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AMDが「我が社はパートナー企業に反ゲーマー的条件を付けません」と発表。このタイミングでアピールする理由とは?
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印刷2018/04/19 00:00

業界動向

AMDが「我が社はパートナー企業に反ゲーマー的条件を付けません」と発表。このタイミングでアピールする理由とは?

画像集 No.002のサムネイル画像 / AMDが「我が社はパートナー企業に反ゲーマー的条件を付けません」と発表。このタイミングでアピールする理由とは?
 北米時間2018年4月17日,AMDのRadeon公式Webサイトに興味深い記事「Radeon RX Graphics: A Gamer's Choice」が上がった。
 AMDにてRadeon Gaming部門担当ジェネラルマネージャー兼副社長を務めるScott Herkelman(スコット・ハーケルマン)氏がポストしたこの記事は,ゲーマーにとって「選択の自由」がいかに重要であるかを訴えつつ,AMDが業界標準規格を推進することでPCゲーム業界とゲーマーにどれだけ貢献しているかを主張するという,ある意味で分かりきったことを再び繰り返すものだ。ただ,その真意はもちろん,そんな牧歌的なところにはない。
 それが明確に読み取れるのが下に引用した部分だ。

Real partnerships with real consistency - We work closely with all our AIB partners, so that our customers are empowered with the best, high-performance, high quality gaming products and technologies available from AMD. No anti-gamer / anti-competitive strings attached.
真に一貫した真のパートナーシップ―AMDはAIBパートナーと同等の立場で密接に協力し,私たちの顧客が最高に高性能で高品質なゲーマー向け製品や技術をAMDから得られるようにします。反ゲーマー的,反競争的な付帯条件は付けません)


 簡単にまとめると,「AMDはパートナー企業と対等の立場であり,パートナーシップを結ぶに当たって,ゲーマーを無視した反競争的な条件は付けません」といったところか。言い方を変えると「とあるAMDの競合企業は,パートナーシップの締結に当たって反競争的な条件を呑むよう,パートナー企業に要求している」と主張しているとも言える。
 つまりHerkelman氏によるこの投稿は,グラフィックスカードメーカーを巻き込んだAMDとNVIDIAの場外乱闘が表面化したものということだ。

 AMDの主張が表面化したと思われる例が,すでにある。
 投稿が行われた同日,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)は,新しいグラフィックスカードブランド「AREZ」(アレス)と,同ブランドの製品群を世界市場に向けて発表した。
 AREZの製品はすべて,AMD製GPUを搭載するグラフィックスカードで,NVIDIA製GPUを搭載したものはない。ASUSのゲーマー向けグラフィックスカードとしては「Republic of Gamers」(以下,ROG)ブランドがよく知られているが,今後,AMD製GPUを搭載する製品は,AREZブランドから登場することになるだろう。
 AMDも,Herkelman氏の投稿をもとにしたプレスリリースで,AREZブランドがRadeon搭載製品を扱うと述べている。

ASUSのグローバルサイトでAREZブランドの製品だけを表示した状態。28製品がラインナップされているが,すべてRadeon搭載モデルとなる
画像集 No.003のサムネイル画像 / AMDが「我が社はパートナー企業に反ゲーマー的条件を付けません」と発表。このタイミングでアピールする理由とは?

 そう聞くと,「ASUSとAMDが組んで,AMD製品独占のブランドを作ったのかな?」と思うかもしれないが,実際はむしろ逆。ROGブランドのグラフィックスカードでGeForce搭載製品以外を展開できなくなったため,AMD製GPUを搭載する製品用に,ROGとは別のブランドを立ち上げなくてはならなくなったからのようだ。

 同様の例は,GIGA-BYTE TECHNOLOGY(以下,GIGABYTE)の製品にも現れている。GIGABYTEのゲーマー向け製品ブランドと言えば最近は「AORUS」(オーラス)だが,4月下旬に国内発売予定の「Radeon RX 580」搭載外付けグラフィックスボックス「GV-RX580IXEB-8GD」にはブランド名がなく,昔ながらの「GV」で始まる型番表記となっている。

 なぜ,AMD製GPUとNVIDIA製GPUでブランドを分けなくてはならなくなったのか。その理由は,NVIDIAが開始したパートナー企業向けのプログラム「GeForce Partner Program」(以下,GPP)にある。
 パートナー企業がGPPを利用するに当たって,NVIDIAから具体的にどのような条件が提示されているのかは分からない。ただ,NVIDIAでGeForce Partner Marketingを担当するJohn Teeple氏は,北米時間2018年3月1日にNVIDIA公式Blogで投稿したポストで,GPPについてごく簡単に説明していた。
 その投稿によると,GPPに参加したパートナー企業は,Web上やソーシャルメディア上,あるいはイベントといった形で,共同のプロモーションを行え,NVIDIAの最新技術情報にいち早くアクセスし,NVIDIAのエンジニアリングチームと緊密に協力することができるという一文がある。
 ただ,その前提条件として,NVIDIAのGeForceというブランドとパートナー企業のブランドとが一致していなければならないというのだ。

Teeple氏による当該ポスト。赤枠で囲んだ部分が該当のテキストだ
画像集 No.004のサムネイル画像 / AMDが「我が社はパートナー企業に反ゲーマー的条件を付けません」と発表。このタイミングでアピールする理由とは?

 なんとも回りくどい言い方ではあるが,海外PC/IT系メディアはこれを「GeForceを搭載した製品と同じブランドで他社製GPU搭載製品を扱ってはならないという制限だ」と報じている。

 つまり,ASUSやGIGABYTEは,この条件を受け入れてGPPに参加したために,ROGやAORUSといった知名度のあるブランドでRadeon搭載製品を展開できなくなった。そこで仕方なく,別のブランドを立てたり,ブランド名を付けずに製品化したりすることになったというのが,一連の状況や投稿から推測できる話となる。
 Herkelman氏の記事は要するに,GPPという制約,そしてそれを設けたNVIDIAを婉曲的に非難し,「AMDはそんな制約を付けませんよ」とアピールするものなのだ。

 AMDはプレスリリースの中で,今後はASUS以外のAIB(Add-In-Board)パートナーとなるグラフィックスカードメーカー各社からもRadeon搭載製品の新ブランドが発表になると予告している。新ブランドが登場したら,その背景にはこんな事情がある(かもしれない)のだ。

AMDのRadeon公式Webサイトにおける当該ポスト(英語)

NVIDIA公式BlogにおけるGPPに関するポスト(英語)

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