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GeForce GTX 600
  • NVIDIA
  • 発表日:2012/03/22
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基調講演などから明らかになった「GeForce GTX 690」の姿。結局「バールのようなもの」は何だったのか
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印刷2012/04/30 22:03

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基調講演などから明らかになった「GeForce GTX 690」の姿。結局「バールのようなもの」は何だったのか

画像集#020のサムネイル/基調講演などから明らかになった「GeForce GTX 690」の姿。結局「バールのようなもの」は何だったのか
 2012年4月29日の記事でお伝えしたとおり,NVIDIAは,現地時間4月29〜30日の日程で,ゲーマー向けイベント「NVIDIA Gaming Festival 2012/GeForce LAN」(以下,NGF 2012)を開催した。

 そこでは,KeplerアーキテクチャのGPUを2基搭載するウルトラハイエンド市場向けデュアルGPUカード「GeForce GTX 690」(以下,GTX 690)と,ユーザーが持つそれぞれのPCでプレイしようとしているゲームアプリケーションに対して,個別に最適なグラフィックス設定を提案する「GeForce Experience」が発表されたわけだが,ここでは,基調講演やその後のQ&Aセッション,展示された実機から見えてきたGTX 690の姿に迫ってみたいと思う。

【NGF関連記事】
「GeForce GTX 690」速報
NVIDIA,新サービス「GeForce Experience」を発表

中国や海外の有名ブランドが軒を連ねる超大型ショッピングモール「Super Brand Mall」が,NGF 2012の舞台だ(左)。会場は9Fに設けられており,入場は有料ながらこの人出である(右)。正直,初日は移動すら困難だったほど
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公開されたGTX 690カードの実機。基板は2オンス銅箔層を採用した10層仕様になっている
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「ほぼGTX 680」なGPUを2基搭載するGTX 690

クーラーにコストをかけ,動作音はGTX 680並みを実現


 先行して掲載した速報でもお伝えしているが,ここでGTX 690の仕様をあらためて確認しておこう。は,同製品のスペックを,Keplerアーキテクチャを採用する初の――そして,GTX 690の登場までは唯一の,だった――GPUである「GeForce GTX 680」(以下,GTX 680)と比較したものになる。

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 重要なポイントは,GPU 1基あたりの搭載するシェーダコア数がGTX 690とGTX 680で変わらず,かつ,動作クロックも数%しか違っていないこと。GTX 690におけるGPUコアの動作クロックはGTX 680比でベースが約91%,「GPU Boost」のブーストクロックが約96%だ。メモリ周りのスペックに至っては基本的に同じである。

基調講演ではGTX 690の構造を紹介するデモが披露された。スライドのようにもムービーのようにも見えるが,ステージ裏に用意されたQuadroベースのワークステーションによるリアルタイムレンダリングだという。なお,2基のKepler GPUを接続するブリッジチップはPLX Technology製とのことだった
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基調講演後の報道関係者向けQ&AセッションででGTX 690カードを持つ,NVIDIAのJen-Hsun Huang CEO
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 GeForce 500世代のデュアルGPUソリューションたる「GeForce GTX 590」(以下,GTX 590)だと,同世代のシングルGPU仕様最上位モデル「GeForce GTX 580」と比べ,コア&シェーダクロックは約79%,メモリクロックは約85%に落とされていた。そして,このクロックの低さがスコアを伸ばしきれない主因となっていたが,GTX 690でその問題は起こらないだろう。
 NVIDIAのJen-Hsun Huang(ジェンスン・フアン)CEOは,「GTX 680×2によるSLI動作とほぼ同じ性能が得られる」と胸を張っていたが,確かに,かなり近いところを期待できそうだ。

カードの出力インタフェース部(左)と背面(右)。出力系はDual-Link DVI-I×2,Dual-Link DVI-D×1,Mini DisplayPort×1となっている
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 では,そんな“ほぼGTX 680”なGPUを2基搭載できた理由はどこにあるのか。最大のポイントとしてHuang氏が挙げていたのは「Keplerの電力効率が極めて高いこと」だったが,「9か月の長きにわたって開発してきた」(Huang氏)というカードデザインそのものにも秘密があるという。

カード後方から見たカット。IT'S COMINGのときの写真はこの角度から撮ったものだろう
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 実機を見ると,「IT'S COMING」として予告されたときのカットが,カードをクーラーごと後方から撮影したものであると分かるが,このクーラーに,相当なコストがかかっているそうだ。

 クーラーのカバーは3価クロムメッキ済みのアルミ製で,フィン部分にはポリカーボネート性の透明なプレートが用意されているのが特徴だが,それだけではない。中央のファンを固定するための台座は,軽く,放熱性に優れ,振動の抑制に効果があるとされるマグネシウム合金製。台座の製造にあたっては,液状のマグネシウムを金型に注入する「チクソモールド」を採用したため,コストは相当に高くついたが,基板との“噛み合わせ”面では従来製品比で大きな向上が得られたとのことである。

アルミ製で,頑丈さが謳われるカバー。ファンの周囲は放熱フィンが見えているが,ここにはポリカーボネート製のプレートが張られている
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しれっと紹介されているが,相当にコストがかかっているという,マグネシウム製のファン台座。ファンは「axial fan」とされているので,何らかの軸受けがあるファンなのだと思われるが,詳細は公表されていない
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GPUと接触する放熱フィンブロックにはVapor Chamber方式の冷却機構が採用されている
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 GPU用のヒートシンクとして採用されるのは,GTX 680では採用されなかった「Vapor Chamber」(ヴェイパーチャンバー)方式のもの。フィンの角度は,空気の流れをスムーズにして風切り音を最小化すべく,相当に練り込まれているという。
 また,実機でファンの下を覗き込んでみると分かるのだが,ファンの直下に溝が掘られている。これは,乱気流が発生したりしないよう,整流のために用意されているとのことだ。最大でも3000rpmに回転数が抑えられるファンとの組み合わせにより,動作音はGTX 680のリファレンスカードと同じレベルを維持できているという。

ファン周辺のクローズアップ(左)。ファンの下に複雑な溝が掘られていると分かる。右はNVIDIAが公開したイメージより
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PCI Express補助電源コネクタは8ピン×2
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 冷却と絡んで,もう1つ気になるのは,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)が300Wなのに,補助電源コネクタの数が8ピン×2になっている点だろう。単純計算で,カードの電源供給はPCI Expressインタフェースの75Wと8ピンの150Wが2系統で合計375Wになってしまうわけだが,結論から先にいうと,これはGPU Boostがらみの実装である。

 3月23日に掲載したGPU Boostのレビュー記事でお伝えしているとおり,GPU Boost対応のGPUでは,TDPとは別に「Power Target」という値も規定されており,Power Targetが規定する枠内で,GPU Boostの自動クロックアップ機能が動作するようになっている。そして,ユーザーが自己責任を覚悟したときに引き上げられるPower Targetの上限値はカードへ供給できる電源容量となるため,仮にTDPで規定される300Wに対応すべく,6+8ピン構成をとってしまうと,Power Targetの引き上げができなくなってしまう。そのため,最大375Wを供給できるようになっているのだ。


結局,バールのようなものは何だったのか

その答えは基調講演にあった?


 ところで,先週の話題をさらった「バールのようなもの」だが(関連記事),あれは何だったのか。結果として「GTX 690の予告用だった」ことが判明したわけだが,GTX 690との関連性は,基調講演のなかで氏がカードを取り出した箱に答えがあった……かもしれない。GTX 690カードは,木箱に入っていたのだ。

GTX 690の入った木箱。大きく「CAUTION」(注意)と書かれている
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 Huang氏がGTX 690カードを取り出した木箱にこれといった釘留めなどはされていなかったので,「無口な物理学者よろしく,バールのようなものを振りかざして,中からカードを取り出しましょう」ということなのではないかと思われる。
 もちろん,4Gamerではレビュワー向けサンプルを入手したわけではないため,多分に推測混じりとなるのだが,いつものパターンだと,発表会で使われたのと同じような木箱に入って送られてくる可能性が高いため,そう大きく外してはいないだろう。

 ちなみに,会場でNVIDIAのスタッフ数名と立ち話をしたところによれば,北米メディアの関係者は,「『Half-Life 3』がらみの何かが発表されるかと思っていた」と落胆していたとのこと。まあ,這いよる宇宙人を想像したのは日本人だけだと思われるので,妥当な推測とオチではあり,落胆する関係者がいても不思議ではないのだが,今回はなかなか罪づくりなプロモーションだったなあと思う次第である。

 いずれにせよ,発表され,発売日も明らかになったので,あとはカードが日本に届くのを待つばかりだ。4Gamerでも,カードを入手次第,ベンチマークテストを行いたいと思う。

基調講演,Q&Aセッションのいずれでも説明されなかったのだが,GeForce.comによると,GTX 690ではドライバレベルの機能「Framerate Metering」が実装されるという。これは,GTX 690のAlternate Frame Rendering(AFR,片方のGPUがあるフレームを,もう片方が次のフレームをといった形で,2基のGPUが交互に描画を担当するレンダリング手法)の拡張で,連続するフレームで描画負荷が異なるときに,それを監視し,フレームレートの均質化(=安定化)を図るという
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GeForce.comのGTX 690解説記事

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