかも東洋文化をモチーフとするメティン2を新コンテンツとして選択したのは,どのような理由からでしょうか。

根本氏:
 そうですね。メティン2を導入した最も大きな理由は,やはり本作のゲームとしてのクオリティが高いことや,世界観が魅力的であることです。ネットマーブルとしては,3D MMORPGを提供するのはメティン2が初めての試みなのですが,カジュアルゲームに慣れたプレイヤー達に,内容の深いゲームも体験してもらいたいという狙いがあるのです。

4Gamer:
 メティン2が,この熾烈な争いに勝ち残るために,CJインターネットジャパンとしてはどのような“作戦”を考えていますか?

中島氏:
 最も大切なことは,日本国内のプレイヤーのニーズに沿ったサービスを提供することです。プレイヤーが抱いている要望を調べて韓国側に報告し,きめ細かく対応していきたいと考えていますし,先にお話ししましたように,韓国側との連携も整いつつあります。
 またメティン2には,ハグやビンタを行う機能や結婚システムなど,人間くさいコミュニケーションを楽しんでもらうための工夫が盛り込まれており,このことが別のMMORPGとの差別化につながると考えています。

4Gamer:
 ただ戦うだけではなく,コミュニケーションの部分でも楽しめることを重視しているようですね。それでは最後に,4Gamerの読者に対するメッセージをお願いします。

根本氏:
 オープンサービスの開始に合わせて実施する,「スタートダッシュキャンペーン」「経験値2倍キャンペーン」をはじめとして,ゲーム内のキャンペーンやイベントなどを今後も積極的に展開するほか,プレイヤーとの交流を深める機会なども作れたらと思います。
 オープンサービスの開始を機に,たくさんの人にメティン2をプレイしてもらいたいです。よろしくお願いします。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


 今回話を聞いて印象に残ったことは,メティン2のローカライズ作業が,韓国側からの一方的な“押し付け”になっておらず,両社の綿密な協力体制の下で進められているということ。これは,CJインターネットジャパンが開催したプレス向け発表会でも,繰り返し強調されていた。
 話が脱線しかかった部分もあったが,それ自体,メティン2を提供するCJインターネットジャパン社内でも,とても柔軟な姿勢でローカライズにあたっていることの表れだと感じたし,今後,日本のプレイヤーのニーズにマッチするアイデアを取り込んで,日本ならではのメティン2に進化していくことを期待したい。(山)


メティン2
■開発元:Ymir Entertainment
■発売元:CJインターネットジャパン
■発売日:N/A
■価格:基本プレイ料金無料
→公式サイトは「こちら」
ネットマーブル
■開発元:CJ Internet
■発売元:CJインターネットジャパン
■発売日:2004/12/20
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.03/20060323235315detail.html