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  • 発表日:2007/11/19
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AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?
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印刷2008/08/19 21:11

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AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?

AMDの最新サーバー向けCPUロードマップを説明するJohn Fruehe氏(Worldwide Channel Market Development, Server and Workstation Division, AMD)
画像集#002のサムネイル/AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?
 北米時間2008年8月18日,AMDは米カリフォルニア州サンフランシスコ市で,サーバー向けCPUの最新ロードマップを公開した。同市では,現地時間19日より,Intel主催の開発者向け会議「Intel Developer Forum 2008 San Francisco」(以下,IDF 2008 San Francisco)が開催予定になっているが,AMDのセッションが開かれたのは,その会場にほど近いホテル。IDF 2008 San Franciscoに集まった報道関係者に向けて,同社のスタンスをアピールした格好だ。

 サーバー向けCPUということで,興味を削がれた読者も少なくないだろう。しかし最近のAMD製デスクトップPC向けハイエンドCPUは,サーバーやワークステーション向け製品から派生したものがほとんど。つまり,サーバー向けCPUのロードマップは,デスクトップPC向けCPUの動向を知るうえで,極めて重要なカギとなる。


2010年までアーキテクチャの大幅な変更はなく

メニーコア化を進めるAMD


 AMDは,北米時間8月15日に開催されたWebカンファレンスで,45nmプロセスで製造されるクアッドコアCPU「Shanghai」(シャンハイ,開発コードネーム)を,2008年第4四半期に市場投入する計画を明らかにしている。

AMDの最新サーバー向けCPUロードマップ。2009年後半に6コアのIstanbulを投入するほか,2010年前半には12コアCPUを投入するなど,アーキテクチャ変更ではなく,メニーコア化でパフォーマンスアップを図る
画像集#003のサムネイル/AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?

 今回公開された最新のロードマップでは,

Shanghai
=現行のBarcelonaコアをベースに,45nmプロセスに微細化した製品

2008年第4四半期に市場投入が予定されている,45nmプロセス版Quad-Core OpteronのShanghaiと,現行Opteronの比較。L3キャッシュが6MBに拡張されるほか,HyperTransport 3.0やDDR2-800に対応する(※現行製品ははDDR2-667対応)
画像集#004のサムネイル/AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?
という位置づけとなり,L3キャッシュメモリ容量が2MBから6MBへ強化されるほか,HyperTransport 3.0もサポートされることになる(※デスクトップPC向けCPUでは,AM2+パッケージでHyperTransport 3.0はサポートされている。約1年遅れで,サーバープラットフォームにも同技術が実装されるわけだ)。
 AMDは,このShanghaiをベースに,デスクトップPC向けCPU「Deneb」(デネブ,開発コードネーム)と,Denebと同じCPUパッケージを採用するワークステーション向けCPU「Suzuka」(スズカ,同)を順次投入予定。ここで,DDR3対応となるAM3パッケージへの移行を開始する計画のようだ。
 なお,Denebは2009年第1四半期に登場予定。Suzukaの登場予定時期は明確になっていないが,2009年前半の見込みである。

画像集#005のサムネイル/AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?
 さらに2009年後半には,Shanghaiをベースとして,6コアを一つのダイに収めた「Istanbul」(イスタンブール,開発コードネーム)を投入。2010年前半には,Istanbulをベースに,4チャネルDDR3コントローラを搭載する「Sao Paulo」(サンパウロ,同)と,12コアCPU「Magny-Cours」(マニクール,同)を投入する。その一方,アーキテクチャの刷新を2年サイクルで進めるIntelとは異なり,「Magny-Coursでも,アーキテクチャ的には現行のBarcelonaから大きな変更は予定していない」と,同社でサーバー・ワークステーション向け製品の開発を担当するJohn Fruehe(ジョン・フリー)氏は説明する。
 すなわち,AMDとしては2010年まで,アーキテクチャの変更ではなく,CPUのコア数を増やす,いわゆるメニーコア化を軸に,パフォーマンスアップを図ることになる。

AMD 890をベースとするAMD SR5690とSP5100
画像集#006のサムネイル/AMD,ハイエンドCPU製品群のロードマップを披露。2010年までは苦しい戦いが続く?
 そのためAMDは,デスクトップPCにおける「Spider」やノートPCの「Puma」と同様に,システムレベルでCPU性能を最大限引き出せる環境を作り出す,プラットフォーム戦略をサーバー・ワークステーションにも取り入れる。
 その第1弾となる,「Fiorano」(フィオラノ)プラットフォームは,開発中となっている次世代デスクトップPC向けチップセット「AMD 890」のサーバー版となる「AMD SR5690」ベースのプラットフォームとなる見込み。AMD SR5690は,4チャネルDDR3インタフェースをサポートするMagny-Cours向けプラットフォーム「Maranello」(マラネロ)でも採用される。

Shanghai/Istanbul向けプラットフォームとなるFioranoのリファレンスボード。サーバー向けチップセットとしては久々のAMD純正チップセットを採用し,プラットフォームレベルでパフォーマンスの最適化を図る
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混沌とするデスクトップPCロードマップ

Intelと戦えるハイエンドCPUは登場するのか


 さて,このサーバー向け最新ロードマップから見えてくるのは,デスクトップPC向けCPUにおいても,2010年まで大きな変革は期待できないという状況だ。
 また,2009年中にPhenom(=Deneb)が先行してDDR3へ移行するといっても,2010年にはMagny-Coursで4チャネルDDR3対応を果たすので,積極的にデスクトップPCでDDR3環境へ移行してしまうと,1年後にまたプラットフォームを更新せねばならなくなる。そのため,OEM関係者のなかには,2009年いっぱいは,Phenomの大幅なパフォーマンス向上は期待できないとし,「サーバー向けプラットフォームを共用する形で,2010年にようやっとPhenom FXラインの投入を図ることになるようだ」と指摘する向きも存在している。

AMDのコンシューマ向け製品のマーケティング戦略を説明するPatrick Moorhead副社長(Vice President, Advanced Marketing, Worldwide Marketing Group, AMD)は,自らデモ機を操作し,同社プラットフォームのコストパフォーマンスの高さをアピール
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 AMDでマーケティング戦略を統括するPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)副社長は,「CPU性能は確かに重要だが,しかし最新の3Dゲームの性能を大きく左右するのはグラフィックスだ」という。
 氏はセッション中に,「Core 2 Extreme QX9650/3GHz」と「Intel X48 Express」,「Phenom X4 9950 Black Edition/2.6GHz」と「AMD 790GX」という,二つの「ATI Radeon HD 4870」2-way ATI CrossFireXシステムを用意して「Call of Duty 4」のベンチマークテストでパフォーマンスを比較。「両方のシステムはほぼ同じ性能を発揮するが,ここには900ドルの価格差が存在する。計算すれば分かることだが,900ドルあればゲームタイトルが20本も買える」と,AMDプラットフォームのコストパフォーマンスの高さを強調した。

 もちろん,GPUの数が増えれば,それだけCPUにかかる負荷は増え,CPUの性能がゲームパフォーマンスに与える影響も大きくなる。しかしMoorhead氏は「1000ドルクラスのCPUのマーケットシェアは,わずか0.07%に過ぎない」として,CPUのパフォーマンスばかりを追求するのではなく,システム全体のパフォーマンスを向上させることが重要だとアピールする。

Moorhead氏はこのほかにも,エントリークラスのゲーム環境として,米国で500ドル台で販売されているノートPC「HP Pavilion dv5z」(AMD M780Gベース,左)と「同 dv5t」(Mobile Intel GM45 Expressベース,右)で,描画品質を比較してみせた。使用したゲームタイトルは,映画「アイアンマン」をベースにしたDirectX 9c対応のTPS「Ironman」。右では,天井や壁が抜けてしまっているほか,ワイヤー類を正確に描画できていない。氏は,こういった問題が,GM45環境では20本以上のタイトルで確認されていると指摘
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 ATI Radeon HD 4800シリーズの登場が,NVIDIA製GPUを搭載するグラフィックスカードの価格を大幅に押し下げたように,このマーケティング戦略が,CPU市場においても同様の効果を生むのであれば,ユーザーとして手放しで歓迎したいところである。しかしながら,2008年内にも,Intelは新世代CPU「Core i7」の投入を控えており,コストパフォーマンスだけで勝負する姿勢には,寂しさを禁じ得ないのも,また確かだ。
 Quad FXがIntelにSkulltrailを作らせたように,AMDが再び,ハイエンドユーザーをわくわくさせるようなCPUを開発するアグレッシブさを取り戻す日は,果たして来るのだろうか……。
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