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ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
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印刷2013/10/08 00:00

インタビュー

ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた

「ソリティ馬」はなかなか真似できないゲーム


4Gamer:
 しかし,話を聞いていると,ゲームフリークさんはオリジナルである(最初に何かを生み出す)ってところに大きなこだわりがある会社なんですか?

杉森氏:
 そうですね。だいたい,何も考えない後追いって,単に楽に儲けるための手段じゃないですか。

4Gamer:
 まぁ,そうかもしれません。

杉森氏:
 それは,僕らが一番やりたくないことっていうか,やる必要のないこと。マーケティング主導を否定してるのに,そっちに寄ってくことはないと思うので。

渡辺氏:
 まぁ後追い的な作品だとしても,劣化したものは出したくないですよね。

4Gamer:
 ちなみにゲームフリークさんのなかでは,スマートフォン向けのゲームの企画とかって出ているんですか?

渡辺氏:
 「GEAR」では結構ありますよ。形になったものはまだないですけど。

4Gamer:
 あるんですか!

杉森氏:
 ただ,変に気負っちゃっているというかね。既存のものっぽいものが多くなってしまう感じだったので,ボツボツボツ!って感じで落としてるんですけど。

画像集#021のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
渡辺氏:
 内容そのものがまったく悪いわけじゃないんですけど,ちょっとこう,なんだろうな。それこそさっきお話した後追いに近いビジネスモデルの企画だったりすると,あえて僕らがチャレンジする必要があるのかなって思っちゃう。「GEAR」のコンセプトと照らし合わせると,どうしても優先度としては低めの企画になっちゃうんですよね。

4Gamer:
 ふうむ。

杉森氏:
 まぁただ,ウチの作り方ってもの凄い労力がかかりますからね。スマートフォンアプリのような,いかに早く作って出すかみたいな世界と,相容れるのは難しいなとは感じています。
 例えば,さっきの世界観の話もそうですが,ポケモンみたいなキャラクター/世界設定を作るのはものすごく時間と労力が必要なんです。それだけの労力をかけたゲームを出して,はたしてスマホの世界で受け入れられるのかどうか。

渡辺氏:
 僕としては,可能な限り早く作る試みは,一度会社の取り組みとしてちゃんとやらないといけないのかなとは思ってるけどね。

杉森氏:
 いくら早くできるといっても,みんながみんな,おんなじようなゲームを作るみたいな世界は,僕はやっぱりイヤだなぁ。

4Gamer:
 そうですねぇ。

杉森氏:
 まぁその意味でいうと,「ソリティ馬」はきっと,なかなか真似できないゲームだと思うんですよね。表面だけを見ると,ソリティアをやると馬が走るってだけのゲームなんだけど(笑)。幸い,現場がもの凄くこだわって作ったかいもあって,非常に深いゲームになっていると思います。だから,表面的に真似することは可能でも,なかなか根っこも含めて真似るっていうのは難しいんじゃないですか。

画像集#005のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた 画像集#037のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた

4Gamer:
 ああ,僕が「ソリティ馬」に感じた凄さも,まさにそういう部分なんです。表面的なアイデアの良し悪しではなくて,“ゲームデザイン全体の整合性”とでも言うんでしょうか。とにかく,そういう部分が本当に凄いなと思って。

渡辺氏:
 そこが僕らのこだわっている部分ですからね。ポケモンにしたって,いろんな模倣作品が出てきたと思うんですけど,やっぱりここまで生き残ってこれたのは,そういったバランスも含めた作り込みをキチンとやってきたからじゃないかって自負はあります。実際,そこに関しては,誰にも負けないぐらいの思いで作ってはいるので。

4Gamer:
 なるほど。

渡辺氏:
 それにやっぱり,オリジナルっていう響きがいいですよね(笑)。


ゲームフリークは逆張りの会社


4Gamer:
 しかし,儲かる儲からないというか,ビジネスがうまくいくパターンって,大別すると2つあるのかなって気がするんです。一つが「流行に乗る」というやり方で,もう一つが「逆張り」で支持を集めるパターンだって話ですけど。

杉森氏:
 なるほど。

4Gamer:
 で,逆張りで成功するために必要不可欠な要素が何かというと,「ずば抜けてクオリティが高い」ことだとも感じていて。それに本当にヒットする,新たな流行を生み出す作品っていうのは,むしろ「逆張りの作品」が多いんじゃないかって思うんです。

杉森氏:
 そうですねえ。

渡辺氏:
 逆張りでクオリティが低いってのは,ただ奇をてらって終わるだけって話になりますからね。

4Gamer:
 そうなんです。だから,その時代の流れとは逆の方向を向きつつも,めちゃくちゃクオリティが高いもの――そういうものこそが新たな起爆剤になり得る,そんな気がするんです。その意味で言うと,ゲームフリークさんみたいなデベロッパは,そういう力を持ってる会社に思えるんです。

渡辺氏:
 ありがとうございます。

4Gamer:
 それにゲームフリークさんって,デビュータイトルの「クインティ」からして,かなり尖った作り方をされてる会社じゃないですか。ゲームの開発環境を整えることさえ難しい時代に,自分たちだけでゲームを完成させて,それをナムコに売り込んだり。業界内では伝説的なエピソードになっているくらいですよね。

杉森氏:
 そうですね(苦笑)。そういうお話でいうと,そもそも「クインティ」の出発点って,世の中に対するアンチテーゼから始まっているんですよ。世間ではやってることの逆をいこう!っていうところが企画のスタートなんです。

4Gamer:
 そうなんですか?

画像集#022のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
杉森氏:
 当時は,画面がスクロールしていくゲームが一番はやっていて,最後に巨大なボスキャラが出る――みたいなものが主流だったんですけれど,仲間と集まっては「なんで,そうなんだろうね?」っていう話をよくしていたんですね。そして僕ら自身がゲームを作るときには,「じゃあもう,画面は固定にしよう!」とか「ボスキャラは大きくしない!」とか,全部その当時の逆張りでやろうと決めた。

渡辺氏:
 小さい会社/組織が勝負しようと思ったら,大きな会社がやっていることとは別のベクトルに向かわないと,物量で押しつぶされちゃうだけですからね。だから,あえて逆に張りながら,逆でも成り立つくらいクオリティを高めようってのが,僕らゲームフリークが最初の頃から心がけている原点というか,精神に近いのかもしれない。

杉森氏:
 まぁ,僕らはひねくれ者なんですよ(笑)。

4Gamer:
 でも,「クインティ」のときにしたって,逆張りで時代に逆行はしながらも,“本質”みたいな部分は大事にして,そこはストレートに作っていたわけですよね。

杉森氏:
 そうですね。まあだから,僕が考えている「ゲームフリークらしさ」「ゲームフリーク魂」みたいなものって,既存のはやりもの――みんなが右に習えしているもの――に対して,それこそ田尻とかがもの凄いツッコミを入れてた,あの感覚というかね。そういうものなんですよ(笑)。

一同:
 (爆笑)。

4Gamer:
 反骨精神みたいなところですか。

杉森氏:
 はい。どんどんツッコミを入れていくことによって,「じゃあ僕らはこうしようよ」という突破口が見つかっていく感覚というか。そういう部分は大事にしていきたいなと思っているんです。

渡辺氏:
 僕はスマートフォン向けに課金無しのやりこみゲームとかを作ってみたいなぁ(笑)。

杉森氏:
 なんでみんなガチャなの?とかは普通に思うよねぇ。

渡辺氏:
 逆にお聞きしたいんですけど,ウチがスマートフォン向けのゲームを出すとしたら,皆さんに期待して頂けますかね?

4Gamer:
 え,それはゲームファンにはかなり注目されるのでは……。少なくとも僕は絶対に買いますよ。

渡辺氏:
 そうですか! じゃあ作ってみようかな(笑)。

杉森氏:
 作るんだ(苦笑)。まぁでも,スマートフォンはスマートフォンで大変そうだけどねぇ。

渡辺氏:
 あの中で目立たなきゃいけないっていうのは厳しいよね。

杉森氏:
 うん。「ポケットモンスター」は有名でも,「ゲームフリーク」はそこまで有名じゃないし,客層もちょっと違う。そこに対しての神通力はないと思いますよ。

渡辺氏:
 まぁでも,わざわざ開発1部って部署を作って,本腰入れて新しい作品作りをしようって取り組みをはじめたわけだし,いろいろとやっていきたいよね。

4Gamer:
 ちなみに,開発部って何部まであるんですか?

渡辺氏:
 2部までです(笑)。ポケモンが開発2部ですね。

4Gamer:
 1部がポケモンじゃないっていうあたりが,とても興味深いです。

渡辺氏:
 それが僕らの,ある種の“決意表明”といいますか。ゲームフリークの本分ってなんだって考えたとき,まずあるべきものだろうと。

4Gamer:
 やっぱりそういうことなんですね。

渡辺氏:
 当然,ポケモンが2番目とかいう意味ではありません。ポケモンには大勢のファンがいますし,コンテンツとしても,ブランドとしても,凄く大事にしていきたい。でも,それだけで満足する気もないっていうか。僕らは新しいものを作りたいんです。

杉森氏:
 もちろん,ポケモンという作品がヒットしてくれているからこそ,できることですが。

画像集#035のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた


“ひねくれ者”ばかりの集団


4Gamer:
 しかし,お話を聞けば聞くほど,ゲームフリークさんは凄く尖ったメーカーですよね。ふと気になったんですけど,昔のゲームフリークと今のゲームフリークでは,やっぱり会社の雰囲気はかなり変わっているんですか?

渡辺氏:
 昔は,「これ,会社と名乗っていいんだろうか?」というくらいフリーダムでしたからね(苦笑)。

杉森氏:
 そうですねえ。昔は本当にゆるい,学生サークルのノリそのままだったからね。

画像集#014のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
渡辺氏:
 「赤・緑」を作っていたときなんかは,PCが足りないからっていって,一台のPCを僕ともう一人で使い回していたんですよ。彼が朝方から夕方まで使って,僕が夕方に出社してきて朝までやるみたいな,そんな仕事のしかたでしたからね。もう,労働基準法とかそういう体裁がまったくなくて,会社としてどうなんだって感じで。

杉森氏:
 今は,ゲームフリークもだいぶ会社らしくなっちゃったんですけど,僕なんかは「会社らしくしよう」っていうのが気に入らなくて,いつも抵抗するんですよ。「そんなのイヤだ!」って言い張って。

渡辺氏:
 今のゲームフリークは11時出社なんですけど,11時出社に最後まで抵抗したのは杉森ですからね(笑)。

4Gamer:
 ああ。4Gamerも似たような感じでしたから,よく分かります(苦笑)。やっぱり人が増えてくると,どうしても会社っぽくせざるを得ないんですよね。

渡辺氏:
 そうなんですよねえ。そこが悩みどころで。

杉森氏:
 せざるを得ないですからね。みんなが20代前半だったらメチャクチャでもよかったんですけど,体力も衰えてくるし。結婚とかして家庭を持ったりすると,福利厚生なんかもちゃんと考えないといけない。

4Gamer:
 ただ一方で,会社然とすることで,設立初期にあった“熱量”みたいなものが削がれていくって側面もあると思うんです。そういう問題に対して,ゲームフリークさんはどうされているんですか?

渡辺氏:
 まさにその辺の課題への解決策として,「GEAR」みたいな取り組みをやってみてるって感じですね。集まって何かモニョモニョ頑張ってるな,そこだけ熱量がちょっと高そうだぞ,みたいな感じなので,今のところはうまく機能してる気がします。

杉森氏:
 「GEAR」をやってる連中を見ていると,打ち合わせも密にやってて,昔のゲームフリークっぽい雰囲気が出ていますよね。そこはいいなぁと思いますよ。

4Gamer:
 本とかでゲームフリークの昔の話を読んでいると,やっぱり,当時のゲームフリークってもの凄く“熱量が高そうな会社”に見えるんですよ。みんなで集まってご飯を食べながら,朝までゲーム談義をしている――みたいな雰囲気じゃないですか。

杉森氏:
 はい。

4Gamer:
 その意味でも,本当に面白いゲームを作るには,そういう文化祭の前夜的な盛り上がりというか,熱量って必要なんじゃないかなって気がしていて。いわゆる,会社然とした打ち合わせの中だけで面白いものが生まれ得るのかな?というのは疑問なんです。

画像集#013のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
杉森氏:
 そうですねぇ。その意味で言うと,僕は今でも「良いアイデアの8割ぐらいはバカ話から生まれる」と思っているんですよ。だから,すごくクソ真面目に会議を仕切ったりするような人がいると,僕はちょっと「おい!」って言いたくなるっていうか(笑)。


一同:
 (笑)。

杉森氏:
 僕らはビジネスソフトを作ってるわけじゃくて,面白いもの(ゲーム)を作っているわけですからね。僕ら自身が面白くない(楽しめないと)と,やっぱり駄目だよなぁっていつも思っています。若い人にもそう言ったりするんですけどね。

4Gamer:
 ふうむ。しかし,熱量をもって生まれてきた会社が,大きくなる過程で普通の会社になっていく,最初の志を失うみたいな話ってよくあると思うんです。

渡辺氏:
 そうですね。

4Gamer:
 そうした問題に対して「どう熱量を維持したまま成長するのか」っていうのは,ゲームフリークさんだけの話ではなくて,それこそ今のゲーム業界全体のテーマでもあるのかなって気もしていて。

杉森氏:
 そういうお話でいうなら,今のゲーム開発,とくに規模の大きな開発って,ちゃんと仕切らないと成立しないんですよ。だから,その意味では,ちゃんと会社らしくやらないといけないっていうのは事実なんです。だけど,そればっかりでは,やっぱり“熱量”とか“面白いと感じる感性”だったりが失われていくと,僕は思うんですね。
 だからゲームフリークでは,僕みたいなゆるい立場――不真面目な人間が抵抗をして,バランスをとってやっているという感じで。僕の言うことが強くなりすぎても破綻しますから,まぁ真面目と不真面目がぶつかり合って,うまいこと綱引きをしてるみたいな感じがいいんだろうなと思ってますけど。

4Gamer:
 しかし,ゲームフリークさんって,「自分たちの作りたいゲームを作る!」という,そういう志でやってきた会社さんだと思うんですけど,「ポケットモンスター」を大ヒットさせ,また,GEARみたいな取り組みを行っている今,かつて思い描いていた“理想のゲーム会社”にはなり得ている……のでしょうか。

渡辺氏:
 まぁ,GEARみたいに自由にものが作れて,周りからもうるさいことを言われないっていうのは,かなり理想的な環境かなとは思います。単体では真っ赤っかのプロジェクトなんで,そこがなにより大きな問題ですけどね(笑)。

杉森氏:
 GEARみたいな取り組みがちゃんと黒字化して,これが普遍的なシステムになれば理想かな,とは思いますけど,まだまだ先は長いって感じですね。理想のゲーム会社にはなれてないです(苦笑)。
 とはいえ,何か新しいものを作るということは,単純なビジネスだけでは割り切れない部分というか,そういうものがあるのも確かですから,少なくとも,僕はそういう部分を大事にしていくべきじゃないかって思っています。

画像集#016のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた
渡辺氏:
 まぁ結局のところ,僕らは純粋にゲームが好きで,自分達が好きに作ったものをみんなに遊んでもらいたい――ということを,延々と学生のようにやっているに過ぎないのかもしれませんね。

4Gamer:
 分かりました。今日はいろいろなお話を聞いていて,やっぱりゲームフリークさんは,逆張りを成功させ得る会社――次の大ヒットを生み出し得るメーカーだ,という思いを新たにしました。今後の発展に期待しております。

杉森氏:
 頑張って“逆張り”します(笑)。

渡辺氏:
 ははは。まぁ,ウチらみたいな会社は,後追いをしても全然駄目だしね。逆張りするしかないっていう(笑)。

杉森氏:
 後追いでモノを作っても,僕らには合わないよね。

渡辺氏:
 僕もそう思う。そういうスピード感が必要なやり方って,もっと合理的な人達じゃないと無理。だから,少なくともウチには向いてない気がする。

杉森氏:
 まぁ,ひねくれ者ばかりの集団ですからねぇ。

画像集#036のサムネイル/ゲーム制作集団「ゲームフリーク」が試みる“原点回帰”という挑戦――初の自社パブリッシングに踏み切った背景を,ゲームフリークの杉森 建氏と渡辺哲也氏に聞いた


 「ソリティ馬」という作品,そして「GEAR」という取り組みについての話を切り口に,ゲームフリークという会社のあり方や考え方を探ってみた今回のインタビュー。「ポケットモンスター」という大ヒットシリーズを手がけながらも,彼らの考え方や方向性は,むしろインディーズにも似通っており,今なお衰えない反骨精神こそが“ゲームフリークらしさ”の原点なのかもしれない――そんな印象を受けた取材であった。
 ゲームやゲーム開発に並々ならぬ情熱を注いできた彼らが,今のゲーム市場をどう捉え,何を見据えて活動しているのか。普段,なかなか聞くことができない話も多く,とても貴重な機会だったと思う。

 熱量をもって生まれてきた会社(あるいは業界)が,大きくなる過程でその熱量を失っていくというのは,ゲーム業界に限らずよく聞く話である。担い手の高齢化や技術継承の問題,要するに作り手や作品そのものの世代交代/新陳代謝をどうするのかにつながっていくわけだが,ゲームフリークが行っている取り組みや方向性は,その意味でも注目したいところだろう。

 自らを「ひねくれ者ばかりの集団」だというゲームフリーク。ゲーム史上でも類を見ない大ヒット作を作り上げながらも,現状に甘んじることなく,常に新しい作品を生み出さんとする彼らの気概に,なんだか勇気づけられたような気がした次第。一業界人,あるいは一ファンとしては,彼らが「ポケットモンスター」に続く,世界的な大ヒット作を生み出していくことを期待してやまない。

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