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Haswell-E「Core i7-5960X」レビュー。デスクトップPC用初の8コア16スレッド&DDR4対応CPUに,ゲーマーは手を出すべきか
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印刷2014/08/30 09:00

レビュー

デスクトップPC用初の8コア16スレッド&DDR4対応CPUに,ゲーマーは手を出すべきか

Core i7-5960X Extreme Edition

Text by 宮崎真一


入手したi7-5960X CPU。Intelの最新CPUは「性能評価用エンジニアリングサンプル」を入手するケースが多いのだが,今回は「SR20Q」というS-Specも刻まれた製品版だ
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 別途お伝えしているとおり,2014年8月30日,IntelからハイエンドデスクトップPC向け新製品であるCore i7-5000番台が発表になった。開発コードネーム「Haswell-E」(ハスウェルEもしくはハズウェルE)と呼ばれていた製品群だ。
 今回4Gamerでは,そのなかで最上位に位置づけられる,Intel初のデスクトップPC向け8コアCPU「Core i7-5960X Extreme Edition」(以下,i7-5960X)を入手できたので,その実力をチェックしてみたい。果たして999ドルの8コア16スレッドCPUは,ハイエンド指向のPCゲーマーにとって福音となる存在なのだろうか。


8C16T対応ながら動作クロックは定格3GHz

テストにはASUSのX99マザーボードを利用


CPUパッケージはLGA2011-v3となる
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 Hawsell-EというCPUがどんなものかは米田 聡氏が解説してくれているので,そちらをぜひチェックしてもらえればと思うが,おおざっぱにまとめておくと,発表時点のラインナップはi7-5960Xと「Core i7-5930K」「Core i7-5820K」(以下順に,i7-5930K,i7-5820K)の3モデル。i7-5960Xは冒頭で紹介したとおり8コア16スレッド対応で,下位2モデルは6コア12スレッド対応となる。いずれも,史上初めてクアッドチャネルDDR4-2133メモリコントローラを統合するのが大きな特徴だ。
 CPUのパッケージはLGA2011-v3で,Ivy Bridge-EやSandy Bridge-E世代のLGA2011とは物理的な互換性が失われている。

 置き換え対象となるIvy Bridge-E世代のCore i7-4000番台と比較した場合,CPU側のPCI Express(以下,PCIe)3.0レーン数が最大40レーンになる点で違いはないものの,Ivy Bridge-E世代のCore i7-4000番台だと最上位モデルから最下位モデルまでレーン数は40なのに対し,Haswell-Eではi7-5960Xとi7-5930Kが40レーン,i7-5820Kが28レーンと差別化されているのも面白い。CPUネイティブでPCIe 3.0の16レーン×2接続によるSLIやCrossFireを利用したいとき,Haswell-E世代では上位2モデルを選ぶことになるわけだ。

 表1は,i7-5960Xと,Ivy Bridge-E世代の最上位モデルである「Core i7-4960X Extreme Edition」(以下,i7-4960X),Haswell&Haswell Refresh世代の最上位モデルであり,「Devil’s Canyon」という開発コードネームでよく知られている「Core i7-4790K」(以下,i7-4790K)のスペックを比較したものだ。i7-5960Xは動作クロックが定格3GHz,最大3.5GHzと,最近のデスクトップPC用CPUとしては低めな点に注意が必要だろう。


X99チップセット
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 Haswell-Eと組み合わせられるマザーボードは「Intel X99」(以下,X99)チップセット搭載モデルとなる。
 今回4Gamerでは,CPUといっしょに,ASUSTeK Computer(以下,ASUS)製のX99マザーボード「X99-DELUXE」を入手できたので,簡単に紹介しておこう。

X99-DELUXE(左)とその背面(右)。背面に1つLSIが見えるが,これは性能チューニング用コントローラ「TPU」(TurboV Processing Unit)だ
Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E)

X99-DELUXEは,一般的なLGA2011-v3対応ソケットよりもピンの数が多いOC Socketを採用する。CPUクーラーはLGA2011対応のものを基本的にはそのまま利用可能
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 従来のASUS製マザーボードにはあまり見られなかった,黒と白を基調としたデザインになっているのが印象的だが,そんなX99-DELUXEにおける最大の特徴は,CPUソケットがASUS独自の「OC Socket」になっているところだ。同社が特許出願中という,LGA2011-v3互換となるこのソケットでは,IntelのリファレンスCPUソケットと比べてピンの数が増えており,それを活用することで,1.8Vなどといった高いCPUコア電圧設定時の電圧降下を防ぎ,安定した電圧を供給できるとのこと。また,同じLGA2011-v3搭載マザーボードよりも低い電圧でメモリモジュールのオーバークロック動作を実現できるともされている。
 ゲーム用途でここまで電圧を引き上げることはまずないので,4Gamer読者に直截的なメリットがあるかというと疑問も残るが,記憶には留めておいたほうがいいだろう。

CPUソケットの固定機構は従来のLGA2011プラットフォームと基本的に同じ。Sandy Bridge-EやIvy Bridge-Eを使っていた人なら抵抗なく利用できると思われる
Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E)

 拡張スロットはPCIe 3.0 x16 ×5,PCIe 2.0 x4 ×1で,別途,PCIe 3.0 x4接続のM.2ソケットも用意される。これらがどう動くか,PCIe 3.0のレーン数に関するIntel公式の資料はないのだが,X99-DELUXEのマニュアルによれば表2のとおりだ。
 薄い黄色の背景色を置いたところはPCIe 2.0接続で,そうでないところはPCIe 3.0接続となるが,なかなか複雑である。

※1 M.2(PCIe 3.0 x4)スロットと同じ帯域を共有
※2 追加USB 3.0ポート(USB3_E12)および追加Serial ATA Expressポート(SATAEXPRESS_E1)と同じ帯域を共有
※3 詳細は不明ながら,「デフォルトのトリプル設定は8レーン×3で,UEFI BIOS UtilityからPCIEX16_5の帯域幅を変更すると16レーン×2+8レーン×1動作を利用できる」とされている

M.2ソケット。「M.2X4」というシルク印刷がある
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 M.2ソケットの話も出たので続けておくと,M.2ソケットはATX24ピン電源コネクタやメモリスロットの近くに用意されている。付属のマウンタにPCI Express仕様のM.2接続型SSDを固定したうえで,マウンタごとマザーボードにネジ留めして使う仕様だ。別途「HYPER M.2 x4」と呼ばれるPCI Express 3.0 x4接続の拡張カードも付属しているので,やろうと思えば最大2枚を同時に利用できる。ASUSによれば,どちらでもOSの起動がサポートされているとのことだ。

M.2ソケット用のマウンタ(左)と,それをX99-DELUXEに装着したところ(中央)。右はHYPER M.2 x4カードである
Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E)

Core i7-5000番台(Haswell-E)
 CPU用の電源フェーズ数は8。「CRYSTAL SOUND 2」と呼ばれるオンボードサウンドは,アナログ段をマザーボードのほかの部分から独立させ,EMIシールドを設け,オーディオグレードのコンデンサを採用し,スピーカー出力並びにヘッドフォン出力用のOPAMP(オペアンプ)も搭載し,それをRealtek Semiconductor製のHD Audio CODEC「ALC1150」と組み合わせてある。ライン出力時のS/N比は112dBを実現しているとのことだ。
 DTSのバーチャルサラウンドサウンド出力機能「DTS UltraPC II」と,7.1chアップミックス機能「DTS Neo: PC」,そしてサラウンドサウンドをDTS形式のストリームでデジタル出力できる「DTS Connect」に対応するのは,ゲーマーにも意味がありそうである。

X99-DELUXEのサウンド周りには斜線が入り,見分けやすくなっていた(左)。右は外部出力インタフェースとなる
Core i7-5000番台(Haswell-E) Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)
X99によりサポートされるストレージはSerial ATA 6Gbps×10もしくはSerial ATA 6Gbps×8,SATA Express×1。それとは別にASMedia Technology製コントローラによってSerial ATA 6Gbps×2もしくはSATA Express×1も利用できる
Core i7-5000番台(Haswell-E)
X99-DELUXEのLAN機能は,X99の論理層とIntel製物理層「I218-V」,そしてIntel製コントローラ「I211-AT」による2系統の有線と,3x3 MIMO対応で最大1300Mbps仕様のIEEE 802.11a/g/n/ac準拠の無線だ。写真は無線用のアンテナ


i7-4960Xおよびi7-4790Kと比較

ゲームテストと基礎検証を分けて実施


 テスト環境の構築に入ろう。今回,比較対象には表1で挙げたi7-4960Xとi7-4790Kを用意。グラフィックスカードには,GPUボトルネックをできる限り回避すべく,「GeForce GTX 780 Ti」のリファレンスカードを用意している。
 「CPUボトルネックをできる限り回避する」という目的では,2014年8月30日時点における最速シングルカード「Radeon R9 295X2」を使ったほうが本当はいいのだが,今回は事情により,i7-5960Xに触れられる時間が数日しかなく,X99プラットフォームにおけるデュアルGPUカードの動作検証を行う余裕がなかった。この点はご了承を。

入手したADATA Technology製DDR4メモリモジュールセット
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 そのほかテスト環境は表3のとおり。用いたDDR4メモリモジュールはADATA Technology製の4GBモデル4枚セット「AD4U2133W4G15-BHYM」だ。i7-5960X用のメインメモリを総容量16GBとしたことから,比較対象となるプラットフォームでも合計16GBに揃えてある。
 用いたグラフィックスドライバ「GeForce 340.52 Driver」は,テスト開始時点の最新版だ。


 テストだが,今回は最初に,4Gamerのベンチマークレギュレーション15.2準拠のゲーム関連テストを行ったうえで,その結果を踏まえつつ,基礎検証にて細かな仕様をチェックする,という流れで進めたいと思う。
 というわけでゲーム関連テストのほうだが,今回はCPUのテストということで,基本的には「標準設定」もしくはそれに準じる設定のみを実施することになる。ただし,「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)だけは,今回のテスト環境にとって描画負荷が低すぎることが容易に想像できることから,「Ultra設定」を用いることにした。
 「3DMark」(Version 1.3.708)を除くゲームアプリケーションでは,1280×720ドットと1600×900ドット,1920×1080ドットの3解像度を選択。CPUレビューということで,「Intel Hyper-Treading Tehnology」(以下,HTT)ならびに「Intel Turbo Boost Technology」(以下,TBT)といった基本機能は有効のままにしてある。

今回i7-5960Xと一緒に入手した(ので一緒に筆者の手元から去って行った)Intel製簡易液冷クーラー,TS13X。LGA2011-v3用というわけではなく,以前から市場で流通していた製品だ
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 なお,上でi7-5960Xに触れられる時間が少ししかなかったという話をしたことから推察できた人もいるだろうが,今回はそんな事情により,オーバークロック動作は試せていない。また,同じ理由により,i7-5960Xと同時に入手したIntel製の簡易液冷クーラー「TS13X(BXTS13X)をi7-4960Xとi7-4790Kに対しては使えなかったので,i7-4960ではIntel純正のCPUクーラー「RTS2011AC」,i7-4790Kでは製品ボックスに付属の空冷クーラーを用いることとなった。そのため,ターボ動作への入り方には3製品で違いが生じている可能性が高い(というかi7-5960Xがクロック面で有利になる可能性が高い)ので,この点もあらかじめお断りしておきたい。

 続く基礎検証の段では,まずPCシステム総合ベンチマーク「PCMark 8」(Vesion 2.0.228)を,ゲーム関連テストと同じCPU設定で実施。その後,HTTとTBTをいずれもマザーボードのUEFIから無効化したうえで,3 CPUの動作クロックをi7-5960Xの定格クロックである3GHzに揃え,PC情報表示ソフト兼テストツール「Sandra 2014 SP3」(以下,Sandra 2014)の各テストを実行していく。Sandra 2014で行うテストについては後段で紹介する予定だ。


8コアのメリットが出る局面は限定的

動作クロックの低さがネックになるケースが多い


 さて,ゲーム関係のテスト結果を見ていくことにしよう。
 グラフ1は3DMarkの総合スコアをまとめたもので,「Fire Strike」テストにおいてi7-5960Xはi7-4690X比で約2%,i7-4790K比で約3%高いスコアを示した。一方,ほぼGPU性能勝負になるExtremeプリセットだとスコアは横並びだ。


 そこでFire Strikeから,CPU性能を見る「Physics Score」のスコアを抜き出してみたものがグラフ2となる。ほぼほぼ純粋なCPUコア性能比較になるPhysics Scoreだと,i7-5960Xはi7-4960Xより約14%,i7-4790Kより約34%高いスコアであり,まずまず景気はよい。
 CPUマルチスレッド処理への最適化が進んでいる3DMarkならではの結果といえそうである。


 では,必ずしもマルチスレッド処理へ高度に最適化されているわけではないゲームタイトルだとどうなるだろうか。グラフ3は「Battlefield 4」(以下,BF4)のスコアをまとめたものだが,i7-5960Xはi7-4960Xとほぼ同程度のスコアとなり,i7-4790Kの96〜97%程度という結果になった。定格クロックで600MHz,最大クロックで500MHzのギャップがあるにもかかわらず,対i7-4960Xで互角の勝負に持ち込んでいるあたり,i7-5960Xには可能性を感じるものの,i7-4790Kに置いていかれているのはどうしても気になるところだ。


 続いて「Crysis 3」のテスト結果がグラフ4だが,おそらくCrysis 3ではBF4ほどマルチスレッド処理への最適化が進んでいないという理由により,i7-5960Xはi7-4960Xに逆転を許し,i7-4790Kとのスコア差も最大で約8%にまで広がっている。全体として,動作クロック順にスコアが並んでおり,i7-5960Xが140WというTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)の枠内で8コアを実現したこととのトレードオフは小さくない印象である。


 動作クロックの影響は,今回用意したゲームタイトルのなかでもとくに描画負荷の低いほうである「BioShock Infinite」においてより顕著となる(グラフ5)。i7-5960Xのスコアはi7-4960Xの77〜96%程度,i7-4790Kの69〜83%程度に留まった。
 描画負荷が低いため,実際に得られるフレームレートは非常に高い。よって「数字ほど体感性能は変わらない」とフォローすることもできるが,その場合は価格で比較することになってしまうので,i7-5960Xが不利なのは変わらない。


 一方,相応の価値を見出せたのがSkyrimである。i7-5960Xのスコアは解像度を変更しても変わらず,相対的なGPUボトルネックの影響が見て取れるものの,i7-4960Xとi7-4790Kだと解像度が高くなるにつれてスコアを落としていくのとは対照的であり,Skyrimにおいてはi7-5960Xが優勢,ということになる。とくに対i7-4790Kで最大13%ものスコア差があるのは目を引くところだろう。
 ただし,Skyrimのゲームエンジンは決して新しいものではなく,8コア16スレッドへの対応も,もちろん行われていない。なのでおそらくこの結果は,高解像度テクスチャパッチを導入したことによるメモリ負荷の増大を,クアッドチャネルDDR4メモリアクセスによる大きなメモリバス帯域幅が受け止めた結果ということになるのではないかと思われる。


 グラフ7にスコアをまとめた「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編」では,再びCrysis 3と同じように,動作クロック順のスコア並びとなった。解像度が高くなるに連れ,GPU性能がモノをいうようになるため,i7-5960Xとi7-4790Kのスコア差は縮まっていくが,それでも約9%というギャップは小さくない。

※グラフ画像をクリックすると,平均フレームレートベースのグラフを表示します
Core i7-5000番台(Haswell-E)

 非常に興味深い結果となったのがグラフ8の「GRID 2」で,ご覧のとおり,有意なスコア差を付けてi7-5960Xがトップに立った。i7-4960Xに対して4〜6%程度,i7-4790Kに対して2〜14%程度高いスコアは,なかなか見応えがある。
 Skyrimのように,メモリ負荷が極端に高いわけでもないGRID 2でこういった結果になっている理由は簡単で,GRID 2がIntel製CPUに最適化されているからだ。Intel製CPUのマルチスレッド処理へ最適化されたタイトルであれば,i7-5960Xはその真価を発揮できるという,当たり前の結果になっているのだろう。



i7-4960Xから消費電力は10Wほど増加

i7-4790Kとの差は60Wほどとかなり大きい


「CPU-Z」(Version 1.70.0 x64)で確認してみると,アイドル時の動作クロックは1.2GHzにまで下がっていた
Core i7-5000番台(Haswell-E)
 先の表1にもあるとおり,i7-5960XのTDPは140Wだ。i7-4960Xの130W比では10W,i7-4790Kの88W比では52Wも高いことになるが,実際の消費電力にはどの程度の違いが見られるか。今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,システム全体の消費電力を比較してみよう。
 テストにあたっては,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,システムに100%の負荷を与えるストレスツールである「OCCT」(Version 4.4.0)のCPU負荷モード30分間連続実行時点を「OCCT時」,3DMarkのFire Strikeにおける「Physics test」を30分間実行した時点を「3DMark時」とした。

 その結果がグラフ9だ。マザーボードもメモリモジュールも異なるので,今回のテスト結果がそのままCPUの消費電力差というわけではない。その点には注意してほしいのだが,システム全体で比較すると,アイドル状態ではi7-5960Xがi7-4960Xより19Wも低い値を示し,DDR4メモリモジュールの効果らしきものを感じさせている。
 一方,OCCT時と3DMark時だと,i7-5960Xはi7-4960Xより9〜11W,i7-4790Kより60〜61W高いスコアになっており,TDPのスペック差をほぼそのまま踏襲したような結果が得られた。


 最後に,CPU温度もチェックしておこう。とはいえ,テストのセットアップ段で述べたとおり,今回はi7-5960XのみCPUクーラーに簡易液冷モデルを採用しており,残る2製品でもクーラーが異なるため,横並びの比較にはまったく意味がない。グラフ10を見ても,「簡易液冷クーラーであるTS13Xの冷却能力は高いので,自己責任を覚悟すればオーバークロックも十分可能であろう」ということくらいしか言えないので,この点はご注意を。
 なお,TS13Xの動作音はさすがに静かだった。



DDR4メモリによる帯域幅増大は顕著だが

レイテンシの増大は懸念材料になる


 というわけで,基礎検証の時間である。
 まずグラフ11はPCMark 8の「Home」「Creative」「Work」各ワークロードにおける総合スコアをまとめたものとなる。

 ここでi7-5960Xのスコアはi7-4960Xとほぼ同じ。一方でi7-4790Kに対しては90〜92%程度のスコアに留まった。ゲームと同様,日常的なアプリケーションを用いたときの性能でも,Haswell-EはHaswellに対して不利ということなりそうだ。


 そんなPCMarkにおける3ワークロードのスコア詳細を抜き出したものが表4である。項目名に(s)や(ms)が付くものでは処理に要した時間を見ているので,数字は小さいほうが優秀ということになり,(fps)が付記される項目では数字の大きいほうが優秀と,やや見づらいのは申し訳ないが,端的に述べて,「i7-5960Xがi7-4790Kを明らかに上回っているところ」を探すのは非常に難しい。エンコード系で多少優勢か,という印象だ。

※そのまま掲載すると縦に長くなりすぎるため,抜粋してHomeワークロードの結果のみ掲載しました。表画像をクリックすると完全版を表示します
Core i7-5000番台(Haswell-E)

 ここからは動作クロックを揃えたうえでのSandra 2014を見ていこう。グラフ12は基本的な演算性能を見る「Processor Arithmetic」の結果だ。「Dhrystone」は整数演算,「Whetstone」は浮動小数点演算のそれぞれ古典的なテストだが,そのどれにおいてもi7-5960Xは比較対象を圧倒している。とくに対i7-4790Kでは2倍と,8コア対4コアの違いをまざまざと見せつけているのが分かる。


 続いてグラフ13,14はAVX2命令を用いたマルチメディア系演算の性能を見る「Processor Multi-Media」のテスト結果である。グラフを2つに分けたのは見やすさを重視したためで,他意はないが,ここでも「Multi-Media Long-int Native x1 ALU」「Multi-Media Long-int Native x1 ALU」と「Multi-Media Quad-int Native x1 ALU」「Multi-Media Quad-float Native x2 FMA」でi7-5960Xはi7-4790Kに対して約2倍のスコアを叩き出した。
 i7-4960Xとi7-4790Kで勝ったり負けたりという現象が生じているのは,HaswellマイクロアーキテクチャでサポートされたAVX拡張「AVX2」の効果で出ているか否か,ということになりそうだ。


 Processor Multi-Mediaの結果を分かりやすく並び変えたもの,と述べても通じそうなのが,暗号化と複合化のテスト結果をまとめた「Cryptography」である(グラフ15,16)。
 AES(Advanced Encryption Standard)256bitのエンコード/デコードを行う「Encryption/Decryption Bandwidth AES256-ECB AES」では,コアの数に応じてスコアが綺麗に並んだ。一方,AVX2を活用して「SHA2」(Secure Hash Algorithm 2)でハッシュの計算を行う「Hashing Bandwidth SHA2-256 AVX2」では,AVX2に対応したHaswellマイクロアーキテクチャの2製品が優位に立つ次第となる。


 CPUコア間のデータ転送レートを見る「Processor Multi-Core Efficiency」のテスト結果がグラフ17で,ここではi7-5960Xが比較対象を圧倒している。その理由はIvy Bridge-Eから引き続いての採用となる二重のリングバスと,Ivy Bridgeよりも大容量の共有L3キャッシュにあると見ていいのではなかろうか。
 もっとも,Haswell-EではメモリコントローラがIvy Bridge-EからもHaswellからも変更になっているので,リングバスでつながるメモリコントローラ周りに何らかの改善が入った効果という可能性も,もちろんある。

※グラフ画像をクリックすると,詳細なスコアをまとめた表5を表示します
Core i7-5000番台(Haswell-E)

 と,メモリ周りの話が出てきたところで,ここからはメモリ周りを重点的にチェックしていこう。
 グラフ18はメインメモリのバス帯域幅を見る「Memory Bandwidth」のスコアだが,ここはまずまずスペックどおりのスコアが出ていると述べていいのではなかろうか。i7-5960Xは,i7-4960Xに対して19〜21%程度,i7-4790Kに対しては128〜132%程度も高い値を示している。


 CPU内部のキャッシュも含めたメモリ周りの帯域幅を見る「Cache Bandwitdh」のスコアがグラフ19だが,正直,これがよく分からない。メインメモリ周りのスコアは順当なように見え,共有L3キャッシュ周りもそうなのだが,L2やL1あたりで,i7-5960Xのスコアが,i7-4790Kのそれと相似形でほぼ2倍のスコアになっているからである。SRAM関係でここまでの違いが出るというのはあまり考えられないので,Sandra 2014がうまく対応できていない可能性が大いにあるだろう。
 Intelが何も言っていないだけで,DDR4メモリコントローラの採用に合わせ,内部のキャッシュ周りには大きな拡張が入っているという可能性もゼロではないが。

※グラフ画像をクリックすると,詳細なスコアをまとめた表6を表示します
Core i7-5000番台(Haswell-E)

 では,DDR4メモリアクセスのレイテンシはどうなっているだろうか。「Cache & Memory Latency」のテスト結果がグラフ20〜25である。
 グラフ19でキャッシュ周りの数字を正しく取れていない可能性が出てきたため,基本的にはDDR4メモリ関連のところを見ていくことになるが,DDR4メモリアクセスのレイテンシは総じて大きめとはいえるだろう。一部例外はあるものの,おおむね「デュアルチャネルDDR3-1600のi7-4790Kが最も小さく,次がクアッドチャネルDDR3-1866のi7-4960X,最後がクアッドチャネルDDR4-2133のi7-5960X」という並びになっている。
 なお,L2やL3キャッシュ周りでもi7-5960Xのレイテンシが大きめな傾向になっている理由は,やはり分からない。Sandra 2014側の問題か,キャッシュ周りに手が入った結果かではないかと思うが。

※グラフ画像をクリックすると,詳細なスコアをまとめた表7〜12をグラフごとに表示します
Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)
Core i7-5000番台(Haswell-E)


ゲーム用途ではi7-4790Kに軍配

Haswell-Eはサーバー用CPUと見るべきか


Core i7-5000番台(Haswell-E)
 約1年前に掲載したレビュー記事で,筆者はi7-4960Xをゲーマーが積極的に選ぶ理由はなく,Haswell世代のプロセッサのほうがいいという話をした。それがHasell-Eでどうなったかというと,i7-5960Xはi7-4960Xよりも,さらに「ゲーマー向けCPU」から離れていった感が強い

 サーバー市場では,複数の要求を同時に捌けるCPUと,広帯域幅で低消費電力のメインメモリが求められており,Haswell-Eはまさにそのニーズに対する回答となるだろう。しかし,デスクトップPC用CPUとしての史上初の8コア16スレッド対応が有効に機能する局面は,ゲームどころか,それ以外のアプリケーションにおいても限られている。また,少なくとも現時点だと,DDR4メモリがゲーマーにもたらすメリットはほとんどなさそうだ。
 なんというか,今回のi7-5960Xからは,サーバー用CPUを無理矢理デスクトップPC用としたことの歪みが,これまでのハイエンドデスクトップPC市場向けCPU以上に強く感じられてしまうのである。

 もちろん,今回試せていないオーバークロックを読者が自己責任で行えば,CPU性能自体は引き上げられる可能性がある。また,今回は入手できていないが,6コア12スレッド対応の下位モデルであれば,そもそもリファレンスのCPUクロックが高いので,i7-4790Kとのスコア差は詰められる可能性もあるとは思う。
 だが,2014年8月30日現在の実勢価格が3万6000〜3万9000円程度のi7-4790Kを差し置いてHaswell-Eを選ぶべきかといえば,残念ながら答えはNOだ。

 ゲーム用途でHaswell-Eの導入を検討しているのであれば,Haswell(=Haswell Refresh)に切り替え,差額でグラフィックスカードのグレードアップなどを行ったほうが,確実に幸せになれるだろう。

IntelのCPU製品一覧ページ「ARK」

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