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  • 発表日:2009/01/08
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印刷2010/04/27 13:01

レビュー

3万5000円の6コアCPUは世界を変えるか?

Phenom II X6 1090T Black Edition/3.2GHz

Text by Jo_Kubota


 別途ニュースをお伝えしているように,2010年4月27日13:01,デスクトップPC向けとしてはAMD初となるヘキサコア(6コア)プロセッサ,「Phenom II X6」が発表された。

Phenom II X6 1090T Black Edition/3.2GHz。OPN(Ordering Part Number)は「HDT90ZFBK6DGR」となっていた
Phenom II
 開発コードネーム「Thuban」(トゥーバンもしくはトゥバン)として知られてきた新製品,発表当初のラインナップは,フラグシップの「Phenom II X6 Black Edition 1090T/3.2GHz」(以下,X6 1090T)と,その下位に置かれる「Phenom II X6 1055T」(以下,X6 1055T)の2モデルだ。4Gamerでは,発表に先立つ4月20日の夕方に,AMDの日本法人である日本AMDからX6 1090Tを入手し,21日から短期間ながらテストを行うことができたので,その結果から,新製品の持つ可能性をチェックしてみよう。


“Classic”以来,久々の4桁型番復活

3コアの自動クロックアップ機能「Turbo CORE」がウリ


 AMD内部の俗称でいう“Phenom Classic”以来,久しぶりに4桁モデルナンバーが復活したPhenom II X6。AMDは「Phenom II X4は,900&800番台のままになる」としているので,当面は6コアCPUだけが4桁表記になるようだが,注目は,モデルナンバーの末尾に「T」が付記されていることだ。
 この「T」は,Thubanコアと,その4コアモデルで,開発コードネーム「Zosma」(ゾスマ)と呼ばれる未発表CPU世代でサポートされる新技術「AMD Turbo CORE Technology」(以下,Turbo CORE)を意味するもの。詳細は本間 文氏が別途解説しているため,ここではポイントだけ押さえることにするが,簡単にいうと,

搭載するコア数の半分までにしかスレッド処理の負荷がかからない場合に,アイドル状態のコアクロックを大きく落とし,その分の余裕を,TDPの枠内で「負荷のかかっているコアを含む3コアの動作倍率を引き上げる」ことに使う

というものだ。X6 1090Tの場合,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は125W,定格動作クロックは3.2GHz(ベースクロック200MHz,16倍設定)のところ,Turbo COREの有効時は,3コアが18倍設定の3.6GHzまで上昇し,アイドル状態の3コアは4倍設定の800MHz動作となる。
 似たような技術としては,Intelの「Intel Turbo Boost Technology」(以下,Turbo Boost)があるが,Turbo Boostと比べると,負荷状況に応じた柔軟なクロックアップ機能を持たない代わりに,3コアを最大クロックまでブーストさせられるのが,Turbo COREの特徴とまとめることができそうである。

938ピンのAM3パッケージを採用しているPhenom II X6
Phenom II
 一方,基本的な仕様をDeneb(デネブ)コアのPhenom II X4と共用することで,コストを大きく抑えているのも,Phenom II X6の特徴だ。日本AMDによる店頭想定売価は,最上位のX6 1090Tで3万5000円前後,X6 1055Tなら2万2000円前後だ。競合の「Core i7-980X Extreme Edition/3.33GHz」(以下,i7-980X)だと,実勢価格は軽く10万円を超えるので,「同じ『6コア最上位モデル』で比較したとき,店頭価格が競合の3分の1」というのは,なかなか強烈だといえるだろう。また,Black Editionゆえ,i7-980Xと同様,倍率ロックフリーとなっているのもポイントが高い。

「CPU-Z」(Version 1.54)実行結果
Phenom II
 なお,DenebコアのPhenom II X4と仕様が同じ,というあたりからピンと来た人も多いだろうが,Phenom II X6のCPUパッケージは938ピンのAM3。DDR3&DD2メモリコントローラを内蔵しているため,Socket AM3以外に,AM2+パッケージのCPUに対応したSocket AM2マザーボードでも,BIOSの対応さえあれば利用可能だ。
 L2キャッシュ容量は1コア当たり512KB。共有L3キャッシュ容量は6MBで,これはPhenom II X4と完全に同じ。コアが二つ増えたことから,AMDはL2とL3を合計して「容量9MBのキャッシュを搭載」と喧伝(けんでん)しているが,i7-980Xが「コア数を1.5倍に増やして,共有L3キャッシュ容量も1.5倍に増やした」のとは,対照的である。

 Phenom II X6の2製品と,「Phenom II X4 965 Black Edition/3.4GHz」(以下,X4 965),i7-980Xの主なスペックを表1にまとめてみたので,チェックしてみてほしい。

※Phenom II X6の2モデルは日本AMDによる想定売価。残る2製品は4Gamer調べによる2010年4月27日現在の実勢価格


AMD 890FX搭載のゲーマー向けボードでテスト

オーバークロック検証では4GHzで安定動作


Phenom II
Crosshair IV Formula
メーカー:ASUSTeK Computer,問い合わせ先:ユニティ(販売代理店) news@unitycorp.co.jp
予想実売価格:3万1000円前後
Phenom II
Crosshair IV FormulaのI/Oインタフェース
 さて,これも別途掲載している記事に詳しいが,AMDは,Phenom II X6に合わせて,AMD 8シリーズチップセットのフルラインナップも発表した。そして今回4Gamerでは,フラグシップチップセットとなる「AMD 890FX」を搭載したASUSTeK Computer(以下,ASUS)製のゲーマー向けマザーボード「Crosshair IV Formula」を同社から借りられたので,今回は同製品との組み合わせで,X6 1090Tを評価したいと思う。

 Crosshair IV Formulaは,4本のPCI Express x16スロットを,CPUに近い側からPCI Express 2.0準拠の16/16/0/4もしくは16/8/8/4レーン動作できる製品だ。電源部は8+2フェーズ仕様。USB接続した別のPCからBIOS設定をカスタマイズできる「ROG Connect」など,「R.O.G.」ブランドらしいオーバークロック機能を実装する点や,

  • Phenom II X3などで無効化されているCPUコアを“復活”させる機能「Core Unlocker」
  • NEC製のUSB 3.0コントローラ
  • Creative Technologyのライセンスを得て,バーチャルサラウンド機能「X-Fi CMSS-3D」に対応したHD Audio CODEC「SupremeFX X-Fi」

を搭載する点などが,主な特徴となる。

Crosshair IV Formulaでは,AMD 890FXノースブリッジ(左)と,Serial ATA 6Gpbs対応のサウスブリッジ「SB850」(右)が組み合わせられる。電源回路は8+2フェーズ
Phenom II Phenom II Phenom II

 オーバークロック性能に定評あるR.O.G.シリーズのマザーボードを使うということで,オーバークロック周りも検証してみよう。

 今回は,X6 1090Tのテストに当たって,ASUSからレビュワー向けに提供されたリビジョンで,実際に店頭へ出荷される初回出荷モデルでも導入されているという「0602」版BIOSを使って,オーバークロックを試みることにした。

Phenom II
報道関係者向け事前説明会で示されたスライド。X6 1090Tは空冷で4.2GHz,液体窒素冷却で6GHzを実現できるという
Phenom II
「AMD OverDrive」(Version 3.2.1)から,動作クロックを確認したところ。6コアすべてが4GHz動作となる
 X6 1090Tの貸し出しに当たって,CPUクーラーは付属していなかったため,今回はArctic Cooling製のCPUクーラー「Freezer XTREME Rev.2」を利用。AMDは,X6 1090Tについて,空冷で4.2GHz動作も可能という見通しを示しているが,果たして実際のところはどうなのか。BIOSメニューから,電圧などの設定をすべて[Auto]のまま,Turbo COREを無効化しつつ動作倍率のみを引き上げて4Gamerのベンチマークレギュレーション9.1に準拠したベンチマークテストがすべて問題なく完走した状態をもって「安定動作」と見ることにした。

 結果,21倍設定の4.2GHzだと,Windows 7は起動途中にフリーズ。20.5倍設定の4.1GHzだと,デスクトップまでは問題なくたどり着けるが,ベンチマークテストが完走しなかった。AMDの見通しどおりの結果を得るには,手動で電圧設定を“盛る”必要がありそうだ。
 一方,20倍設定の4GHzだと,嘘のように安定動作。6コア全部が4GHz動作というのは,なかなかインパクトがある。

※注意
CPUのオーバークロック動作は,CPUやマザーボードメーカーの保証外となる行為です。最悪の場合,CPUやメモリモジュール,マザーボードなど構成部品の“寿命”を著しく縮めたり,壊してしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまで読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にしてオーバークロック動作を試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売代理店,販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。


 さて,比較対象として用意したのは,27日時点におけるAMDの4コアCPUの最上位モデルたるX4 965と,先ほどから何度かその名を挙げているi7-980X。本来的には,コア数が同じ競合製品だけでなく,価格帯がX6 1090Tと近い競合製品,例えば2万円台後半から購入可能な「Core i7-930/2.80GHz」あたりも用意すべきなのだが,今回はスケジュールの都合上,競合CPUはi7-980Xのみとなる。この点はあらかじめお断りしておきたい。
 このほかテスト環境は表2のとおりだ。


 なお,X6 1090Tについては,先ほどオーバークロックで安定動作した6コアの4GHz設定時(以下,X6 1090T@4GHz)のほか,動作クロックをX4 965と揃えるべく,Turbo CORE無効の3.4GHzで動作させた状態(以下,X6 1090T@3.4GHz),そして定格の3.2GHzで,Turbo CORE有効時と無効時の4パターンでテストを行う。Phenom IIは,すべてのテスト条件において,メモリアクセス設定を,ゲームプレイにおいてより高いスコアの見込める「Ganged」に指定してある点もあらかじめ述べておきたい。
 繰り返しになるが,テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション9.1準拠。ただし,グラフィックス描画負荷が高くなりすぎて,CPUの比較を行えなくなるのを避けるべく,解像度は1024×768,1280×1024,1680×1050ドットの3パターンとし,さらに「高負荷設定」を省略し,「標準設定」のみで検証を行う。
 また,前述したとおり,スケジュールの都合もあって,i7-980Xのテストは省略する(※同CPUのパフォーマンスは,先に掲載しているレビュー記事を参照してほしい)が,基礎テストとして,「Sandra 2010」(SP1d 16.41)および「PCMark Vantage」(Build 1.0.2)も実行する。


ゲーム用途での性能はX4 965とほぼ同等

Turbo COREは無効化が正解?


 では順に見ていこう。
 グラフ1は,「3DMark06」(Build 1.2.0)の総合スコアをまとめたもの。グラフ2は,同じく3DMarkから,デフォルト設定である「解像度1280×1024ドット,標準設定」のスコアを抽出したものになる。
 主役のX6 1090Tだけでバーが4本もあるため,ピンクが4GHz動作,オレンジの2本が定格の3.2GHz動作,ライトグリーンがX4 965と同じ3.4GHz動作だと把握してもらえると助かるが,総合スコアを並べてみると,X6 1090Tの定格動作時におけるポテンシャルは,動作クロックで200MHz高いX4 965のそれを確実に上回る。Turbo COREを無効化したX6 1090T(※グラフ中「X6 1090T[Turbo無効]」,以下同)がX4 965と同じレベルだが,有効化したX6 1090T(※グラフ中「X6 1090T[Turbo有効]」,以下同)や,X4 965と動作クロックを揃えたX6 1090T@3.4GHzでは,X4 965比で4〜7%高いスコアを示していることから,その当たりは見て取れるだろう。
 また,4GHzまでクロックを引き上げると,i7-980Xと同等のスコアを示し,さらに,定格のままでも,ざっと3倍は高いi7-980X比で9割程度に踏みとどまっている。

 一方のグラフ2だと,全体的な傾向は総合スコアと同じながら,Turbo COREの有効/無効による違いがほとんど出ていない。用途によっては,6コア同時処理と,3コアブーストとの間に差はほとんど生じない可能性があるわけだ。


 グラフ3は,標準設定でも十分に描画負荷の高い「Crysis Warhead」のテスト結果だ。ここではGPUの頭打ちがあり,体感できるほどの差は生じていないが,それでも,X6 1090T@4GHzが,i7-980Xと同等のスコアを示している点には注目しておきたい。


 マルチスレッド処理への最適化が比較的進んでいる「Left 4 Dead 2」のスコアがグラフ4だ。ここでは,「Intel Hyper-Threading Technology」(以下,HTT)の有効時と無効時でスコアに違いがないなど,i7-980Xではスコアの頭打ちがあるのに対し,X6 1090Tは4GHz動作でスコアを伸ばすなど,まだまだスコアの伸びる余地があるように見受けられる。
 3.2〜3.4GHz動作時のX6 1090Tにスコアの大きな違いはなく,また,X4 965とも同じレベル。ただ,3DMark06とは異なり,Turbo CORE有効時のほうが無効時よりも低めのスコアになっている。


 Left 4 Dead以上に負荷の低い「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)では,また違った結果になった(グラフ5)。スコアの頭打ちが見られるという観点ではCrysis Warheadと同じだが,1280×1024ドット以上で,Phenomファミリーのほうがi7-980Xより高めのスコアを示しているのだ。
 この結果だけで理由は断言するのは難しいが,4コアのX4 965がトップクラスのフレームレートを示していることからするに,6コアCPUや6コア12スレッドCPUでは,コア間の調停がボトルネックになっている可能性はある。

 なおここでも,Turbo COREを有効化すると,X6 1090Tのスコアは落ち込む傾向を示した。


 グラフ6は,CPUによる違いが出やすく,もっと言えばIntel製CPUに最適化されている「バイオハザード5」のスコアになるが,全体としてはLeft 4 Dead 2と同じような結果に落ち着いている。
 もっとも,高解像度になるにつれ,X6 1090Tとi7-980Xのスコアは縮んでおり,その違いは最小時に25%。25%は決して小さくない差だが,少なくともハイエンドGPU搭載システムでターゲットとなる高解像度環境において,X6 1090とi7-980Xとの間に,1024×768ドット解像度時に見られるような,「圧倒的」とまで言えるほどのパフォーマンス差はないと見るべきだろう。

 なお,X6 1090T同士で比較すると,やはりTurbo COREのスコアは伸びず。X6 1090Tは,Turbo CORE無効時のスコアがX4 965と同等だ。


 「Unreal Engine 3.0」を採用したRPG,「ラスト レムナント」の結果も,Left 4 Dead 2やバイオハザード5と同じ(グラフ7)。ただ,“6コア6スレッドCPU”同士で比べたとき,Turbo COREを無効化したX6 1090Tのスコアが,1680×1050ドット設定時にi7-980X比80%まで迫っている点は押さえておきたい。


 ゲームベンチマークテストの最後は「Colin McRae: DiRT 2」(以下,DiRT 2)だ。マルチスレッドへの最適化が比較的進んでいるという点ではLeft 4 Dead 2やバイオハザード5と同じであるものの,実際のスコアは,全体としてPhenom II優位(グラフ8)。
 ただ,これはi7-980Xのレビュー時と同じ傾向だが,処理可能なスレッド数が多すぎる場合と,動作クロックを上げすぎた場合には,CPUやGPU以外の部分にボトルネックが発生するようで,X6 1090T@4GHzとi7-980X[HTT有効]が仲良くスコアを落としている。しかし同時に,「オーバークロックに意味がない」わけではないことを,X6 1090T@3.4GHzが証明しているのも,なかなか興味深い。


 実際のゲームにおけるパフォーマンスに続けて,なぜ,上のようなスコア傾向が出てきたのかを,X6 1090TとX4 965の比較から考えてみたい。
 グラフ9,10は順に,Sandra 2010から,CPUの演算能力を見る「Processor Arithmetic」および「Processor Multi-Media」の結果だ。前者では整数演算と浮動小数点演算の基本性能,後者ではSSEを用いた整数演算と,単精度および倍精度浮動小数点演算性能を見ることになるが,ここではすべてのテスト条件で,X6 1090TがX4 965を圧倒。同一クロックで比較すると,きっちり約50%高いスコアになっており,共通のマイクロアーキテクチャを採用しつつ,コアの数を1.5倍に増やした製品であることが裏付けられよう。


 コア間の効率をチェックする「Multi-Core Efficiency」の結果が,グラフ11である。Phenomファミリーはこのテストをあまり得意としていないが,Phenom II同士の比較なら問題ないということでじっくり見てみると,全体的に重なり気味のなか,X4 965のスコアが64x8kB Blocks以下のサイズで高めに,それよりも大きいサイズでは低めに推移していることに気づく。64x8kB≒512KB以下,つまりデータがL2キャッシュに収まるときには,コアの数が少ないほうが速く,L3まで使うときにはコアの多いほうが高めのスコアを示しているわけだ。
 X6 1090T@4GHzのスコアには,やや解せない部分もあるのだが,L2&L3キャッシュのレイテンシには,Thubanコアで,多少なりとも調整が入ったのかもしれない。


 続いては,まさにそのメモリレイテンシを見る「Memory Latency」だが,ここでは,Turbo COREを有効化したX6 1090Tのレイテンシが低め。一方,Turbo COREを無効化した残る3条件では,いずれもレイテンシが高くなっている。ただ,それでも,L3キャッシュに収まる量とそれ以上のデータ量では,少なくとも定格動作している限り,X4 965より短い。


 この傾向は,キャッシュ&メモリアクセスにおける帯域幅を見る「Cache and Memory」でも,「同一の動作クロックで比較したX6 1090TとX4 965との間にスコア差がある」という形で見て取れる(グラフ13)。


 以上を踏まえつつ,グラフ14に示した,一般的なマルチタスク環境におけるパフォーマンスをチェックするPCMark Vantageのスコアを見てみよう。
 スコアの詳細は,別途表3にまとめているが,全体的には3DMark06の傾向を踏襲。「Gaming」「Music」「Communications」といったあたりで,Turbo CORE有効時のスコアが高めに出ている点からは,データの圧縮&解凍,サウンドデータのトランスコード,暗号化といった,軽度のマルチスレッド対応が図られた,もしくは,マルチスレッド処理非対応のアプリケーションを実行する局面においては,Turbo COREを利用する価値があることも見て取れる。
 最新世代のゲームタイトルほどにはマルチスレッド最適化が図られていないため,動作クロックを引き上げたほうが“効く”ということなのだろう。



消費電力は4コアモデルとほぼ同じ

CPU温度も妥当な範囲か


省電力機能「Cool’n’Quiet」(以下,CnQ)により,アイドル時の動作クロック(スクリーンショット中「Core Speed」)は800MHzまで下がる。これも従来のPhenom IIと同じだ。ちなみにCrosshair IV Formulaでテストする限り,CnQはTurbo COREの必須条件ではないようで,CnQを無効化しても,Turbo COREは機能した
Phenom II
 Intelは,i7-980XでExtreme Editionの製造プロセス技術を45nmから32nmへと移行させた。これに対してX6 1090Tは45nmプロセスのままだ。AMDの場合,同一のプロセス世代でも,新しいコアでは少しずつ消費電力の改善が進んでいくとはいえ,やはりコアの数が1.5倍になる以上,不安も残る。
 そこで今回は,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,3DMark06のGame Testを30分間連続実行し,その間で最も消費電力の高かった時点を「高負荷時」とし,それぞれ,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」から,スコアを取得することにした。アイドル時については,CPUに用意された省電力機能の有効時と無効時を分けつつ,そのスコアをまとめたのがグラフ15となる。

 ご覧のとおり,X6 1090Tの消費電力は,X4 965とほとんど変わらない。125WというTDP値が同じである以上,当たり前といえばそれまでかもしれないが,コアの数が1.5倍になっても,消費電力が変わっていないというのは,やはりインパクトが大きい。同じ45nmプロセス世代でも,消費電力面での最適化は,ずいぶんと進んでいるようだ。
 なお,動作クロックは定格+20%となるX6 1090T@4GHzだが,消費電力の上昇幅は約11%で,4GHz動作としては,目くじらを立てるほどではないレベルに収まっている。


 オーラスは,一律でFreezer XTREME Rev.2を搭載した状況から,グラフ15の各時点におけるCPU温度を計測した結果になる(グラフ16)。テスト時の室温は14℃で,温度はモニタリングソフト「HWMonitor Pro」(Version 1.08)から計測した各コアの平均値になるが,今回利用したCPUクーラーは,温度によってファン回転数がPWM制御される仕様のため,横並びの評価には適さない(※X6 1090T@3.4GHzの温度がPhenom IIで最も高くなっているのは,温度が閾値を超えず,ファン回転数が上がらなかったためだろう)。
 だが,従来のTDP 125W版プロセッサを正常に運用できるシステムなら,CPUだけX6 1090Tに差し替えても,問題なく運用し続けられるであろうことは,想像に難くない。



Phenom IIとしての価格対性能比は今一つも

6コアCPUとしては文句なし


 正直,なかなか評価の難しいCPUだといえる。
 まず,ゲームにおける快適さを前提に考えるなら,新機能であるTurbo COREに,メリットはほとんどない。購入後,即座にBIOSから無効化すべき機能といえる。
 また,「予想実売価格3万5000円前後のPhenom II最新モデル」としてのインパクトも,残念ながらそれほど大きいとはいえそうにない。定格動作時のパフォーマンスでほぼ同じX4 965が,実勢価格1万6500〜1万8000円程度(※2010年4月27日現在)ということを考えるに,6コア分のプレミアムは,決して小さくないのだ。

 だが,6コアCPUの新製品として考えると,これほど画期的な製品もなかったりする。AMDも主張するように,価格はi7-980Xの3分の1。それでパフォーマンスギャップは,最も大きく開く局面でもせいぜい35%程度であり,力関係が逆転することもあるのだから,そのコストパフォーマンスは圧倒的だ。懸念された消費電力も常識的な範囲に収まっており,しかも倍率ロックフリーと,非の打ち所がない。これから6コアCPUを買う予定があるという人にとっては,間違いなく有力な選択肢となるだろう。

 要するにX6 1090TというCPUは,「6コアCPUが欲しいかどうか」で,その評価ががらっと変わるプロセッサなのである。Phenom II X6が気になっていた人には,とにもかくにも,その点を自問してみることを勧めたい。
  • 関連タイトル:

    Phenom II

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