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印刷2009/09/04 03:02

イベント

[CEDEC 2009]トップレンダリスト対談:先端を走るゲーム開発者達が次世代の技術を語る

トライゼット代表 西川善司氏
 CEDEC 2009の最終日(9月3日),恒例(?)のIMAGIRE DAYと題された3Dグラフィックスの一連の技術トラックを締めくくる形で「3Dゲーム開発マニアックス」と題されたラウンドテーブルが開催された。司会を務めるのは4Gamerの記事執筆でもお馴染みの西川善司氏。パネリストとして,以下の6名の現役トップ開発者がいくつかのテーマについて意見を交わすという内容だ。

トライエース 五反田義治氏
シリコンスタジオ 田村尚希氏
ライトトランスポートエンタテイメント 藤田将洋氏
バンダイナムコゲームス 今給黎隆氏
シリコンスタジオ 川瀬正樹氏
カプコン 石田智史氏

 個々のテーマはやや独立しているので,筆者の説明を交えつつ,主要なテーマに絞って各氏の発言を拾ってみることにしよう。


グローバルイルミネーションはゲームグラフィックスに必要か?


ミドルウェア/開発ツール
 数年前までのゲームでは,3Dグラフィックスのレンダリングは,もっぱら直接光のみで行われてきたが,GPUやプロセッサの性能向上に合わせて間接光を考慮してレンダリングを行う,グローバルイルミネーション(Global Illumination:以降GI)を取り入れるゲームエンジンが現れてきている。いうまでもなく,GIは直接光のみに比べてリアリティのある画像が得られるのが大きな利点だ。
 一方,GIといってもさまざまな手法があるが,一般に計算負荷が高いということがある。ゲーム性に影響を与えるモノではないだけにはたして必要か? という疑問はもっともかもしれない。

トライエース 研究開発部 代表取締役 五反田義治氏
 GIは必要だろうかと問われた五反田氏は「結局はゲームによる」のではないかとの見解だ。
 「単純にGIを実装するか/しないかというより,ゲームに合わせてトータルのバランスで実装していくことになるのではないだろうか」(五反田氏)。
 また,藤田氏も五反田氏に同意しつつ,GIはアーティストを補佐するツールとして有効と語っていた。
 「ゲームの開発にはさまざまなアーティストが入ってくるので,ライティングを一定のクオリティにコントロールすることが難しい。それをGIでアシストし,さらにゲームとして見せたい方向にアーティストが独自のライティングを作っていくという形が有効ではないか」(藤田氏)。

 やはり,両氏が語るようにGIをゲームが必要とするなら実装するし,そうでないなら実装しないというのが開発現場での捉え方にはなるだろう。さらに,レンダリングではなくポストプロセッシングで擬似的に間接光の表現を行うアンビエントオクルージョン(Ambient Occlusion)表現などの技術も使われはじめており,NVIDIAはドライバレベルでアンビエントオクルージョンを実現していたりもするが,そうした「味付け的な使われ方もありではないか」と西川氏が締めていた。


DirectX 11をどう受け止めているか


ミドルウェア/開発ツール
 Windows 7とともに次世代のグラフィックスAPI,DirectX 11が登場する。DirectX 11では,Level of Detail(距離に応じてポリゴン数を増減させる手法
)でのテッセレーションをはじめとする新しいフィーチャーがサポートされ,グラフィックスのレベルが向上する期待が持たれている。開発者達はDirectX 11をどう見ているのだろうか。

シリコンスタジオ ソフトウェアエンジニアリング部 ソフトウェアエンジニア 田村尚希氏
 田村氏は「ごちゃごちゃしてきた印象」とDirectX 11に手厳しい。
 「シェーダが出てきた背景には,APIが肥大化し,もっとスマートに一元化したいということがあった。(DirectX 8以降で)汎用的なシェーダに一元化されAPIがスマートになって幸せになるはずだったが,最近は変わってきたようだ。このままシェーダが増えていくと,過去にAPIが肥大化し限界がきたように,また限界がくるのではないか」(田村氏)
と疑問を呈し,将来的に抜本的な変化があるかもしれないと予測する。
 例えば,現在のハードウェアベースのレンダリングからソフトウェアレンダリングに変わり,GPUやCPUが高度に並列化しリアルタイムのレイトレーシングへ,といった形に変化するかもしれないということは確かにありそうだ。実際,CEDEC 2009で行われたCrytekのCarl Jones氏のセッションでも高度に並列化した先に新しいレンダリングアルゴリズムが必要になるという予測が語られていた。
 しかし,変化があるとしても当分先だろうというのが各氏の見方だ。石田氏は「ソフトウェアレンダリングはまだ先で,DirectX 11の次も現在と同じハードウェアレンダリングになると思う」と予測する。

ライトトランスポートエンタテイメント 研究開発部 最高レンダリング責任者 藤田将洋氏
 また,仮にリアルタイムのレイトレーシングが可能になったとしても,ゲームグラフィックスが一気にレイトレーシングに切り替わることはないと見ているようだ。
 「ゲームで表現したいグラフィックスがあり,そのためにレイトレがいいというのならレイトレを使えばいいし,ラスタライズがいいならラスタライズが使われるだろう」(藤田氏)。
 あるいは,
「デザイナーが指定したところだけレイトレにすると言うような方法が出てくるのではないだろうか」(五反田氏)
と,現在の手法にレイトレを組み合わせたグラフィックスが利用されるのではないかという予想が語られていた。


GPGPUとの向きあい方


ミドルウェア/開発ツール
 GPGPUが注目されだして数年が経過したが,まだゲームに本格的に取り入れられるには至っていない。ゲーム開発者達がGPGPUをどうとらえているのかは確かに興味深いところだ。
 田村氏はグラフィックスを専門にすることもあり,Direct Computeの登場が大きいと語る。
 「CUDAやOpenCLがあったが,いずれもグラフィックスと合わせて使うのが難しかった。Direct ComputeはDirect3Dと合わせて効果的に使える。これが大きい。将来的には,GPGPUが根底にあり,その一つの要素としてグラフィックスが載るという形に変わっていくのではないだろうか」(田村氏)。

バンダイナムコゲームス コンテンツ制作本部 制作ディビジョン 技術部 プロジェクトサポート課 ソフトウェアテクノロジスト 今給黎隆氏
 一方,今給黎氏はGPGPUを,新しいゲームにつなげていくべきだと説く。
 「GPGPUを使ってAIを賢くすることによってゲームを面白く出来るのではないか。例えば,いままでは難しかった100万人対100万人の戦いといったものも,GPGPUで生み出せる。GPGPUを新しいゲームにつなげていくいい機会ではないだろうか」(今給黎氏)。
 筆者も今給黎氏の意見には大いに賛成だ。グラフィックスを豊かにしていくのももちろん重要だが,GPGPUを用いて,まったく新しいタイプのゲームが現れてくることに期待したい。4Gamerの読者もおそらくは同じ考えではないだろうか。


プロシージャル技術をどう捉えていくべきか


ミドルウェア/開発ツール
 静的なデータから計算を用いて動的な画面を作り出すプロシージャル技術が,数年前から注目されている。例えば,ロストプラネット2では,静的な草木のデータを用いて動く背景を作り出すという,一種のプロシージャル技術が利用されている。
 しかし,MT Frameworkを手がける石田氏は「スタティックなデータから生成しているだけで,プロシージャルというほどのものではない」と謙遜。また「純粋にプロシージャルだけで作ってしまうと,とても面白みのないものができると思う。プロシージャル技術は,あくまでアーティストを支援する形で使っていきたい」と肯定的ながらも,控えめに使ったほうがいいのではないかという意見を述べていた。
 一方,五反田氏は「不気味の谷」を乗り越えるためにプロシージャル技術を使わざるを得ないとする。「不気味の谷」はロボット工学発祥の言葉で,非人間が人間に極めて近い姿であっても不気味に感じられる「深い谷」があるというもの。3Dで描かれ,動く人の顔がどうしても不気味に見えてしまうという人は多いと思うが,まさにそれである。
 五反田氏は不気味の谷の原因が不自然なアニメーションにあると見る。しかし「デザイナーが1000のアニメーションパターン作るというのはコスト的に無理。不気味の谷を乗り越えるにはプロシージャルを使うしかないと思う」。リアルな顔をプロシージャルで動かせば不気味の谷を乗り越えられるかも,というわけだが,一つの可能性としては十分にあり得ると思う。


ゲームエンジンとミドルウェア


ミドルウェア/開発ツール
 日本のゲームベンダーは,かつてはゲームプログラムはすべて内製が主といわれてきたが,ゲームが高度化するにつれて外部のミドルウェアを利用する,あるいは利用せざるを得ないケースが増えている。ミドルウェアの究極の形がゲームエンジンにつながっていくわけだが,開発者はミドルウェアやゲームエンジンをどう捉えているのだろうか。

シリコンスタジオ R&D統括本部 ソフトウェアエンジニアリング部 リードソフトウェアエンジニア/シェーダ・アーキテクト 川瀬正樹氏
 ミドルウェアを利用するかどうかは,「結局のところ,コストに見合うかかどうか」だと自らミドルウェアを手がける川瀬氏は語る。ただ,海外では規模の大きなミドルウェアを開発,導入したがるのに対して「日本の場合は,すぐに利用できる小さいものを組み込むんで利用するのを好むという違いはあると思う」(川瀬氏)と述べていた。

 ここで西川氏が,同じミドルウェアやゲームエンジンがさまざまなタイトルで利用されることにより,どのゲームもグラフィックスが似通ったものになるのではないかとの懸念を表明。とくにゲームエンジンの場合はそれが顕著で,同じゲームエンジンを用いるタイトルのグラフィックスはよく似ていると感じた経験がある読者は多いだろう。
 カプコンのゲームエンジンMT Frameworkを手がける石田氏は「MT Framework 1は固定グラフィックスパイプラインだったので,同じ絵になってしまうということが確かにあった」と認める。「だから,MT Framework 2ではシェーダの拡張が簡単に行えるようにしたいということがあり,実際に拡張できるようになっている」という。

カプコン プロダクト制作部技術研究室 石田智史氏
 石田氏は続けて「ゲームのビジュアルの全体的な方向性は,やはりビジュアルプログラマが決めていかなければならない」と,ゲームエンジンのシェーダをビジュアルプログラマ(ないしはアーティスト)がカスタマイズできるようにすることの重要性を強調していた。
 MT Framework 2と同様,シェーダのカスタマイズを売りにするゲームエンジンは数多く,かつてのように同じゲームエンジンだから同じ絵柄ということはなくなっていくと思われる。


現場の開発者は,やはり現実的


 以上のテーマのほか,ゲーム物理,並列化といった話題も取り上げられたが,時間が限られていたのが残念だった。いずれのテーマも,60分かけて語り尽くせぬものだっただけに,また改めて同じテーマで語れる場を設けていただきたいものだ。
 セッションを通じて感じたのは「皆さん現実的だなあ」というコトだ。我々はどうしても目新しい技術に目を向けてしまいがちだ。ラウンドテーブルに参加した6名の開発者達も,新しい技術が利用できることは歓迎しつつ「ゲームが必要とすれば使うし,そうでなければ使わない」というスタンスは一貫していたと思う。やはり,ゲームはゲームが主役であって技術が主役ではない,ということを改めて感じさせてくれるセッションだったと思う。

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