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「Ingress」は文化や言語の壁を超え「Pokémon GO」は世界に幸せを届ける。公式ユーザーイベントAegis Novaを前に,Nianticの歩みを川島氏に聞いた
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印刷2016/07/16 00:00

インタビュー

「Ingress」は文化や言語の壁を超え「Pokémon GO」は世界に幸せを届ける。公式ユーザーイベントAegis Novaを前に,Nianticの歩みを川島氏に聞いた

Ingress
 Nianticがサービス中の「Ingress」iOS / Android) をご存じだろうか。Ingressは,スマートフォンの位置情報を利用したリアルワールドゲームとして世界中のエージェント(Ingressプレイヤー)に親しまれている。エージェントが“レジスタンス”と“エンライテンド”の2勢力に分かれ,現実世界のスポットに紐付いた“ポータル”を奪い合う陣取り合戦を繰り広げるという内容で,7月6日から一部の国でサービスがスタートした「Pokémon GO」iOS / Android)にも,Ingressの技術やポータル情報が応用されているのだ。

 今回4Gamerでは,7月16日に開催されるIngress史上最大規模の公式ユーザーイベント「XMアノマリー Aegis Nova(イージスノヴァ)」を目前に控えたタイミングで,Nianticアジア統括本部長の川島優志氏にインタビューする機会を得た。Ingressが歩んだ軌跡と未来への展望,いまや世界的な社会現象にまで発展している「Pokémon GO」への想いを聞いたので,興味のある人はぜひ目をとおしてほしい。

Nianticアジア統括本部長 川島優志氏
2007年にGoogleにウェブマスターとして入社して以来,数々のUIデザインやウェブサイト構築を手がけ,2008年にアメリカ人以外では世界初となるGoogleホリデーロゴ(Doodle)デザインを担当した。2013年Google社内スタートアップのNiantic LabsにUX/Visual Artistとして移籍。2015に年Googleから独立し,Niantic設立に伴いアジア統括本部長に就任

「Ingress」公式サイト

「Ingress」ダウンロードページ

「Ingress」ダウンロードページ

「Pokémon GO」公式サイト



日本はいまや世界有数のIngress大国
躍進につながったエージェントの存在


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。4Gamerで川島さんにインタビューをさせてもらうのは今回が初めてということで,まずは自己紹介を兼ねて,「Ingress」との関わりや立ち位置について聞かせてください。

川島優志氏(以下,川島氏):
 分かりました。僕は現在,Nianticのアジア統括本部長として,Ingressにおけるアジア全体のオペレーションを計画/実行,統括するポジションに就いており,普段はアメリカのサンフランシスコ本社で働いています。

4Gamer:
 GoogleからNianticが独立するまでは,GoogleでビジュアルやUX(※)のデザイナーをやっていたとのことですが。

(※)User Experience Design

川島氏:
 ええ。Googleで8年ほど,ウェブサイトやGoogleのホリデーロゴ(Googleが何らかの記念日などに掲載する特別なロゴ)のデザインなどを手がけていました。

4Gamer:
 Ingressにおいては,日本で開催されるイベントやエージェント(Ingressプレイヤー)の活動報告などでも川島さんの姿を頻繁に拝見しています。かなりアクティブですよね。

川島氏:
 僕がNianticに合流したとき,Ingressにはまだ英語版しかなく,ランキング的にもユーザー数的にも日本の順位が低かったんですよ。今でこそ日本は,世界で一,二を争うIngress大国に成長しているんですけど,かつては国でいうと20位台,都市でいうと60位台くらいの状況でした。
 僕はNianticで初めての日本人スタッフでしたが,その頃からIngressに大きな可能性を感じていましたね。人をスクリーンの前から離れさせ,外に連れ出し,“人とつなががる楽しさを知れば世界はもっと良くなる”というジョン・ハンケ(※)の思想に共感したんです。

Ingressは2013年12月にAndroid版,2014年7月にiOS版が正式サービスイン。サービスイン当時UIはすべて英語であったが,2015年3月のアップデートによって日本語に対応した(関連記事
Ingress
(※)Niantic創設者兼CEO

4Gamer:
 そういった考え方を日本でも積極的に広めようと。

川島氏:
 ええ。まずはUX/UIの観点から何ができるかを考えて,自分の専門領域で頑張っていたんですけど,やがて動画に日本語の字幕をつけたり,ドキュメントを和訳したりするようになりました。仕事量が多くなると夜なべして奥さんに手伝ってもらいながら(笑)。

4Gamer:
 日本でのIngressの普及は夫婦による力が大きかったと(笑)。そこまでの熱量を持って仕事に取り組んでいれば,運営者として実際にイベントに参加するようになるのも自然な流れなんですね。

川島氏:
 やはり,実際にイベントに出向き人と会うことが大事だなと僕は思っていて。イベントでも町おこしでも,「来てください」「やってください」だけでは盛り上がりませんよね。アメリカ在住なので限界はあるんですけど,日本にIngressを広めるために,可能な限りイベントに参加するようにしてきました。

4Gamer:
 川島さんのそんな努力もあって,2016年7月16日(土)には,Ingress史上最大規模のイベント「XMアノマリー AegisNova(イージスノヴァ)東京」が開催されます。今回のイベントは1万人以上の参加者を見込んでいるとか。

川島氏:
 最初に東京でイベントを開催したときは,東京という大都市ですら100人弱しか人を集められませんでした。京都でのイベントでは20人くらいだったかな……。そんな時代を経て,IngressのiOS版がリリースされ,日本語にも対応したことでユーザー数が大きく増えた。日本は今や世界でもトップクラスのIngress大国になったんです。

4Gamer:
 日本がそこまで躍進した要因はどこにあるとお考えですか?

川島氏:
 それについてはジョンともよく話すんですけど,やはり日本語化/iOS対応が大きいですね。そして,そのタイミングですでにベテランエージェントだった日本の皆さんが,初心者のための情報をしっかりと整備してくれていたことも重要です。

4Gamer:
 なるほど,新しいものが好きで面倒見のいい先行プレイヤー達が,日本語化で増加した日本人プレイヤーを丁寧にサポートしてくれたわけですね。

川島氏:
 はい。彼らの活動が,日本でのIngressの発展に大きな影響を与えたのは事実だと思います。
 あと,日本は神社仏閣や面白いオブジェが無数にあり,質/量ともにポータルが充実しているというのも大きいですね。結果,日本での本格的なサービスがスタートした時点で,非常に素晴らしいゲームボードが完成していたんです。

4Gamer:
 Ingressは現在,累計1500万ダウンロードを突破していますが,Nianticとしては,こういった結果を当然のように予測されていたんですか?

川島氏:
 いえいえ,予想を遙かに超えていました。とくに,エージェント達の情熱的な反応などは,まったく予想できていませんでしたよ。Nianticは基本的に予想がヘタなんです(笑)。

4Gamer:
 それは意外ですね……。Ingressはコンセプトやシステムがシンプルかつ明確で,「確かにこれなら人を動かせるな」と多くの人が納得するサービスだと思いますし,当然のように狙いすましていたのかと思っていました。

川島氏:
 不安だらけだったというのが正直なところですね。ゲームって普通,家で遊ぶものというイメージが強いじゃないですか。一部地域で配信済みのPokémon GOでさえ,「え,歩かなきゃならないの? じゃあやめておこうかな」と考える人がいっぱいいると思うんですよね。基本的にはそういう反応は自然なものと考えていて,それを覆すための挑戦をしていたというのが実情です。それが想像以上に受け入れてもらえたことは,本当にありがたいですね。



文化や言語の壁を超え生まれるドラマ
Ingressの人を動かす力はすばらしい


4Gamer:
 先ほども話題に出たIngress史上最大規模のイベント,AegisNova(イージスノヴァ)東京ですが,クライマックスの地として東京を選んだ理由についてお聞かせください。

川島氏:
 なんといっても,東京が世界最大のIngress都市だというところが大きいですね。現在の世界ランキングトップ10のうち,6都市くらいは日本なんじゃないかな。その中でもとくに活動が活発なのが,東京なんです。

4Gamer:
 XMアノマリー(複数都市で同時開催される勢力戦イベント。ルールに従い,限られた時間で敵勢力とバトルする。アフターパーティーではエージェントの表彰やトークショウ,グッズ販売なども行われる)は通常,グローバルでほぼ同時展開されますよね。これだけの規模のXMアノマリーを東京で単独開催することに驚きました。

川島氏:
 確かに,通常のやり方だとアジアの都市は“最後の地”にはならないんですよね。でも日本でやるなら,どうせなら東京を最後の地にしてみたいということで,今回は通常のサイクルから外れた形で開催することになりました。他の都市では開催されないので,世界各国のエージェントも心置きなく東京に集結できると思います。

4Gamer:
 1万人規模のイベントともなると,文字通りお祭り騒ぎになりそうですね。

川島氏:
 海外エージェントだけでも数千人がお台場に集結して,東京各地に散らばり戦うわけですからね(笑)。そこに日本人が8000人くらい加わるので,かなり面白いことになりそうです。

Ingress史上最大規模のイベントということもあり,AegisNovaはNianticにとっても挑戦であるという。川島氏は「イベント当日は拡張現実の世界で東京を焼き尽くすことになると思うので,サーバーが持つのか,どんなドラマが起きるのか予測できない」とコメントした

4Gamer:
 これもIngressの人を動かす力,国境を超えさせる力ですね。

川島氏:
 暑い日に外出するだけでも大変なのに,Ingressを遊んでいると東北に行ってみよう,沖縄に行ってみよう,海外に行ってみようという気持ちになってくる。今回のイベントのために,初めてパスポートを取得したという海外のエージェントもたくさんいるみたいですよ。「どうしても東京で戦いたい」と。そういう話を聞くと感無量ですね。

4Gamer:
 以前川島さんのブログで目にした,「大玉転がし(※)を世界中の人でおこなったら。人類は文化や言語の壁を超えて協力し,国境や海を超えて,玉を運ぶことはできるでしょうか。イングレスエージェントは,誰もの想像を超える形で「イエス」の声を伝え続けています」という一文が非常に印象的だったんですが,まさにそういうことが起こっているというのがすごいですよね……。

(※)ゲーム内で設定された目的地にShardと呼ばれるアーティファクトを移動させるイベントのこと。自陣営の目的地へと移動させるために国境を越えた攻防が繰り広げられる。

川島氏:
 日本だけじゃなく世界中で,日々深刻で難しい問題が起きていますけど,Ingressに関わっていて思うのは,「ゲームだからこそ解決できること」も確実に存在するんだな,ということです。性別や人種,世代の違う人々を仲良くさせるのは非常に難しいですけど,Ingressがあるだけでそういう課題が解決することもある。ゲームの力を強く感じます。

4Gamer:
 すべてのゲームは悪しきものである,という扱いを受けるケースも少なくないですが,ゲームを必要としている人も,ゲームに助けられている人も存在するのは事実ですもんね。

川島氏:
 おっしゃるとおりです。囲碁でも将棋でもトランプでも,ゲームは昔から大切な文化だったし,さまざまな力を秘めています。一部地域で先行リリースしたPokémon GOも,世界中でさまざまな報じられ方をしていますが,Ingressで発見したり,教えられたりしたゲームの良さ,力みたいなものが,Pokémon GOによって一気に拡大されて,世界中にそれが届くんじゃないかとワクワクしています。
 IngressでもPokémon GOでも,プレイヤーから「痩せた」「健康になった」「外出できるようになった」といった声が日々届いています。自閉症の子がPokémon GOによって外に出られるようになり,他者とのコミュニケーションにも積極的になったという報告もすでに頂いています。こういうゲームの力をさらに広げるために,引き続き努力を続けていきたいと思いますね。


エージェントならば気になる
Nianticが描くIngressのこれから


4Gamer:
 せっかくですので,Ingressの今後の展開についても教えてください。まずは気になっているエージェントも多いと思うのですが,レベルキャップ開放の予定はありますか?

川島氏:
 レベルキャップの開放に関しては,常に議論をしています。やる,やらないという議論も含めて,どうするべきかを日々話し合っています。Ingressは,比較的容易に到達できるレベル8になった時点で“強さ”がほぼ完成するという特殊なバランスになっていますよね。レベルキャップの開放をすることで,そのバランスが崩れる可能性もありますから慎重に検討していますが,例えば新しいメダルとか,機能追加といった,さまざまな可能性を考えています。

4Gamer:
 現時点でレベル16に到達しているエージェントは,おそらくコミュニティ内でさまざまなサポートを行っているエヴァンジェリストのような存在でしょうし,機能面での拡張は喜ぶ人も多そうですね。

川島氏:
 そうですね。レベル16のエージェントにしかできない,コミュニティに貢献できるようなシステムについては開発が進んでいて,近いうちに発表できるんじゃないかなと思います。
 そういえばPokémon GOでも,Ingressで作られたポータルの中から,安全性を配慮したものが使われていますが,Pokémon GOでは(ポータル申請のような形で)ポケストップの申請はできません。
 そういう意味では,レベル16のエージェントは,Nianticプラットフォームで繰り広げられる複数のコンテンツの“守護者”のような存在になれるかもしれませんね。


4Gamer:
 ちなみにNianticには,何人くらいのスタッフが所属しているんですか?

川島氏:
 エンジニアだけでなく,すべての地域のスタッフを合わせて60人程度ですかね。

4Gamer:
 そうなんですか……IngressやPokémon GOを開発している企業だから,てっきり数百人はいるのかと思っていました。

川島氏:
 ぜんぜんいないですよ(笑)。その中で両タイトルのスタッフをやりくりしていて,ここ最近はPokémon GOの開発にリソースを割かれていたため,Ingressの展開はちょっとおとなし目だったんですが,今後はIngressにもエンジニアが戻ってきますので,新機能追加のペースはどんどん上がると思います。Ingressに実装したい機能のリストは長大なので,あとは一つずつこなすだけという状態です。

4Gamer:
 これはアップデート計画とは関係のない話ですが,Ingressにはさまざまなローカルルールもありますよね。自宅にあるポータルにアイテムを置いちゃいけないとか。

川島氏:
 ああ,なるほど(笑)。Ingressに対する想いが強ければ強いほど,コミュニティのルールも厳しくなっていくのはしょうがないことだと思います。ローカルルールって,どんなものにもありますしね。我々が推し進めているエージェントプロトコルのような,最低限のガイドラインを守ってもらえれば,どう遊んでもらうのも自由です。
 Ingressは自由度が高すぎるゲームで,そもそも何をやればいいのかわからないところがあります。ストーリーもゲーム内でなく,ゲームの外で進んでいきますし。

4Gamer:
 現実世界で行われるXMアノマリーの結果でシナリオが変化しますし。

川島氏:
 はい。そういう特殊なゲームなので,ローカルルールを含めた地域ごとの文化も,ゲームの一部だと考えています。

Ingress Ingress


Ingressはビジネスではなく壮大な実験
Pokémon GOで目指すさらなるステージ


4Gamer:
 しかし,考えれば考えるほど,Ingressはビジネスというよりも,壮大な実験のようなサービスですよね。

川島氏:
 AR(拡張現実)技術を活用した,人類の未来に関わるような実験みたいですよね。ビジネスに関しては,お金儲けの才能を持つ人の採用を後回しにしすぎたせいで,今でもいろんな人からアドバイスを頂きます(笑)。我々は“良い製品を作ればお金はあとからついてくる”というGoogleの文化を継承しているので,ビジネスのセンスがあまりないんですよ。
 でもPokémon GOに関しては,任天堂やポケモンといった優れた企業に協力してもらっていますし,薄く広いビジネスモデル,課金がキャラクターの強さではなく,コミュニケーションを促進するような形を実現できるんじゃないかなと考えています。

4Gamer:
 日本のスマホ向けゲーム市場に明るい人からすると,「なんでチャンスがいくらでもあるのにNianticはお金儲けしないんだろう」と思われるでしょうね(笑)。

川島氏:
 Ingressのおかげで,モバイルバッテリーや自転車,靴などさまざまなモノが売れましたからね(笑)。でもそういう姿勢をユーザーが応援してくれたからこそ,Ingressもここまでやってこられたんじゃないかなと素直に思います。

4Gamer:
 そういえば,Pokémon GOもIngressありきの企画ですけど,パートナーシップ契約の話は,基本的に他社から持ちかけられるものなんですか?

川島氏:
 そうですね。大体,企業の中に熱心なエージェントがいて,「私がIngressを盛り上げるんだ!」みたいな感じで企画を持ちかけてくれます。もう一つは,そういうエージェントに紹介される形で進む案件もあるんですが,その場合は「とりあえずレベル8まで遊んでみてください」と関係者各位にお願いします。

4Gamer:
 なるほど,どうせやるならIngressの良さを皆が理解した状態でやろうと。

川島氏:
 若干ハードルが高くなりますが,実際に遊んでもらえば,Ingressの良さを理解して企画の進みも良くなるんですよね。そういうこともあって,ありがたいことに皆さん“ビジネスを超えた協力体制”を取ってくれます。大日本印刷さんは,Nianticのブックカバーをあらゆる店舗で無料配布してくれましたし,伊藤園さんは“XM-Profiler”という自動販売機の形をした自動販売機でないものを作ってくれましたからね。ジュースも買えないし,“伊藤園”とさえ書かれていないものを。

Ingress
効果音とともにポータル占有状況を立体的に演出する3Dホログラム画面などを備えた機器「XM-Profiler
honto×Ingress」の一環として,しおりやブックカバーが無料配布された

4Gamer:
 やはり,関係者がエージェントだったんですか?

川島氏:
 副社長さんがハイレベルエージェントでした(笑)。

4Gamer:
 それは頼もしい……。そういえばIngressは,現状レジスタンスとエンライテンドの2勢力が争うゲームですが,ファクションが追加される予定はありますか?

川島氏:
 これもずっと議論を続けているテーマなんですけど,第三のファクションを実装する,という約束は現時点では難しいですね。企画の初期段階では,侵略者とそれに対抗する者がいて……というアメリカ的な設定だったんですが,当然どちらのファクションにも正義はあります。現在ではどちらが善/悪とも言えないストーリー展開になってきていますね。
 ここに第三の勢力が介入したらどうなるのか……僕自身非常に気になります。

4Gamer:
 第三の勢力が参戦したら,両者の対決色は若干薄くなりますけど,ストーリーは相当複雑になりそうですね。

川島氏:
 Pokémon GOでは最初から3つの陣営(赤/青/黄)がありますよね。ここでどんなゲーム展開が起こるのかを見てもらえると,何かヒントが見つかるかもしれません。

4Gamer:
 ストーリー展開に絡む部分かもしれませんが,今後対決ではなく,協力が重要になるイベントは行われますか?

川島氏:
 十分考えられると思いますね。面白いアイディアだと思います。これからストーリーがどうなっていくのかは分かりませんが,かつて,両陣営が協力して全世界でMU(Mind Unit。Control Fieldの範囲内にある人口 (population) を表現するもので,主要なスコア測定基準)を何ビリオン稼がないと問題が解決しない,というイベントをやりましたけど,今後はもっと協力を重要視するイベントが行われるかもしれませんね。

4Gamer:
 分かりました。そのほか,Ingressについて検討している課題はありますか?

Ingress
Pokémon GO Plus
川島氏:
 現在リソースの関係で停止しているポータルの申請機能を何とかしたいですね。ポータルになり得る何かを探す,という行為はIngressの大きな魅力なので,近い将来ぜひ復活させたいと考えています。
 それと,Ingressをスマートフォンだけでなく,別のデバイスを利用して楽しめるようにしたいなという考えもあります。我々は,子供がスマホを注視しながら遊ぶことを推奨していないので,たとえばPokémon GO Plusのようなデバイスがあれば,お父さんがスマホを持つことでより安全にゲームを楽しめますよね。我々はそういうデバイスもARの一部だと考えているので,引き続き模索していきたいと思います。

4Gamer:
 そういった話題と通じる部分があるかもしれませんが,TwitterでIngressを検索すると,エージェントがPokémon GOプレイヤーの心配をしているんですよね。個人情報とか,歩きスマホとか,子供の安全などについて。

川島氏:
 Ingressのエージェントにはリテラシーの高い人が多いですからね。Ingressが切り拓いた分野は,そもそも社会で成立してない分野でした。問題と紙一重なんですよね。エージェントも,自分がIngressで経験したさまざまな問題を心配してくれているのかもしれません。
 もちろん,我々も浮かれているわけではなくてPokémon GOをより安全なサービスにするべく,Ingressで得た知見をもとに危機感をもって検討/実行していきます。

4Gamer:
 Pokémon GOはIngress以上の社会現象となっており,センセーショナルな悪い面にも注目が集まりがちですが,良い面にも注目が集まるといいですね。

川島氏:
 はい。先ほども話したように,IngressやPokémon GOには,人を幸せにする大きな力があります。オバマ大統領が8年をかけてやろうとしていた肥満対策を24時間で解決してしまったりね(笑)。Ingressがブームになったときもそうでしたけど,良い面,悪い面,両方がちゃんと議論されるといいなと思います。

Ingress Ingress

4Gamer:
 そういえば先日,Pokémon GOの完成を岩田 聡氏に報告する内容のエントリーをGoogle+に掲載されていましたね。この盛り上がりを見て,岩田さんも喜んでくれているのではないでしょうか。

川島氏:
 Pokémon GOのプロジェクトは,ポケモンの石原恒和さんとジョンが会ったところからスタートしたんですけど,石原さんは岩田さんと何度も,長い時間をかけて打ち合わせをしていて,岩田さんも亡くなられる直前までPokémon GOのことを考えていたそうです。発表会でも,岩田さんと一緒に発表したかったと言っていましたけど,その気持ちは関係者全員が抱いていると思います。
 僕も実際にお会いしたときに,スマートフォンというプラットフォームへの対応に関して,岩田さんがどう考えているのかドキドキしていたんですけど,Ingressの持っている人をつなぐ力,世代や国籍を越える力を体感して大きな可能性を理解していただいて,「こういうことがやりたいんだ」とのお言葉を頂きました。Pokémon GOをリリースできて,本当に良かったと思いますし,どこかで見ていてくれたら嬉しいなと思います。

4Gamer:
 日本での配信も間近とのことですし,我々も楽しみにしています。それでは最後に,Ingressのエージェントや,Pokémon GOのファンに一言お願いします。

川島氏:
 IngressでもPokémon GOでも,Nianticが目指しているものはとてもシンプルで,家の中でスクリーンを見つめているだけでなく,外へ出て世界のどこかに隠された秘密を発見してほしいということです。IngressやPokémon GOを持って町に繰り出せば,それが隠された宝石を照らし出してくれますので,ぜひ自分自身で発見して,味わって,そこで出会う人達と交流してみてください。夢と現実が一体になった,新しい未来が垣間見えるような感覚を体験してください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


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