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印刷2007/11/26 15:29

インタビュー

日本サービスについても固まりつつある? 期待のMOアクションRPG「Dragon Nest」を開発する,EYEDENTITY GAMESのCEOインタビュー

ドラゴンネスト
 唐突だが,まずはこの段落の下に示したスクリーンショットを見てほしい。まるでコンシューマタイトルのようにスタイリッシュでメリハリの利いた画面だが,これはれっきとしたPCオンラインゲーム,「Dragon Nest」のものだ。
 韓国で人気上昇中の「Dragon Nest」は,頭身が低く可愛らしい系のキャラクターと,派手な空中アクションがウリのMOアクションRPGである。ゲーム世界を支配する9匹の竜を倒して,世界の解放を目指すといったゲームの概要は,[韓国ゲーム事情#792]で解説され,G★2007が始まる直前の11月6日には,韓国でNexonがパブリッシングするという情報がもたらされたばかりである。

 そうした作品を,Webzenの「Huxley」「Granado Espada」(邦題 グラナド・エスパダ),あるいは「Kingdom Under Fire」の制作に携わった腕っこきを集めて開発する,EYEDENTITY GAMESのCEO,Chris Lee氏に,あらためてゲームの基本コンセプトと魅力を語ってもらった。「日本のゲーマーに高く評価されたい」と語る氏の自信作について,ぜひご確認いただきたい。

ドラゴンネスト ドラゴンネスト


コンシューマゲームをオンライン化したようなアクション重視


「Dragon Nest」を開発するEYEDENTITY GAMESのCEO,Chris Lee氏
4Gamer:
 本日は貴重なお時間をいただき,ありがとうございます。さっそく質問に入らせていただきたいのですが,「Dragon Nest」は現在,韓国で話題を集めていると聞きました。その魅力,ゲームの特徴について,あらためて教えてください。

Chris Lee氏:
 「Dragon Nest」の魅力を簡潔に述べるなら,三つほどになると思います。そのなかで最大の要素は,従来のゲームになかった派手なアクションを追求しているところです。
 クリエイター達の経験を十全に生かして,アクション性に注力しており,オンラインゲームのアクションRPGというよりは,コンシューマゲームのアクションRPGをオンライン化した,というくらいのイメージです。

4Gamer:
 キャラクターの空中アクションなどに特徴があるそうですね。そちらの突っ込んだお話も楽しみですが,先に二つめ,三つめの特徴を教えていただけますか?

Chris Lee氏:
 では二つめの魅力について。RPGというゲームジャンルについては,とかくプレイがたいへんだという認識が付きまといます。それを払拭し,トランプで遊ぶような水準にすることを目指しています。マウスだけでもプレイ可能にし,チュートリアルモードも充実させ,誰でも遊べるような作品に仕上げたいと考えています。

4Gamer:
 とっつきやすさが重要ということでしょうか。では最後の1点は,どんな事柄でしょう?

Chris Lee氏:
 3番目の特徴は,協力プレイを重視していることです。既存のRPGでは,まずシングルプレイがあって,その対極に大人数が参加する攻城戦があります。その間にギャップがあると考え,「Dragon Nest」では2〜3人でパーティを組んでプレイを進めるように作りました。知らない同士がパーティを組むのみならず,友達2〜3人で快適に楽しめるよう,デザインしています。

4Gamer:
 既存作品の盲点を突く発想というわけですか。

Chris Lee氏:
 例えば日本の市場環境として,プレイヤーを5人集めてパーティを組むのはなかなかたいへんだと思います。でも2〜3人なら,比較的簡単です。そこで生きてくるような協力プレイを工夫しています。

4Gamer:
 なるほど。では最初の論点になりますが,出てくるプレイヤーキャラクターの職業と関係づけて,このゲームの大きな魅力となる,派手なアクションの実例を教えてください。

Chris Lee氏:
 本当に派手ですよ(笑)。いま職業は四つ準備しています。正式サービス後にさらに二つ追加される予定ですが。いまある職業はウォーリア,アーチャー,ソーサラー,クレリックで,ウォーリアはもちろん接近戦,アーチャーは遠隔射撃,ソーサラーは広い範囲の攻撃,クレリックはヒーリングとバフを得意とします。

4Gamer:
 そこまでは,とてもオーソドックスですね。

Chris Lee氏:
 防御/支援系に見えるクレリックですが,キックの二段コンボといった技を持たせていますので,「デビルメイクライ」みたいな連続攻撃が繰り出せます。
 そうしたなかではむしろ地味に思えるウォーリアも,例えばモンスターが持つ盾を攻撃で破壊してから,スタンさせられます。それを空中に蹴り上げて,落ちてきたところに連続技の続きを叩き込むといったことが可能なのです。

4Gamer:
 ふむふむ,クレリックにもきちんと見せ場があると。

Chris Lee氏:
 例えばアーチャーとウォーリアが組んだ場合,弓でスタンさせたモンスターにウォーリアが突進して蹴り上げ,宙に浮いたモンスターをアーチャーが立て続けに射て,落ちたところでトドメを刺すといったことができます。
 こうした派手なコンボアクションは,いままでのオンラインゲームになかったものだと思います。このゲームを一度体験したら,ほかのアクションゲームを物足りなく思うかもしれません(笑)。

ドラゴンネスト ドラゴンネスト

4Gamer:
 では,そうした派手なアクションと,二つめの論点であるプレイの簡単さとの関連でお聞きします。さまざまなコンボアクションは,マウス操作で繰り出せるものなのでしょうか?

Chris Lee氏:
 それはさすがに無理です。FPSのような操作体系を基礎キーボードの操作キーを組み合わせることで,多様なアクションを繰り出します。
 ちなみに韓国でも,「World of Warcraft」が普及するまで,W/A/S/Dキーでのキャラクター移動は,難しいと思われていました。日本のRPGプレイヤーも,いまは難しく感じるかもしれませんが,少しプレイすればすぐ慣れると思います。

4Gamer:
 日本でもW/A/S/Dキーでの移動操作は次第に普及しつつあると思いますので,そこは安心だと思います。アクションRPGとなると,キャラクターの成長や武器のアップグレードに力点があるのか,それとも純粋に操作の巧拙で決まるのかが気になるところです。「Dragon Nest」はどちらでしょうか?

Chris Lee氏:
 やはりRPGですから,成長の概念とアイテムが果たす役割は存在します。「Dragon Nest」は初めてプレイすると簡単ですが,レベルが上がっていくにつれて難しくなるように作ってあります。
 アイテムの役割やキャラクター成長の中身については現在検討中ですが,アイテムについては単純なコレクションに終わらない使い方を,いろいろ考えています。
 一方キャラクターの成長については,さしあたりレベルキャップを70くらいと考えていまして,ハイレベルになったら助っ人が付くとか,ハイレベルで初めて入れるエリアを作るとか,転職システムを入れるとか,さまざまに検討しています。


2〜3人でのプレイを重視した,ステージ制のRPG


4Gamer:
 土台はあくまでRPGと……。

Chris Lee氏:
 MMORPGにおけるキャラクターの成長は,時間的にけっこう無駄が多いと思うんですね。明確な目標意識も持てないし。「Dragon Nest」では,「スーパーマリオブラザーズ」におけるピーチ姫救出のように,ログインしてから10〜20秒の間に,プレイの目標をプレイヤーに伝えます。
 その目標とは,9匹の竜を全部倒すことです。それを伝えてから,ステージが始まる形になっています。ちなみにステージ数は,全部で100くらい準備しています。

4Gamer:
 ああ,ステージ制だったんですね。ダンジョンの存在については,すでに情報が出ていましたが,どちらかというと,全体が攻略対象というか。

Chris Lee氏:
 そうです。ステージの合間には分岐もありますから,自分達の場合,どっちのルートを選んだほうがよいかといった,戦略要素もあります。そしてステージのクリアを通じて,キャラクターが成長していくのです。
 ゲームの基本的な面白さを生かしたい。この作品については,純粋にそう思っています。

4Gamer:
 ステージ制に関連した質問ですが,以前の情報で「4人まで入れるダンジョンがある」という話がありました。これはそのまま各ステージのことを意味していると,読み替えてよいのでしょうか。

Chris Lee氏:
 そのとおりです。ただし,最適人数は2〜3人に調整しています。4人までのステージに2〜3人で入ると,ステージの難度が自動的に下げられます。4人でも面白いけれど,2〜3人でも行ける。そう作っています。

ドラゴンネスト ドラゴンネスト ドラゴンネスト
ドラゴンネスト ドラゴンネスト ドラゴンネスト

4Gamer:
 最初のほうの話にもありましたが,確かに違うプレイ文化を狙っているんですね。

Chris Lee氏:
 はい。ただし,それだけではありません。このゲームでは8名まで参加できるステージも計画しています。そのなかにはRaidプレイの一種として,竜を倒すステージも含まれる予定です。

4Gamer:
 おお,普通のステージとは異なる目標と参加人数のRaidステージというわけですか。

Chris Lee氏:
 とはいえ,その背景設定はきちんとこのゲームの世界観に基づいています。この世界では100年に1度,人間(プレイヤーキャラクター)が竜になれる機会が訪れます。フィールドにある特殊なアイテムを手に入れて,利用することで竜になれるのです。この,プレイヤー演じる竜を倒すステージには,別のプレイヤー8名が参加できます。またそれとは別に,8人 vs. 8人のギルド戦も計画しています。

4Gamer:
 プレイヤー扮する竜の設定は,プレイ開始当初の目標である竜退治とは,どのように関わってくるのでしょうか。

Chris Lee氏:
 いえいえ。通常ステージのプレイとは別で,通常のプレイを十分に楽しんでもらった後にと,考えている要素です。竜になれるのは,一つのサーバーに一人くらいで,その人は自分専用のインスタンスゾーンを所有することになります。竜になるには,8人用ステージで稀に出るアイテムを集めていく必要があります。

4Gamer:
 先ほど100くらい考えていると聞いたステージのほかに,そうした大がかりな仕掛けも考えているわけですか。ボリューム感たっぷりですね。

Chris Lee氏:
 8人のステージは,全体の20%ほどを占めるハードコアプレイヤーのためのコンテンツとして準備しています。

4Gamer:
 ええと,だいぶ話が先に進んでしまったので,いったん基本的なポイントに戻りたいのですが,連続技や協力プレイの説明で出てきたようなアクションは,すべて普通のキー操作で繰り出せるのでしょうか? それとも,特別な取得スキルが設定されているのでしょうか。

Chris Lee氏:
 コンボなど,基本的なアクションは普通の操作でできます。ただし,さらに派手なものには,特殊なスキルが必要になります。スキルは1職業あたり30から50個用意していて,フィールド内のオブジェクトを取って使うアクションもできますよ。複数の技/スキルを組み合わせたホットキー登録も可能です。

4Gamer:
 それが可能ということは,キーボードエミュレーションが可能なゲームパッドならプレイできそうに思えるのですが,どうでしょうか?

Chris Lee氏:
 待ってましたという感じの質問ですね(笑)。我が社にはXboxのタイトルを作ったメンバーもいますし,それは十分に可能です。最近のコンシューマゲームのコントローラには,方向キーを除いて8個のボタンが用意されています。このゲームでホットキー設定が8個まで可能なのは,ゲームパッドに対応するための布石なのです。

4Gamer:
 なるほど,開発時から織り込み済みでしたか。

Chris Lee氏:
 ただし,ちょっと心配なのは,パッドでプレイしたときのコミュニケーションなんですけどね。ボイスチャットを用意すべきか,とか。ただ,基本的にテンポのすごく速いゲームなので,チャットの余裕がないという話もありますが(笑)。

4Gamer:
 まあ,PCでゲームパッドを使うなら,キーボードはあるわけですし,それほど問題ないかもしれません。ゲームパッドの利用が織り込み済みだとすると,気になるのはコンシューマゲーム機への移植可能性ついてですが,いかがですか?

Chris Lee氏:
 会社としてはコンシューマゲーム機メーカーといろいろな話をしていますが,この作品についてはいまのところ考えていません。まずはPCオンラインで,しっかりサービスを固めたいですね。

4Gamer:
 ちょっと勇み足でしたか。では話題を変えて。このゲームには,各ステージに進むための起点となる街があるんですよね? これはどういったスペースなのでしょうか。

Chris Lee氏:
 普通のMMORPGと同じような街です。ステージがMOなのに対して街はMMOで,10個くらい計画しています。


2008年初頭には,日本パブリッシャも決まる?


4Gamer:
 キャラクターグラフィックスについても,お聞きしてよいでしょうか。 「真・三國無双」あたりの影響なのか,最近アクションRPGというと,写実的で頭身の高いキャラクターが主流だと思います。そのなかで「Dragon Nest」は,可愛らしい感じの頭身のキャラクターを採用していますね。これはやはり,より広い層のプレイヤーを獲得するためですか?

Chris Lee氏:
 そのとおりです。「Dragon Nest」は,女性プレイヤーが20〜30%を占めることを目標としています。キャラクターデザイン以外にも,女性プレイヤーが評価してくれるようなコンテンツ,アイテムの導入を考えています。

4Gamer:
 キャラクターの話が再度出てきたところで,追加される新職業二つは,やはり内緒ですか?

Chris Lee氏:
 内緒です。その理由は,まだ確定していないからです。ただ,現時点で基本的に考えているのは,いままでのゲームに登場したことのない,ハイブリッド型のキャラクターにしたいということです。

さすがに正式サービス時に追加される新キャラではないが,韓国でも未公開の「ソーサラー」のイメージ画と,敵キャラ「ダークエルフ」のイメージ画
ドラゴンネスト ドラゴンネスト

4Gamer:
 ハイブリッドかつユニークですか……いろいろ想像がふくらみますね。韓国サービスについてはNexonさんのパブリッシングが決まったばかりですが,ほかの国,とくに日本でのサービス予定については,いかがですか?

Chris Lee氏:
 とりあえず中国サービスに関しては,現地のトップ企業との契約が済んでいます。日本に関しても,来年(2008年)初頭くらいにはパートナーが確定できると思います。両社がうまくやっていけるパートナーを,ほぼ探せたと思っています。現在は調整段階ですね。
 この作品にとって,日本は最も重要な国だと思っていますので,日本のゲーマーに喜ばれるアイテムなどを,現地のパートナーと早めに研究して,企画に盛り込みたいと思います。

4Gamer:
 ほぼ決まっていると。それは続報が楽しみです。ええと,ここまで作品の話に終始してきましたが,せっかくなので少しだけ会社のお話を。EYEDENTITY GAMESという会社が最も大切にしている精神は,ズバリなんでしょうか?

Chris Lee氏:
過去の経験から生まれた,会社としての哲学を語るなら,次のようになるでしょうか。いま韓国では,開発スタジオの独立性/独自性がどんどん失われていっています。自分達の得意ジャンルでいったん成功すると,いろいろなジャンルの作品を作り始めるとか,そういった意味です。
 それに対して我が社は,日本のレベルファイブとか,Bungieとか,Valveとかのように,自分が得意とするジャンルを貫き,自分達だけのカラーを探していきたいと思っています。
 我が社のスタッフのカラーは「アクション」です。そして,普通の会社のイメージとは異なり,まるで大学の同好会のように自由な雰囲気で,いまは経営しています。

4Gamer:
 同好会……ですか。ちなみに会社のスタッフは,現在何人くらいなのでしょう?

Chris Lee氏:
 17人になりました。年明けに正式サービスを始める前には,25人から30人くらいの規模になります。でも,人数の多い会社になることは望んでいません。

4Gamer:
 なるほど,ちょっとだけイメージがつかめたような気がします。では最後に,「Dragon Nest」に期待してくれる,日本も含めたゲーマーに向けて,メッセージをお願いします。

Chris Lee氏:
 EYEDENTITY GAMESとしては,日本のゲーマーにいろいろなことを学びたいと思っています。日本のゲーマーはさまざまな特性を持っており,それを理解するのはなかなか難しいだろうとは思っていますが,みなさんががっかりしないように頑張ります。
 このゲームについては,単純に「韓国産のコンテンツ」としてではなく,本当に面白いゲームとして打ち出していきたいと思っています。日本のゲーマーからの鋭い指摘を,フィードバックしたゲームを作りたいと思います。コンシューマゲームのアクションRPGが好きな人には,ぜひプレイしてみてもらいたいですね。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。


 MMORPGのレベリングを「無駄が多い」と喝破するLee氏の発言の背景には,韓国で昨年から続く重厚長大型MMORPGの不振があるのだろう。この,ある意味十分に予測された苦境への対策の一つが,カジュアルゲームへのシフトだったわけだが,中国,韓国においては一定の成功を見たものの,ファミリーコンピューター以来長きにわたってコンシューマゲーム機が栄えてきた日本の消費者にとって,それはあまり魅力的に映らなかった。
 早い話が「ファミコン時代に見たようなゲーム」が,オンライン化したうえで大挙して渡ってきたのであって,少なくとも現在のオンラインゲーム需要層にとってそれは,いささかインパクトに欠けたのではないかとも思える。

 そうしたなかで,コンシューマタイトルに負けないアクション性を持ったステージ制のRPGという構想はおそらく,Lee氏本人が語るとおり,日本市場を意識した側面も強いのであろう。だがインタビュー時のやりとりからは,それ以上の気概が込められているように感じられた。例えばそれは,コンシューマタイトルを強く意識しつつも,PvPと,Raid要素≒攻城戦という,韓国MMORPGの大きなテーマを,きちんと受け継いでいることに表れていると思う。
 オンラインRPGのニュースタンダードを目指しているのではないかというと,少々大げさかもしれないが,「Dragon Nest」がこれまでの韓国オンラインゲームになかった,新しいコースを歩もうとしているのは確かなようだ。
 韓国で注目が集まりつつあるこの作品の日本パブリッシャは,来年早々にも決まりそうだとのことであるから,いやがうえにも期待感は高まる。日本サービスの話を含む,続報が待ち遠しい。

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