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[TGS 2011]GREE田中良和氏による基調講演,「ゲーマー・田中」が目指す10億人規模のサービス
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印刷2011/09/16 17:14

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[TGS 2011]GREE田中良和氏による基調講演,「ゲーマー・田中」が目指す10億人規模のサービス

質疑応答


 講演の最後に行われた質疑応答については,以下にまとめて紹介しておく。ゲームやビジネスに対する,氏の考えが窺えるものも多いので,ぜひ目を通していただきたい。


Q:世界展開において重視する地域は?

A:北米・ヨーロッパがマーケットとして大きく,これから中国も伸びるでしょう。でも,そういう「マーケット」はちょっと違うように思います。例えば,FacebookやTwitterは,特定の国をターゲットにはしておらず,全世界を考えています。それと同じことを狙っていきたいです。使用言語だけ翻訳すれば,それが通用する,そういうサービスを作りたいですね。


Q:世界で成功するビジョンは?

A:GREEの世界展開はこれからであり,まさに挑戦するという状況。そしてまた,インターネットビジネスについていえば,日本には世界的に成功したサービスがないのも事実です。しかし,日本のゲーム産業は,世界的に成功した経験を持っていますし,実際世界のどこに行っても誰かが日本のゲームを遊んでいますし,日本のゲーム会社で働いたことがあるという人がいます。それくらい,日本のゲーム会社は凄いんです。そういうゲーム業界と手をとりあって,一緒に世界を目指したいですね。


Q:スマートフォンのユーザーが,従来の携帯電話ユーザーよりも,課金額・課金率が低いが,スマートフォンでも成長を維持できるのか。

A:実際GREEでも今年の前半は不安がありました。しかし,半年進めてみて,売上の10%〜20%をスマートフォンユーザーが占めているというゲームも多くなってきましたし,月額課金額で従来型の携帯電話ユーザーに迫っています。
 スマートフォン時代になってきたとはいえ,ものすごく大雑把なことを言えば,「テンキーとタッチパネルの差しかない」という見方もできます。スマートフォンではリッチなアプリ系のゲームが必須になるかと思われていましたし,これから確実にそういう流れにはなっていくでしょうが,HTMLっぽい画面のゲームでも十分人気が得られているのが現状です。そういう意味でも,従来型携帯電話でのノウハウは活用できます。


Q:DeNAをどう思いますか?

A:ノーコメントです(笑)。ただし,DeNAさんをリスペクトしてるのは事実です。多くの人が楽しんでいるサービスを提供しているのだという現実は正しく受け取るべきで,そこにバイアスをかけては駄目です。そういう(バイアスをかける)のは学び得ない人と言わざるをえません。


Q:一緒に仕事をしたい相手としてはどのような人が挙げられるか。

A:互いに気持ちよく仕事ができる人。新しい事業だけあって,成功も失敗も積み重ねていくのがこの仕事です。そんな中で,多くのユーザーから使われるものを作る人,良いものを作る人がユーザーから支持されていきます。
 仕事をしていくうえで,言った言わないや行き違いなどで感情的になることはあります。また,GREEが方針を転換することもあります。こういったことを,互いに許せる関係でありたいですね。


Q:中途採用・新卒にどんな人材を求めるか?

A:僕はしばしば「笑顔のかわいい人」という表現を使います。ソーシャルゲームにしてもSNSにしても,あるいはスマートフォンにしても,「何を作ればいいか」なんて分かりません。だから,一緒に失敗できる仲間がほしいですし,前向きになれる人でないとこの仕事は苦しいです。
 業界的には,人材の奪い合いになっているようなところもありますが,経験や知識は,プライオリティとしては高くないです。我々自身,3年前にはBBSのサービスを作っていたような人間がゲームを作り始めました。そういう「経験」でしかありません。ですから,ゼロからキャッチアップできる人のほうが大事です。また,そんなに楽な仕事ではありません。ゲームを作ってそれで終わりではなく,365日24時間サービスをする仕事として考えなくてはならないからです。
 また,この仕事は,業界の中心で渦を巻き起こしたい人に向いていると思います。これからどんな渦が起きるのか,業界はどう変わるのかではなく,「業界を変えるぞ」という人のほうが望ましいですね。


Q:ソーシャルゲームは小規模生産体制だと聞くが,実際にはどういう状況なのか。

A:コンソールゲームは,ファミコン時代には少人数体制でしたが,それがやがて大規模開発に変わっていきました。ソーシャルゲームもいまは数人で作っていますが,これもやがて大規模開発に変わっては行くでしょう。
 しかし,現状では,一つのサービスに自分がどう関わっているのか分かる,そういう規模の開発体制です。例えば「ケルベロス」というゲームは,入社2年目の20代エンジニアが中心になって,そこに数人のサポートが入って作られた作品です。これが人気ランキングで上位に入っています。
 そういう点で,ジャンルが出発する瞬間に立ちあっているとも言えるでしょう。


Q:新機軸のソーシャルゲームはどのようなものになっていくのか。

A:ゲームデザインは移り変わっている。我々も昔は釣りやペット育成を作っていましたけど,今では戦国ものやバトルものが主体です。流行るゲームデザインというのは,ユーザーの変化にあわせて変化していきます。
 とはいえ,重要だと思うのは,あるゲームデザインが流行ったら,そのゲームデザインをコアにしてさまざまなモチーフのものを作るというのが,逆にそれが求められているということです。作り手側にしてみると,どんどん新しいものを作らないと,えてして飽きてしまうことがあります。しかし,ユーザーとしては,まだまだ同じものがほしいという状態にあります。そういうときは,早く変化しすぎずに,今ほしいものをたくさん提供するというのが大事です。
 僕が子供の頃,広井王子さんが「魔神英雄伝ワタル」という作品を作っていました。ところが,広井さんが飽きたらしく,次に全然違うアニメを作ったら,大コケしてしました。そして何年かあとに「魔神英雄伝ワタル2」を作ったら爆発的にヒットした,ということがありました。これをのちに広井さんが回想して,「早かった。まだみんな魔人英雄伝を求めていたから,2を作っておけばよかった」と語っており,実際,僕も2を心待ちにしていた一人でした。
 そういった意味で,いま流行っているものがあれば,そういうものをたくさん作るべきだと思っています。作り手のモチベーションも大事ですけど,ユーザーの気持ちも大切にしなくてはなりません。そこのバランスがとれなくなると,まずいです。


Q:ヒットするゲーム,ヒットしないゲームの違いは?

A:分かりません。出してみて勝負というところが大きいですね。
 ただし,ソーシャルゲームは,出してから中身を変えられます。例えば,ドリランドというゲームは,最初アクションゲームでしたけれど,今ではカードゲームになっています。同じタイトル,同じサービスのまま,中身を変えていけるのは大きなメリットです。
 また,お客さんの反応はすぐに把握できます。リリースから数分もすれば,掲示板には面白いとかつまらないとかいった意見がどっさりと寄せられます。はっきり言えば,新作をリリースしたあと数時間で,そのゲームが駄目かどうかは分かるのです。駄目なのが分かったら緊急会議を開いて,明日までに作り直すといった,そういうことを毎時間行うような形で作っています。


Q:たくさん商品を並べ,いいものは採用するけれど,駄目なものは切ってしまうのか?

A:本当に駄目なら切るしかありません。
 でも,サービスしているものは,変えていくことができます。これはなにもソーシャルゲームだけの話ではなく,テレビのバラエティ番組などでも行われていることです。


Q:どんなゲームが好きか?

A:問題のある発言かもしれませんが,どう考えてもパッと見で,「ソーシャルゲームよりコンソールゲームのほうが面白そうだ」と思っています。「これは明日アマゾンで買わなきゃ!」と思った作品もあります。
 ただ,この1年2年でソーシャルゲームも伸びていますし,コンソールゲームにも大きな変化が続いています。日本全体で見たとき,ゲームビジネスは大きくなっていると思います。ですから,ソーシャルとコンソールの双方の特徴を活かしたマーケットを拓くことが業界に求められていると思いますし,僕自身両方のゲームを遊びたいと思っています。


Q:起業して10年足らずで事業が大きく拡大したが,六本木ヒルズで仕事をするようになって変わったことは?

A:GREEはベンチャーだったので,マンションの一室で,社員数人で起業しました。それこそ,夕食時になると隣りの部屋から晩ご飯の匂いが漂ってくる,そういう環境でした。
 いまは,業界を代表するサービスにならなくてはならない,という使命感があります。そのためには,いろいろな形でシンボルが必要です。日本においても,少なからぬ人が,ソーシャルゲームって何だ,GREEって何だ,本当にそんなものが使われているのか,と思っています。これに対し,TGSへの出展にしても,六本木ヒルズのオフィスにしても,形になって初めて気がつくという部分はあると思います。

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