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「FF XI」プロデューサーに聞く,FF XIとPlayOnlineの今後の展開
2005/06/03 14:27
 E3の前々日(5月16日)に行われたXbox 360カンファレンスで大々的に発表された,スクウェア・エニックスの参入と,同社のメインコンテンツの一つである「ファイナルファンタジー XI」(以下,FF XI)の同時発売の発表は,業界を大きなウェーブとなって駆け抜けた。
 E3初日となる5月18日に,FF XIのエグゼクティブプロデューサーの田中弘道氏と,グローバルオンラインプロデューサーのSage Sundi氏に話を聞く機会があった。時期的にXbox 360の話題が多くなってしまったが,同作の今後,PlayOnlineの今後など興味深い話が聞けたので,子細漏らさずにお伝えしてしていこう。


4Gamer.net(以下,4G):
 本日はお時間をとっていただき,ありがとうございます。よろしくお願いします。

田中弘道氏(以下,田中氏):
 こちらこそよろしく。

Sage Sundi氏(以下,Sundi氏):
 よろしくお願いします。

4G:
 まず,FF XIの次の拡張ディスクについて聞かせてください。どのようなコンセプトで作っていますか?

田中氏:
 ちょっと当たり前といえば当たり前ですが,プロマシアの呪縛をリリースしたときには,すでに次の拡張ディスクのことを考えていました。方向性やコンセプトは現段階ではお話できませんが,運営を続けていく限りは拡張し続けていきますよ。

4G:
 プロマシアのミッションは難度が高めですが,そういう方向性は今後も続きますか?

田中氏:
 プロマシアは,ハイレベルプレイヤーだけでなくさまざまなレベルのプレイヤーが問題なく一緒に遊べるようにというのが本来のコンセプトです。そのためにレベル制限エリアなども多く用意しましたが、最初の調整が結構つらめだったのは担当チームも認識しています。既に難易度変更やショートカットの追加などでかなり遊びやすくなっているはずです。また、前回のバージョンアップで経験値テーブルを変えたので、今後は全体的に多少ハイレベルへシフトしやすくなるのではないでしょうか。そのときに何ができるかという、新しい遊び方を提案できるようにするのが今のチーム目標です。

4G:
 ジラートもプロマシアもE3後あたりに発表されていたので,そろそろではないかと推測していたのですが……。

田中氏:
 あぁ,そうですね。でも,今年はコンシューマ機のほうでいろいろ発表しましたし,次の拡張ディスクの発表はもう少し時間がかかると思います。

4G:
 そうですか。ちょっと残念。

田中氏:
(インタビュールームにある液晶モニターを指差して)実はこれXbox 360版なんですよね。

4G:
 おおっ,広い画面ですね。解像度は,どのくらいですか?

田中氏:
 最高解像度は,1280×720ドットです。結構遠くまでさくさく表示させられるのが凄いですよ。

4G:
 プレイステーション2版やWindows版とは画面から受ける印象が違いますね。もうほぼ完成した状態ですか?

田中氏:
 一応,すべてのエリアが入っているのですが,まだこれからチェックしなければならない場所は多いですね。テストサーバーに接続して,パーティを組める程度まではきていて,最適化などの細かい調整をしている段階です。このXbox 360版は,Windows版をベースにしてますが,CPUがIntelからPowerPCになっているので,そのアーキテクチャの違いにより不具合がないかなどの検証もこれからという感じです。

4G:
 チャットウィンドウの行数が多いですけど,フォントが小さいのでウィンドウの右の空きが気になります……。

田中氏:
 これに関してはWindows版同様、手前のメニュー関係と背景のポリゴン表示はそれぞれ別々にいろいろな解像度からお好みで選べるようになると思います。

4G:
では,拡張ディスクではなく,FF XIに続く次のタイトルというのはなにか考えていますか?

田中氏:
 今は,次世代機で何ができるのかというのを研究開発している段階で,Xbox 360のカンファレンスのときにお見せした技術実験プロジェクトの映像もその一部です。いろいろなことを試しながら何ができそうかというのを探し,将来のMMORPGではこうしていこうというのを決めているところで,まだ細かい部分は決まっていません。

4G:
 FF XIとまったく違うゲームシステムになりそうですか?

田中氏:
 FF XIと似たものになるか,それともまったく違うものになるかというのも含めて,検討しているところです。

4G:
 発表できる段階になるのを楽しみにしています。

Xbox 360カンファレンスで公開された,実験映像のスクリーンショット。これらは「Xbox 360版FF XI」でも「次回作」でもないのだが,その圧倒的な表現力は,どこかで活用されるのを期待したい


■ワールドワイドで展開を行う難しさ


4G:
 MMORPGの寿命が約3年といわれることもあるようですが,FF XIは今年でサービス開始からちょうど3年が経過しました。サービス期間について,想定や予定などはあったのですか?

田中氏:
 オンラインゲームのサービスは,そのゲームをプレイしてくれるたくさんのプレイヤーがいる限り続けていく義務がありますので,どこで終了させるかというのは考えていません。3年を過ぎてもXIのようにほとんどユーザー数が減らずにまだまだ多くのプレイヤーを抱えているタイトルもありますので,FF XIの運営を続けながら他社さんの動向も含めて見極めていければと思っています。

Sundi氏:
 オンラインゲームは,アップデートを止めれば一応は終わりといえるかもしれません。しかしFF XIに関しては,今回のE3でもXbox 360版でのサービスを発表しましたし,まだまだこれからといったところですよ。

4G:
 そのXbox 360版が発売されると,新しいプレイヤーの流入でワールドが活性化しますね。

田中氏:
 そうですね。今までのコミュニティの広がり方や会員の増え方というのは,新しい地域や新しいプラットフォームでリリースされたときがやはり一気に多くなっています。そういったタイミング以外では,じわりじわりという感じなので,大きな節目にはなりますね。

4G:
 現在のアクティブユーザー数はどのくらいなのですか?

Sundi氏:
 有効会員数で約50万。その内訳は,日本25万,北米とヨーロッパ地域を合わせて25万です。

4G:
 あれ? 最近プレイしていると日本人の割合が少ないような気がするのですが,日本とそれ以外の地域のプレイヤー数は,あまり変わらないのですね。

Sundi氏:
 そう感じる人もいるようですが,本当に半数以上は日本のプレイヤーなんですよ。日本人プレイヤーは,shoutやsayで話すことが少ないから,人数も少なく感じてしまうのではないでしょうか。

田中氏:
 日本時間の21時から24時くらいまでのコアタイムのプレイヤーは,ほとんどが日本人のはずなのですが,それでも日本語のsayやshoutのチャットを見かけることは少ないですね。実際の数字では日本ユーザーは、今も増加傾向にあります。



4G:
 Xbox 360版で世界規模でプレイヤーが流入してくると,その割合は変化しそうですか?

Sundi氏:
 Xbox 360版のサービスの開始で,日本以外の地域のプレイヤーがもの凄く増えるようなイメージがあるかもしれません。しかし,日本のプレイヤーも増えますし,基本的には新しいプラットフォームでのサービスが開始されることのほうが大きいですので,比率はむしろほとんど変わらないかもしれませんね。

4G:
 友達紹介キャンペーンとか,ウェルカムバックキャンペーンとかが積極的に行われているのをみると,ユーザーが減っているのではと勘ぐってしまうんですけど,結構プレイヤー数多いですね。

Sundi氏:
 この時期にキャンペーンを行ったのは,プレイヤー数の減少が理由というわけではありません。「もう一度プレイしたいのですが,キャラクターデータは戻せないんですか?」などの質問/要望が特に海外のユーザーから多く寄せられていたので,それに応えた形になります。

4G:
 キャラクターデータや保持期間については,いろいろ問い合わせが多そうですね。

Sundi氏:
 ええ。FF XIは日本だけでなく海外にも展開していますので,サービス期間が長くなるといろいろな問題が出てきます。海外のオンラインゲームでは,キャラクターデータを実際に消去するところはほとんどないですよね。そういったいろいろな部分で,取り入れるべきところは取り入れるというスタンスで,グローバルのセンスを身に着けていきたいです。
 このとき,どのやり方が標準かというのは分からないですが,FF XIは海外でリリースされてから1年以上運営してきましたので,そのセンスは少なからず身についてきたと思いますよ。

4G:
 オンラインゲームでは,日本や欧米のプレイヤーと韓国や中華圏のプレイヤーとは,嗜好が少し異なるといわれることがあります。Xbox 360のサービス開始で気にしているところはありますか?

田中氏:
 中国には国の事情というか,政策や法律でオンラインゲームに制限があるので,運営するとなったらサーバーを分けないといけないかもしれませんね。こういった地域固有の問題があるので,嗜好よりもそれらをどうしていけばいいかを常に考えています。

4G:
 サービス地域のプレイヤーを意識して,次回アップデートの内容を決めることはありますか?

田中氏:
 いえ,そういうのはないですね。確かに地域によって受け入れられやすいものは異なりますが,一方のプレイヤーからの意見だけを聞くということはありません。地域向けの何かというのであれば,機能ではなく,イベントで行うことはありますよ。例えば,先ほどのウェルカムバックキャンペーンは,北米地域で要望が多かったものですし。北米向けのものといえばそうなるかもしれません。プレイヤーの生の声を聞いて,それを最も良い方法で実装しつつ進化していきたいですね。

4G:
 ワールドワイドで同じコンテンツのサービスを展開するのは難しいんですね。



■PlayOnlineの今後の方向性とは


4G:
 PlayOnlineの今後の拡張の予定はありますか?

Sundi氏:
 現在のPlayOnlineは,北米や日本的なクレジットカード課金がメインとなっているのですが,クレジットカード以外の課金方法をもっと増やしていくべきと考えていて,その開発を行っています。欧州ではこれら以外の,例えばデビットカードのような形態でも支払いができるように考えています。

4G:
 それが完成すれば,日本でも料金支払いの手段が増えますか?

Sundi氏:
 今は,将来的に拡張がしやすいように根本から見直している段階です。まずは,需要が増えてきたときにすぐに対応できるように作り変えておくことが必要ですので,現時点で日本でのペイメント方法の追加などは考えていません。

4G:
 将来のフレキシブル対応のための基本部分の変更ということですね。では,ペイメント以外の要素としてはどうですか? PlayOnlineは人が留まる広場ではなく,単なるゲートのイメージがあるのですが。

Sundi氏:
 PlayOnlineがスタートしてから,FF XIとTetra Master,雀鳳楼しかなかった時代が長かったので,そのようなイメージがあるかもしれませんね。基本コンセプトは広場を作ることだったのですが,プレイステーション2というプラットフォームは,プレイヤーが何かクライアント側に記録を残せるシステムとなっていなかったので,そういう場所が作りにくかったというのはあります。でも,今でも広場にするためのいろいろな検討はしていますよ。

4G:
 なるほど。では,Tetra Masterや雀鳳楼など,ライトなコンテンツの追加は考えていますか?

田中氏:
 うーん,そうですね……。バリスタは結構人気がありますので,そこだけを抜き出して気軽に参加できるというのは面白いかもしれませんね。

4G:
 そういえば,このごろバリスタに関する機能追加やアップデートが多いですね。

田中氏:
 えぇ。トーナメントも始まりましたし。もともとバリスタは,FF XIでPKはできるべきではないという逆の考えから、ではどうすればいいかで生まれたものです。競技性を高めたPvPならば,実装もありかなと思ってスタートし,今はいろいろと手を加えているところです。バリスタは,コンフリクトの一部という設定ですが,それ以外のパターンもたくさんあると思うので,今後実装できればいいなと思っています。

4G:
 何かプレイヤーに直結するメリットがあるといいですね。このごろ,ゲーム内のインフレが気になってきたのですが,何か対策をとる予定はありますか?

田中氏:
 やはり3年も続けていると,プレイヤーの財産の蓄積量が多くなります。ゲーム内は供給と消費のバランスだけで成り立っていますので,この問題には開発側でも常にアイデアを出し合ってありとあらゆる手段を毎回投入し続けています。例えば,オークションの手数料の引き上げや各種合成品/新規購入用アイテムの追加,コンクエスト/各種クエスト関連など,あらゆる方向でギルの流通量を減らして適正化を図ったりはしています。でも,やりすぎると,プレイヤーはNerf(ナーフ:下方修正)と感じてしまいますので,プレイヤーの稼ぎたいという欲求を損なわない程度にするのが難しいですね。
 現状が適正かといわれると,新しくFF XIを始める人には,少しつらいとは思います。

4G:
 ゲームバランス以上に難しい問題なのですね。貨幣価値というと,RMTの問題もあると思いますが,それに対してどのような意見を持っていますか?

Sundi氏:
 そのゲームがRMTに向いているかどうかも重要な要素の一つと思います。またオンラインゲームはプレイヤーと一緒に作り上げていくものなので,プレイヤーが決めてしまうのもいいかもしれませんね。個人的には開発サイドのポリシー次第というのが大きいと思いますし,僕自身は完全に"なし"だとは思いません。ただし,現状のようにプレイヤー間で詐欺などのリスクを伴いながらトレードするというのは,良くない状態だと思います。なので,FF XIでは禁止しています。

4G:
 では,SOEのStation Exchangeのように企業がプレイヤーの間に介入することについては?

Sundi氏:
 企業が立ち入ることで,プレイヤーが負う危険性を減らすというスタンスは,RMTが関わっているか否かに関わらず,我々も同じです。

4G:
 プレイヤーありきということですね。少し話が変わりますが,PlayOnlineタイトルでも,それ以外のタイトルでも,サービスタイトル数が増えてくると,御社内でもユーザーの奪い合いが起こると思います。複数のMMORPGを運営することについてどう考えていますか?

田中氏:
 市場が拡大し,層が広がっていけばいいのではないでしょうか。オンラインゲームの市場というかプレイヤー数は,コンシューマ機と比較してまだまだ少ないと思います。これはオンラインゲームを体験したことのない人へのきっかけが足りていなかったことになりますので,今後そういう人達へのきっかけというか選択肢を増やすことが必要なのではないでしょうか。それならばパイの取り合いにはなりませんし。

4G:
 そうですね。今回発表された3機種の次世代機はすべてオンライン対応なので,そこからきっかけが生まれる可能性はありますね。

田中氏:
 ええ。いままでオンラインゲームをプレイしたことのない人が,手軽に触れられるようになるので,これからのオンラインゲーム市場も変わってくるでしょう。また,それらの機種からオンラインゲームへ来るユーザーもいると思いますので,市場拡大も期待しています。

4G:
 Xbox 360以外の次世代機では,FF XIのサービスを考えていますか?

田中氏:
 FF XIではクロスプラットフォームという戦略を進めてきていますので,どのプラットフォームからでもプレイできるというのが理想です。このゲームを遊ぶのに新しくハードを買うというのではなく,すでに持っているハードでプレイできたほうがいいですよね。プレイステーション3は,ハードディスク部分のスペックの発表が遅れていましたので,対応できるかどうかも分からなかったのですが,可能性があればすべてのプラットフォームでやりたいですね。

4G:
 時間がないようですので,最後の質問です。PlayOnlineが多重ログインを許可していないのは,今後サービスタイトルが増えていったときに,クロスプラットフォーム戦略と衝突するというか,足かせになってしまうのではないかという懸念があるのですが,今後変更する予定はありますか?

Sundi氏:
 そうですね……。PlayOnlineは,シングルタイトルで遊ぶように作られていて,複数タイトルを同時にプレイするというのは基本コンセプトとしては入っていませんでした。プレイステーション2とPCで同時にプレイするというのはそう非現実的でもありませんので,何か考えたほうがいいかもしれませんね。

4G:
 本日はありがとうございました。

5月12日にPlayOnlineタイトルとしてローンチした,フロントミッション オンライン(画像左)


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 まだ発表できないことが多かったインタビューとなってしまったが,同社のクロスプラットフォーム戦略とFF XI,そしてPlayOnlineが今後どのように進化していくのかというのがぼんやりと見えてきたような気がした。プレイヤーの意見を単純に取り入れるのではなく,それがグローバルで受け入れられるかというのを常に考えていくという両氏のスタンスの結果が,有効会員数50万という結果につながっているのではないだろうか。Xbox 360進出の発表もカンファレンスでは拍手で迎えられていたことだし,同作の持つパワーは"計り知れない"ものといえるだろう。拡張パックや新作,コンシューマ展開など,同社の舵取りに注目しておきたい。(Seal)


ファイナルファンタジーXI
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2002/11/07
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI プロマシアの呪縛
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2004/09/16
■価格:オープン
→公式サイトは「こちら」
ファイナルファンタジーXI ジラートの幻影
■開発元:スクウェア・エニックス
■発売元:スクウェア・エニックス
■発売日:2003/04/17
■価格:オープンプライス
→公式サイトは「こちら」

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