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印刷2009/08/26 12:23

インタビュー

技術を売りにしているうちは,成熟期とはいえない。CEDEC 2009で基調講演を担当する原島 博教授が業界の外側から見る「ゲーム業界」とは

 9月1〜3日の3日間,CESAデベロッパーズカンファレンス2009(CEDEC)が開催される。そもそもCEDECは,国内ゲーム開発系のイベントなのだが,11回目となる今年は,アカデミック分野との連携強化を掲げ,ゲームの領域に近い学術や研究領域の専門家によるセッションも数多く行われる。
 その代表として基調講演を行うのが,東京大学 名誉教授 原島 博氏だ。東京大学で長らく教鞭を振るうだけでなく,コミュニケーション工学研究や,文字通り「顔」について研究する「顔学会」の発起人として活躍してきた人物が,いったいゲームをどのように捉え,ゲーム業界をどう見ているのかなど,多岐にわたってさまざまなことを聞いてみた。

ITとともに進化してきたゲームだが,技術頼みのままではやがて行き詰る


原島 博
東京大学名誉教授

個人のサイトによれば,4つの顔を持つ研究者。この短いスペースで説明できるような簡単な人ではないので,ぜひサイトで確かめてみてほしい。一般的には「顔学」の人として有名だが,本当は(?)まごうことなき研究者。情報工学が専攻で,現在は東京大学名誉教授だ。ここに書いていないこともたくさんしゃべってくれたのだが,あまりにも4Gamerとはかけ離れた話題なので,もったいないけれど割愛。幅広く,かつ深い知識を有機的に結合させた話題で,CEDECでも,知識欲を満足させてくれる講演をしてくれるに違いない
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 原島先生がCEDEC 2009で基調講演を行うと聞いて「あれ?」と思って,改めていろいろと先生について調べてしまいました。少なくともゲーム業界にどっぷり漬かってきたわけではないようですが,CEDECで一体どういったお話をされる予定でしょうか。

原島 博氏(以下,原島氏):
 僕自身は,今までゲーム業界に若干かする程度──いわば傍観者的な立場でした。ですから,最近のゲームについてどうのこうのいっても,釈迦に説法となって面白くないでしょう。むしろ,僕の視点から見たゲームの現在過去未来のことを話した方がいいだろう,と思っています。

4Gamer:
 ご専門である情報技術を筆頭に,多方面に活躍されていますが,今回はどういった視点からのお話ですか?

原島氏:
 そう。僕の専門は情報技術なんですよ。よくメディアで“顔研究一筋”などと紹介されるので,勘違いされている方もいるかもしれませんが……(笑)。

4Gamer:
 そんなイメージが強いことは否めません……。確かに先生のことを調べると,必ずみなさんそう書いてますしね(笑)。

原島氏:
 さてゲームは,'70年代に登場して30年ほどの歴史を持っていますよね。実は,この30年というのは同時に,情報技術がとんでもないスピードで発展してきた時代でもあるんです。
 '80年代前半から半ばというと,ご存じのようにコンピュータの世界では,IBMに代表される大型のものだけでなく,“パーソナルコンピュータ”(PC)という個人向けのものが登場してきた時代です。その裏にはダウンサイジングとかいろいろあったわけですが,コンピュータが大型のビジネスマシンからPCになった。それとタイミングを同じくして登場したのが,ゲームなんですよ。

4Gamer:
 いわゆるコンピュータゲーム,ですね。

原島氏:
 ええ。それ以降のゲームの進化は,ITの進化と同期しています。そして,それはまだまだ続くでしょう。
 コンピュータがダウンサイジングしてPCとなったのは,MPU(マイクロプロセッサ)が当たり前の時代になったからです。それがさらに“マルチメディア”と呼ばれる時代になり……。

4Gamer:
 懐かしい言葉ですね,マルチメディア。

原島氏:
 ね。そしてさらに時代が進むと,インターネットと結びついてネットワークの時代となった。そして昨今では,モバイル,ユビキタスというような流れになっていますよね。

4Gamer:
 おっしゃるとおりです。

原島氏:
 そしてゲームもまた,それぞれの時代の技術に合わせて進化してきました。それぞれの技術はもの凄いスピードで進化しています。その問題はまた別の文脈になりますが,ここで僕自身が考えるのは「ゲームはもっとゆっくり進化してもよかったんじゃないか」ということなんです。

4Gamer:
 技術に引っ張られているということですか?

原島氏:
 そう。「ハードがもの凄いスピードで進化してしまったので,それに合わせてゲームも進化しなければいけない」という状態に陥っているのではないか,ということです。
 すなわち,「本来,ゲームはどうあるべきか」という議論ではなく,「今度出る○○エンジンは凄い,ポリゴンでこれだけ表示できる」「じゃあ,それを活かせるゲームを作ろう」みたいな,ね(笑)。

4Gamer:
 確かに,そういう要素もなきにしもあらずですね。

原島氏:
 そうやって技術に引きずられるように,今までやってきていますよね。
 コンピュータは技術の進歩でどんどん能力が上がりますが,ソフト開発は人間の能力頼みですから「ムーアの法則」を適用できるわけがない。その結果,僕の目から見ると,ハードの進化にゲームの進化が対応できなくなっているという問題が起きています。

4Gamer:
 実際,そこで苦しんでいる人も多そうです。

原島氏:
 しかしハードに引きずられる状態は,まだしばらく続きますよ。これは無視できません。じゃあ翻弄されている状態をどうすればいいのか,翻弄されているだけでいいのか。
 さらに言ってしまうと,翻弄されている限り,日本はアメリカに勝てません。というのは,IT自体がそうだからです。技術というものに関して,やはりアメリカは凄い。

4Gamer:
 その理由はどこにあるとお考えですか?

原島氏:
 アメリカは,基本的にオープンなんです。いろんな意味で。そこには,いろんな企業を買収してしまうという意味も含まれます。「これ,面白そうだ」と人間ごと買収してしまいますよね。
 自分のところだけで全部やろうと思わず,面白そうなものはどんどん買収するんです。プログラマーは,世界中に存在する人材を使えばいい。デザインにしてもそうです。グラフィックスは世界中の人材に任せて,自社にいるデザイナーは一切絵を描かない,本当のデザインとは絵を描くことではない,みたいなね。
 そうやって総合的にまとめていく力に関して,アメリカは凄いわけです。

4Gamer:
 プロデュースやディレクションといった能力に長けている,と。

原島氏:
 日本のゲーム業界も,手工業的なところから,総合産業へと発展していかなければなりません。場合によっては,世界から優秀なプログラマーを集めるようなことをやっていく必要があります。これは当然です。しかしそれだけを目指していても,日本の映画業界がハリウッドに対抗しているようなものでしょう。

4Gamer:
 分かりやすい例ですね。どこかで必ず無理が出てきそうです。

原島氏:
 ここで重要になるのが,“世界で認められている日本の面白さ”です。それは一体何なのか。例えばアメリカから見たときに,「だから日本は面白い。これはアメリカではできない」というものを,どのように求めていくかということなんです。
 まとめると,技術の進化に伴ってゲームも進化してきた。しかし,それがある程度大きくなってくると,技術の進化だけに依存していたのでは必ずどこかで行き詰ってしまう,ということです。


技術に引きずられた結果,ゲームの本来的な面白さが曖昧になっていないか


4Gamer:
 しかし今までのお話だと,耳の痛いゲーム業界関係者も多そうですね。

原島氏:
 僕は実際に業界内にいる人間ではないですから,「ピントがずれてるよ」といわれてしまうかもしれませんが(笑)。

4Gamer:
 いえ,恐らく同じようなことをぼんやりと考えている人も多いはずです。ただ,誰も声を大にして公の場で言う機会がなかった……というよりは,言うこと自体がタブーだったようにも思えます。例えば「グラフィックスを強化するのはいいけれども,それでゲームとして面白くなるのか?」といったようなことを,本格的に論じている業界人はあまり聞いたことがありません。
 というか,“ゲームの面白さ”について論じる場がどこにもないですよね。本来それをすべき場も,すでになんだか違う内容になっているし。

原島氏:
 逆に聞きたいんですけど,それは誰に対してのタブーなんですか?

4Gamer:
 うーん……開発者に対して,でしょうか。

原島氏:
 現場に対して,ですか。大手ゲーム関連企業の偉い人に対してではなく?

4Gamer:
 いえ,おそらくターゲットは現場になると思います。上から下まで含んでの“現場”ですが。思うに,今の現場のトップは,「面白さを追求するのは当然だから,そんなことを口に出す必要はない」と認識しているのではないかと。

原島氏:
 あぁなるほど。ゲームが面白いのは当たり前で,そこにどうやってプラスαを盛り込むかという議論になっているんですね。

4Gamer:
 ところがここ十数年……そうですね,初代のPlayStationが登場してから,でしょうか。前提であるはずの面白さの追求が曖昧になってきた面が否めないと思うんです。先生がおっしゃるように,新しい技術を使うことが優先されていることも多くなったようにも見えます。

原島氏:
 例えばPLAYSTATION 3は,ゲームを作る人の意見をどこまで反映して設計されたと思いますか?

4Gamer:
 設計開発時に詳しいわけではないのですが,恐らく,そういったことはほとんど反映されていないのではないでしょうか。

原島氏:
 そうですよねえ。「こういうゲームが欲しいから,この仕様にした」ではなく,むしろ「ハードがこういう仕様だから,こういうゲームを作ろう」みたいなことになっている印象を受けますよね。IT業界からは,石(CPU)に関しては,あそこまでする必要があるのかという声も聞かれましたし。

4Gamer:
 しかしそれは,アップグレードなしに10年持たせなければならないコンソール機の宿命ともいえますよね。5年10年と基本仕様を変えずに生産できるようにする,使えるようにする必要があるわけで,設計時点でとりあえず最高のものを入れておこうという。

原島氏:
 ゲームという土台があるから,大量に生産して売ることができるだろうという安心感もあったでしょうね。だからBlu-rayディスク再生機としての機能を持たせたりもした。

4Gamer:
 ともあれ,ゲームの面白さが若干おざなりにされて,逆の流れになってしまっている感があります。……いやちょっと違いますね。ゲームの面白さという問題を,技術の問題にすり替えてしまっているというか。

原島氏:
 なるほど。ただ先ほども言ったように,僕はまだしばらく技術オリエンテッドの状況は続くとみています。したがって,技術の進化を疎かにしてはいけない。「今まで技術に頼ってきたから,それ以外の面に注力しよう」なんて言い出してそっちだけに舵を切ると失敗します。
 例えば情報技術は,今後モバイルからユビキタスへと展開する──つまり,非常に“リアルワールド指向”が強まります。一時期はネットワーク指向が強く,ネットワークの中に入り込むことがITだといわれていたのですが,今は入り込むことではなく“いかにネットワークをリアルワールドで活用するか”に着目しています。

4Gamer:
 すでにその傾向は見えていますね。

原島氏:
 ええ。そして当然ゲームにも,ヴァーチャルではなく,リアルワールドにおける情報技術を組み込んだものが出てくるでしょう。分かりやすい例では,GPSのポインティング技術をゲームの中に取り入れたりするようなことです。モバイル機器もどんどん進化しますしね。
 あるいは音楽や映像は,ネットワーク配信が当たり前になっています。ゲームだけがパッケージ流通で頑張れるのかというと,そういう理由はどこにもない。

4Gamer:
 おっしゃるとおり流通形態に関しても,まさに変革期が訪れつつあります。

原島氏:
 このように,ゲームはまだまだITの進化に巻き込まれていく。そのときに,どういったビジネスモデルを立てていくのか,どういうゲームが面白いのかをまだまだ考えていかなければなりません。

4Gamer:
 むしろ,今後ますます考える必要性が増していくでしょうね。

原島氏:
 ええ。つまり今まで通り,技術の進化を追いかけなければならない。でも,それだけではずっこけるよ,という話なんです。


ITでのリアルワールドとヴァーチャルの“重ねがき”に見るゲームの可能性


4Gamer:
 リアルワールドの情報技術を使ったゲームといえば,例えば今なら,山手線を使って「けいどろ」ができますよね,きっと(編注:筆者の住んでたところでは「どろけい」だった)。

原島氏:
 今なら不可能じゃないでしょうね。

4Gamer:
 ひょっとすると我々が知らないだけで,実際にそういった遊びをしている若い世代もいるかもしれませんね。

原島氏:
 そうですね。今後は,リアルワールドをベースとするゲームをビジネスとして本格的に始めるところが出てきてもおかしくない。もちろん,全部が全部そうなるとはいいませんよ。
 ここで僕が指摘しておきたいのは,リアルワールドにヴァーチャルワールドが“重ね書き”されているという点です。

4Gamer:
 重ね書き……?

原島氏:
 例えばGoogle Street Viewはネット上の存在ですが,どこに何があるといった情報はすべてリアルワールドとダブっていますよね。そういったような重ね書きを,ゲームの中でも活用できる時代になるだろう,と。

4Gamer:
 あ,なるほど。理解しました。

原島氏:
 そういえば,ここ数年,情報技術関係者の間では,アニメ「電脳コイル」を面白がっていました。あれはある意味,メガネを通してリアルワールドに重ね書きされたものを見ているわけです。そういう視点で見ると,あれはなかなか評価が高いですよ。
 それはともかく,まだまだ技術というものがゲームの新しい形を切り開いていくといえます。

4Gamer:
 ではデバイスについてはどうでしょう? コンピュータゲームというものは基本的に,人間のインタラクションに対するリアクションを楽しむものですよね。そうなると,デバイスは相当重要だと思うのですが。

原島氏:
 広い意味でのユーザーインタフェース,という意味ですか?

4Gamer:
 はい,そうです。

原島氏:
 であれば,例えばロボット自体がゲームのインターフェイスになり得るとも考えています。それが人間型をしているかどうかはともかくとして,ネットワーク化されたロボットです。

4Gamer:
 なるほど,ネットワーク化されたロボットをUIとして使うのは楽しそうですね。

原島氏:
 何かありそうな気がするでしょう?

4Gamer:
 しかし,一気にそこまで進化するとお考えですか?

原島氏:
 そう遠くないかもしれませんよ。理想形を考えたら,確かにまだまだ先かもしれません。しかし,要素をうまく繋いでいけばけっこう早く実現するかもしれません。こういうのがアリだ,というのが見えると早いものなんですよ,世の中は。

4Gamer:
 言われてみればおっしゃるとおりかもしれませんね。

原島氏:
 例えば二足歩行ロボット。あれも研究者達は長年苦労していたのですが,ASIMOが出てからの進化はあっという間でした。

4Gamer:
 なるほど。翻ってゲーム業界で考えてみると,Wiiがリモコンとヌンチャクを出したような感じですか。

原島氏:
 あれも任天堂は思い切りましたよね。それまでにも,似たようなものはあったわけです。ところがどれもうまくいかず,Wiiも同じような運命をたどるだろうと考えていた人も少なくなかったはずです。
 しかし,誰を対象とするのか,ゲームとは何かを考えたときに,ああいうものになった。任天堂も,宮本さんも素晴らしいと思います。

4Gamer:
 これまで多くの人が描いていた「ゲームの進化の方向性」とは全然別の場所にいきなり出してきましたよね。

原島氏:
 ええ。ただ,あれは余裕があるからこそできることですよね。
 かつては,PlayStationが“よりリアルな表現”を求める方向に行ったことで,任天堂が厳しい状況に立たされた時期もあったわけです。
 そこでPlayStationが向かったその先を目指すのではなく,自分達の生き方を選んだ。これは先ほどお話しした,日本とアメリカの関係にも似ています。


IBM,マイクロソフト,Google。'80年代からITの主役は交代してきた


4Gamer:
 任天堂はもはや「全然別のところ」にいるんですよね。ゲーム業界とかそういうレベルじゃなくて。皆はそれを追いかけていたつもりが,もはや今の任天堂は別のポジションにいます。例えるなら,町の書店が一流の総合書店を目指して努力していたら,いつの間にか相手はアパレルになっていた,みたいな。

“最初のPC”,IBM 5150
原島氏:
 話の筋はちょっと違うかもしれませんが,情報技術も似たような感じですね。
 皆がIBMを追いかけて,もう少しでIBMを抜けるんじゃないかと思った頃に,PCの時代になった。きちんと見ている人は,1984年にマッキントッシュが登場したことにはどういう意味があったのか分かっていたとは思いますけれども。
 そしてそのあと,IBMも,IBM PCを世界標準にまで持っていきました。

4Gamer:
 しかもずいぶん思い切った策を講じましたよね。

原島氏:
 ええ。ところが,そのあと世界を制したのは,IBMではなくPCにMS-DOSを載せたマイクロソフトでした。しかし,そのマイクロソフトも,今となっては危うい立場に追い込まれつつあります。
 今,マイクロソフトを脅かしているのが,インターネットブラウザありきの検索エンジンで大きなシェアを獲得してきたGoogleというわけです。とはいえ,Googleはネットワーク産業かというと,実は違います。彼らが狙っているのはコンテンツ──リアルワールドも含めた,広義のコンテンツなんです。

4Gamer:
 なるほど。

原島氏:
 実は,CEDEC 2009の基調講演のタイトルにした「主役は交代している」というフレーズは,ここから来ています。IBM,マイクロソフト,Google……と,IT業界は常に主役が交代してきました。それを踏まえて,僕は大学でも「Googleが絶対のものであると思うな」と言ってきました。
 昔は皆,IBMが絶対だと思っていました。ところが,今のIBMはPCをやっていません。同じように今はGoogleが強いですが,あれも絶対とはいえないでしょう。

4Gamer:
 おっしゃるとおりです。いまの価値観を絶対のものだと思っていると,いずれ取り残されていきますよね。

原島氏:
 「Googleはスタンフォード大学の二人の学生の研究から始まったが,その次の時代は東京大学の学生の研究から始まったといわれるようになれ」と(笑)。

4Gamer:
 確かにPCの歴史を俯瞰的に見ると,交代が繰り返されてきたわけですね。トンビが油揚げをさらうじゃないですけれども。

原島氏:
 まさにそれです。よく「失敗は成功の母」といわれますが,「成功は失敗の父」でもあるんです。

4Gamer:
 深い言葉ですね。深くて怖い。

原島氏:
 IBMは成功したんです。IBM PCも,日本でいえばNECのPC-9801も成功したんです。しかし,明らかに主役は交代してきました。流れの真っ只中にいると,どうしてもそのときどきの主役が絶対のものに見えてしまいます。
 しかし,ちょっと外に出て相対的に眺めてみると,大きな流れが変化している歴史の中に自分がいることを認識できます。これからゲーム業界に入ってくる若い人が中心となって活躍するであろう10年後,20年後には,どう考えても主役は代わっています。じゃあ次は何が起きるんだろう,あるいは自分が次を起こしてみせるくらいの考えを持ってほしい,というような話をCEDEC 2009の基調講演でするつもりです。

4Gamer:
 これからの若者に期待ですね。

原島氏:
 僕は3月に大学を定年で退職して最終講義をしたんですが,そこで若い人達へ「夢は財産である」というメッセージを贈りました。どんなに荒唐無稽でもいいから夢を持て,と。若い頃の夢は「そんなものは実現するはずはない」と一般的に馬鹿にされます。
 しかし,そこで無理だといって夢を捨ててしまっては,いつまで経っても絶対に実現しません。どんなに荒唐無稽な夢でも,持ち続けていればいつかは追い風が吹くんです。


4Gamer:
 よく分かります。夢さえ持っていれば,仮にそれがまず実現不可能なものだと思えるとしても,自分がアンテナを張ることによって,何かしら取り込んでいくことができますよね。

原島氏:
 そういうことです。あと,いつか追い風が吹いたときに,それが追い風であると分かるんです。ところが夢を捨ててしまっては,それすらも分かりません。ほかの誰かが風に乗ったときに,慌てるなんてことになってしまいます。

4Gamer:
 「そんなの,オレだって考えていた」みたいな。

原島氏:
 そういう意味で,どんなに荒唐無稽であっても,夢は財産であるというわけです。変に優等生的になるな,変に先読みをするな,と。

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