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印刷2013/01/30 10:30

インタビュー

ガンホーにグラスホッパーが合流! その真意と双方の意志やいかに――二人の代表者が本音を語る

 4Gamerの読者であれば,ガンホー・オンライン・エンターテイメントグラスホッパー・マニファクチュアという二つの会社を知らない人はおそらくいないだろう。片や,オンラインゲームからスマホゲーム,コンシューマゲームと多方面にわたる活躍を見せるゲーム会社で,片や独特の世界観がコアなファンを多く生み出し,海外においてもその評価が非常に高い,日本では珍しい独立系のゲームデベロッパだ。

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 ふとしたことから4Gamerが,そんな2社を引き合わせる出会いの場を設けることになったのは2012年夏のこと。その後も両氏(ガンホー森下氏とグラスホッパー須田氏)の親交は続いたようで,「一緒にモノ作りをやることになった」と,つい先日連絡をもらった。
 「仲人役ともいえる4Gamerを読んでいる読者の皆さんに,合流した経緯や今後のことなどをまずお伝えしたい」というありがたいオファーをいただいたので,今回のインタビューとなった。以下が,そのときのインタビュー(というより座談会)のほぼ全文だ。

 このインタビュー時では,おそらくはまだ細かいことが決め切れていないタイミングだろうし,そこを慮って,根掘り葉掘り細かいことを聞くようなことはしていない。
 単なるデベロッパではなく,独立系であるがゆえに多方面から仕事を請け負い,かつJV(ジョイントベンチャー)もいくつか持っているグラスホッパーの周辺がキレイに整理されるのには,相応の時間がかかると思われる。

 そこを踏まえたインタビューなので,座談会のようになってしまっているが,双方のゲームに対する考え方が垣間見える興味深い談話になったと思う。ゲーム業界における久々のビッグニュースでもあるので,ぜひご一読いただきたい。

左から,ガンホー・オンライン・エンターテイメント 代表取締役社長 CEO/企画開発部門統括 エグゼクティブプロデューサー 森下一喜氏,グラスホッパー・マニファクチュア CEO 須田剛一氏

ガンホー・オンライン・エンターテイメント公式サイト

グラスホッパー・マニファクチュア公式サイト


※本件については,2013年1月30日付けでガンホー・オンライン・エンターテイメントからニュースリリースが出ている。グラスホッパー・マニファクチュアがガンホーグループへ加わるのは,2月1日からとのことだ。

4Gamer:
 今日はお時間をいただきありがとうございます。
 薄々相性はいいんじゃないかと思ってましたが,まさかホントにガンホーとグラスホッパーが一緒になるとは思わなかったので,お話を聞いたときはちょっとびっくりしました。
 まぁきっとタイミング的には細かいことまで決まってないでしょうから,そういう部分はいったん置いておいて,いきなり本題なんですが,ガンホーとして――というか森下さんとして――グラスホッパーのどこがいいな,と思ってこの話を決めたんでしょうか。

森下一喜氏(以下,森下氏):
 そもそもほら,4Gamerさんに紹介してもらってからお付き合いがあったんだけど,その後何度か須田さんとご飯食べに行く機会があって……。

4Gamer:
 新橋の焼き鳥屋とかガード下とかで。

森下氏:
 そうそう(笑)。
 それで,いろいろ話していく中で,なんとなく決まっていったというか。最初はね,その気はなかったんだよね。須田さんは,やはり須田さんとして頑張ってもらいたいな,と思っていて。

4Gamer:
 あら,最初はそんなつもりじゃなかったんですね。

森下氏:
 そう。なんていうか,ゲーム業界全体を見据えた話をするならば,やっぱり須田さんは「須田さん」として今までどおりに頑張ってくれたほうが,絶対にいいと思ってたんだよね。グラスホッパー・マニファクチュアとして,日本のゲーム業界の中で独立系として頑張って欲しいというか。

4Gamer:
 言わんとするところは理解できます。

森下氏:
 そのはずだったんだけど,お互いのプライベートとかまで踏み込んで(笑)いろいろ話をしている中で,だんだんその気になってきたというか。

4Gamer:
 具体的には,どんな要素がトリガーを引いたんでしょうか。

森下氏:
 うーん……このあと真剣に物作りを続けていくにあたって,自分のキャパシティをオーバーしたくないというのがあって。だから,グラスホッパーがどうとかっていうより,最初は単にガンホーという会社の事情でその気がなかったというか。

4Gamer:
 それは,この前聞いた話にもリンクするんですけど,自分のキャパシティを超えた量のものはクオリティがコントロールできない,ということでしょうか。

森下氏:
 そう。できるわけがないから,そういう意味で最初はうっすらと合流する話が聞こえてきたときもお断りしようと思ってたんだよね。
 ただそうはいっても,これから先のガンホーのことを考えていくならば,当たり前なんだけど全部一人でクリエイティブを見るというのはすぐ限界が来るよね。

4Gamer:
 それはそうですね。今だって「よく捌けるなぁ」って素直に思いますし。

森下氏:
 であれば,クリエイティブを一緒に見てくれる人がほかにいるなら,そのほうが良いだろうな,と。それはもちろんモノ作りについて,自分と共感できて一緒にやっていける人じゃなきゃダメなんだけど,須田さんといろいろ話していく中で,お互いのことが良く分かってきて「じゃあ,やってみようかな」って。

4Gamer:
 でも最初からそんなに「お互い分かり合えた」わけではないですよね,きっと。

森下氏:
 最初はね,須田さんも自分自身も,手探りというか腹の探り合いというか(笑)。

4Gamer:
 まぁそうですよね(笑)。

森下氏:
 で,お互いにカードを出し合って「いや,それは違う」とか「そんなの面白くない」とか,そういうことをやり合って,なんとなく見えてきた感じかなぁ。
 そこで初めて「一緒にやってみる」っていうのはアリなんじゃないか,と。


4Gamer:
 第一段階,という感じですね。


Unreal Engine使いの開発者達は,意外にも若手がメイン――想像していた以上に若いんだよね,これがまた


森下氏:
 その後も,スタッフの得意な部分とかいろんなことを話していくんだけど,今後の趨勢がスマートフォンであろうがコンシューマであろうが,ガンホーとしては,やはりクオリティの部分をコミットしていくためには「Unreal Engine」を使えるスタッフが欲しいというのが正直な部分としてあって。

4Gamer:
 なるほど。それは確かに,チーム須田はうってつけですね。

森下氏:
 しかもさ,ちょうどそのときと前後して,うちのナリケン(執行役員の成田 賢氏)が,「森下さん,Unreal Engineのスタッフ育成をしようよ」って言ってきてて。

4Gamer:
 それはまた,なんというタイミングで……。

森下氏:
 うん。別件で開発のミーティングをしている最中に,ナリケンが「森下さんさぁ,Unityも確かに大事だし,そのラインは当然確保すべきだけど,Unreal Engineが出来るラインっていうのを育成していくような形はどうだろう」って。
 スマホだろうがコンシューマだろうが,このあとどうしても必要になっていく技術だし,自分達の作品のクオリティをより高めていくという意味ではとても大事。もちろんすべてをUnreal Engineのチームにするわけじゃないにしても,技術的な部分でそういうことを支えていくというのは必要だよね,とかいう話をしてて。「うんうん,そうだな」「まったくそうだよなー」って思ってたら,「ピーン」ときて(笑)。

4Gamer:
 出来すぎた話ですねそれ。

森下氏:
 そうなんだよね。

須田剛一氏(以下,須田氏):
 根回ししてませんよ!

4Gamer:
 ほんとかなぁ(笑)。

森下氏:
 いやほんとに(笑)。
 彼(成田氏)は元々,スクウェア・エニックスで開発をずっと見てきているので,開発力を高めて他社との差別化を図っていくということを考えると,Unreal Engineがどうしても必要になってくるというのは痛感していて。ましてや,このままゲームのスペックが上がっていけば,どうしても必要になってくるものだし,「現行機」でやるにしても,そのまたさらにあとの「次世代機」でやるにしても,どうしても必要な技術になるんだよね。
 そういえばその話を須田さんとしている最中にすごく驚いたのは,スタッフ自体が非常に若いということ。

4Gamer:
 若いというのは,年齢が,ですよね。

森下氏:
 そう。僕が想像していた以上に若いんだよね,これがまた。

須田氏:
 実はそうなんです。

4Gamer:
 「チーム須田」っていうと,なんかこう,百戦錬磨でそこそこの年齢の開発者がわんさか揃ってるイメージなんですけど,ちょっと短絡的でしたか。

須田氏:
 いや,確かに僕もそんな印象だったんですが(笑)。

森下氏:
 僕だってそういうイメージをずっと持ってたから。

4Gamer:
 ですよねえ。

森下氏:
 そりゃあ,そんだけ百戦錬磨なら,確かにUnreal Engine使いもいるだろうなぁ,って思ってフタをあけてみたら,想像を超えてみんな年齢が若くて。僕だけじゃなくてナリケンも相当びっくりしてた。

4Gamer:
 平均年齢ってどんな感じなんですか。

須田氏:
 えーと……32とか33とか,それくらいですかね。

4Gamer:
 平均でそれくらいということは,実態はもっと若いですね。

森下氏:
 20代のスタッフとかもいっぱいでさ。

須田氏:
 いますね,大勢。実は若手が育っていて。

4Gamer:
 実は,って(笑)。

須田氏:
 いや(笑)。ソーシャルのほうに,若い子やUnreal Engineの経験がない子達が行ってるので,こっちは結構高齢化してるだろうなぁと僕自身も思ってんですけど,実際はそうでもなかったですね。

4Gamer:
 ちょっと意外でした。

森下氏:
 確かに意外で驚いたけど,これはもしかして,うちの子達ともうまくかみ合ってやっていけるかな,という考えもあってさ。

4Gamer:
 あぁ,確かにそうですね。いい感じに「着火」するからもしれませんね,いろいろな意味で。

森下氏:
 そうそう。だからこれはちょっと真剣に考えてみようかなと思って。

4Gamer:
 そのあたりが「第二段階」っていう感じですね。


すでに始まっている企画会議――結局,僕らゲーム会社はアウトプットがすべてなんでね


4Gamer:
 最初に森下さんがおっしゃったキャパシティの問題という話に戻っちゃうんですが,つまり須田さんには,ゆくゆくはその一端を担ってほしい,ということでしょうか。

森下氏:
 いや,須田さんにはガンホー全体ではなくてグラスホッパーに集中してもらうつもり。グラスホッパーのクリエイティブに関しては,僕も一緒に入ってやってはいくけれども,須田さんがいるので,ある程度は自分の負荷が軽減できると思うし。
 やはりあくまでも,グラスホッパー・マニファクチュアが,いままでどおりスタジオとしてキチンと作品作りをやってほしいと思っているので。

4Gamer:
 ということはグラスホッパーというブランドが,ガンホーと合流することによって消滅するわけじゃなくて,ちゃんと残る形なんですね。安心しました。
 ……にしても,当たり前のように「森下さんの開発タスクを軽減する」話になってますけど,それ普通は社長の仕事じゃないですから。少しは社長らしいことをしたほうがいいですよ。

森下氏:
 その気はまったくない。

(一同笑)

4Gamer:
 管理畑の人が泣いてますよ。

森下氏:
 そうだね(笑)。

4Gamer:
 ということは,須田さんは責任重大ですね。

須田氏:
 実は今,毎週定期的にキチンとミーティングしてますから!

4Gamer:
 お?

須田氏:
 でも実は,もうただの企画ミーティングなんですよね。それ以外の業務の話は,たぶん5分くらいもしない……ですよね?

森下氏:
 うん。5分もやってない。

4Gamer:
 事務連絡を5分やったら,あとはずっと企画会議?

須田氏:
 そうです。会社運用の難しいことは管理畑のみなさんにお任せして,もうとにかく企画を詰める時間。

4Gamer:
 まぁ,薄々そうじゃないかとは思ってましたが……。

森下氏:
 結局,僕らゲーム会社はアウトプットがすべてなんでね(笑)。

4Gamer:
 まったくそのとおりだと思います。

森下氏:
 何をしたとか何を使ったとか誰とやったとか,そんな前振りだけじゃなくて,やっぱりアウトプットで示していかなくちゃいけないわけで。
 やっぱりそっちのほうが大事だし,事務的なことは,本当にちゃんとした人達がしっかりバックアップしてくれるわけだし。そもそも彼らは僕達よりそういうことに関して専門なんだから,素直に全部やってもらったほうが良い。

4Gamer:
 それは確かにそうですね。
 お二人クラスの人が書類仕事に埋もれるのは,時間の無駄っていうものですし。

森下氏:
 時間の無駄って(笑)。
 まぁでも確かに,僕らはやっぱり「何をどう作るのか」を最優先に考えるべきだと思う。


独立系のデベロッパでは生きていけない――この環境に留まっていると,今以上の成長がない


4Gamer:
 ところでグラスホッパー的には,まさか「明日会社がなくなっちゃう」とかいうレベルだったわけじゃないでしょうし,極論「この会社じゃ,嫌だ」っていう選択肢もあったわけじゃないですか。

須田氏:
 はい,それは確かにそうですね。

4Gamer:
 これは言い方がちょっと難しいんですが,ゲーマーから見たときに,グラスホッパー・マニファクチュアという会社は,数少ない独立系で,歴史ある由緒正しい,ある意味日本を代表するゲームデベロッパなわけです。

須田氏:
 ありがとうございます。

4Gamer:
 翻ってガンホー・オンライン・エンターテイメントを考えると,10年経ったとはいえ割と新興に近い会社ですよね。

須田氏:
 はい。私達も含め共にフレッシュな会社ですよね。

4Gamer:
 一番最初から見ているので,なんだかとても古い会社である気がしてしまいますけど。

森下氏:
 (笑)

4Gamer:
 ゲーム業界全体からみたら,そんなに古くはない新しい会社です。
 なので,グラスホッパー・マニファクチュアという会社が,ガンホー・オンライン・エンターテイメントという会社と合流するというのは,そこだけ聞くとちょっと刺激的にさえ聞こえるわけです。「屈したのか」みたいな。
 グラスホッパー自身は――というか須田さん自身は,そのあたりをどうお考えだったんですか。

須田氏:
 なるほど……。真面目な質問なので真面目に返しますね。
 今まで名だたるクライアントさんと何度も組ませていただき,いろんな経験をさせていただいて非常に感謝しています。しかしそれと同時に,受託開発ならではの難しさがあったこともまた事実です。なので僕としては,そうではない道も探ってきたというのが本音なんです。

4Gamer:
 それは――その「難しさ」というのは,ちょっと言葉が悪いんですが,受託開発の命運は,結局のところパブリッシャの意向次第,ということでしょうか。

須田氏:
 それが主だった理由ではありません。例えば直近では「LOLLIPOP CHAINSAW」が成功したように,いろいろなクライアントさんといい取り組みをやらせていただいたと思っています。
 ですが開発者としては,この環境に留まっていると,今以上の成長がないと思っていたんです。今後を本気で戦っていくためには,同じ釜の飯を食う家族が必要なのではないか,と。

「LOLLIPOP CHAINSAW」(PlayStation 3 / Xbox 360
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4Gamer:
 失礼な言い方だったら申し訳ないんですが,それは私も感じていました。日本のゲーム業界の構造的にも,独立系のデベロッパが生き残っていくのは至難の業で,グラスホッパーがここまで自分のスタンスを守ってきたのは凄いな,と素直に思います。
 純然たるお金の話であったり,人材登用の話であったり,いろいろな部分で独立系はちょっとツラそうだ,と思いますし。

須田氏:
 はい,確かに。
 あと何より厳しいのは,技術リソースの話ですね。

4Gamer:
 というと?

須田氏:
 例えば,我々がもしオンラインに特化したタイトルを作りたいと思っても,それを受け入れてくれるパブリッシャがない限り,それを作ることは出来ないんです。なので結局スタンドアロンのタイトルが多く,なかなかオンラインに特化した作品を作ることができないんですよね。つまりノウハウも溜まらない。
 Unreal Engineの技術やノウハウは,しっかり積み上げてこれたんですけども,やはりそういう部分でも悶々とした思いはあって。ちょうど2011年の年始に,「やはりしっかり探そう」と,自分が腹をくくって。

4Gamer:
 なるほど,そういうタイミングでしたか。

須田氏:
 僕は,オンラインが強いところと組みたいと思っていたんですね。いろんなパブリッシャさんがある中で,例えば,大きいところに入ったとして,自分達の活躍できるレイヤーも重要ですが,やはり武器として感じていただけるところと組みたいと,僕はずっと思っていて。

4Gamer:
 本当に巨大なパブリッシャの中に漠然と入ったときって,結局は同じことの繰り返しになっちゃいますしね。

須田氏:
 かもしれないですよね。なので,目先で潤うことはいったん置いておいて,しっかり自分達にオンラインのノウハウが付くようにと。
 まだ森下さんとお会いしたことがなかったときに,風の噂で,森下さんがコンシューマに,ものすごく愛情のある方だと聞いていて。

森下氏:
 風の噂って何(笑)。

須田氏:
 各方面から聞こえてきてたんですよ(笑)。
 ちょうど震災前ぐらいに,人づてにお会いできるようにお願いをしたことがあったんですけど,そのときは不幸にもタイミングが合わなくて……。その後,さっき述べたような僕の心境の変化があったタイミングで,もう一度,今度は4Gamerさんを通じてお会いできたという感じで。
 4Gamerさんのインタビューにも載ってましたし,以前から噂には聞いていましたが,森下さんが本当にガッツリ現場に入られてるのが,まぁ,あの,なんていうか……。

4Gamer:
 おかしいですよね,この人。

(一同笑)

須田氏:
 いやその,なんていうか「あれ? 上場会社……社長……あれ?」みたいな。最初は驚いたといいますか。

4Gamer:
 普通,理解できないと思います……。

須田氏:
 あれ,おかしいなぁって。なんだかんだいっても社長だし,現場はそんなに……ねえ。

4Gamer:
 仮にも社長ですしねえ。

森下氏:
 仮にも,って何よ(笑)。

須田氏:
 インタビューの濃さもね,なんかちょっとおかしいんですよ(笑)。


森下氏の「ゲームの筋肉」が半端ない――すごい筋肉質な方で,正直なところとても嬉しかったですね


須田氏:
 まぁそんなこんなの事前情報を仕入れて,どんな人なんだろう,と思ってお会いしたら,開口一番「お金の話や管理の話はどうでもいいので,モノ作りの話をしましょう」って言われて,そこから恐るべき,ゲームの筋肉の付き方が。

森下氏:
 筋肉かぁ。

4Gamer:
 ゲームの筋肉,ってなんかちょっと言い得て妙ですね。

須田氏:
 それはもう日常からガッツリ遊んでいるという,1プレイヤーとしてはもちろんですが,すごくハイアスリートなんですよね。僕もここまではゲームを遊んではいないと思います。それくらいすごい筋肉質な方で,正直なところとても嬉しかったですね。

4Gamer:
 おっしゃることはよく分かります。森下さんって異様なまでに「ゲーマー」なんですよね。

須田氏:
 そんな森下さんがいるガンホーさんに貢献できるようなグラスホッパー・マニファクチュアになれればいいな,と素直に思いました。世界へ向けて,という武器をすぐ使っていただけるような気もしましたし。
 で,僕のクリエイティブはもちろん触っていただけていたようなので,初っぱなからかなり密に,2回ぐらいガッツリと。

4Gamer:
 ガッツリとミーティングを?

須田氏:
 いえ,ガッツリと日本酒を。

森下氏:
 そうね,ガッツリ日本酒だったね。

須田氏:
 一升……までは飲んでないかな。でも5合以上くらい。

森下氏:
 焼き鳥食べながら。

4Gamer:
 これ一体なんの話(笑)。

須田氏:
 だいぶ飲んでましたよね。そこで,ゲームを作る話を……。

森下氏:
 うーん,3軒ぐらい回ったかもしれないね。

4Gamer:
 まだ続くんですか!

須田氏:
 最初4軒じゃなかったでしたっけ。いや,2回目だ。2回目が4軒でした。

森下氏:
 そうそう4軒ハシゴして。

須田氏:
 そんで最後は焼き肉屋行ったんですよね。

森下氏:
 夜中の2時くらいに。

4Gamer:
 元気だなぁ(笑)。

須田氏:
 で,そこで延々とゲームの話を。あとは,お互いの会社の文化の話でしたっけ。サンバカーニバルとか。

4Gamer:
 あー,サンバ。

須田氏:
 「サンバカーニバルは絶対受け入れてください」って森下さんが言うので,「はい,大丈夫です」っていう,その最終確認も。

森下氏:
 それ絶対条件だからね。

4Gamer:
 どこまで本気で話してるんだろう……。

須田氏:
 いや真面目に,最初に森下さんが心配してくださったのが,そこなんです。「須田さん,もしウチに来たら,サンバカーニバル大丈夫ですか。スタッフのみんな含めて」「僕は大丈夫ですし,たぶんうちのスタッフも大丈夫だと思います」「本当ですか?」って,何度も念押ししてましたもんね(笑)。

森下氏:
 いつだったか,内部で企画の会議が終わった後に,うちの開発チームの子が「森下さん,最後にちょっと確認したいことがあるんですけど」って言うから,仕様の確認かなと思って「何?」って聞いたら「サンバの件なんですけど」って。

4Gamer:
 (笑)

森下氏:
 「これって本当にやるんですか」って言うから,「やるよ」って言ったら,「これって,強制ですか」って。

(一同笑)

森下氏:
 そりゃもちろん,って。「開発まで強制ですか」って言うから,「うん,強制……ではないかな。いや,やっぱり強制」

(一同笑)

森下氏:
 って言って,まぁマスターアップ前の開発チーム以外は全員出たんだけどさ。やるまでは,みんな「本気でやらせるのかこの人」って思ってたんじゃないかな,たぶん。ふだん運動なんかしない子だっていっぱいいるし。

4Gamer:
 確かに僕がガンホーの社員だったら「本気ですか?」って聞いてる気がします。

森下氏:
 だけどさ,結局やった後は,みんな「本当に楽しかった」って言ってくれたから良かったよ。まぁそういう「やってみるまでは分からん」ものだから,一応聞いといたほうがいいかな,って(笑)。

4Gamer:
 ……そこからなんですか。

森下氏:
 うん,そうそう。
 一応真面目に言うけど,「このノリについてこれますか」っていうのは,結構あるじゃない? 静であれ動であれ。

4Gamer:
 確かにそうですね。

森下氏:
 ウチはイベントごとが多い会社だから,やっぱり,そういうノリについてこれるかなぁ,っていうのはちょっと心配で。

4Gamer:
 まぁでも確かに「会社のカラー」って重要ですよね。給料の額とかも確かに重要ではありますが,そういうものよりもボディブローのように響いてくるし。


考え方が右往左往していたときに道を与えてくれた――「須田さんはこっちこっち!」って手を振ってくれた感がありました


須田氏:
 それで,そういうお気遣いもむろん嬉しいんですが,あと,僕がすごく森下さんに恩を感じていることがあってですね。

4Gamer:
 といいますと。

須田氏:
 「ゲームの世界」に戻してくれた,という部分です。
 やはり,2011年くらいから自分の会社をどうしていくのかというときに,グラスホッパー・マニファクチュアという会社の存在意義/存在価値っていうものがどこにあるのかっていうのを,いろいろ模索していたわけです。
 JVなどの大きなチャレンジもした中で,会社を事業別にグループ化するという形が一つ結実したように思います。デジタルハーツさんとDeNAさんとのそれぞれの会社の形も定まった中,次はどうしようかと考えあぐねているときに,今回のご縁で森下さんと話していく中で「須田さんはこっちこっち!」って……。なんて言うんですかね,そうはもちろん言ってないですが,手を振って道を指してくれた感がありました。
 それまでは,会社を今後どうしていくか,経営者としてそういうことばかりを追いかけている日々が続いていて,クリエイティブに没頭できなかったんですが,森下さんが「そっちじゃないでしょ」って戻してくれたんです。

4Gamer:
 なんだかすごくよく分かる気がします。
 元々の自分の「やりたいこと」がどっかに埋もれてしまって,違うことに翻弄されるんですよね。

須田氏:
 そうなんです。やっぱり,もう一回しっかり自分が100%現場にしっかりいて,スタッフがそこで安心して作れるような体制にしたいです。

4Gamer:
 確かにそういうのはあるかもしれませんね。グラスホッパーの「顔」である須田さんが,それぞれのタイトルに深くコミットせずにあっちへこっちへと動いていると,さすがにスタッフの皆さんも不安になってくるでしょうし。

須田氏:
 ええ。現場スタッフとしっかりもう一回現場で物を作るということを,そういう環境を,作りたいとは思っていたんですが,その場を作ってもらえるというのが,自分にとってとても大きな財産だと思ってます。


4Gamer:
 なるほど。ところで,いましがた話題にのぼったソーシャル系のJVなんですけど,それらも一緒にガンホーに?

森下氏:
 来ないですね。

4Gamer:
 了解です。では,ソーシャルゲームであったりっていうのは,須田さん的にはどうだったんでしょう。やってはみたものの,「ここは俺の居場所じゃないな」というか,そんな感じだったんでしょうか。

須田氏:
 その件ですが,ソーシャルゲームって言うと,どうしてもスマホのゲームとかとごっちゃになりがちなんですけど……。

森下氏:
 ちょっとここで口を挟んでいいかな。

須田氏:
 どうぞどうぞ。

森下氏:
 ソーシャルゲームはやらないけれど,本物のゲームの主戦場の一つになりつつある「スマートフォン」に関して言うと,コンシューマでやってきてる経験が一番活かせるものだと思ってるんだよね。

4Gamer:
 以前もおっしゃってましたよね。一大プラットフォームとなった昨今,それを疑う人はいないと思います。

森下氏:
 結局のところソーシャルゲームって,なんにも活かせるものがないんだよね。別にコンシューマの開発をやってこなかった人だって作れるし。
 だけどコンシューマでやってきてる人間であれば,スマートフォンというのは十分に作品のプラットフォームとして機能するものだと思う。中味次第だったり,企画の内容次第だとは思うけど,でも「何を作りたいのか」という確固としたものがあった上で,初めてプラットフォームをどうするっていう話が始まるべきだと思うし。

4Gamer:
 相変わらず手厳しいですが,まったくもって同意します。

森下氏:
 だから,ガンホーとしてもグラスホッパーとしても,コンシューマとスマートフォンというところでチャレンジができればいいと思う。スマートフォンを使って何かを作って運営しようと思ったら,バックエンドはガンホーのものをいくらでも使えるわけだし。

須田氏:
 僕は,スマホが「コンシューマ機」になったのは「パズル&ドラゴンズ」からだと思ってるんですが,昨年は多くの人たちがそれを感じたはずだと思うんですよ。
 それを作り上げたガンホーだからこそ,声を大にしているんだな,と思います。スマホ=コンシューマという立ち位置は,確実に作り上げられてきつつあると思いますし。

4Gamer:
 確かにパズドラは,ここでわざわざ言うことでもないですが,明らかに何かの流れを変えた作品ですよね。
 
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