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印刷2011/04/28 00:00

インタビュー

「タクティクスオウガ」は若さ故の作品――ゲームデザイナー・松野泰己氏が語るクリエイターとしてのルーツとは

 2010年11月11日に,スクウェア・エニックスから発売されたPSP用ソフト「タクティクスオウガ 運命の輪」は,1995年に発売された名作シミュレーションRPG「タクティクスオウガ」を再構築したものだ。

「タクティクスオウガ 運命の輪」公式サイト


 この「タクティクスオウガ」という作品は,まだ勧善懲悪的なゲームが多かった当時に,民族紛争などといった重苦しいテーマを中心に据え,その緻密な世界観と,良い意味で毒のあるストーリーで,数多くの熱狂的なファンを獲得したタイトルである。
 スーパーファミコン時代の後期,発売当時としては圧倒的なクオリティの高さを誇っていたこともあるが,多くのゲームファンがそうであったように,個人的にもいろいろな意味で衝撃を受けた作品の一つだ。
 売り上げこそミリオンセラーには至っていない本作だが,ファンが持つ“熱量”の高さたるや,数あるゲーム作品の中でも特筆に値するレベルである。

5月19日に発売される公式画集「タクティクスオウガ 運命の輪 Art Works」。200点を超える人物設定画や背景アート,エンブレムデザインなど,『運命の輪』を彩るイラストが満載
タクティクスオウガ 運命の輪
 そんな名作「タクティクスオウガ」の企画/シナリオを手がけたのは,「ベイグラントストーリー」や「ファイナルファンタジータクティクス」の開発者として知られる,ゲームデザイナーの松野泰己氏だ。
 近年は,Twitterなどといったツールの普及で,クリエイターから生の声が発信されることも多いわけだが,松野氏もTwitterで情報発信を行っているクリエイターの1人。先日,Twitterを通してインターネット上にアップされた「タクティクスオウガの企画書」が,ファンの間で大きな話題を呼んだのは記憶に新しいところだろう。

 今回4Gamerでは,そんな松野氏に話をうかがう機会を得て,タクティクスオウガという作品がどのようにして生まれたのか。ゲームのことや松野氏自身のことなど,さまざまな話題を振ってみた。
 ゲームデザイナーとしては,国内でも指折りの知名度を誇る松野氏だが,タクティクスオウガを制作していた当時は何を考え,今はどう感じているのか。そして未来に向かって何を見ているのだろうか。3時間近くにも及んだ松野氏との会話を,余すことなくお届けしよう。


タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪
タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪


Twitterで公開されたタクティクスオウガの企画書


松野泰己(まつのやすみ):ゲームデザイナー。経済誌のライターを経て,1989年にクエストに入社。「伝説のオウガバトル」や「タクティクスオウガ」などを制作。その後,スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社し,「ファイナルファンタジータクティクス」「ベイグラントストーリー」などといった作品を手がける。
4Gamer:
 本日は,よろしくお願いします。

松野氏:
 よろしくお願いします。

4Gamer:
 先日,松野さんがTwitter上でオリジナル版「タクティクスオウガ」の企画書を公開していましたよね。それを見て,凄く“当時の熱”みたいなものを感じまして。思わずインタビューをお願いしてしまいました。

松野氏:
 「若さ故に」とでも言うんでしょうか。今この企画書を見ると,少し気恥ずかしいんですけどね(笑)。

4Gamer:
 でも,Twitter上で「これは僕の原点」みたいな発言もされていましたよね。

松野氏:
 そうですね。自分で作りたいと思うもの,自分で良いと思うものをストレートに作ったという意味で,やはり自分にとっては大きな意味を持つタイトルだと思います。

4Gamer:
 この企画書って,全部で何枚あるものなんですか?

松野氏:
 最初の企画書は全部で9ページで,そのあとで作った「バージョン1.1」が59ページですね。
 最初のバージョンは,ゲームの方向性を社長に見せてOKを貰うためのもので,1.1がチームで情報を共有するためのものです。時期的にみると,日付は93年の3月4日になっていて,すぐあとの3月10日に「伝説のオウガバトル」(以下,オウガバトル)が発売されているんですよ。そして,1.1は4月8日に書き終わっているので,企画が通ったあと3週間くらいで書き上げてる計算になりますね。

Twitter上で公開されたオリジナル版「タクティクスオウガ」の企画書。今回の記事に併せて,特別に高解像度版を用意してもらった。最初の企画書の段階では,まだタイトル名も違っていたりするのだが,「疑似3Dマップ」である点や「ウェイトターンシステム」に繋がるシステムなど,大枠の構想は,この時点ですでに明記されている
タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪

4Gamer:
 これはかなり詳細に書かれていますけど,松野さんは,すべてこのレベルで企画書を作成しているのでしょうか。

松野氏:
 タクティクスオウガほどではないですが,伝説のオウガバトルも,これに近い形で企画書を作りました。今までにないゲームというと語弊がありますが,似たようなものが当時はなかったものですから。初期段階でゲーム内容をスタッフ全員が把握し統一するために,企画書がすごく重要だったんです。それに今振り返れば,この時の自分は,とにかく「みんなを引っ張っていくんだ!」という意識が強かったですね。

4Gamer:
 リーダーとして,ですか?

松野氏:
 そうですね。会社も無名でしたし,とにかく頑張らないといけないという使命感が強かったと言った方が正しいかもしれません。ただ,当時の開発メンバーは,僕を入れて10人そこそこくらいしかいなかったんですけど,あの時は,自分に妙な自信があったんですよね。「なんとかなる」「成功する」という妙な自信(笑)。今になって考えれば,それが“若さ”だったんだろうとは思いますが。いや,これは自分だけじゃなくて,皆川にしろ吉田(※)にしろ,メンバー全員がそうだった感じかな(笑)。

※皆川裕史:デザイナー。伝説のオウガバトルやタクティクスオウガでは,アートディレクションを担当。現在はスクウェア・エニックスに所属。「タクティクスオウガ 運命の輪」ではディレクターを務める

※吉田明彦:伝説のオウガバトルやタクティクスオウガのキャラクターデザインを手がけた人物。近年では「ファイナルファンタジーXII」のキャラクターデザインや,「ファイナルファンタジーXIV」のアートディレクターなどを担当した

4Gamer:
 なんか分かる気もします。

松野氏:
 例えば,皆川には皆川のアートに対するポリシーがあって,それは僕が全面的に信頼して支持もするから,あとは好きにやって良いよというものが,お互いの中にあったんです。逆に言うと,それ以外は口を出さないでほしいという,暗黙の了解があったわけですが。

4Gamer:
 なるほど。

松野氏:
 ですので,僕は僕で,お話の部分に関しては口を出してほしくない,というのはありました。もちろんこちらから意見を聞いたり,誤字脱字のチェックはしてもらいましたが,基本的な物語のアイデア出しや話の方向性に関してはノータッチで。今はそういう作り方ではダメでしょうけれど,当時はそういう作り方だったんですよね。

4Gamer:
 松野さんというと,「ディレクター兼ゲームデザイナー兼シナリオ担当」といったように,一人でいろいろと兼務されるというイメージも強いんですが。

松野氏:
 当時は人数が少なかったので,必然的に兼務することにはなりました。ただし,スクウェアに入社以降は,どちらかというと,任せられるところは任せるって方向を意識していました。というのも,僕がいた当時のスクウェアの作風って,かなり“民主的”だったんですよ。

4Gamer:
 民主的といいますと?

松野氏:
 制作にあたって,プログラマやデザイナーの意見がガンガン出てくるというか。例えば,FF12では巨大な飛空挺を出したいというのは,僕じゃなくて,SFチックなものでやりたいというデザイナーの強い意志でした。これは,オウガバトルの作り方とは真逆ですよね。

4Gamer:
 そのあたりは難しいですよね。一般論としてチームの「意見を汲む」のは大事ですけど。一方で,クリエイティブなものにおいては,どこかに「独善」だったり「信念」みたいなものが必要なのかな,という気もしています。ゲームのクリエイティブってなんだろうというか。

松野氏:
 その意味では,オウガ2作品はかなり独善的なゲームといえるし,スクウェア時代のゲームは民主化されたゲームだったといえると思います。あ,ベイグラは違うか(笑)。

4Gamer:
 しかし,今回公開された松野さんの企画書もそうですが,最近はTwitterなどで,クリエイターを始め,いろいろな人が発言していますよね。松野さんがTwitterを始めた経緯は何かあるんですか?

松野氏:
 あれは元々,なりすまし防止のために,アカウントだけを取っていたんですが,「MADWORLD」(脚本を担当)発売のときに挨拶したことが最初です。「発売したので買ってください」といった簡単な宣伝ですね。丁度,その頃に業界人が次々とTwitterを始めたこともあり,そのまま続けることになりましたが,始めた当初はこんなに続けるとは思わなかったですね。
 でもTwitterのおかげで,いろいろな人と知り合えました。先日,「El Shaddai ASCENSION OF THE METATRON」の竹安佐和記さんと飲む機会があったんですよ。彼はとても熱い人で,「作りたいものが沢山あっても時間は有限で,それが口惜しい」と言うんです。それを聞いて羨ましいというか,やっぱり刺激は受けますよね。

こちらは,企画書「バージョン1.1」より。キャラクターの詳細やワールドマップなどが細かく書かれているのが分かる。一応,多少のネタバレが含まれるので,まだ本作をクリアしてない人は注意して見てほしい
タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪 タクティクスオウガ 運命の輪


商品企画として考え,ニッチなジャンルを選んだ


4Gamer:
 話は戻りますけど,伝説のオウガバトルと言えば,当時はリアルタイム制っていうのが斬新でしたよね。

松野氏:
 斬新というのも,ちょっと語弊がありますね。ファミコンではすでに「半熟英雄」という作品もありましたし。
 当時,上司からはよく「商品企画として考えろ」と言われていました。で,どうやって無名のブランドを成功させるかを考えると,二番煎じでやってもダメじゃないですか。だから「ニッチなジャンルをやってみよう」と考えてリアルタイムシミュレーションに辿りつきました。

4Gamer:
 シミュレーションゲームはご自身でも結構プレイしていたんですか?

松野氏:
 個人的には,アクションゲームやシューティングが大好きで,あまりシミュレーションゲームはプレイしてないんですよ。でも,プログラマーの中にシミュレーション好きがいて,彼らのお薦めに従い「大戦略」や「信長の野望」などのメジャーどころをプレイしたぐらいです。そんな中で遊んだ「マスターオブモンスターズ」ですが,戦車などの軍事兵器ではない,ファンタジーのモンスターがユニットに出てきたときに,これはコンシューマに向いていて面白いと思いました。

4Gamer:
 意外というか,伝説のオウガバトルを作る前からシミュレーションゲームを遊んでいたわけじゃないんですね。

松野氏:
 ええ。勉強としてプレイしたぐらいですね。そうしてリアルタイムシミュレーションとして打ち出した伝説のオウガバトルでしたが,日本ではああいったリアルタイムシミュレーションが馴染まないだろうなぁというある種の予測がありました。伝説のオウガバトルを販売してみてそれがハッキリと分かったので,タクティクスオウガは,ターン制/マス目にシフトしたんですよね。新しさをどこまで入れても良いのかという“さじ加減”をなんとなく掴めたからです。

4Gamer:
 なるほど。プレイヤーさんは往々にして保守的なところもありますしね。ところで,これは一度聞いてみたかったことなんですが,オウガシリーズの世界観の元ネタというのはあるんですか? あの世界観のルーツが知りたくて。

松野氏:
 元ネタが特にあるわけではありませんが,「悪を倒す」という勧善懲悪なファンタジーにはしたくなかった。実際の歴史がそうであるように,善悪という一軸では語れない世界にしたいというコンセプトで構築しています。
 実を言うと,初代オウガバトルの設定は,神だ悪魔だのと盛り込みすぎてリアリティが欠如し,かなり曖昧になってしまったんです。そこで,タクティクスオウガでは方向性を修正して,よりリアリティを感じてもらえるようなダークファンタジーとして成立するように心掛けました。
 基本的には,実際の中世ヨーロッパの歴史や,ローマ帝国での人々の生活など,“当時の価値観を現代人に理解させる”ということから入っています。

4Gamer:
 当時の価値観を現代人に,ですか。

松野氏:
 科学が発展した現代では神の存在すら曖昧になりましたが,昔は当たり前のように神や悪魔,モンスターが信じられていたわけで,それらが人々の生活にかなりの影響を与えていたのは事実なわけです。
 とくに宗教は,単に神を信仰するものだけではなく,人々の規範/道徳でもあり,ある種の法律でもありました。そうした部分をわかりやすく取り上げたつもりです。本当は奴隷制度も取り上げたかったのですが,盛り込みすぎも問題ですので,割愛した要素もたくさんあります。

4Gamer:
 タクティクスオウガの世界観,歴史であったり舞台であったりは,松野さんが全部1人で考えたんですよね?

松野氏:
 そうです。

4Gamer:
 企画書や仕様書には,オウガシリーズの年表なんかが書かれていたりしたんですか?

松野氏:
 いや,それは僕の頭の中だけでしたね。開発には関係のない部分なので,開発スタッフは,ゲームが完成するまでどんなお話なのかよく分からなかったと思いますよ(笑)。

 
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    タクティクスオウガ 運命の輪

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