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印刷2010/10/29 19:05

インタビュー

稲船敬二氏は,何を思い,何を考え,何を目指してカプコンを辞めていくのか。渦中の氏に直撃インタビュー

カプコンという傘から外れ,人間「稲船敬二」として勝負したい


4Gamer:
 その「開発者サラリーマン化」ですが,それに不満を覚える気持ちはよく理解できるんですが,ある意味ゲーム業界の構造改革ともいうべき問題ですよね。雇用システムのみならず,パブリッシャとデベロッパの関係にもメスを入れることになるんでしょうし。

稲船氏:
 そうですね。その部分で,自分が率先して変わることで,ゲーム業界そのものが自ずと変わっていくようにしたいんです。
 ここ数年,同じようなことをカプコン社内でずっとやってきました。だって考えてもみてください。僕は開発のトップです。ということは,カプコンにおいては事実上「あがり」なんです。ここから上はないんです。であれば,サラリーマン根性むき出しで,失敗しないように新しいことはしない,目立ったことはしない,言われたことを粛々とこなしてるほうがいいに決まってるじゃないですか。迂闊なことをやって失敗したら,もうその立場にはいられませんし。

4Gamer:
 失敗すると格下げになるんですか?

稲船氏:
 格下げというか,実質その立場にはいられませんよね。何も新しいことを提示しないしヒット作も出さない人には,誰もついてこないでしょう。そのくせ大体そういう人は厳しいこと言いますしね。「納期は守れ」とか「面白さが足りない」とか。

4Gamer:
 そして自分が持ってるタイトルは納期守ってなかったりするんですよね。

稲船氏:
 そういうことも多々あります(笑)。でもそうじゃなくて,上の人が成果を出している限り,従うしかないんです。つまり,トップだからこそちゃんとやるしかないんです。

4Gamer:
 しかしそもそも,成功はしないけど失敗もしない,というトップが成立すること自体が,やはり問題なんじゃないでしょうか。大体,社会的な「地位」を守るのは簡単な話です。失敗をしないことです。失敗をしないのも簡単な話で,「成功しよう」と思わなければいいんです。新しいことなんかやるべきじゃないし,何かを変えようとしてはいけないんです。……そして困ったことに,多くの場合にそれがまかりとおるんですよね。

稲船氏:
 まったくそのとおりですね。そして僕らの世代で,そうなってる人も多いんです。「なってない」と言うのであれば,もっとアグレッシブな行動を取ってるだろうし,こんなに続編ばっかりじゃないだろうし,もっとやることやってるでしょう。

4Gamer:
 先ほど「数年間カプコンでもそういうことをやってきた」とおっしゃってましたけど,それは社内では理解を得られたんでしょうか。

稲船氏:
 理解を得られたら,いまこういう話はしてません(笑)。いまみたいな話が,経営サイドに最後まで理解されなかったことは,もちろんショックです。
 しかし本当にショックだったのは,開発サイドにさえ理解されたかどうか危うい,という部分です。そっちのほうがショックの度合いは大きいですし,「もうカプコンでやれることはないな」と思った大きな要因であることも否定はできません。

4Gamer:
 しかしその開発者のサラリーマン化という問題に関しては,状況がそうさせてる部分もあり,なかなか難しいですよね。確かに社内から変えられるものでもないのかもしれません。

稲船氏:
 そうですね。理由の一つはもちろん,そういう方向性を強いる経営陣の問題です。数字数字,また数字。しかしもう一つ重要な問題は,その強いられる方向性に甘んじてノホホンと暮らしている,その根性ですね。

4Gamer:
 では稲船さん自身で「そうじゃなくてもいいんだ」という成功事例を作れば,少しずつでも変わっていくのでは,と。

稲船氏:
 そうです。先ほども述べたように,僕自身も,カプコンという大きなパブリッシャの中にいて,大きな傘の中にいて,雨が絶対にかからない状況の中で,偉そうにあーだこーだと言ってもダメだと思ったんです。だから自分もその傘から飛び出して,サラリーマン根性を消し去って,本当の自分の実力というものを試したい,見せたいと思ったわけです。

4Gamer:
 個人,稲船敬二としての勝負なわけですね。

稲船氏:
 今までは,良くも悪くも「カプコンの稲船」に過ぎなかったわけですしね。そこは割と重要な問題で,先ほども少し触れましたが,結果が良かったときにはカプコンのおかげ,ロックマンのおかげ。しかもそれを経営者ばかりか,プレイヤーのみなさんにも言われるんです(笑)。カプコンだもんね,ロックマンだもんね。悪かったらもちろん逆で「稲船何やってんだよ使えねえな」となる。これも,経営者からもプレイヤーさんからも言われます(笑)。

4Gamer:
 著名IPに絡んだ作品や,大きい会社でものづくりをしている人は,みんなそういう目に遭ってるんじゃないでしょうか。例えばファイナルファンタジーは,売れればIPのおかげ,売れなかったら作った人のせい。

稲船氏:
 そうですね。なので,だからこそ「稲船敬二だから売れた」というのを証明したいんです。

4Gamer:
 実は証明そのものは簡単ですよね。

稲船氏:
 そう。僕が出ていったあとのカプコンで,バイオとかロックマンが売れなければ,その時点で証明終了です。ただ昨今は時代の流れがとても速いので,ゆっくりのんびり3年後に……とか言ってないで,もっと早い段階で,証明できるような形に持っていきたいな,と。


ゲーム開発といえど,経営上必要なことは理解しなくてはいけない――嫌いな納豆も食べなくてはいけないんです


4Gamer:
 ええと強引にまとめますが,稲船さんがカプコンを辞める理由は,ゲーム業界の構造自体に疑問を感じ,ご自身の「力」を外に出て確かめてみたくなったということでしょうか。そしてその過程には「構造改革」も含まれているようにも思えます。

稲船氏:
 そのとおりです。
 先ほどの力試しの話がまさにそれで,稲船が作ったゲームが売れる本当の理由はなんなのか,知りたくなったんです。「カプコンの稲船」ではない稲船が作品を作れば,売れるも売れないも完全に自分のせいですよね。これを証明するのは,カプコンの中にいては絶対にできないんです。もちろんリスクはあるし,無謀か勇気かと問われたら,客観的に冷静に考えれば「無謀」だと思うんですけどね。
 でも今まで,自分は地位に甘えた仕事をしたことはないんです。開発トップなんだからゲームは作りません,考えません,下が全部やればいい,自分は最後の決定だけします。というのは簡単です。だってトップですから。「最後にもってこい。ええか悪いかそこで判断したるわ」とだけ言おうと思えば言えるわけですが,そういう仕事をやったことはありません。自分でコンセプトを考え,自分で戦略を考え,自分でキャラクターの方向性を決めて「こうやるんだ」,と。

4Gamer:
 そうはおっしゃいますけど,何タイトルくらいそういう風にみてるんでしょうか。

稲船氏:
 うーん……10タイトルくらいですかね。

4Gamer:
 カプコンって全部で何ライン走ってるんですか。

稲船氏:
 小さいものまで入れると40くらいでしょうか。

4Gamer:
 じゃあそれなりの規模以上のものを30くらいだと仮定して,3分の1?

稲船氏:
 そうですね。大体そんな感じです。

4Gamer:
 どれくらいの人員で,そういう数々のプロジェクトを回してるんですか?

稲船氏:
 900人弱ですかね,今。

4Gamer:
 さすがにカプコンクラスになると結構いますね。……ってそれを稲船さんが一人でまとめてるんですか?

稲船氏:
 そうです。先ほど述べたように関わり度合いの濃い薄いはありますけど,責任は持ってます。変な方向に行かれちゃうと大変なんですよ。2億稼いだ横で5億赤字出されたらマイナスじゃないですか。

4Gamer:
 でもコンテンツビジネスはそういったものじゃないですか? 当たる当たらないを完璧に読み切るのは不可能なわけで。

稲船氏:
 そうですね。読み切れません。なので,僕の理論は「ゼロ」です。

4Gamer:
 「トントン最強」理論ですか?

稲船氏:
 そう。要は一つ一つのプロジェクトが赤字を出さなければ,必ず積み上がるんです。結局のところ,1億でも2億でも,もっと極論100万円でもいいから利益を出せば,絶対にそれは積み上がっていくんです。もっと言うなら「トントン」でいいです。プラマイゼロ。ゼロなら赤字じゃないですから。

4Gamer:
 ええ。販管費やら本社経費などの細かい話はさておき,プロジェクトごとに最低値がゼロであり続ける限り,理論上は決して赤にはなりません。

稲船氏:
 そうなんです。でも,例えば赤字を5億出しちゃうと,この理論は一気に崩壊します。だからもう,最悪ゼロでいいわけです。というかゼロじゃないとまずいんです。みんながみんな最低ゼロを目指してそのとおりに動ければ,絶対に上にしかいかないんです。
 それで,例えばイマイチな企画が出来てきた場合,ゼロなのかマイナスなのかっていうのは最初のゲームコンセプトでなんとなく分かるんですよね。駄目でもゼロにはしなきゃいけないし,ゼロに持っていくだけのゲームコンセプトを出さなきゃいけないし,そのコンセプトをちゃんと続けていかなきゃいけない。

4Gamer:
 なるほど。でもクリエイティブなことをやっている人にそれを強要するのは割と厳しい気もするんですが。

稲船氏:
 そうかもしれませんね。僕だって,何やってもいいんだったらやりたくないです。「出来ない」んじゃなくて「やりたくない」んです。でもやらなきゃいけない。やらなきゃ本当に死ぬんですよ,いつか。
 例えば,もうおなかがすいてすいて死にそうだというときに,目の前に大嫌いな納豆が置かれたわけです。うわ俺納豆は食えないからいりません,と。じゃあ死ねばいいんです。僕は納豆食ってでも生き残ります。そういうときに納豆が嫌いだの食えないだのってワガママを言って,生き死により好き嫌いが勝つって間違ってるじゃないですか。だって飢え死にしそうなんですよ?

4Gamer:
 食べなくたって誰かがなんとかしてくれるからじゃないですか。先ほど述べていた「サラリーマン」の問題ですよね。

稲船氏:
 そう,そのとおりです。いやだって言い続けていたら,誰かがハンバーガーを持ってきてくれるんですよ,サラリーマンは。ハンバーガーなら食べられるよね? とか聞きながら。そういうことをずっとやってきたから,いまこうなってるわけです。
 カプコンはこのままじゃみんな納豆食わないで死ぬだけなんです。ほっとけないですよ。ほっとくと死んじゃいますから。ほっとけなかったから,いままでやってきました。僕はカプコンが好きなんです。救いたいんです。だから今もほっとく気はないんですよ。


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