ニュース
ROにおけるPvPの頂点,そのテクニックとは? RJC 2005決勝大会
2005/08/22 23:45
RJC 2005の開幕を告げる,ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏
 ガンホー・オンライン・エンターテイメントは8月21日に,MMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の日本最強ギルドを決めるイベント「RAGNAROK ONLINE Japan Championship 2005」(RJC 2005)の決勝大会を「ディファ有明」で開催した。昨年は韓国ソウルにて世界大会「Ragnarok World Championship」が開催されていたが,今回は日本国内で完結する。だが,年齢制限や海外遠征に対応できる人しか参加できないという障害がないぶん,純粋に強いギルドが集まれたという側面もあるようだ。
 当日の東京地方は最高気温34度と,立っているだけでも辛い暑さであったが,それ以上に熱かったトーナメントの様子をお伝えしよう。

 ガレージキット/フィギュアの祭典「ワンダーフェスティバル 2005」が行われる東京ビッグサイトとは,駅を隔てて反対側のディファ有明。さすがにワンフェスに向かう人ほどの人数ではないものの,午前10時前後には駅から会場を目指す来場者の姿が見受けられた。
 開幕予定時刻の午前10時30分には,ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社 長森下一喜氏が登壇し「ご承知のようにラグナロクオンラインは戦いばかりのゲームではありませんが,一種の競技性も兼ね備えています。今日はその競技性を存分に楽しんでください」と,簡潔な挨拶で口火を切った。壇上にはRAG-FES事務局代表の前川浩史氏も登場して,今回併催されるRAG-FES 10について簡単なコメントを述べた。ガンホー・オンライン・エンターテイメントが日頃述べている"ファンの活動に対する最大限の支援"を,アピールする形となったわけだ。

写真上段左:壇上に上がった,RAG-FES事務局代表の前川浩史氏
写真上段中:観戦スペースから,物販の列に並ぶ入場者を見たところ。今回のRJC 2005はRAG-FES 10との同時開催となっている
写真上段右:サークルブースはなかなかの賑わい。売り子さん自らコスプレして,グッズの販売に臨む姿も
写真中段左・中:ブースに並んだオリジナルグッズ達。午後早くには売り切れていたブースも多かったようだ
写真中段右:RAG-FES事務局が,東京ゲームショウ 2005でのボランティアスタッフを募る告知も
写真下段左:会場に試遊台として設置されていた,オンラインゲーム筐体ASTROCROSS BB。100円で7分弱のプレイが可能で,ゲームセンターを中心に展開予定という
写真下段中:一回戦終了後,13時過ぎから開始された「スペシャルコスプレステージ」で壇上に集結した,コスプレイヤーのみなさん。さすがにこの数は壮観である
写真下段右:とくにギャラリーの注目を集めたコスプレイヤー(常連さん)が壇上で紹介を受けるところ


■「阿修羅覇凰拳」が荒れ狂う,一回戦〜準決勝

試合経過はステージ中央のスクリーンと,やや控えめな実況で観客に伝えられた。とにかく展開が速く,スキルのエフェクトの中にギルドマークが隠れてしまうこともあって,解説も追いつけなかった
 RJC2005の大会ルール詳細は公式サイトに掲載されているが,基本事項としては以下のとおりだ。

出場メンバーは7名,補欠3名の最大10名で1チーム
同系列の職業の重複出場は不可(プリースト+ハイプリーストは不可だが,プリースト+モンクは可)
上位2次職は1ギルド2名まで
10分の試合時間内に相手ギルドを全滅,または生存メンバーが多いギルドが勝利。同数生存した場合は所持金が多いギルドが勝利

 オンラインでの予選を勝ち抜いた16ギルドが今回の決勝戦へコマを進めた。ROにはPvPを楽しむための特別マップや,アジトをめぐって争う大規模な攻城戦システム(通称GvG)が用意されているが,RJCには上記のような厳しい職業/装備品制限があるため,通常のPvPとはまったく異なり,個々のプレイヤースキルとメンバー同士の連携がかなり問われる。

■緒戦はちょっとためらいがち? 一回戦

 1回戦各試合は,十字形で遮蔽物がほぼ存在しないマップで行われた。大会劈頭となるAブロック第一試合で対戦するギルドは"Tarako Horizon""Cafe"。大会初戦という緊張もあったのか,メンバーが敵陣側に間違えて入ってしまうというほほえましいアクシデントも発生した。
 試合開始後,両ギルドとも積極的に前に出ることはなく,慎重なスタートとなった。前衛職で少しずつ前進し,後ろからウィザードが大魔法で牽制し合うが,なかなか正面衝突には至らない。試合開始5分後にはCafeのモンクが強力な「阿修羅覇凰拳」でTarako Horizonのプロフェッサーを沈める。ここから一気に戦局が傾き,Cafeが勝利した。

 Aブロック第2試合は"こうChance!" vs. "現黙に裸眼為す意色は葬。"後者のギルド名は一風変わっているが,メンバーのファッションも少々異色(コスプレ入ってる?)で,地味な参加者が多い中,観戦者の目を引いた。
 初戦を見て雰囲気を掴んだのか,様子見に留まることなく双方とも序盤から積極的な攻めを展開。マップ上を広く大胆に動き回るこうChance!は,各キャラとも統制の取れた動きを見せ,また,ハイドを効果的に使って危険な場面もうまくり抜けていた。
 残り時間3〜4分のところで,現黙に裸眼為す意色は葬のプリーストが戦闘不能に。そのまま押し切って,こうChance!が2回戦にコマを進めた。

●優勝候補の"ぷちまめ"の動向が注目されたBブロック戦
 Bブロック1試合目は"Recurring Nightmare" vs. "[PvP]Kingdom"。遮蔽物がないマップでは,行動の自由が最も高いマップ中央部をいかに制圧するかが問われることになるが。両ギルドともに素早い動きでセンターへ切り込み,ウィザードの大魔法「ストームガスト」と「メテオ」を連発し合う攻撃方法は双方とも変わらないが,全員の頭装備を「アレ」で固めたRecurring Nightmareが試合の主導権を握り,ほぼ一方的な展開であっけなく勝利した。

 GvGにおける有名ギルド"ぷちまめ"が登場したBブロック第2試合。ぷちまめは優勝候補とあっておのずと注目が集まる。対する"あう゛ぁろん"は5名という少人数での参加。PvPでは必ずしも人数が多いほうが勝つとは限らないが,実力が伯仲する今回のような大会では,これが決定的な差になったようだ。試合開始後すぐに,ぷちまめのモンクが阿修羅覇凰拳であう゛ぁろんのモンクを沈め,"火力"で劣勢を強いられたところに追い討ちでクルセイダーも沈む。ぷちまめは圧倒的な優位を保ったまま勝ちを収めた。

●個性的なキャラと戦闘が見られたCブロック戦
 Cブロック第1試合,"Ruf Prism" vs. "Penrir"の戦いは,後者がダンサーをメンバーに含む,非常に珍しい構成だった。ダンサーは一定の確率で相手をスタン状態にするスキル「スクリーム」を連発していたが,PvP用に仕上げたキャラクターはたいていVIT値が高いため効き目は薄く,成功しても持続時間が短いため,戦局に大きな影響を与えられなかった。両ギルドとも散開して戦い,相手の視線をかいくぐって後ろへ回り込むんだり,アルケミストのスキル「スフィアーマイン」で,爆発物の「マリンスフィア」を召還しまくっていたのが印象的だった。最後はPenrirが勝利したが,途中Ruf Prismのプリーストが2度も阿修羅覇凰拳に耐え,会場からは拍手が起こる場面も見られた。

 "ミルク210z" vs. "寝起きシンドローム"のCブロック第2試合では,ミルク210z側が,踏むことで相手のSPを消費させるハンター系スキル「ショックウェーブトラップ」で陣形を形作るユニークな戦い方を見せた。だが,罠を仕掛けた当人は序盤であっさり戦闘不能になり,それ以上の展開を見せられなかったのが残念なところ。両チームとも危機回避能力に長け,これといった大きな展開が見られないまま中盤が過ぎたものの,試合後半にはミルク210zが寝起きシンドロームをじわりじわりと追い詰める展開となった。ラストは寝起きシンドロームのプリーストを全員で囲み,袋叩きにするという少々ユニークな幕切れとなった。
 さて,Dブロックについてだが,"Dear Aphrodite" "rabbits heart" "Milky Cat's" "VIPPER"のによってカードが組まれるはずだったのだが,このうちrabbits heartとVIPPERが棄権したため,不戦勝でDear AphroditeとMilky Cat'sが2回戦へとコマを進めた。

■実力差がはっきり見え始めた2回戦

 2回戦のマップは障害物が多い。それらを利用して自軍に有利な展開に持ち込むためには,プレイヤースキルとチームワークがいっそう求められる。
 Aブロック2回戦はCafe vs. こうChance!。試合が始まるや,両チームは躊躇なくマップ中央で激突する。互いに障害物との間に移動速度を落とす「クァグマイヤ」(通称:QM)を張り合って侵攻ルートを1本に絞ることにより,戦闘は広範囲に広がらず集中的に行われていた。容易に近づけないため決定打がなかなか出ず,長引く試合。遮蔽物を挟んで相手にロードオブヴァーミリオン,ストームガスト,メテオストームを打ちあう展開になったため,エフェクトで画面は真っ白に……。膠着状態は5分もの間続いたが,残すところ2分でこうChance!のモンクが沈み,最後にはCafeが生き残った。

●優勝候補,まさかの敗退
 ぷちまめ vs. Recurring Nightmareはわずか数分でぷちまめが負けるという,意外な展開となった。大魔法で牽制しつつじりじり進むというオーソドックスな戦法はどちらも同じだが,突如ぷちまめのクルセイダーがダウン。激しいエフェクトの応酬で,どちらが仕掛けたのかは判別しにくかったのだが,護衛役も兼ねるクルセイダーが消えたせいか,しばらくしてアルケミスト,モンクが相次いで大魔法の餌食となって撃沈され,一気に形勢不利となってしまった。下馬評では優勝候補とささやかれていたぷちまめのあっけない敗退は,この大会最大の番狂わせといえるかもしれない。

●プレイヤーの技量の高さを見せたCブロック
 Penrir vs. ミルク210zの戦いはなかなか見ごたえがあった。お互い一歩も引かない激しいぶつかり合いの中,Penrirのアルケミストがまず戦闘不能に。その後Penrirのモンクがミルク210zの前衛に必殺の阿修羅覇凰拳を叩き込むも,これに耐えきる。そうこうするうちにPenrirのウィザードが沈み,これはさすがにPenrirが劣勢か? と誰しも思ったものの,チームワークで建て直し,逆にミルク210zのナイトを落として形勢を逆転させた。ウィザードを失った後も劣勢に陥ることなく持ちこたえた,各人の技量の高さには会場からも拍手が上がり,プレイヤースキルの差を見せつける一戦となった。

●二回戦からのスタートとなったDブロック
 不戦勝により,それぞれいきなり2回戦からのスタートとなったDear Aphrodite vs. Milky Cat'sの対戦。Milky Cat'sは予選でもアルケミストによるマリンスフィア召還を効果的に使うことで知られた,個性的な戦術がウリのギルドだ。今回もスタートと同時にマリンスフィアを次々に送り出し,狙いどおりDear Aphroditeの1名を沈めていた。
 Dear Aphroditeはその後もウィザードおよび,チームの要たるプリーストを失って絶体絶命に追い込まれる。最後の一人に対してMilky Cat'sは,演奏スキル「ブラギの詩」をウィザードの「ファイアーボルト」と組み合わせ,容赦のない怒涛の"FBラッシュ"をかけてノックアウト。詠唱ディレイなしに連続で打ち込まれるFBの威力はすさまじく,周囲からは歓声が上がっていた。

■実力伯仲,緊迫の準決勝

 マップは1回戦と同じ遮蔽物のない十字マップ。準決勝1試合めは,Cafe vs. Recurring Nightmareだ。双方とも阿修羅モンクを中心に据えた攻撃型ギルドゆえ,どう組み合うかが注目されていた。
 スタートと同時になだれこむCafeメンバーに対し,ウィザードのメテオ,ストームガストで迎撃するRecurring Nightmare。お互いこの大魔法をすさまじい頻度で撃ち合う,正攻法の戦いが長く続いた。どちらもPvP慣れした実力派のため,なかなか致命傷にまでは至らず,じわりじわりとチャンスを狙うような戦いだ。
 5分が経過した時点でRecurring Nightmareのモンクが戦闘不能になり,戦力比は7対6に。追い込む形でCafeのモンクがRecurring Nightmareのクルセイダーを倒すも,同時にストームガストの渦に巻き込まれて相打ちとなった。そして,残り2分を切ったところでRecurring Nightmareはプロフェッサーを失い,制限時間10分をCafeが戦い切って勝利した。

 2試合目はPenrir vs. Milky Cat's。開始直後にマリンスフィアを召還しまくって押し出すMilky Cat'sの戦い方は,前回の試合とまったく同じ戦術。だが,さすがに準決勝,Penrirのプレイヤースキルがこれを上回ったのか,Penrir側のダンサーがスクリームを連発。VIT値の高いプレイヤー相手にはあまり効き目がなくても,肝心のマリンスフィアが無力化されてしまう。逆に,自分達が召還したマリンスフィア付近に押し戻され,爆発に巻き込まれないよう逃げ惑う姿も見られた。かなり早い段階で狭い出口付近に追い込まれ,逃げ場をなくしたMilky Cat'sに,とどめを刺したのはPenrirのモンク。アルケミストを阿修羅覇凰拳の一撃で葬り,スピーディに勝負を決めた。

写真上段左:ABCDの4ブロック,16チームによるカードが組まれたトーナメント表。ただし,ご覧のようにDブロック一回戦は不戦勝が決まっていた
写真上段中:1回戦と準決勝で使用されたのは,狭く障害物のないマップ。両ギルドの足元の四角いエフェクトは,プロフェッサーの「ランドプロテクター」で,敵ウィザードの大魔法を無効にする
写真上段右:各試合で戦局を大きく動かす攻撃の核となり,画面に文字が出るたびに歓声が沸いた,モンクの「阿修羅覇凰拳」。これに耐え切れた相手キャラクターには,賞賛の声が上がった
写真下段:出場ギルドの"応援団"が多かったためか,試合ごとに入れ替わっているフシはあったものの,観戦スペースは相応に賑わっていた
写真下段右:司会がトークでもたせている間も,壇上でセッティングに余念のない参加ギルドの面々


■3本勝負。高度な技量が炸裂した決勝戦

決勝戦の開始を前にした,両ギルドの勇姿。ステージ直下で見ていても,とくに緊張の色はうかがえなかった
 さて,Cafe vs. Penrirで戦われることになった決勝戦は3本勝負。3本のうち2本先取したほうが優勝となる。トーナメントを勝ち抜いてきた両チームにはあまり緊張の色が見られず,いつもどおりの後姿だった。
 決勝は専用のマップで,見た目はジュノーにやや似ている感じの空中庭園。昨年のRWC 2004でも用いられたというこのマップは障害物も多く,それを利用できるかどうかが一つのポイントである。

 両ギルドともいきなり正面から体当たりでスタートしたラウンド1。狭い通路にトラップをしかけて塞ぎ,相手が回りこむのを互いに防いでいた。序盤でいきなりCafeのプリーストが沈み,これで一気に戦局は傾いてしまった。QMを張り巡らして入り口付近にCafeを追い詰めることで,Penrirが緒戦の勝利を手にした。

 ラウンド2はあまりギルドで固まらず,個人の判断で動き回る乱戦気味の展開。Cafeのモンクが阿修羅を次々と決めて,Penrirのアルケミスト,ダンサーを落としていく。が,Cafeもまた,攻めの主軸たるモンクを失い,火力不足にあえぐ不安な場面を迎える。Penrirのモンクは阿修羅覇凰拳の発動を何度も試みるが,前面に出ているCafeのクルセイダーが妨害に成功し,結局2回にわたって阿修羅覇凰拳のタイミングを外されていた。必殺の一撃である阿修羅覇凰拳の成功が勝敗を決めるだけに,これはPenrirとしても痛手だったに違いない。
 5分を経過したあたりからCafeがどんどんPenrirを隅へと追い詰め始める。クルセイダーを矢面に立てて牽制しながら,後衛のウィザードが大魔法でゴリゴリと押していく戦い方だ。ついにはPenrirのモンクが撃沈され,プリーストとプロフェッサーを追い詰めたところで制限時間いっぱいとなり,ラウンド2はCafeの勝利。結果は最終決戦たるラウンド3へと持ち越された。

 これで日本No.1ギルドが決まるというラウンド3は,意外にスピーディな展開となった。序盤でPenrirはプロフェッサーを失うという,かなりの痛手をこうむり,そこからCafeは一気に攻めに転じた。
 攻撃の要であるモンクは積極的には前に出ず,ひたすら阿修羅覇凰拳を放つタイミングを計っているのがよく分かった。他メンバーは奥まで切り込まれないように激しい牽制を繰り返しつつ,モンクのためにタイミングを作り出すという連携プレーは非常に整然たる印象。この最終ラウンドは鮮やかにCafeが勝ち,優勝を決めた。

 全試合を通して見ると,ギルドごとに多少異なるものの,基本としてクルセイダー,プリースト,ウィザード,バード,モンク,プロフェッサー,アルケミストが主要構成メンバーとなっている。支援のプリーストは必須として,モンク+プロフェッサーの組み合わせが勝敗のカギを握っていた。
 とくに目立ったのがプロフェッサーの重要性だ。プロフェッサーはRWC 2004では使用できなかった転生職で,SP回復能力に長ける。阿修羅覇凰拳はSPを一気に使い切る大技であるため,阿修羅型モンクを投入する場合必須の存在だが,実際のゲーム内では育成が難しく,そもそも前提条件となる職業セージを選ぶプレイヤーが非常に少ないため,ほとんど見かけない。
 キャラクターを自由に選べるルールだったために,今回はプロフェッサーのスキルが大活躍していた。もちろんこれはPvPを日常的に楽しむROプレイヤーには知られた戦い方だが,普段PvPに縁のない人のみならず,あるいは大規模戦闘が基本のGvGに参加しているプレイヤーでも,今回のスタイルを見ればプロフェッサーを育成したくなるかもしれない。

 また,高いHPと防御力を誇る前衛職すら一撃必殺で撃沈可能な阿修羅モンクを,うまく使えるかがやはり攻めのポイントだ。攻める側は周囲がいかにモンクのために道を作り,阿修羅覇凰拳を撃つタイミングを作ってあげられるか,守る側は常に彼我のモンクの行動を視野に入れ,いかにして敵モンクを妨害するか,ギルドメンバーの連携技量と個人の戦闘技術の高さが,ハッキリ見てとれる場面が,大会では何度か見受けられた。
 世界のROプレイヤーの中で,日本ではPvPが活発ではなく,ごく一部のプレイヤーだけが楽しんでるといわれる。しかしこういった大会を通してPvPならではの興奮・楽しさを感じ取れれば,愛好者も増えていくに違いない。

画面左:開始1分前に支援魔法の準備を始めるPenrir側メンバー
画面中:対してこちらはCafeメンバー。構成はプリースト,モンク,バード,アルケミスト,ウィザード,プロフェッサー,クルセイダーの7名。2-2次職のバードやアルケミストは,PvPに適したスキルを多く持つ
画面右:クルセイダーを思い切り前面に出したCafeの布陣。中央にいる植物はCafeのアルケミストが「バイオプラント」で召還した生物。Penrirのダンサーのスキル「スクリーム」で凍ってしまい,無効化されている


■ダンサーは実はキャラクター登録の失敗の産物?

準優勝Penrirのメンバー。この大会のためだけに集まった臨時ギルドだというが,それで準決勝まで進む各人の実力はすばらしい
 さて,話の順番は少々前後するが,表彰式も終わって観客が引き上げた後,優勝と準優勝のギルドにそれぞれ合同インタビューが行われた。まず最初に準優勝のPenrirのメンバー全員が答えてくれた。


Q.Penrirは唯一ダンサーを投入していましたが,その理由を教えてください。途中,アルケミストが召還したマリンスフィアをダンサーで封じている場面が印象的でしたが。

A.実はキャラクター登録時の申請に失敗して,やむなくダンサーを入れたというのが真相です……(笑)。予選でダンサーをプレイしていた人は,本日会場には来られなかったため,普段ダンサーを操作したことがないギルドマスターが代わりにプレイしてました。


Q.今回の決勝戦を終えての感想はどうですか?

A.Cafeは優勝候補と分かっていた相手です。Penrirは今回のRJC 2005のために,PvPの常連に声をかけて集めてできた,"にわかギルド"なので連携プレーの点では甘かったかもしれません。でも,寄せ集めギルドの割りにはよくやったと,自分でも思ってます。普段のRO内で自分達が使っているのと,同じ職業を皆選んだので,それが2位までこれた理由じゃないかと思います。


Q.今回どこまでやれると思ってましたか?

A.予選の決勝まで行ければいいかなと……。


Q.最後にギルドマスターから一言何かください。

A.(ギルド全員を見渡して)お疲れ様でした!




■作戦と訓練が最終的な成果を導いた,Cafeの優勝

大会のためだけに訓練を重ね,シミュレーションをほぼ毎日繰り返したという,Cafeの面々。統制のとれた動きは実に印象的だった
 続いて,優勝したCafeのインタビュー結果は以下のとおりだ。今日のために北海道,九州や岡山からメンバーが集結したというCafeのみなさんの回答は,自信に満ちたものとなった。


Q.まずは優勝した気持ちを聞かせてください。

A.Cafeは,紅白チームを作ってPvPの練習をかなりしていました。敵ギルドの構成を予想し,自分達が苦手とする構成も想定して,練習を積み重ねた結果だと思います。戦術を立てられるメンバーもいたし,全員が熱心に取り組んでいたので,今日も実力を発揮できました。決勝戦の第一ラウンドは,実を言うと"作戦上の"負けです。


Q.クルセイダーがかなり活躍していましたが,どんな装備なんですか?

A.睡眠と呪いのカードを使っています(おそらく白蓮玉とプランクトンカード)。クルセイダーのシールドブーメラン(盾をブーメランのように投げることで,遠距離攻撃が可能なスキル)と合わせることで,相手ギルドを分断でき,前線の役割をきっちり果たせました。


Q.練習期間はどれぐらい設けたんですか?

A.予選に対しては1〜2週間前から,週3,4回ですね。予選突破後は毎日です。


Q.Penrirとの決勝戦の感想はいかがでしたか。

A.ランドプロテクターの使い方がうまいなと思いました。あと,モンクの残影の使い方も。こちらのキャラクターの真上にかぶさるように残影で飛び込んでくるため,ギルドマークが確認しづらかったです。Penrirはクルセイダーがいなくて,ディボーションによる詠唱妨害からの保護ができないぶん,あちらの阿修羅モンクはおそらく詠唱の速いDEX型だと思います。だから阿修羅覇凰拳の威力が少し減って,耐えられたのでしょう。
 うちのギルドは,PvPのためにできることはすべてやりました。キャラクターの性能を上げ,装備を良くし,個人個人のスキルを磨き,あらゆる面で全力を尽くすという目標を掲げて,ついて来てくれるメンバーで組んだ結果の勝利です。


Q.次回RJCが開かれたらまた参加したいですか?

A.今回のメンバーがまた来年も揃ったら,ぜひ同じメンバーで参加したいです。ただ,今日の大会に際して,北海道や九州,岡山といった遠方からわざわざ来てくれた人も多く,正直負担も大きいです。RJCほどの大規模な大会でなくてよいので,オンラインで完結できる小規模大会を,もっともっと増やしてほしいですね。


 連日練習を重ねたすえの必然的勝利という,ギルドマスターの自信に満ちた発言で,インタビューは終った。プレイヤー側の負担も考えて,オンライン上での小規模イベントをもっと増やしてほしいという意見が出るあたりからは,たしかに直接には現実的な問題に根ざしてはいるものの,与えられたものをただ楽しむだけではなく,一段上を見ていることが分かって,強く印象に残った。
 これだけラグナロクオンラインを愛してくれているプレイヤーの意見だけに,ガンホー側はぜひともこの声に応えてほしいところだ。

 表彰式では,ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 森下一喜氏がプレゼンターとなり,壇上で両チームに記念の盾を授与した。また,来年以降のRJCの開催についても,「また前川さんが来てくれるなら」と軽妙に匂わすなど,ファンとの連携に配慮しつつ,固有のイベントとしての価値を高く評価している様子だった。
 RAG-FES 10併設とはいえ主体はPvPイベントとあって,観覧者には出場ギルドの関係者が多く,試合のたびに客席の顔ぶれが大きく変わったRJC 2005。とはいえ最終入場者数はのべ2000名と,なかなかのにぎわいだったようだ。
 もうすぐ3年目を迎えるラグナロクオンラインの,さまざまな魅力を伝えるイベントの一つとして,独特のプレイスタイルとともにますます発展していくことを祈りたい。(Text by 麻生ちはや,Photo by kiki)


ラグナロクオンライン
■開発元:Gravity
■発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■発売日:2002/12/01
■価格:プレイ料金:1500円/月(税込)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2005.08/20050822234501detail.html