ニュース
[GWWC 2006]GWWC決勝戦。韓国ギルド同士の対決の裏事情やいかに
2006/02/20 22:59
決勝戦の試合中は,身動きがまったくできないほどの混雑。一人が死ぬたびに,観客からはため息と歓声が聞こえ,一般プレイヤーの注目もただならぬものを感じられた
 台北ゲームショウの特設ブースにおいて19日,対人戦イベント「Guild Wars: 2006 World Championship」(以下,GWWC)決勝戦が行われた。決勝まで駒を進めたギルドは,片方は準決勝のレポートにも登場している,ご存じ「War Machine」[WM](以下,WM)。そして対するは,WMと同じ韓国リージョンからの参加となる,「The Last Pride」[EvIL](以下,LP)だ。GWWC決勝戦は韓国ギルド勢同士の対決。韓国市場ではGuild Warsのセールスはあまり振るわないようだが,コアプレイヤー層の熱意は凄まじいものがある。

 両ギルドの現在の世界ランキングは,WMは2位でLPは1位と,世界一決定戦にふさわしい組み合わせである。
 また,両ギルドは同じリージョンのため,常日頃からギルドバトルなどで交流があるかもしれないとは思っていたのだが,試合前に両ギルドの接点について関係者に問い合わせてみたところ,LPメンバーの大半はかつてWMに所属していたと聞いて,非常に驚いた。GWWCの決勝戦は,お互いに手のうちを知り尽くした者同士による対決となったわけだ。

 両ギルドの戦術上の特徴を,簡単に補足しておこう。WMは少人数による行動を得意とし,敵を撹乱しながら常に自分達のペースで試合を展開させる。よって,かなり攻撃的なタイプだ。
 一方のLPは,自分達から仕掛けるというよりは,相手の出方に応じた適切なカウンターを繰り出すのが得意である。つまり決勝戦の見どころとしては,WMの生み出す勢いをLPが止められるかどうか,という部分となる。



■第一試合

 実際の試合運びも予想どおりに展開し,第一試合の序盤は戦力を分散させたWMが,複数方向から同時にLP陣へ攻め込んでいった。11分時点でWMは敵陣に到達し,NPCガードを数人倒したものの,総大将のギルドロードまではなかなか到達できない。このような危うい場面を何度か見かけたが,実はLPは,その陰でさりげなく,フラッグを用いて士気を高めることに成功していたのだ。WMは士気を失うデメリットよりも,敵ギルドロードを倒すことを重視したのだろう。これはいかにも,徹頭徹尾攻撃的なWMらしい戦術に思えた。

 結果として,LP側のギルドロードはなんとか無傷のまま,WM側は士気の面で少々不利になりつつあった。13分あたりを境に士気は逆転,しばらくフラグ近辺で戦っていたが,士気に莫大な差がついてWM側のWarrior1名,Monk2名を倒したとき,今こそが勝負どきだと確信したのだろうか。開始23分,LPは敵陣へと一気に攻め込むことを決意。本陣に2名残した6名のメンバーによって怒濤の進撃を開始し,メンバーとNPCを次々と血祭りにあげていく。
 WM側も応戦するものの,最後に残ったプレイヤーはWarrior1名。やはりデスペナルティと士気の差が開いていたこともあり,思うように撃退できない。そして25分50秒時点でWMのギルドロードが倒され,LPが第1試合で勝利を収めた。



■第二試合

 第1試合を終えたWMは10分間の緊急ミーティングを希望し,見るからに切羽詰った様子。もう一方のLPはというと,思いのほか落ち着いており,この展開は最初から想定内だったのだろうと思えたほど。戦術の再チェックを軽く行っただけで,一部メンバーは待ち時間にチアガールを眺めていたりと,ピリピリしているWMとは対照的であった。

 第2試合でWMは,メンバーが座るための席順を変更していたようだ。しかしジョブやスキル構成などはほとんど変えておらず,もしかすると直接声を掛け合うときの連携面を整えたのかもしれない。そして肝心の戦術面については,よりアグレッシブに攻める方針に切り替えたようだ。

 しかしそんなWMの狙いも,LPは見抜いていたのだろうか,またもやなかなかギルドロードまで到達できない。そして第1試合とほぼ同様の試合展開となった。
 9分時点で士気にはすでに差がつき始め(しかもその後一度も逆転されることはなかった),分散したキャラクターを一人また一人と倒され,展開としてはよくない方向に。
 しばらく小競り合いを繰り返していたが,21分40秒でWarriorとMonkを含む4名が倒され,23分時点でまたもや一気にLPが動く。その後全員復帰したものの,士気の差は返せず,一方的な殺戮試合に。このときすでに士気は,とてつもない差がついていた。Warrior2名,Monk2名を倒されて自動復活もできず,Warrior「Nom」が一人で守るも,25分47秒に陥落。LPが再び勝利を収めた。
 GWWC決勝戦は,大方の予想を覆すLPのストレート勝ちによって,大歓声とともに幕を降ろした。



優勝したThe Last Prideは賞金5万ドルを獲得。Guild Warsの対人戦はサーバーの垣根を越えて行えるため,世界中から注目される存在となった
 優勝したLPのコメントはすでに掲載してあるレポートを見ていただくとして,ここでは,決勝戦終了直後に,WMのリーダーに敗北の理由について聞いたときのエピソードを紹介しよう。
 ただこのとき,普段は快活な受け答えが印象的なWMリーダーは,返事すらできないくらいに落ち込んでいた。
 そのリーダーの姿を横で見ていた別のギルドメンバーが,ぽつりと,「今のLast Prideに対応するには,攻撃と守備の切り替えを早くしなければならない。しかし我々は攻撃を重視しすぎて,守備に切り替えるタイミングが遅れたため,敗退したのだろう」と答えてくれた。
 しかし,実際に試合を見た大半の人は,素晴らしい試合を見せてくれた両チームに感謝しているのではないだろうか。
 今回の決勝戦は例によって,数日間はゲーム内機能で観戦できる。Guild Warsをプレイしている全読者に,一度は見ていただきたい。とりわけ注目は,The Last PrideのWarrior「Last Of Master」とMonk「Soul Wedding」だ。むろん全員がうまいのだが,この二人はとりわけ,動き,位置取り,プレイヤースキル,技,すべてが素晴らしい。(ライター:川崎政一郎)


ギルド ウォーズ
■開発元:ArenaNet
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2006/01/27
■価格:オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2006.02/20060220225940detail.html